ちっちゃいもふもふアルファですけど、おっきな彼が大好きで

Q.➽

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諦めた女の子達の波が引いた後、僕とみずき君は浜辺のレンタルショップでビーチパラソルを借りて、ショップに隣接するシャワー施設とその横にあるコインロッカーに貴重品を入れた。小さいビニール製のウエストポーチに小銭入れだけ入れて、スマホは悩んだけど、ロッカーに預ける事にした。みずき君は僕のより少し大きめのビニールポーチだから、崩しといた小銭とスマホは持ってくらしい。ロッカーの鍵はみずき君がポーチに入れた。
それから浜辺に歩いて、みずき君はレンタルしたパラソルを持って、ふんっ!と力強く砂浜に立てた。僕はその気合いにびっくりして、危うくファイティングポーズを取りかけた。えっ?祠チャレンジ?
パラソルを広げる姿も漢気溢れすぎてて、呆然と見蕩れる僕。僕のハニー最強。
周りにいた獣人の何人かもみずき君の気合いにビクッとしてた。純人の人にはタダの超絶イケメンにしか見えないだろうけど、獣人にはスタンド…じゃない、元のグリズリー姿がうっすら見えてるんだもんね。

僕はここまでみずき君に持ってもらってた大きなビーチバッグの中から折り畳まれてたレジャーシートを出して広げて、設置したパラソルの下に敷いた。よし、良い日陰。

「日陰になるとちょっとマシだね」

「そうだな」

シートの上にドサッとバッグを下ろす。このバッグには今日のお弁当も入ってるけど、遠出だと荷物になるからいつもより軽めにしてもらった。どうせアイスとか、色々買い食いする予定なんだもんね。

(あっ、そうだ!)

僕はお母さんに言われた事を思い出して、バッグの内側のポケットから日焼け止めジェルを出した。

「塗っときなさいって言われたから、みずき君、背中とか塗ったげる」

「えっ、いや自分で…」

「まあまあまあお客さん」

戸惑ってるみずき君のウインドブレーカーを剥ぎ取って、シートの上に寝そべってもらった。みずき君の足が長すぎてはみ出してる。
みずき君は背中も無駄な肉が無くて、細身に見えるのに筋肉が盛り上がっててカッコ良い。僕はちょっとドキドキしながら日焼け止めジェルを手のひらに出して、背中一面に満遍なく広げた。トロッとしてるけど、塗ってしばらく経てばサラッとするって書いてあったな、と思いながら塗り塗り。すると、うあああ、なんという事でしょう!タダでさえキレイな肌が、ジェルの美肌効果でツヤツヤ。ジェルだから透明なのにすごい。らけしからん美筋肉になってしまったよ。しかも僕がお尻と腰の辺りを跨いでせっせと塗ってると、『ふっ…』とか、『ぅ…』とか、小さく吐息を洩らす。うつ伏せ苦しいのかも、と思って僕は早々に日焼け止めジェル塗りを終了した。
起き上がったみずき君は、やっぱりちょっと赤い顔をしてて、多分お尻の上に乗っちゃったのが痛かったか苦しかったのかもなと思った。みずき君は何故か向こうを向いたまま、残りの首や手足にジェルを塗ってたから、僕もウインドブレーカーを脱いで寝そべって、みずき君にお願いした。

「みずき君、僕も背中お願い」

みずき君の後ろ姿が一瞬動きを止めて、ギギギギって首だけこっちを向いた。こわ。そーゆーホラー映画トラウマだからやめてよ。

「ら、ランの…背中…」

「うん、お願いします」

「…わかった。任せて」

背中にみずき君の息遣いを感じる。大きな手がぬるっと肩や首や肩甲骨を滑って、ひゃっとびっくりして声が出てしまった。

「んんっ…」

「ご、ごめん、大丈夫か?」

「ん、大丈夫。びっくりしただけ。…あっ…」

みずき君の手がヌルッと動くから、思わずまた声が出てしまった。小さい声で、肌が、とか柔らかいとかブツブツ言ってるけど、どうせ僕にはご立派筋肉ついてませんよーだ。
少しの間塗ってもらって、僕はみずき君に声をかけた。

「みずき君、ありがとー、もういいよ。後は自分で前塗るね」

「……うん」

僕は起き上がって、自分で首や胸、お腹に塗り塗り。手も、一応足も塗り塗り。足は水に入ったら意味無くなっちゃうだろうけど、まあ良い。それよりも、日焼け止めを塗る作業をみずき君がガン見してくるのが若干気になる。

「…どうかした?」

「いや、うん。なんでもない」

なんでもない、と言ったみずき君の視線がずっと乳首に注がれてる。何でいつも、みずき君みたいな立派な胸筋でもない、あるかなきかの僕の乳首にそんなに興味があるのさ…。
僕は自分のつるぺた胸を見下ろして、みずき君のご立派な胸を見て、なんとも言えない気持ちになった。

「……みずき君、準備運動しようよ」

「…そうだね」

僕らは砂浜でラジオ体操を真剣にしてから、海の浅瀬でパシャパシャ水を掛け合って遊んだ。

あんまり泳げないから深いとこは行けないけど、楽しかった。
二人共水着だから、じゃれてる間に肌がくっついていつもよりドキドキしっぱなしだった。

海、心臓に悪い。


















 
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