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報告に行く俺達。
しおりを挟む(……やっちまった…。)
マジで噛ませてしまった、エリオに。
しかも、よほど相性が良かったのか、ものの数十秒で血も止まり、咬印完成、そして定着。
…こんなん聞いた事ねえ…。
速すぎる番の成約に俺は今更ながら呆然と天井を眺めている。
昨日の昼過ぎから現在、翌朝8時。
……やっちまった感が再来。
隣で可愛い顔して寝てる、意外に野獣だったエリオ君。素敵だったぜ。
多分、昨日は使用人や公爵家の誰かが何度かは呼びに来た筈だ。
昼食や夕食、様子が変…などなどで。
厚いとはいえ、扉の向こうから漏れ聞こえる嬌声や音、人によっては匂いで察したんじゃなかろうか。
「ぐぁ…は、恥ずかし…!!」
おそらく俺達が挿入りっぱで寝落ちたのは、…今朝方?
で、今こんな感じで落ち着いているけど、多分また数時間で波は戻ってくる。
今の内に誰かには事情を説明さしておかねばなるまいよ。
お叱りはヒートが落ち着いてから甘んじて受けるとして…。
俺はエリオを起こさないようにそっとベッドを抜け出し、素早く服を着た。
だが、直ぐに気配を察したエリオに見つかり咎められる。
「どこ行くの。…帰るの?
番になったのに?」
「違う違う違う、今の内に公爵様か兄上様に事情を言っとかないとと思ったの!」
「じゃあ僕も一緒に行く。」
エリオはベッドから降りて、脱ぎ捨てられていた服を着た。
そして、髪を手櫛で整える。
…なんか…なんか、色気が…。
俺はごくりと喉を鳴らしてしまう。
駄目だ、堪えろ。今は堪えろ。
「じゃ、行こう。この時間ならもう皆起きてるよ。朝食、食べて大丈夫かなあ。」
エリオが呑気に言って、2人で部屋を出たが、いや本気?
俺ら色んなモンでベタベタだよ?
いち早く状況報告しなきゃと思ったから急いで身支度したけど、食事の席にはどうかと思う。
そんで次の波来る前にシャワーくらいはしような?
そういった事をやんわり伝えると、それもそうだね、じゃあ部屋に色々用意させなきゃ、と言ってくれて胸を撫で下ろす。
話している内に公爵様の部屋前に着いたので、エリオが声をかけて開けてもらう。
既に朝の支度を済ませていた公爵閣下は俺達の姿を見て、あからさまにホッとしているようだった。
それに、大体何があったのかは察していたようだ。
「エリオは発現したんだな。」
それには少し嬉しそう。
しかし次には俺を見て、何だか申し訳無さげに
「しかし、まさかセス殿を噛んでしまうとは…。
あの、まさかエリオが無理矢理…」
と言われたので、
「いやそれは無いです。」
と被せ気味に否定する。
「エリオの匂いで発情した俺の匂いでエリオが発情しました。」
「う、うん??」
ややこしくて申し訳ない。
「それで、俺が前からエリオを好きだったので、噛んでくれと頼みました。」
「え、セス殿そうだったの?ウチのエリオを?
本当なのかエリオ。」
公爵閣下、驚きのせいか口調が。
本当、大事な息子さんを手篭めにしてすいません。
「はい。僕もセス、好きだったので…。」
照れながら嬉しそうにチラチラ俺を見るエリオ。
いや可愛いけど今はそうじゃない。
叱られるかもしれないんだぞ、未だ王太子との婚約解消しない内にこんな勝手な事して、って。
しかし公爵閣下の言う事は予想を覆していた。
顎に手をやりながら、
「んー?いや、別にそれは問題無いと思うが…。」
とか言う。
王族との間の事で、そんな事ある?
「いや、だって…βかαだったら解消、って事なんだから、α発現した時点でもう良くない?番にもなったって事だし…。」
……公爵閣下がフランク過ぎるな。
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