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お疲れ様タイム
しおりを挟む「ようオコジョ殿。初めましてだな。リリアス帝国のエンドレアスだ。よろしくな。」
「…岩城雪長でございます。お初にお目にかかれてうれしく思います。」
「あっ、オ…、雪殿~、こんな所にいらしたのか。」
「……(よくもぬけぬけと俺の前に顔を出せたな) ごきげんよう、アドリア殿下。」
入学式後にヤンキーに絡まれてたらアドリア殿下がニコニコ悪びれる様子も無く歩いて来た。
ヤンキー。
まあ実際は違うんだろうが、エンドレアス殿下の見た目の印象がヤンキー。
全身のジャラついた装飾品は貴金属であるからして、好意的に受け取れば富の象徴とも言えなくも無いが、制服をそこ迄カスタマイズして良いの?ってくらい、煌めくスカルの刺繍とか、鋲や宝石が縫い込まれたりしてて、これはもう悪趣味と厨二病のマリアージュや~、みたいな。(真顔)
権威に弱々な学園側はともかくとして、親は怒らないのか。
品位は損なわれてはいないのか。
そしてフレンドリーヤンキーと談笑し出す、(頭)ゆるふわアドリア殿下。
顔馴染みなのか。
まあ帝国のエンドレアス様と言えば確か…卒業後直ぐに帝位を継がれるご予定だと聞く。
…え、マジで?こちらの派手派手フレンドリーヤンキーが?
リリアス帝国と言えば、和皇国(ウチ)と同じく皇帝を戴く国。
クソショタ殿下といい、世界の二大皇国が跡継ぎこんなんで良いのか。
俺はいよいよ次元を越えて逃げたくなった。
異世界転生したい。
でっかい男子達に囲まれながら教室にドナドナされていくが、歩いてるその間も好奇の視線は容赦ない。
教室に帰ると入口では様々な年代の大人の男性達が待ち構えていて、俺達を見ると深々と礼をした。その中には草鹿もいる。
あ、この方々、執事やお付きの方達か。
「お疲れ様でございました。
お席にお茶をご用意してございます。」
「…えっ?」
席に?教室の席にって事?
入ってみると、確かにお席にお茶のご用意ございましたよ。
しかも各机…というか、テーブルになっとる…机、トランスフォームしとる…。色くらいしか面影ねーぞ。
しかも全席同じようになってて各々お茶の用意されてる。
今更ながら、そんな事も普通に許容されてるってとこに、改めて一般生徒達との扱いの差を目の当たりにした思い。
はっ、もしかして此方の皆様、ペットボトルやバリアカップなど、ご存知なかったりして!?(偏見)
…セレブは違うな~。
席に戻って座ると、熱い茶を飲めない俺の為に、あらかじめ注いでおいてくれたのか 丁度良い温度。
それをちみちみ飲む俺。
一口飲み度に、おおっ…と後ろから小声で歓声が上がる。
やめれ。俺は珍獣じゃねえ。
虚無の目で飲んでたらエンドレアス殿下とアドリア殿下がお茶を持って椅子で滑り寄って来て、(ダメだろ…)
「何の茶が好きなんだ?」
って 俺の持ってるカップに鼻を寄せる。行儀悪くね?
「良い香りですね…って、温っ…。」
「…猫舌なもので…。」
やんごとなき方々って、こんなフランクに他人の飲み物とか食べ物に口つけるんだっけ?
今、アドリア殿下が俺の茶を嗅いで口を付けたんだけど、俺…もうこれ飲みたくないのだが…。
(すいません殿下。)
恨めしくカップを見つめる俺。
「どれどれ…ぬるっ!!」
…毒味とか以前に、付き合いの浅い他人との間接接触に抵抗や危機感が無いのか、お伺いしたい。
心配だ。
『猫舌…』
『猫舌だ…』
『熱いもの飲めないんだ…』
『萌え…』
…後ろのざわめきは、聞こえないものとする。
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