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中編 (※R18描写あり)
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気がついた時には、目線の先でやたらと綺麗な男が紅潮した顔で汗を流しながら呼吸を荒げていた。そして、その両肩には自分の両膝が重たげに乗せられていて、男の動きに合わせて、揺れる。
それに合わせて、茜太の口からも声が出るのを、自分でも止められない。
「あっ、はっ、ん、ん、んんっ、んぁ、」
唇の端からだらしなく漏れて流れる唾液が頬から首を伝って背にしたシーツに垂れていく。
朧気にも意識が覚醒した事で茜太の反応が変わったのだろうか、男が気がついたように茜太の顔を覗き込んできた。
「あは、起こしちゃった?キュッて、すごいね。」
「は、は?だれ、なに、んんんんんっ!!?」
男のグラインドが一際深くなって、茜太の直腸の奥を責めた。
穿ちながら男は、肩に抱えた茜太の脚の内腿に噛み付いて、舐めた。
「や、つっあ?!アアアぁあ!!」
今自分の尻の穴はどうなっているんだろうか。にゅこにゅこと音を立てて目の前の男のモノが出し入れされているのはわかる。
けれど、茜太はゲイではないし男性との性経験も無い。容易に挿入がされた訳が無い筈なのに、何故今の今迄気付けなかったんだろう?その上、曲がりなりにもαなのに受け入れる側だなんて。信じられない…。αの男性というのは絶対的にオスの筈ではなかったのか。
しかし実際にはリアルタイムで茜太は見知らぬ男にセックスされている。自分の体は受け入れには向かない筈なのに何故だ、と茹だった頭で茜太は考えた。けれど、次々に襲ってくる甘い刺激に思考が霧散させられる。
そう。甘いのだ。
苦痛が無い訳ではないけれど、総じて快感なのだ。不思議な事に。
合意で始めた記憶が無いから、これはレイプなのではと思うのに、何故だか気持ち良い。
パンパンと激しく肉のぶつかり合う音、ブレっ放しの視界。
打ち付けられる度に男の汗が落ちてくる、濃厚なフェロモンが鼻を突く、体が折り曲げられて、より深く挿入される、内臓が圧迫されて少し苦しい、でも奥を突かれこじ開けられるのはひどく気持ち良い。悲鳴混じりの嗄れた嬌声が上がる。
「、はっ、だめ、もう、なか、あっ、あ、あ、あ、あぁあああああ、」
ぐぐっと押し込まれて反らした喉を男が舐めた。ゾクゾクゾクッと背筋を走るのは、悪寒か快感か。
「…っ、出す、ね。」
「……え、あ、ひっ…やめ…、」
「もう何回も出してんだから、同じでしょ…。」
そんな言葉の後に、一際無慈悲な激しい律動が来た。
何回もとはどういう、と思う僅かな余裕すらかき消される。
「あ、」
「や、やめっ…やああああああっ!!」
男の動きが止まったかと思ったら、ぐっと腰を掴まれて逃げられないまま中に射精された。
(うそ、嘘だ…。こんな…。)
茜太の中に子種を放っている最中らしい男の顔は、目を閉じて本当に気持ち良さそうだ。男のイキ顔なんて寒気がするかと思っていたのに、自分を組み敷くこの綺麗な男の絶頂顔は、少し妙な気分にさせられる。茜太の尻はそんなに良いんだろうか?
Ωでもない、タダの男αなのに…。
今しがた犯されたばかりだというのに、何故か妙に冷静な自分に違和感を持つ茜太。
乱れた呼吸が整うのを少し待ち、まだ自分の中に性器を挿入したままの男に聞いた。
「…だれ…?なんで、おれを……ンッ」
茜太の質問に、ゆるっと腰を動かす男。
揺らされると頭がフワフワグラグラする、やめて欲しい。
「音平 蘇芳。」
目を眇め、形の良い唇を舐め、左手で髪を掻き上げならがら、男はそう口にした。
「初めまして、僕のα。」
「……へ?」
やはり初対面、と思った途端に唇で唇を塞がれる。
そのしっとりした感触は久しぶり過ぎて、思わずうっとりしかけて、ハッとする。
違う。幾ら女と別れて以来ご無沙汰だからって、これは男の唇だ。そう思うのに、合わさったところから溶け合ってしまいそうに心地良くて、思わず流されて目を閉じる。
音平と名乗った男の舌が、茜太の口内を優しく掻き回していく。舐め吸われ絡まる舌、音平の舌で攪拌されて、2人の唾液が混ざり合う。それをどうして良いか分からずにいたら、音平に全て啜られた。
おかしい。何故この男の舌も唾液も、吐息すらもこんなに甘いのか。
茜太は不思議だった。
数人付き合ってきたカノジョ達はβで普通の女性だった。皆容姿は悪くなかったし、若い女特有の甘い匂いもした。でも、それとは全く違うのだ。別格なのだ。
脳髄を蕩かす、理性を奪い去るような、甘い匂い。
…何処かで…。でも、まさか。
目の前の男はどう見ても、自分と遜色無い体格をした男だ。
但し…但し、やけに美しい。
α?でも、それにしては違和感がある。
「…ん、んぅ…。」
「…ふ、可愛い。」
音平が、やっと唇を離してくれた。
呼吸を整えていたら抱きしめられて、音平が肩に顔を埋めてきた。因みにまだ茜太の直腸内には音平のペニスが居座っている。
茜太の鼻腔を擽る音平の髪の香りも甘い。
「…何が、何だか…。」
わからない。
そんな茜太の様子に、音平が小さく肩口で笑った。
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