4 / 12
凛、苦悩。(篠井side→凛side)
しおりを挟む彼は振り返ってもくれず、ルームから出ていく。
「凛くん…」
茫然自失して、立ち上がっても足が縺れてまた倒れ込み 追う事すらままならない。
嘘、嘘だ…嘘だ…
どうしよう、どうしたら赦してもらえる?
捨てられてしまった…
またやってしまった…。
「あああああぁあああああぁあああああぁあああああぁああああ!!!!!!」
「や、やだ、何?あの人って…」
「うるさいうるさいうるさい!!!」
「何なのよもうっ!!」
彼が怒ってる時は空気と化してた女が荷物を引っ掴んで走って出ていく。
お前が!お前なんかが俺に声をかけたりなんかするから!!
自分の優柔不断を棚に上げて俺は女を恨んだ。
30分前に戻りたい。
俺って何で何時もこうなんだ。
絶対見つかるのに何で同じ事しちゃうんだろう。
足の震えが止まるのを待って、やっと立ち上がる。
彼を追わなきゃ、部屋に行かなきゃ。
「そ、だ…電話…」
スマホを取り出し電話を掛ける。
(…着拒…。)
LIMEのトーク画面を出して文字を打つ。
歩きながら数分待っても既読はつかない。
再会して復縁して貰って最初に浮気してしまった時にもこんな事があった。
死ぬ程後悔したけど、あの時は"暫く"姿を見せるな、って言ってくれたから、1週間待てた。
その次もその次も、彼はその時は怒るけれど、必死に謝ればちゃんとその場で赦してくれた。
でも…今回は…。
彼は、何にも言わずに、行ってしまった。
「…大丈夫、だよな。赦してくれる…きっと、赦してくれる…そしたらもう絶対、絶対、今度こそこんな癖…、」
俺は彼の性格を身をもって知ってた筈なのに、何で忘れていたんだろうか。
殴りすらしてくれなくなったら、終わりだって。
(凛side)
「はー…何で俺に寄ってくる奴らは浮気性ばっかなんだ。」
俺はこめかみを押さえた。
思えば大学2年の時に告白してきた彼も、興味本位で付き合ってみたら、セックスした途端、束縛魔になり、にも関わらず自分は他の男とホテルに行っていたのがわかったので面倒臭くなって振った。
別れたのを聞きつけたのか、今度は同じゼミの奴が付き合ってくれと言い出したので付き合ってみたが、付き合って3ヶ月経過した時に元カノと切れていなかった事が判明。
別れたくないと言われたが、二股かけられる程、安いつもりもないので着拒&ブロックであっさり終わらせてやった。
社会人になってから会社の同僚と付き合ったが、結婚願望の強い娘だったのであっさり先輩と浮気。別れ。
次に付き合ったのはちょっと付き合う以前の問題だった。
街中で数年ぶりに会った中学の頃の同級生だったけど、付き合う事になって直ぐに既婚者だと人伝てにわかったので、本人に確認してお別れ。
別れた後にその旦那から連絡が来たが、待ち合わせたカフェで未婚だと嘯いていたLIMEのスクショを見せて俺は無罪。
しかし何故かその場でその旦那に、嫁と離婚するから自分と付き合ってくれと言われ、逃げ出した。
不倫を疑っている相手にやたら紳士的で優しいなと思ってたら…。
何なんだ。俺には女より男を引き寄せるフェロモンでも備わっているのか。
というか嫁の不倫相手に色目使う旦那ってどうなんだ。
何で結婚してたんお前ら。特に旦那。
もうマジでなんつーか、呪われてるとしか思えない。
だから昨日、篠井と別れた場面を同僚の一人に見られていて、
結婚を前提に自分と付き合えと迫られても、正直困惑なんだが。
日本では未だ一部地域しか同性婚はできねーぞ。
1
お気に入りに追加
397
あなたにおすすめの小説
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
イケメン幼馴染に執着されるSub
ひな
BL
normalだと思ってた俺がまさかの…
支配されたくない 俺がSubなんかじゃない
逃げたい 愛されたくない
こんなの俺じゃない。
(作品名が長いのでイケしゅーって略していただいてOKです。)
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる