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6 友人のセックス (※R18描写あり)
しおりを挟む一般的に、セックスフレンドではない普通の友人がどんなセックスをするのか、なんてのを考えた事のある人間は、どのくらいいるものなのだろうか。
少なくとも時永は考えた事は無かったし、特に知りたいとも思っていなかった。
知る機会も無いだろう、普通なら。
しかし図らずも今日、知ってしまった。
九重はその体躯に似合わぬ繊細さそのままに、時永を優しく抱いた。
優しいとは言っても、抽挿時はそれなりに激しく突かれたので、未だ息切れがおさまらない。だが今の時永には、友人に抱かれてしまったというショックより、久々に勃起・射精が出来たという歓喜の方が勝っていた。
そう、勃起したのだ。
およそ九ヶ月振りになる、ソコに血が集まっていく懐かしい感覚。
それが起きたのは、あろう事か呆然としている間に、俗に言うマングリ返しの体勢でペニスを口に含まれた瞬間だった。大きな口の中で、未だ柔らかい時永の竿に絡みつく分厚い絖った舌。温い唾液と一緒になって時永を翻弄した。
これ迄がまるで嘘のように、熱い昂りを感じた。
敏感に快感を拾うようになっていくペニスに九重の大きな熱い手が触れて、包み込んで、握って、緩く強く擦られた。
時永はそれで一度射精させられ、ぐったりと脱力している間に今度は会陰からアナルに舌を這わされて、ぐちょぐちょに舐め回された。
週末毎に手合わせをした連中とは愛撫が全く違って、時永は戸惑った。けれどそんな小さな戸惑いは、直ぐに九重に与えられる快感に打ち消された。
尻の穴に九重のペニスがぎっちり挿入された状態でも自身のモノを扱かれて、時永はたまらなくなり狂ったように喘いだ。ダラダラと白濁を垂れ流し続けるようになってしまったペニス。閉まりきらない唇から、涎を垂れ流しながら何度イっても、九重は解放してはくれなかった。
やっと九重の気が済んだのか、解放されたのはそれから4時間ばかり経過した頃だった。
あの夜の犯人はコイツだったのか、と時永は考えた。
けれど…。
「敦…お前、男初めてじゃねえの?」
時永におずおずとそう問いかけてきた九重に、拍子抜けした。
九重は、時永が初めてだと思って抱いたらしい。
という事は違うのか、と時永は思った。
だが正直言って、時永は気持ち良かった。
女性とのセックスのようにイニシアチブを取る必要もなく、只流されるように抱かれた。九重にマグロになったように身を任せて快感を享受するだけの行為は、何故だか安心して気持ち良くなって良いのではないかと思わせてくれたのだ。
時永の体の隅々に、愛しみを持って触れる九重の指も唇も、行きずりの男達とはまるで違った。
なのに、あの夜の相手ではないらしい。
では、あれは誰だったんだ…と、髭が伸びかけてチクチクする九重に頬擦りされながら時永は悩んだ。
「…初めて…では、ない。」
経験があるか否かくらいは答えても良いだろう。時永は正直に答えた。
後ろから横抱きに時永を抱き締めて頬擦りしていた九重の動きが止まる。
低い声で問われた。
「…誰か男と付き合ってたのか?」
「いや、それは無い。」
それは本当だから即答する。
一瞬、緊張したように固まっていた九重の雰囲気が緩んだのを肌で感じた。
「だよな、あのバリキャリと別れてからはずっと一人だよな。」
「ああ。」
上機嫌になって先の質問を忘れてしまったのか、九重は更に時永を抱き締めたが、時永は複雑だ。
百歩譲って告白されたのは良いとしても、こちらの返答を待たずに襲われたのだから、時永は今、怒って良いのではないだろうか。
しかし、あまりにも気持ち良くされ過ぎてしまって、レイプとも言い難い。
イン…、勃起不全も解決してしまったし、被害者ぶれない。だって実際、堰を切ったように何度もイった。
時永にしてみれば、九重こそ男を抱くのは初めてではないのでは、と思うのだが。
背中に感じる体温と丸ごと守られているような安心感、それにセックスの疲労で瞼が重くなってくる。
友人に襲われたというのに、我ながら緊張感が無いなと自分に呆れながら、時永はゆっくりと目を閉じた。
次に目を開けた時、九重の姿は無かった。何となくデジャブを感じるが、今回はあの日とは状況が違う。
相手がわかっているし、スマホのLIMEに帰宅する旨の連絡も入っているようなので、既読をつけておこうかとページを開いた。
『よく寝てるから起こさずに帰る。
今日は急に悪かった。
本当は気持ちを告げる気は無かったんだ。でもお前の言葉で勇気が出たよ。
だからっていきなり抱いたのは、ごめん。
本物の敦は、想像とは比べ物にならないくらい可愛かった。
俺、早目に片をつけるよ。
だから、俺とつきあう事を真面目に考えてみてくれないか。
俺は真剣だ。もうお前が他の奴とつきあってるのを見るのは嫌だ。
今度は俺にして欲しい。
絶対に後悔させない。
じゃあまた、近い内に行くわ。』
「……。」
およそ初めて見る九重の長文。
時永はきちんと目を通したが、返事を打たずゆっくりスマホを置いた。
何とも言えない気分だ。
九重が、自分を。本当に?
先ずそれが驚きだったのだ。だから虚をつかれてしまった。
好きにされてしまった。
…嫌では、なかった。
寧ろ思い出しても股間が熱を帯びてしまいそうな程の快感だった。
まるで自分が淫乱にでもなったようだった。
きっとあの夜も、こんな風だったのではないかと思った。
それなのに、九重ではなかったなんて…。
それは友人達の中に、九重以外にも時永に心を寄せている者がもう一人いるという事だ。
時永としては、何故平凡な男である自分に…という気持ちだ。不可思議過ぎる。
しかも、こんないちどきに。
(…とりま、インポ治って良かった。)
久々の心地良い疲労に、悩むのは明日からにしようと時永は再び目を閉じた。
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