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卒業 (色んな意味の) 1
しおりを挟むそんな訳で僕と翔ちゃんは15年近い両片想いを実らせてイブの夜に恋人&婚約者になったのだった。
年末年始も当然の如く一緒に過ごし、バレンタインにお互いに群がる女子男子を蹴散らし(毎年恒例)、それがきっかけで婚約バレした。
…まあ、その方が公認になって僕としては都合が良い。
だけど相変わらず気骨ある奴らはアタックして来る。数は激減したけどね!
僕は受験後、予定通り大学に合格。
翔ちゃんは推薦で調理師専門学校に進路決まってたから、僕の受験の応援係だった。
(業務内容:主に後ろでゲームをしながら転がって勉強疲れの目を癒す。)
ありがと。翔ちゃんの愛のおかげ。
そして。
卒業式の日の夜、僕と翔ちゃんは初めてのセックスに挑もうとしていた…。
今迄キスとフェラと69までしかした事の無かった僕と翔ちゃんは、夕方一緒にドラッグストアに来ていた。
理由は、自然に濡れる訳ではないαやβ男性である僕達の愛の交歓の必需品…潤滑剤を購入する為である!!
「う~ん…長時間乾きにくくて…、」
「あっ、でもさ翔ちゃん!これあったかいってよ!温感温感。井本が、ローションって最初出した時は冷たいって言ってたよ。」
「…おま…でけぇよ声が。」
2人で陳列棚の前に座り込んで吟味。
「でもゼリーの方が良いってのも聞いたんだよな。」
「…ゴム、使う?」
「当たり前だろ…。」
「ならシリコンベースはダメらしいよ。」
「ふーん…。」
1回帰って着替えてるし2人共18歳以上で成人だから堂々としてて大丈夫なんだろうけど、モノがモノだし初めてだからやっぱ恥ずかしい。
でもなー、初めてだからこそー、妥協したくないってゆーかー、痛い思いもさせたくないし、したくないしー。
そう考えたら自ずと吟味に力が入るじゃないですか。
「よし。コンドーさん併用OK、温感にできる。これだな。」
翔ちゃんが決めたらしい。
「コンドーさん…めちゃ薄いやつあるね…。」
ゴクリ。
レジのおねえさんの、アルカイックスマイルの慈愛の目が痛かった。
夜は僕んちで翔ちゃんも一緒に皆で卒業祝い。
翔ちゃんちのおじさんとおばさんはやっぱこの時期も忙しい。
お店自体は8時くらい迄でも、お客さんが帰るのはその1時間~2時間後で、それから片付けとか翌日の準備と雑務を片してから帰ると、どうしても深夜過ぎなんだって。
飲食も大変なんだね~。
だから超着物美人のおばさんは、卒業式には来てたけど 夕方にはお店に行ってしまった。
僕の母さんと翔ちゃんに凄く謝ってて、後で仕出しを届けさせるね、って言ってたんだけど、夕方ドラッグストアから帰ったら 豪華な仕出し料理が運ばれてて母さんがめっちゃ喜んでたね。
翔ちゃんち、結構な高級料亭だからそりゃ嬉しいよね。
んで料理も綺麗で、これってどうやってんの?それは飾り包丁で…とか翔ちゃんに聞きながら楽しく食事して、そろそろお開き、って事で、僕と翔ちゃんは翔ちゃんちに帰宅。部屋に移動。
僕んちの玄関出た辺りから、2人共何故か無言。
何だか落ち着かない。ソワソワする。
これから何をするのか、わかってるから。
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