14 / 20
君の運命にして下さい
しおりを挟む翔ちゃんはすごく嫌そうにティッシュを数枚掴んで、僕の鼻にあてて、
「チンしろ。」
って言ってくれる。
何やかや優しいんだよね。
疑って悪かったなあ。鼻かんでくれるとか、愛でしかなくない?
僕が鼻をかむと、今度はやっぱりティッシュで涙を拭いてくれる。天使…いや、神じゃん。神の慈愛じゃん。好き。
その手を両手で捕まえる。
「翔ちゃん。」
「…なんだよ。」
しっとりした、僕より体温の高い、器用そうな細い指をした手。
その手の甲に頬をすり寄せる。
肌の感触、気持ち良い。
「僕には翔ちゃんが運命だよ。」
翔ちゃんの指がぴくっと動く。
「…ンな事言ってもさ…。」
手を引っ込めようとする翔ちゃん。いやそれはまだ許さないから。
手を包み込んで、指を絡める。
「みくびんないで欲しいんだけど。僕が誰かに靡いたの、見た事ある?」
「…これからはわかんねーだろ。只でさえ、マナはモテんだから。」
翔ちゃんの声、震えてる。
見上げると、僕を見下ろす翔ちゃんと視線がかち合った。
そんな泣きそうな顔は保育園以来だね。
「なら翔ちゃんも僕を運命にしてよ。
最初から僕を諦めないで。αの部分だけを見ないで。僕を見て。」
翔ちゃんの表情が歪む。
「好きだよ。」
君の顔を見るたび、考えるたび、こんなに胸が熱くなるのに、いっぱいの気持ちが溢れて溢れてたまらなくなるのに、言葉にするとこんなに少ないんだね。
こんな短い言葉じゃ、君を安心なんかさせられないかな、翔ちゃん。
「…くそっ…バカマナ。」
翔ちゃんの目から涙が流れた。
「俺も好きだよ…バカヤロウ。」
「翔ちゃん…口悪っる…。」
「るせぇ…。」
翔ちゃんの左手を取って薬指に指輪を通す。ほらピッタリ。
翔ちゃんが寝てる間にちゃんと測っといたかんね。
その指輪をまじまじと見つめる翔ちゃん。可愛い。
抱き締める。良いんだよね、抱き締めても。
何時も何にも動じない翔ちゃんの肩が、少し震えてる。
泣くのは何時も僕の役目だったのに。いやまあ、つい今しがた迄泣いてたんだけどさ。
鼻先に直ぐに翔ちゃんの髪、耳、首筋。
まだシャンプーの匂い、ボディソープの匂い。でも体温高くて新陳代謝良いから、じき体臭が混ざってすごく良い匂いになる。
「あー…幸せだなあ…。
恋人になってね、翔ちゃん。」
「…うん。」
素直に小さく頷く翔ちゃん、子供の頃みたいになってる。
「お嫁さんになってね、翔ちゃん。」
「…俺も男なんだけど…。」
もぞ、と腕の中で顔を上げる翔ちゃん。不満そう…。
「だって僕、翔ちゃんを抱きたいし…。」
「…俺だって抱きたいんだけど…?」
「…えっ?」
「…えっ?」
思わず見つめあってしまう。
え、この流れと雰囲気でそれ言う?
どう見てても翔ちゃんが可愛がられる方じゃない?
長年の問題が解決して、新たな問題が発生した。
まじかあ~…
え、まじかあ~…。
78
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる