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5 俺を清純派だという幼馴染みの圧
しおりを挟む「お、俺が、何時、そんな…?」
いやマジでホントに。
裕斗に告った記憶なんかない。
でも現に裕斗は知ってる。
ならやはり、俺が言ったのか。
そんな俺的トップシークレットをカミングアウトして記憶に無いなんて事、あるか?
…………いや、あるな。
俺ならあるわ。
だって俺、本條との初体験すら知らない内に済んでた男だもん。有り得るわ…。
俺は既に自分自身すら信じられなくなっていた。
「魘されてるから起こしたじゃん。そしたら泣きながら、ずっとこんなに好きなのにい~って告ってきたじゃん。
だから俺はすぐに女よりお前を取った。
そっからお前は俺のもんじゃん。」
え、え、え?どーゆー事?
魘され…え?寝言かなんか言ってたって事?
…久々に裕斗の顔見て ちょっと恋心プレイバックしてたから、片想いが最高潮に辛かった時の夢でも見てたんだろうか?
いや起こされたのすら覚えてねえが!!
ひ、ひえぇ……
俺、知らん内に略奪しちゃってたの?!マジでごめん里穂ちゃん(裕斗の元カノ)!!!
そんで相変わらずの唯我独尊理論~。
俺は感心したが、だが……
寝てて頭が覚醒してるか未だ夢の中なのか微妙な人間の言った事なら、翌日にでも確認して欲しかった~。
で、え?って事は……
「じゃあ…その時に、つきあうって事になったの?」
そう聞くと、
「は?や、まあお前その後またすぐ寝ちゃったから、はっきりとは言ってねえけど…。
でも お前が告ってきて、俺が 『じゃあ里穂とは別れるわ。』つったんだから、そういう事だろ?」
と首を捻っている。
「言ってないんだ…。じゃあ、付き合ってないじゃん。」
俺は少しホッとした。
だって、その状態でも付き合うって事に合意してたんなら、その後の俺の行動は悪人だ。
何故なら、その、裕斗が俺のアパートに泊まりに来た1週間後くらいに、俺は本條と寝てしまっていて、その後半年近く付き合ってしまっていたからである。
本條側からするとセフレ付き合いだろうが、俺側は恋人付き合いのつもりで付き合っていたから、俺が裕斗と恋人としての付き合いが開始していたとするならば俺は明らかに浮気をしていたという事になる。
あぁあ ややこしい。
いや、既に俺のせいで裕斗はカノジョと別れたっつーから実害は出てるけど、正直これ、確認も付き合う合意にも至ってない。
その後のLIMEとか電話でもLoveの雰囲気全く、醸し出されてなんか無かったよな?
……俺、悪いか?
あぁ、いや悪いな。悪いが…!
ちょっとよくわからなくなってきた俺は頭を抱えた。
ひ、1人になりたい…。
しかし裕斗はそれを許さなかった。
「おい…何つった、今。」
襟首を掴まれる。ひぃ…。
しかし此処ではっきりさせとかなきゃ、俺は彼ピッピがいながら好きでもない他の男に処女を捧げてセフレに成り下がった、只のクソビッチである。
「だって、寝惚けてる奴がその時の事なんて覚えてるとは限らねえじゃん。それにさあ、その後の連絡でも、それ迄と変わらなかったじゃんか…。」
裕斗の額に浮き出た青筋に最早半泣き。
「カノジョと別れさせちゃったのは、ごめん?」
俺だけが悪いのかなあ、と納得はいかないが、一応それについては謝った方が良いのかと思って首を傾げながら言うと、襟首を掴む力が弱まった。
「…別に里穂の事は…それはどーでもいっつか。」
「えっ、大事なとこじゃん?」
確か高二の終わりくらいからだって言ってたから、2年は付き合ってたじゃん?1番長くなかった?と、俺は顔も思い出せない里穂ちゃんに心の中でゴメンと謝った。
「それはもう良いんだよ。どうせお互い惰性だったし。
大事なのは、俺はお前と付き合ってる気でいたって事だ。」
「……ぅん…なんか、それは、ごめん。でもやっぱちゃんと翌日確認が欲しかったってゆーか…。」
確認じゃなくても、こう…それらしい雰囲気を出すとか、それ迄になかったスキンシップを図るとか…あっただろ、と。
すると裕斗は、あ~、と頭を掻きながら言った。
「それについては…まあ、俺も…うん。照れがあったっつか。」
「照れ?」
「徐々にというか…。まあ、それは良いじゃねえか。」
珍しく裕斗が照れている。
「お前、ずーっと俺だけが好きって言うし、知ってる限り誰とも付き合ってなかっただろ。つまり、そういう事全然知らない純情つか清純な奴じゃん。」
「……清純…?」
確かに俺はモテないし、洒落っ気も無い平凡面で、誰とも付き合った事はなかった。
そして高校に上がる頃には裕斗を意識しだしてしまい、その後3年間は裕斗で頭いっぱいだった。
半年前に裕斗が イベントあるから1泊させてくれ~って言ってた段階では確かに他人の肌を知らない純情ボーイだった。
でもその1週間後にヤっちゃってっからな~。
もう今の俺はお前の知ってた汚れなき俺じゃねえのよ。未だ童貞ではあるが。
「ずっと黙ってたのに、そんなお前が告ってきたって事は、よっぽどなんだなって思ってよ。
何か、大事にしなきゃなあって…。」
「……そなの…アリガト…。」
「実は俺も好きだったからさ。お前が男無理だろうなって思ってたから、俺も言う気無かったんだけど。」
「はあぁ?!」
裕斗も?俺を?
いやそんな素振り無か……いや、あったか。
やたら距離が近かったのは、あれは俺の勘違いじゃなくて裕斗なりのアピールだったのか。
いやでもお前、カノジョ持ちでそんな事されたってわっかんねえわ。
つかそれ、もっと早く聞きたかったな…。
ま、それを聞けただけでも御の字よ。
もう全てが今更、だよなあ。
しかし、そんな俺の心を知ってか知らずか、裕斗は更に告げてきた。
「…ま、じゃそれはそれで良いわ。改めて今日から付き合うって事で。」
「へ?き、今日から?」
「今なら忘れたりしねえよな?」
圧。イケメンの、有無を言わせぬ圧が俺を襲う。
いやでも、あの…。
「で、和生って、お前の何?^^*」
「…………。」
話が戻った……。
清らかじゃなくなったのを知られたら、コレ俺、コロされないか?
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