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5 会えない日々に募るもの (※微R18描写あり)
しおりを挟むそれから間も無く夏休みに突入して、俺と西谷が毎日会う事は無くなった。
俺は家の自室にひっそり篭って過ごす日々に突入した。中学の頃なら仲間と遊び回って帰らない日もあったりしたが、進学で殆どの連中とは離れてしまった。高校では友達と呼べる友達は出来てないから、同じ事はできない。ひっそりと存在を消して、買い出し以外は自室の中から殆ど出ずにやり過ごす。そんな夏休みは、途方も無く長かった。
幸い、世話係が居なくなってしまった中学からは、父は俺の口座に毎月ある程度の金を振り込むようになっていた。食費やその他が賄えるようにと。
流石にまだ未成年の息子の世話を放棄してるのは外聞が悪いと思ったのか、誰かに何か言われたのか。中学生なのだから金さえ与えておけば、自分で食事くらいはするし必要なものは揃えられるだろうと考えたのか。金で親の義務は果たしたつもりでいたのかもしれない。まあ、放置子としては、金すら与えられない家よりは格段に良い待遇だろうと思うから特に不満は無かった。食費を切り詰めれば、ある程度の物なら欲しい物も手に入るし、ゲームだって買える。
そうして手に入れた娯楽アイテムで、一人ぼっちの長い時間を潰すのだ。
でもそれも、夏休みに入って最初の数日で飽きてしまった。あと何十日も、こんな無為な時間をどうにかやり過ごさなければならないのかと思うと、うんざりした。去年の夏休みや冬休み、どう過ごしてたんだっけと記憶を手繰る。
殆ど寝て過ごしていたんだったなと思い出し、またうんざりした。ネットで映画や動画を観たりして、でもそれだけでも疲れる。ゴロゴロしていても疲れる。
家族が少ない時間帯を見計らって洗濯物を回しに行ったりして気分転換を図っても、気分は晴れなかった。
でも去年迄と違うのは、そんな時間のふとした隙間に、西谷の事を思い出す事だ。スマホに連絡先は入ってる。でも、受験に専念する為に3年に上がって早々に部活を引退したと早川に聞いてしまった手前、勉強の邪魔になるのではと思い、何となく連絡出来なかった。
それに西谷自身が、夏休みに入って1週間程は家の用事で忙しくなる、と言っていた。
(つまらないな…)
ずっと一緒に昼を食べていたから、昼時になると腹が減るようになってしまった。毎日の重箱弁当の所為だ。そのお陰で少し肌艶も良くなったのだが、一度そういう事になれたら無くなった時にきつい。それは食事だけの事ではなく、あらゆる面で。
何度も与えられてしまうとそれが常態化してしまって、頭では期待するなとセーブを掛けていても体が勝手に期待してしまう以前の状態に戻るのが難しい。
俺はベッドに寝転がりながらぼんやりとスマホを見つめていた。
短いうたた寝から覚めると、スマホの画面には通知が1件。
休みに入って1週間、初めての西谷からの連絡だった。明日家に帰れるから、会って昼を一緒に食べないかというもので、一気に気分が上昇した。
(会える…!)
胸にじわじわと溢れてくる喜び。初めてだ、誰かと会える事がこんなに嬉しいなんて思うのは。
俺を見る西谷の切れ長の目が、嬉しそうに細められるさま。大きな手が優しく頭や頬を撫でる感触。
そんな事を思い出して、胸が高鳴る。
…ふと、熱くなっているのは胸だけじゃない事に気づいた。
最近、西谷の事を思う度に起こる現象。
俺は股間の張りに手を伸ばした。熱い。引く程硬く、熱くなったのは、俺のペニスだった下着の中でずくずくと脈打って、少し指が振れただけで、またビクリと膨張が増す。
最初に気づいた時は躊躇いがちだった。今では貪欲に指を絡ませて、西谷の指に触れられている事を思い浮かべながら自慰に耽るようになっている。
西谷にされたい。あの長いふしくれだった指は、どんな風に俺に触れるのか。あの唇は、どんな風に俺を貪るのか。
優しく?それとも、余裕を無くして少し乱暴に?
想像しながら擦るペニスの亀頭からは、何時も直ぐに先走りの涙が滲む。
「あ、ああ…っ…にし、や…」
濡れた先端を指先で撫でると、痺れが走った。それを皮切りにダラダラと溢れてくる、ぬるついた液体。握って、擦る。
空いた左手の指先で乳首に触れた。
「…っふ…、ん…っ」
西谷、切ない。西谷、先輩...。
俺は、アンタが好きなんだろうか?
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