ドS皇子が婚約破棄までして歳上教師の俺に求愛してくる

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27 先生の打ち明け話(現・宇城side)

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「わ、うま…。」

そう言って頬を手で押さえ、ほわっと表情を崩した先生に、俺の顔もほわっとなる。
可愛い。
美味しいですか、先生。
たくさん食べて下さいね先生。
明太子買ってきて本当に良かった…。
バイト代入ったばっかだったし、特別金を使う趣味がある訳でもないから少しくらい贅沢したって後に響く事は無い。
誤解しないで欲しいんだが、両親が亡くなってるからといって、別に経済的に困ってる訳じゃない。
未成年故に叔父の家に厄介にはなってるけど、ちゃんと小遣いも渡されてる。両親の遺産の管理も後見人である叔父に任せているけど、きちんと管理して貰ってるのは把握してる。
だから今のバイトはまあ…最初は叔父に頼まれて仕方なく土曜日だけ手伝いに入った感じ。職種は、叔父の友人の経営するカフェの厨房だ。
普段の家事も俺がやってるから、キッチン仕事は別段苦にならず、慣れも早かった。週一だし、ちょうど良い気分転換にもなるし、と思って何となく続けてただけのバイトだったけど、そのお陰で先生にこうして美味しい顔をして貰えたと思えば、やってて良かったと思える。

「先生、他にはどんな食べ物が好きですか?」

俺の問いかけに先生はもぐもぐしていた口を止め、少し考えてから答えた。

「…シュークリームとか?」


か、可愛い…。

表面上は平静を装っている俺の心の中では今、シュークリームの美味しい店ランキングを検索せよとの号令が飛び交っている。

「後は…あ、こないだ食べた肉の入った饅頭は美味かった。餡のも今度食べようと思った。」

「…もしかしてコンビニの外で食べてたアレですか?コンビニの肉まん?」

「そうそう、肉まん。そう。色々あって、悩んだ。あれ、美味いな。ふかふかして。」

「ふかふか…してますね。はい。」

ふかふか…。可愛い。
あれ?可笑しいな…先生って先生だよな?20代半ばの成人男性だよな?
こんなにも幼女チックな可愛さダダ漏れてて大丈夫?

…いや、大丈夫じゃない。俺が保護せねば。

でも取り敢えず、肉は好きって事かな。肉まんの中身って何だ?豚か?豚は大丈夫、と。

「お肉好きなんですね。」

「うん。普通に魚も好きだよ。生魚はダメだけど。」

「そうですか。」

なるほどなるほど。
生魚はダメ、と。
昼におにぎりばっかりだから、それ以外には本当に何が好きなのかわからなかった。
今日であらかたの食の傾向を引き出そう、と俺は意気込んだ。


結局先生は普通サイズに握ったおにぎりを、明太子と鮭、各々一つずつと味噌汁、だし巻き玉子を半分食べた。
病み上がりなのを考えれば、すごく食べてくれた方だ。俺はとても嬉しい。

満腹になったらしく、食後のお茶を飲みながらウトウトしだした先生を寝かしつけて、俺はキッチンを片付けた。洗い物をしながら、ふと思う。
これって、まるで先生と同棲してるみたいでは…?

思いながら照れる。そして思う。少しは先生に近づけただろうか。これを機に、意識してくれたりしないだろうか。
今すぐ付き合って欲しいなんて言わないから、卒業する迄に少しづつ距離を縮められたら…。

俺、本気で将来、先生と結婚したいみたいだ。




18時頃、先生が目を覚ましたので晩御飯は何が良いか聞いてみたが、あまり腹が減っていない様子だったので、軽くうどんにする事にした。一応薬を飲ませておきたいから、何か少し胃に入れて欲しかったからだ。

卵も買って来てたから月見にして食べていると、先生がボソッと呟いた。

「あの、さ…。」

「はい?」

味が薄かっただろうか?
俺は箸を止めて先生を見た。
先生も箸を止めて俺を見ていて、一瞬どきりとした。
綺麗な、ビー玉みたいに澄んだ瞳。

「俺がさ、」

「はい。」

どうやら味のクレームではないらしい、と俺は内心胸を撫で下ろしたが、先生は様子がおかしい。

「俺が、本当に…今迄居た俺じゃないって言ったら、お前…優しくしてくれなくなる?」

「…え?」

よく意味がわからず、俺は先生を見つめた。
きっと間の抜けた顔をしているだろうが、本当によくわからなかった。

それでも、冗談だと聞き流してはいけないのを本能が察知している。
先生の表情が、今迄に見た事が無いくらいに切羽詰まって見えたからだ。

「…どういう意味か、聞いて良いですか?」

俺がそう答えると、先生は少し迷ったように目を泳がせて、そして言った。

「これから俺が言う事、信じられないと思う。けど、聞いて欲しい。で、出来れば信じて欲しい。
俺、多分、お前しか頼れる人間って出来そうにないから。」

「…俺で良ければ聞きます。」

信じて、頼らせて欲しいって事、だよな…。
先生が何の話をするつもりなのかわからないけど、少しときめいた。
それに、先生が言う事なんだから、俺が聞かないなんて選択肢は無い訳で…。

俺は頷いて、先生の言葉を待った。





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