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◇父・出原 啓二の話 前編
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私の母は優しい人でした。
けれど、とても怖い人でもありました。
私は出原 啓二。五十路手前の管理職です。
若い頃に色々ありまして、それからずっと独り身で生きてきました。
傍目には優雅な独身貴族に見えているらしい私ですが、実はとうに成人済みの息子がおります。
あー、なんと言いますか…。先程の、若い頃の色々の中の1つと言いますか。
ですが、誤解していただきたくないのは、別に若気の至りとか過ちで息子ができた訳ではないという事です。せっかくですから、その辺の事情を少しだけお話しましょうか。
学生の頃、私はどちらかと言えばあまりやる気の無い人間でした。
その割りにはある程度の事は何でも要領良くこなせたので、父や母には自慢の息子と言ってもらえましたが、私に言わせれば4歳上の兄の方がもっとずっと優秀でしたよ。真面目な人でしたしね。
けれど、長男であった兄は幼い頃から父方の祖母に可愛がられていて、母の自由に養育できる事は少なかったようです。
ウチは祖父は亡くなっていて祖母と同居だったんですが、父は祖母に逆らえない人でした。だから家の中の力関係は実質祖母がトップ。
そんな祖母の手元に置かれた兄と母の親子関係は、あまり良いものとは言えませんでした。
母は時折言ってましたよ。
『秀一が私の子だという感覚が無い。』
と。祖母が居なくなった今でも、兄と母はよそよそしいままです。
兄のお稽古事も、入る幼稚園も学校も、全て祖母に決められたようです。そこに母の意向は介入の余地が無かったと。
祖母はかなり気のきつい人でしたから、夫である父に援護して貰えない状況下で、大人しい母一人では太刀打ち出来なかった事は容易に想像できます。
兄を取り上げられた母の愛情はその向ける場所を失って、どれだけ鬱屈しただろうと思います。そして数年。母の体には新しい命が宿りました。私ですね。
生まれた私に、母は兄の分を含む、それこそ全ての愛情を注いでくれました。
祖母も次男の私にはそんなに興味が無かったらしく、母はようやく我が子を育てる喜びを取り戻した訳です。私の2歳下にも弟が産まれ、母は私が幼稚園に入園する迄、私と弟を片時も離さず育てました。
…まあ、そりゃ息苦しかったですよ。成長する毎に、それは強くなっていきました。だって、小さい頃と同じ調子でずっと…ですからね。
小学校は公立、その後は中高一貫の男子校に入れられましたが、校風は意外と緩くて、友人達も良い奴ばかりでした。いい息抜きの場所になっていた気がします。その頃には、彼女を作ったりしてフリーダムな弟を諦めた母の執着は私一人に一極集中してしまっていましたから。
母の管理と執着の異常さに溺死寸前だった私は、何時も何処かに逃げてしまいたいと考えるようになりました。それで、実際逃げたんです、大学生の時にね。留学したいと言ったんですよ、北ヨーロッパのとある国に。
案の定母は反対しましたけど、意外な事に何時もは傍観者の父と弟が間に入ってくれました。
若い頃に経験を積ませる事はその後の人生の糧になるから、と。
母はね、基本的には大人しく従順な人なんです。だから、何時に無く強く主張する父に、最終的には折れる形になりました。
それでもブツブツ言ってましたけどね。笑
まあ、私が家を出ると弟が大変だろうなと思いましたが、弟は私より朗らかで何も気にしない性格なので大丈夫だと思いました。
で、晴れて私は留学に出ました。大学2年の頃です。
日本を出て、母からも解き放たれた私は、初めての自由を満喫しました。
何人もの女の子とも遊びましたよ。
そんな生活を3ヶ月程続けた頃、彼女に出会いました。
エリカという、つまり息子の母となった女性です。
彼女と親しくなったのは、現地の小さなレストランに雨宿りついでに入ったのが切っ掛けでした。
その店のメニューには、通常の料理の中に日本食も幾つかあったんです。そろそろ故郷の味が恋しくなってきていた時期に、炊きたてのご飯と大根の味噌汁を出されたら…。私がその店の常連になってしまったのは仕方の無い事でした。
たまに店内に日本語が飛び交うそのレストランは、現地の男性と日本人の女性というご夫婦が営まれていて、エリカはそのご夫婦の間の一人娘でした。
私より2歳下の明るくて可愛いらしい彼女は、よく店を手伝っていて、常連客の間でも人気がありました。
そして、そんな彼女に私は恋をしました。
オーナーである父親そっくりの淡い金髪に不思議な色合いの瞳を持つハーフ美少女だったエリカは妖精のように美しかったから、ファンが多かったんです。
不思議ですね。その瞳の色は息子にも遺伝しているんですよ。純日本人である私とハーフである彼女の間に生まれて、北欧の血は薄まっている筈なのに。
エリカが私に好意に応えてくれたのは、単に彼女の母親と同じ日本人だという親しみからだったのかもしれません。けれど美しい彼女と付き合えた事で浮かれていた私には、そんな理由はどうでも良い事でした。
程なくエリカは妊娠してしまいました。
気をつけていたつもりだったんですが、避妊も100%ではありませんから仕方ないですね。
私は学生の身ながら、それを機に、エリカに結婚を申し込みました。成人してますし、学生結婚は出来ますから。
ちらりと母の事が頭を過ぎりましたが、子供が出来たという事ならば仕方ないと受け入れてくれると思ったんです。私への執着はともあれ、基本的には優しい人ですから。経済的に親の庇護下にありながら良い気なものだったと思います。(苦笑)
でも、思わぬ妊娠に戸惑っていたエリカは、頷いてはくれませんでした。それどころか、堕ろしたいと迄言い始めたんです。
私は彼女に、私と結婚したくない理由を聞いてみました。
『…だって、ケイジと結婚したら日本に行かなきゃならないんでしょ?私は嫌。』
『でも、お母さんの故郷に興味があるって…。』
『そりゃ、遊びにいくなら良いわよ?おばあちゃんも叔父さんも居るって聞くもの。でも、結婚してずっと外国に住むのなんか嫌。』
それを言われると、私は何も言えなくなりました。ならばいっそ私がこの国にずっと住もうかと考えてもみましたが、あの母がどれだけ悲しむだろうかと考えると、それも…。
それに、私もずっとこの異国に住めるかと言われると、自信が無い。自分が出来そうにない事を、彼女に押し付ける事は出来ないと思いました。
それでも何とか解決策を考えるから、どうにか産んで欲しいと頼んだ私を、何も答えず静かに見ていたエリカ。あの時にはもう、彼女の私への気持ちは冷めていたんでしょうね。
数ヶ月後、彼女は男の子を産みました。けれど、産んで直ぐにその産院から姿を消してしまったんです。信じられない思いでした。
私とエリカが付き合っていた事を知っていた彼女の両親は、エリカの妊娠を意外な程に喜んでくれました。未だ戸惑っていた僕とエリカより、彼らの方がずっと嬉しそうでした。
エリカが姿を消した時も、娘が心配だろうに、彼らは私に何度も謝ってくれましたし、まだ若い私には重荷になるだろうからと赤ん坊である息子を引き取ろうと迄言ってくれました。
でも、私が駄目でした。
彼女が私との未来を拒絶して私と産まれたばかりの息子を捨てて姿を消したとしても、私はまだ彼女を愛していたし、彼女が産んでくれた息子の事も既に愛していたからです。手放す事など考えられませんでした。
彼女の両親が差し伸べてくれる手はありがたいと思いました。でも、それ以上に息子を奪われるのが怖くて、私は必要最低限しか彼らを頼る事ができませんでした。
生後間もない赤ん坊の世話には昼夜など無く、大学にも満足に行けなくなり。
疲弊した私は、とうとう息子を連れて日本へ戻る決意をしました。
留学を切り上げて日本に戻り、父と母に頭を下げて、母に育児を手伝ってもらいながら卒業しようと考えたんです。
今にして思えばそれも甘えた考えだとは思いますが、20歳そこそこの若造には、それが精一杯最良の選択だと思いました。
エリカの両親に息子を託していたらまた違う人生になっていたのかもしれませんが、その際には滅多に息子には会えなくなったでしょう。それを考えれば、やはり日本に連れ帰って正解だったと思えるんです。
…只、息子にとってはこれで幸せだったのかは…微妙なところですが。
けれど、とても怖い人でもありました。
私は出原 啓二。五十路手前の管理職です。
若い頃に色々ありまして、それからずっと独り身で生きてきました。
傍目には優雅な独身貴族に見えているらしい私ですが、実はとうに成人済みの息子がおります。
あー、なんと言いますか…。先程の、若い頃の色々の中の1つと言いますか。
ですが、誤解していただきたくないのは、別に若気の至りとか過ちで息子ができた訳ではないという事です。せっかくですから、その辺の事情を少しだけお話しましょうか。
学生の頃、私はどちらかと言えばあまりやる気の無い人間でした。
その割りにはある程度の事は何でも要領良くこなせたので、父や母には自慢の息子と言ってもらえましたが、私に言わせれば4歳上の兄の方がもっとずっと優秀でしたよ。真面目な人でしたしね。
けれど、長男であった兄は幼い頃から父方の祖母に可愛がられていて、母の自由に養育できる事は少なかったようです。
ウチは祖父は亡くなっていて祖母と同居だったんですが、父は祖母に逆らえない人でした。だから家の中の力関係は実質祖母がトップ。
そんな祖母の手元に置かれた兄と母の親子関係は、あまり良いものとは言えませんでした。
母は時折言ってましたよ。
『秀一が私の子だという感覚が無い。』
と。祖母が居なくなった今でも、兄と母はよそよそしいままです。
兄のお稽古事も、入る幼稚園も学校も、全て祖母に決められたようです。そこに母の意向は介入の余地が無かったと。
祖母はかなり気のきつい人でしたから、夫である父に援護して貰えない状況下で、大人しい母一人では太刀打ち出来なかった事は容易に想像できます。
兄を取り上げられた母の愛情はその向ける場所を失って、どれだけ鬱屈しただろうと思います。そして数年。母の体には新しい命が宿りました。私ですね。
生まれた私に、母は兄の分を含む、それこそ全ての愛情を注いでくれました。
祖母も次男の私にはそんなに興味が無かったらしく、母はようやく我が子を育てる喜びを取り戻した訳です。私の2歳下にも弟が産まれ、母は私が幼稚園に入園する迄、私と弟を片時も離さず育てました。
…まあ、そりゃ息苦しかったですよ。成長する毎に、それは強くなっていきました。だって、小さい頃と同じ調子でずっと…ですからね。
小学校は公立、その後は中高一貫の男子校に入れられましたが、校風は意外と緩くて、友人達も良い奴ばかりでした。いい息抜きの場所になっていた気がします。その頃には、彼女を作ったりしてフリーダムな弟を諦めた母の執着は私一人に一極集中してしまっていましたから。
母の管理と執着の異常さに溺死寸前だった私は、何時も何処かに逃げてしまいたいと考えるようになりました。それで、実際逃げたんです、大学生の時にね。留学したいと言ったんですよ、北ヨーロッパのとある国に。
案の定母は反対しましたけど、意外な事に何時もは傍観者の父と弟が間に入ってくれました。
若い頃に経験を積ませる事はその後の人生の糧になるから、と。
母はね、基本的には大人しく従順な人なんです。だから、何時に無く強く主張する父に、最終的には折れる形になりました。
それでもブツブツ言ってましたけどね。笑
まあ、私が家を出ると弟が大変だろうなと思いましたが、弟は私より朗らかで何も気にしない性格なので大丈夫だと思いました。
で、晴れて私は留学に出ました。大学2年の頃です。
日本を出て、母からも解き放たれた私は、初めての自由を満喫しました。
何人もの女の子とも遊びましたよ。
そんな生活を3ヶ月程続けた頃、彼女に出会いました。
エリカという、つまり息子の母となった女性です。
彼女と親しくなったのは、現地の小さなレストランに雨宿りついでに入ったのが切っ掛けでした。
その店のメニューには、通常の料理の中に日本食も幾つかあったんです。そろそろ故郷の味が恋しくなってきていた時期に、炊きたてのご飯と大根の味噌汁を出されたら…。私がその店の常連になってしまったのは仕方の無い事でした。
たまに店内に日本語が飛び交うそのレストランは、現地の男性と日本人の女性というご夫婦が営まれていて、エリカはそのご夫婦の間の一人娘でした。
私より2歳下の明るくて可愛いらしい彼女は、よく店を手伝っていて、常連客の間でも人気がありました。
そして、そんな彼女に私は恋をしました。
オーナーである父親そっくりの淡い金髪に不思議な色合いの瞳を持つハーフ美少女だったエリカは妖精のように美しかったから、ファンが多かったんです。
不思議ですね。その瞳の色は息子にも遺伝しているんですよ。純日本人である私とハーフである彼女の間に生まれて、北欧の血は薄まっている筈なのに。
エリカが私に好意に応えてくれたのは、単に彼女の母親と同じ日本人だという親しみからだったのかもしれません。けれど美しい彼女と付き合えた事で浮かれていた私には、そんな理由はどうでも良い事でした。
程なくエリカは妊娠してしまいました。
気をつけていたつもりだったんですが、避妊も100%ではありませんから仕方ないですね。
私は学生の身ながら、それを機に、エリカに結婚を申し込みました。成人してますし、学生結婚は出来ますから。
ちらりと母の事が頭を過ぎりましたが、子供が出来たという事ならば仕方ないと受け入れてくれると思ったんです。私への執着はともあれ、基本的には優しい人ですから。経済的に親の庇護下にありながら良い気なものだったと思います。(苦笑)
でも、思わぬ妊娠に戸惑っていたエリカは、頷いてはくれませんでした。それどころか、堕ろしたいと迄言い始めたんです。
私は彼女に、私と結婚したくない理由を聞いてみました。
『…だって、ケイジと結婚したら日本に行かなきゃならないんでしょ?私は嫌。』
『でも、お母さんの故郷に興味があるって…。』
『そりゃ、遊びにいくなら良いわよ?おばあちゃんも叔父さんも居るって聞くもの。でも、結婚してずっと外国に住むのなんか嫌。』
それを言われると、私は何も言えなくなりました。ならばいっそ私がこの国にずっと住もうかと考えてもみましたが、あの母がどれだけ悲しむだろうかと考えると、それも…。
それに、私もずっとこの異国に住めるかと言われると、自信が無い。自分が出来そうにない事を、彼女に押し付ける事は出来ないと思いました。
それでも何とか解決策を考えるから、どうにか産んで欲しいと頼んだ私を、何も答えず静かに見ていたエリカ。あの時にはもう、彼女の私への気持ちは冷めていたんでしょうね。
数ヶ月後、彼女は男の子を産みました。けれど、産んで直ぐにその産院から姿を消してしまったんです。信じられない思いでした。
私とエリカが付き合っていた事を知っていた彼女の両親は、エリカの妊娠を意外な程に喜んでくれました。未だ戸惑っていた僕とエリカより、彼らの方がずっと嬉しそうでした。
エリカが姿を消した時も、娘が心配だろうに、彼らは私に何度も謝ってくれましたし、まだ若い私には重荷になるだろうからと赤ん坊である息子を引き取ろうと迄言ってくれました。
でも、私が駄目でした。
彼女が私との未来を拒絶して私と産まれたばかりの息子を捨てて姿を消したとしても、私はまだ彼女を愛していたし、彼女が産んでくれた息子の事も既に愛していたからです。手放す事など考えられませんでした。
彼女の両親が差し伸べてくれる手はありがたいと思いました。でも、それ以上に息子を奪われるのが怖くて、私は必要最低限しか彼らを頼る事ができませんでした。
生後間もない赤ん坊の世話には昼夜など無く、大学にも満足に行けなくなり。
疲弊した私は、とうとう息子を連れて日本へ戻る決意をしました。
留学を切り上げて日本に戻り、父と母に頭を下げて、母に育児を手伝ってもらいながら卒業しようと考えたんです。
今にして思えばそれも甘えた考えだとは思いますが、20歳そこそこの若造には、それが精一杯最良の選択だと思いました。
エリカの両親に息子を託していたらまた違う人生になっていたのかもしれませんが、その際には滅多に息子には会えなくなったでしょう。それを考えれば、やはり日本に連れ帰って正解だったと思えるんです。
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