114 / 159
密着! 夏休み旅行!
38
しおりを挟む
小学校から十分ほど歩いた先にある、公民館裏の公園。遊具が豊富にあり片面グラウンドになっているそこでは子供達が楽しそうに遊んでいた。
「おーい、ガキども~」
「あ!! 宗介きた宗介!!」
「宗介だーー何でここいるの!!」
「知らねーのお前ら、昨日から宗介こっち泊まってるんだぜー!!」
わらわらと集まるガキンチョたち。全員敬称くらいつけろ、何で呼び捨てなんだ。
無邪気な子供の一人が手錠を引っ張っては真道を困らせている。おお、愉快愉快。
みつるはその盛り上がりが怖かったのか、俺の後ろにそっと隠れた。うーん血縁……。
「宗介、また異種ドッチボールやる!? ボコボコにするぜ!!」
「それボール五個使うクソバカゲームだろ。もうやらん」
「あ、負けるのが怖いんだー」
「何だと! あとでボコボコにしてやるからなガキども!」
きゃあーーっと幼く高い声をあげて子供たちが笑う。大人が思っているより今どきの子供はませていて生意気だ。小学生というものは人の想定より大人っぽい。
「あ、みつるもいんじゃん! みつるも遊ぶ?」
「え、あ、うう、僕」
「やめなよ男子~、みつるくん戸惑ってるじゃん!」
「みつるくんはあんたらみたいなレベルの低い遊びしないの! あっちで本よもっ」
「あ、ずるいわたしも!」
うーん、やはり子供でも女の子は女の子だな。肉食である。みつるは海で生まれ育った子供のように焼けておらず色白で賢いからか、女子からは王子様のように扱われているらしい。
「俺達が子供の頃は足の早いものが一等格好良かったのだがな……」
「真道みたいな家でもそれはあるんだ。時代は変わるよねえ~」
とはいえ今日はみんなで遊びにきたのだ。時代の変遷をしみじみと感じている場合ではない。
俺は手錠とは反対側にかけた学生鞄──中学時代のものである──をどさり、と地面に置いた。
「そんなガキどもに、俺が新しい遊びを教えてやるぞ!! ほら女子もおいで~」
「お、おじちゃん……!?」
「なにー!? 新作ゲーム!?」
「俺最近出たやつがいいー!」
「新しい遊びっつってるだろお前らの知ってるゲーム機なんか出す訳ねぇ」
この都会かぶれのキッズ達め。娯楽が豊富な現代だからこそ飢えてやがる。
しかし、俺がカバンから取り出したのはカセットでもゲーム機でもない──カードである。
「何それ、アメーボカード?」
「俺知ってるー! Do森で読み込んだら住民来るやつだろそれ!!」
「ゲームのことしか頭にないのかガキはよ~全然違う。来いッ俺が真の“遊び”を教えてやる!」
カードをしまってカバンを担ぎ、座って机もある休憩所に押しかける。真道が仕方なさそうについてくるのを皮切りに子供達もワァワァと楽しそうに駆け寄ってきていた。
その中にみつるがいるのを確認し、俺は着席する。
「なーなー宗介、ひろにぃはー?」
「ひろ兄ィ来てないの?」
「つまんなーい」
「お前らは俺より水瀬の方が好きかよ! いっつも遊んでやってるの俺の方じゃん!」
「だって宗介大人げないし」
なっ、なんだと!!
「ね、おとなげなーい」
「宗介ってゲームしてたら細かいコンボでハメてくる上に最後パフォ煽りしてこっち体力少ないのに笑いながら必殺打ってくるから嫌い」
真道のドン引きした顔よ。いや、戦うからには当然全力で戦うに決まってるだろ煽り含め。でもその辺が人気を分けているのかもしれない。水瀬は勝つけど煽らないし。
「一人に一つは迷惑をかけているんじゃないか?」
「俺も子供だったってこと」
「今の話は現在進行形だろうが」
ちなみに俺は一回水瀬を煽り倒して口論になり泣かされたことがある。
水瀬曰く『ここに来たらお前のクソガキエピソードが嘘かと思うくらい湧いて出てくる』だそうだ。
そんなこんなでフィールドの設置が終わった。邪魔せずにぎゅむぎゅむと集まってその様子を見ていた子供達が、これ何~と口々に聞いてくる。
「これはペケモンカード。ペケモンはお前ら知ってるだろー」
「知ってる! あんなあんな、俺こないだ伝説のペケモン捕まえたんだぜ~!!」
「昨日出たペケモン今日クリアした」
「108-130-95-80-85-102」
「新ペケがすげー可愛い!!」
「わたしドラゴンタイプすきー! かっこいい!」
今ヤバいやつ二人くらい紛れたな。こいつらは将来ペケモン廃になるだろう。多分対戦とかする。特に種族値を真顔で呟いたやつ。
ペケモンとは、老若男女大人気な大手ゲームである。三十年近く前にゲームボーイで発売されて以降世界的な人気を博しており、ペケモンの見た目や戦闘システムにおいて高く評価されている……と思う。
もちろんシナリオもいいけど、ペケモンは個人的にあの冒険が始まるワクワク感が魅力的だ。
そんなペケモンはアニメやぬいぐるみなど様々なメディアミックス作品を出しており、その中でも今回紹介するのはカードゲームである。
「これは初心者用デッキ。みつる、ちょっとこっちおいで」
「え、う、うん……」
「いいなーみつる!」
「お前らはあとで遊んでやるから」
みつるを対面に座らせ、初心者用に組んであるデッキを渡す。いつか一緒にやる人ができるのではないかと夢にながら組んだデッキである。使いやすさはピカイチ。ちなみに遊んでくれたのは水瀬だけである。
「今からルールと遊び方を教えてやるよ。ちょっと難しいけど、理解できるかな?」
子供達の視線がこちらに集中した。少し煽ればやる気を出すのだから、子供とはなんとも可愛いものである。少なくとも俺よりは捻くれていない。
「おーい、ガキども~」
「あ!! 宗介きた宗介!!」
「宗介だーー何でここいるの!!」
「知らねーのお前ら、昨日から宗介こっち泊まってるんだぜー!!」
わらわらと集まるガキンチョたち。全員敬称くらいつけろ、何で呼び捨てなんだ。
無邪気な子供の一人が手錠を引っ張っては真道を困らせている。おお、愉快愉快。
みつるはその盛り上がりが怖かったのか、俺の後ろにそっと隠れた。うーん血縁……。
「宗介、また異種ドッチボールやる!? ボコボコにするぜ!!」
「それボール五個使うクソバカゲームだろ。もうやらん」
「あ、負けるのが怖いんだー」
「何だと! あとでボコボコにしてやるからなガキども!」
きゃあーーっと幼く高い声をあげて子供たちが笑う。大人が思っているより今どきの子供はませていて生意気だ。小学生というものは人の想定より大人っぽい。
「あ、みつるもいんじゃん! みつるも遊ぶ?」
「え、あ、うう、僕」
「やめなよ男子~、みつるくん戸惑ってるじゃん!」
「みつるくんはあんたらみたいなレベルの低い遊びしないの! あっちで本よもっ」
「あ、ずるいわたしも!」
うーん、やはり子供でも女の子は女の子だな。肉食である。みつるは海で生まれ育った子供のように焼けておらず色白で賢いからか、女子からは王子様のように扱われているらしい。
「俺達が子供の頃は足の早いものが一等格好良かったのだがな……」
「真道みたいな家でもそれはあるんだ。時代は変わるよねえ~」
とはいえ今日はみんなで遊びにきたのだ。時代の変遷をしみじみと感じている場合ではない。
俺は手錠とは反対側にかけた学生鞄──中学時代のものである──をどさり、と地面に置いた。
「そんなガキどもに、俺が新しい遊びを教えてやるぞ!! ほら女子もおいで~」
「お、おじちゃん……!?」
「なにー!? 新作ゲーム!?」
「俺最近出たやつがいいー!」
「新しい遊びっつってるだろお前らの知ってるゲーム機なんか出す訳ねぇ」
この都会かぶれのキッズ達め。娯楽が豊富な現代だからこそ飢えてやがる。
しかし、俺がカバンから取り出したのはカセットでもゲーム機でもない──カードである。
「何それ、アメーボカード?」
「俺知ってるー! Do森で読み込んだら住民来るやつだろそれ!!」
「ゲームのことしか頭にないのかガキはよ~全然違う。来いッ俺が真の“遊び”を教えてやる!」
カードをしまってカバンを担ぎ、座って机もある休憩所に押しかける。真道が仕方なさそうについてくるのを皮切りに子供達もワァワァと楽しそうに駆け寄ってきていた。
その中にみつるがいるのを確認し、俺は着席する。
「なーなー宗介、ひろにぃはー?」
「ひろ兄ィ来てないの?」
「つまんなーい」
「お前らは俺より水瀬の方が好きかよ! いっつも遊んでやってるの俺の方じゃん!」
「だって宗介大人げないし」
なっ、なんだと!!
「ね、おとなげなーい」
「宗介ってゲームしてたら細かいコンボでハメてくる上に最後パフォ煽りしてこっち体力少ないのに笑いながら必殺打ってくるから嫌い」
真道のドン引きした顔よ。いや、戦うからには当然全力で戦うに決まってるだろ煽り含め。でもその辺が人気を分けているのかもしれない。水瀬は勝つけど煽らないし。
「一人に一つは迷惑をかけているんじゃないか?」
「俺も子供だったってこと」
「今の話は現在進行形だろうが」
ちなみに俺は一回水瀬を煽り倒して口論になり泣かされたことがある。
水瀬曰く『ここに来たらお前のクソガキエピソードが嘘かと思うくらい湧いて出てくる』だそうだ。
そんなこんなでフィールドの設置が終わった。邪魔せずにぎゅむぎゅむと集まってその様子を見ていた子供達が、これ何~と口々に聞いてくる。
「これはペケモンカード。ペケモンはお前ら知ってるだろー」
「知ってる! あんなあんな、俺こないだ伝説のペケモン捕まえたんだぜ~!!」
「昨日出たペケモン今日クリアした」
「108-130-95-80-85-102」
「新ペケがすげー可愛い!!」
「わたしドラゴンタイプすきー! かっこいい!」
今ヤバいやつ二人くらい紛れたな。こいつらは将来ペケモン廃になるだろう。多分対戦とかする。特に種族値を真顔で呟いたやつ。
ペケモンとは、老若男女大人気な大手ゲームである。三十年近く前にゲームボーイで発売されて以降世界的な人気を博しており、ペケモンの見た目や戦闘システムにおいて高く評価されている……と思う。
もちろんシナリオもいいけど、ペケモンは個人的にあの冒険が始まるワクワク感が魅力的だ。
そんなペケモンはアニメやぬいぐるみなど様々なメディアミックス作品を出しており、その中でも今回紹介するのはカードゲームである。
「これは初心者用デッキ。みつる、ちょっとこっちおいで」
「え、う、うん……」
「いいなーみつる!」
「お前らはあとで遊んでやるから」
みつるを対面に座らせ、初心者用に組んであるデッキを渡す。いつか一緒にやる人ができるのではないかと夢にながら組んだデッキである。使いやすさはピカイチ。ちなみに遊んでくれたのは水瀬だけである。
「今からルールと遊び方を教えてやるよ。ちょっと難しいけど、理解できるかな?」
子供達の視線がこちらに集中した。少し煽ればやる気を出すのだから、子供とはなんとも可愛いものである。少なくとも俺よりは捻くれていない。
51
お気に入りに追加
226
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
フリーダム!!!~チャラ男の俺が王道学園の生徒会会計になっちゃった話~
いちき
BL
王道学園で起こるアンチ王道気味のBL作品。 女の子大好きなチャラ男会計受け。 生真面目生徒会長、腐男子幼馴染、クール一匹狼等と絡んでいきます。王道的生徒会役員は、王道転入生に夢中。他サイトからの転載です。
※5章からは偶数日の日付が変わる頃に更新します!
※前アカウントで投稿していた同名作品の焼き直しです。
もういいや
senri
BL
急遽、有名で偏差値がバカ高い高校に編入した時雨 薊。兄である柊樹とともに編入したが……
まぁ……巻き込まれるよね!主人公だもん!
しかも男子校かよ………
ーーーーーーーー
亀更新です☆期待しないでください☆
氷の華を溶かしたら
こむぎダック
BL
ラリス王国。
男女問わず、子供を産む事ができる世界。
前世の記憶を残したまま、転生を繰り返して来たキャニス。何度生まれ変わっても、誰からも愛されず、裏切られることに疲れ切ってしまったキャニスは、今世では、誰も愛さず何も期待しないと心に決め、笑わない氷華の貴公子と言われる様になった。
ラリス王国の第一王子ナリウスの婚約者として、王子妃教育を受けて居たが、手癖の悪い第一王子から、冷たい態度を取られ続け、とうとう婚約破棄に。
そして、密かにキャニスに、想いを寄せて居た第二王子カリストが、キャニスへの贖罪と初恋を実らせる為に奔走し始める。
その頃、母国の騒ぎから逃れ、隣国に滞在していたキャニスは、隣国の王子シェルビーからの熱烈な求愛を受けることに。
初恋を拗らせたカリストとシェルビー。
キャニスの氷った心を溶かす事ができるのは、どちらか?
なんで俺の周りはイケメン高身長が多いんだ!!!!
柑橘
BL
王道詰め合わせ。
ジャンルをお確かめの上お進み下さい。
7/7以降、サブストーリー(土谷虹の隣は決まってる!!!!)を公開しました!!読んでいただけると嬉しいです!
※目線が度々変わります。
※登場人物の紹介が途中から増えるかもです。
※火曜日20:00
金曜日19:00
日曜日17:00更新
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
主人公は俺狙い?!
suzu
BL
生まれた時から前世の記憶が朧げにある公爵令息、アイオライト=オブシディアン。
容姿は美麗、頭脳も完璧、気遣いもできる、ただ人への態度が冷たい冷血なイメージだったため彼は「細雪な貴公子」そう呼ばれた。氷のように硬いイメージはないが水のように優しいイメージもない。
だが、アイオライトはそんなイメージとは反対に単純で鈍かったり焦ってきつい言葉を言ってしまう。
朧げであるがために時間が経つと記憶はほとんど無くなっていた。
15歳になると学園に通うのがこの世界の義務。
学園で「インカローズ」を見た時、主人公(?!)と直感で感じた。
彼は、白銀の髪に淡いピンク色の瞳を持つ愛らしい容姿をしており、BLゲームとかの主人公みたいだと、そう考える他なかった。
そして自分も攻略対象や悪役なのではないかと考えた。地位も高いし、色々凄いところがあるし、見た目も黒髪と青紫の瞳を持っていて整っているし、
面倒事、それもBL(多分)とか無理!!
そう考え近づかないようにしていた。
そんなアイオライトだったがインカローズや絶対攻略対象だろっ、という人と嫌でも鉢合わせしてしまう。
ハプニングだらけの学園生活!
BL作品中の可愛い主人公×ハチャメチャ悪役令息
※文章うるさいです
※背後注意
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる