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密着! 夏休み旅行!
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イブキの元の部屋だが、俺以上に全く帰ってこずアジトに入り浸るものだから、寮の契約更新がなされていなかったらしい。部屋がないことになり、それなら旧校舎で寝起きするといいという結論が出た。
「おーい、できたがじゃ」
出たのだが、起こした問題の大きさによってイブキが監視対象になってしまったがために、武藤様との同居人にすべきという話が持ち上がった。
「大将?」
本来なら俺の同居は解かれてどこかに突っ込まれる手筈だったのだが、イブキを抑え込めるのが俺しかいない、という状態に。
「たーいしょ!」
「うわっ!?」
「ちっとも気付かんき、何か思うたぜよ」
そういうわけで……俺、武藤様、イブキの三人同居体制となったのだ。武藤様との同居が解かれなかったのは嬉しいが、イブキと同居ってのがなぁ……
「晩飯もう出来たき、手洗うてきや」
アネラでの料理スキルはここでも発揮されており、今日はハヤシライスだ。くまの形にご飯が盛られていて、にんじんが星型。
庶民的だが温かさを感じる味付けで、男子高校生の喜ぶメニュー構成。
悔しいが見た目だけでなく美味しいことを知っているため、ぐぬぬと思いながらソファから立ち上がった。
「今日なに!」
「ハヤシライスと肉じゃがちや。じゃがいもと豚肉が安う売っちょったきな」
「えっ肉じゃが!」
うれしーーーー!!
見た目も可愛ければホクホク美味しい肉じゃがは俺のお気に入りだった。パッと顔を明るくさせた俺を見て、調理器具の後片付けをしていた武藤様が眉間に皺を寄せた。
「ンだよ……何でもいいんか、テメーは」
「おお、ムトーサマも食いね。今日はデザートに洋梨のコンポート作ってあるぜよ」
「お前は本当にいい奴だな、イブキ」
胃袋掴まれてる……
料理上手が二人に増えたからか、料理は俺を除く当番制となった。ここまで来ると流石に何かをやらなければと焦るのだが、俺が何かをやろうとすれば片っ端から武藤様が奪いに来るのだ。
「俺は武藤様もイブキも飯うまくて好き。それより、手洗うついでになんか掃除とか……」
「は? てめーみたいなんが何か出来るわけねぇだろ。あとで洗剤入れといてやるから、洗濯機のボタンとか押してろ」
「洗剤の調合すら」
「調合とか言うな。混ぜてから入れそうだろ」
ほら。
同居初期には俺だって普通に洗濯して飯食って生活スペースの掃除もしてたが、最近は何もかも武藤様がやってくれる。そろそろそう言う性癖を疑う有り様である。
まぁ、天下の武藤様とあろうものがダメ人間好き~って訳でもないだろうけど。
「ハァ……ムトーサマ、あんたはうちの大将を甘やかしすぎや。ほんで大将もぼーっとしちょらんで手洗うてくる!」
「あーい」
怒られたのでぴょっと洗面所に引っ込む。
変化に関してはこのエリアにもあった。並んでいる歯ブラシが三本になったのと、ハンドソープ以外に石鹸が追加されたのだ。
それと、スキンケア用品の充実。これは俺がした。
イブキは肌が荒れていて髪質もゴワゴワで、とても清潔とはいえない状況だったのだ。風呂嫌いだし。
もともと同居に納得はしてないが、バイト先が同じだという縁もあるし、拾ってきた動物の世話は飼い主の責任である。
「イブキ! また風呂サボっただろ!」
「げ……」
「あとで丸洗いするからな!!」
「か、堪忍や~……」
手洗いうがいは徹底するくせに、目を離せば一日二日風呂をサボるのだから。
仕方ないからいつも裸に剥いて浴室にぶち込み、俺が丸洗いしている。
面白くなってきて髪質と肌質に合わせたスキンケア、ヘアケアをしているからか、最近肌はスベスベで髪は柔らかくツヤツヤな猫っ毛になってきた。
うーん、ケアの成果がすぐ出る体、羨ましい……
「……テメーも大概甘やかされてんな」
「ん? ムトーサマも一緒入りたいんか?」
手を拭いてリビングに戻ると、美味しそうな匂いにハヤシライス、ほくほくの肉じゃが。
でかい男三人が広めのテーブルを囲んでいる姿はわりと面白い絵面だと思うが、まぁ他に見る人もいないし。
「ばっ……はぁ!? ンで俺が!! 羞恥心ねーのか!?」
「武藤様は俺が何もしなくても素晴らしいだろ。問題児はお前だよお前!」
「ウグーッッ」
まったく、隙があれば誰かを巻き込もうとするんだから。困った奴である。
武藤様の方を伺うと、そういう話題や匂わせも苦手なのだろうか? 頬を軽く染めてじっとりと睨まれていた。金色の瞳はただでさえ眼光鋭く迫力があるので、普通にこわい。ごめんて、全部イブキが悪いです。
「…………ざけんなよ………………」
えーなんかキレてるんだけど本当に何
「おーい、できたがじゃ」
出たのだが、起こした問題の大きさによってイブキが監視対象になってしまったがために、武藤様との同居人にすべきという話が持ち上がった。
「大将?」
本来なら俺の同居は解かれてどこかに突っ込まれる手筈だったのだが、イブキを抑え込めるのが俺しかいない、という状態に。
「たーいしょ!」
「うわっ!?」
「ちっとも気付かんき、何か思うたぜよ」
そういうわけで……俺、武藤様、イブキの三人同居体制となったのだ。武藤様との同居が解かれなかったのは嬉しいが、イブキと同居ってのがなぁ……
「晩飯もう出来たき、手洗うてきや」
アネラでの料理スキルはここでも発揮されており、今日はハヤシライスだ。くまの形にご飯が盛られていて、にんじんが星型。
庶民的だが温かさを感じる味付けで、男子高校生の喜ぶメニュー構成。
悔しいが見た目だけでなく美味しいことを知っているため、ぐぬぬと思いながらソファから立ち上がった。
「今日なに!」
「ハヤシライスと肉じゃがちや。じゃがいもと豚肉が安う売っちょったきな」
「えっ肉じゃが!」
うれしーーーー!!
見た目も可愛ければホクホク美味しい肉じゃがは俺のお気に入りだった。パッと顔を明るくさせた俺を見て、調理器具の後片付けをしていた武藤様が眉間に皺を寄せた。
「ンだよ……何でもいいんか、テメーは」
「おお、ムトーサマも食いね。今日はデザートに洋梨のコンポート作ってあるぜよ」
「お前は本当にいい奴だな、イブキ」
胃袋掴まれてる……
料理上手が二人に増えたからか、料理は俺を除く当番制となった。ここまで来ると流石に何かをやらなければと焦るのだが、俺が何かをやろうとすれば片っ端から武藤様が奪いに来るのだ。
「俺は武藤様もイブキも飯うまくて好き。それより、手洗うついでになんか掃除とか……」
「は? てめーみたいなんが何か出来るわけねぇだろ。あとで洗剤入れといてやるから、洗濯機のボタンとか押してろ」
「洗剤の調合すら」
「調合とか言うな。混ぜてから入れそうだろ」
ほら。
同居初期には俺だって普通に洗濯して飯食って生活スペースの掃除もしてたが、最近は何もかも武藤様がやってくれる。そろそろそう言う性癖を疑う有り様である。
まぁ、天下の武藤様とあろうものがダメ人間好き~って訳でもないだろうけど。
「ハァ……ムトーサマ、あんたはうちの大将を甘やかしすぎや。ほんで大将もぼーっとしちょらんで手洗うてくる!」
「あーい」
怒られたのでぴょっと洗面所に引っ込む。
変化に関してはこのエリアにもあった。並んでいる歯ブラシが三本になったのと、ハンドソープ以外に石鹸が追加されたのだ。
それと、スキンケア用品の充実。これは俺がした。
イブキは肌が荒れていて髪質もゴワゴワで、とても清潔とはいえない状況だったのだ。風呂嫌いだし。
もともと同居に納得はしてないが、バイト先が同じだという縁もあるし、拾ってきた動物の世話は飼い主の責任である。
「イブキ! また風呂サボっただろ!」
「げ……」
「あとで丸洗いするからな!!」
「か、堪忍や~……」
手洗いうがいは徹底するくせに、目を離せば一日二日風呂をサボるのだから。
仕方ないからいつも裸に剥いて浴室にぶち込み、俺が丸洗いしている。
面白くなってきて髪質と肌質に合わせたスキンケア、ヘアケアをしているからか、最近肌はスベスベで髪は柔らかくツヤツヤな猫っ毛になってきた。
うーん、ケアの成果がすぐ出る体、羨ましい……
「……テメーも大概甘やかされてんな」
「ん? ムトーサマも一緒入りたいんか?」
手を拭いてリビングに戻ると、美味しそうな匂いにハヤシライス、ほくほくの肉じゃが。
でかい男三人が広めのテーブルを囲んでいる姿はわりと面白い絵面だと思うが、まぁ他に見る人もいないし。
「ばっ……はぁ!? ンで俺が!! 羞恥心ねーのか!?」
「武藤様は俺が何もしなくても素晴らしいだろ。問題児はお前だよお前!」
「ウグーッッ」
まったく、隙があれば誰かを巻き込もうとするんだから。困った奴である。
武藤様の方を伺うと、そういう話題や匂わせも苦手なのだろうか? 頬を軽く染めてじっとりと睨まれていた。金色の瞳はただでさえ眼光鋭く迫力があるので、普通にこわい。ごめんて、全部イブキが悪いです。
「…………ざけんなよ………………」
えーなんかキレてるんだけど本当に何
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