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激動! 体育祭!

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目が覚めると、頬が濡れていた。

「……?」
「宗ちゃん!!」

何これ水? 起き上がると何か猪みたいなのに飛びつかれ、ベッドに引きずり倒される。ガン!! と音がした。柔らかいベッドのはずなのに。マットレスを貫通して音を鳴らしてる……?

「ギャ」
「宗ちゃん、宗ちゃん!」
「な、何。柔らか」

ぼす! と勢いよく倒されたあと、何かむちむちとした柔らかくて温かいものに呼吸を塞がれる。ずっしりと、身体中に何か重いものが乗っていた。

いや分からん! 情報量が多い情報量が!! ある意味少ないんだけど!!

「もごもがもごごごご」
「宗ちゃん、やっぱり、ずっとかっこいい……」
もごごごなにて?
「忘れてたのは、ショックだけど……宗ちゃんはずっと、変わんないから……」
「もご……ご……」

ア……やばい、息……が……
また意識、飛ぶ──

「ええい、えい加減離れんか!」
「あっ」

誰かの怒声が響いて、何か重いものがどかされる。その隙に思い切り空気を吸い込んで咳き込み、どうにかこうにか息を整えた。

ぜひゅぜひゅ、と何度かヤバめの息を吸い、ようやく視界が正常に働く。クリアになった視界、ひとまず周囲を見渡せば、カーテンで仕切られたベッドに掲示板に貼り付けられたカラフルな健康情報。親の顔より見た保健室である。

「……え、何してんの」
「宗ちゃん……」
「ようよう気づいたか……状況判断能力がとんでものう低いねや」
「何で寝起きで貶されないといけないんだ俺は……」

目の前にはイブキと、そのイブキに取り押さえられているこうちゃんがいた。もしかしてとは思っていたが、さっきから俺にのしかかってたのはこうちゃんだったか。ラッキースケベっていきすぎると死に直結してんだな。

「……どういう状況? イブキに勝ったのは覚えてんだけど」
「ッチ。まぁ、軽く説明するわ──」

どうやら、勝負のあと気を失ったらしい。ちなみに騎馬戦はやったそうだ。頭がイカれているのか? あんなことがあったのに。

「熱中症や。午後になってからろくに水分もとっちゃらざったきや摂っていなかったから
「ならほどね……」

覚えはある。昼休み以降ろくに水分も取ってないのに大変なことが多すぎた。
どうやら俺がイブキに『俺のものになれ』と言ったらしく──記憶がほぼない、恐ろしいことである──イブキの処分は保留だそうだ。その処遇を聞くため、心配して残っているこうちゃんと共に俺の寝顔を観察していたというわけだ。

「……うーん、苦労かけさせて申し訳ない」
「ほんまや。ほんで? 何がしたいんや」

ええ。今言うのか?
俺はそっと地面に足をつき、夏服のまま立ち上がる。

「また明日な」
「は?」
「嫌なようにはしないから。信じてくれよな」
「信じられる思ちゅーのか?」

それはそう。
だが今何しても意味がないのは本当なのでまぁまぁまぁまぁと言いながらイブキをどかした。鞄を取り、扉から出る。

「おい!」
「まぁまぁまぁまぁ」

はい、保健室の扉。絶対封印である。
俺はスタコラさっさと逃げ帰った。だって今日は疲れたのだし、家でダラダラしてたっていいじゃないか。

「マジで安心しろってー!! やなことはせんから!! じゃーな!!」

閂型になってる扉を閉め、バタバタにと逃げ帰った。何かどんどん叩かれて怒鳴られているが無視である。相手した方が損なので。
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