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激動! 体育祭!
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「……っは! おれは一体……?」
「お、起きたか」
フリーズから覚めると生徒会テントのソファで寝転がされていた。え? 本当に何。
ヒョイッと水瀬がおれの顔を覗き込む。当たり前のように生徒会テントにいるな。まぁ委員も生徒会っちゃ生徒会か
「ずっとロードしてっから、とりあえずつれて帰ったんだよ。邪魔になんだろテメェ」
「むとっ、会長さま~……?」
「酷い言い方するなよ。縦にも横にもデカくて邪魔なのは本人も承知の上だろ?」
「勝手に承知させないで欲しいかも」
どうやら本当にフリーズし続けてたらしい。いやでも、そのくらい水瀬のデレは貴重なのだ。だっていっつも事実陳列罪してくるし口も悪ければ性格も悪いので。
水瀬のいつメンと遊ばされた時も最終的にぐったりしてる俺見てめっちゃ笑ってた。お前この調子じゃ俺以外と遊べないなとか言ってくる割に水瀬は友達多いしな……
だからそんな水瀬にデレをかまされてフリーズしないわけが──
「熱中症と脱水のダブルパンチだな。こんな気温高い日に着ぐるみとか着るからだダボ」
「だ、そうだ。仔犬ちゃんの割には正確な診断じゃないか?」
普通に身体要因でした。お疲れ様です。
しかもめちゃくちゃ正論だ。水瀬に渡されたスポドリを受け取って飲む。あっ美味しい。
「どう? うまい?」
起き上がった俺の顔を下から覗き込み、水瀬が小首をかしげる。顔がいいな、ではなく。
「おいし~」
「よし療養」
「え?」
ガッ!! とスポドリを傾けられる。え? 何罠? 水責め!?
無理やり喉に突っ込まれて飲まされる。一生懸命嚥下するが、生理的な涙も溢れてきた。昔風邪引いた時も思ったけど水瀬マジで看病が荒い。必要な栄養などを無理やり口こじ開けてぶち込んでくる。軍なの?
「っぐ……ん、ぅっ……ぅぐ……」
「これ美味いって感じるのだいぶやばいぜ宗介。一旦飲み干せ飲み干せ」
「ん"ん"ーーーッッッ!!!!」
わかった、わかったから自分のペースでやらせて欲しい。別に子牛とかでは無いから普通に飲み干せるので。手使えるの見えてない? 俺が。
だとしたら観察力無さすぎるんだけど。
ぎゅっと瞑っていた目をどうにかこじ開け、武藤さまの方に助けを求める。
「お、い水瀬。流石にそれは……」
「だぁっとけ素人は。コイツ一回無茶して運ばれたことあんだぞ」
「いや死にかけてるんだが」
くそっ俺がそのエピソード出されたらどうにもならないのを察して。おとなしくぎゅむっと目を瞑り飲まされるがまま嚥下する。口の端から液体が漏れ、ぼたぼたと溢れているがシーツの心配等できなかった。
水瀬は人の看病をしたことがなく、初めて看病した相手が俺とかいう引くほど丈夫な相手だったので色々とバグっているのだ。
「──ッゲホ!! げほっ、ぅえ……おまえまじで、まじでゆるさん……」
「お、元気なったな」
「どこがァ~!?」
ようやくペットボトル一つ分飲み干せた俺を見て水瀬が満足そうにふふんと笑う。お前マジでほんとに俺がタフだからその看病が通用してるんであって普通の人間にしたら追い詰めるだけだからな二度とするなよ。
「あーーなんかお腹タプタプする……一気に入れるから……え? てかそれ大容量パックのやつじゃん。殺す気?」
「水分はいっぱいあったほうがいいだろ?」
「アラ~~~~よちよちえらいでちゅねたくさん考えれて~~~~次から“許容量”って言葉を学べるといいでちゅねぇ~~~~」
ハァーーッとでかいため息をつき、まぁ休むかとソファに寄りかかる。ほんとに疲れた。こちらを呆然と見つめている武藤さまが目に入り、力無く笑いかける。
「ごめんねぇ、会長さま……迷惑かけて……」
「……ッチ」
「舌打ち!? どっか行っちゃった」
武藤さまは眉間に皺を寄せ、踵を返してどこかに行ってしまった。ソファを汚してしまったから怒っているのだろうか。後でちゃんと掃除しておかないと。
水瀬が俺の隣にどっかりと座る。本当に遠慮がないなこいつは。武藤さまと水瀬の距離感なので口は出さないけど。
「ま、性癖歪んだ仔犬ちゃんの事は気にすんな。可哀想にな、ありゃもう戻れないぜ」
「水瀬は精神が歪んでるけどな」
「アッハハ! 痛い目に合わせる」
「虐待やんけ~~~~!!!!」
こいつは子供を持っちゃいけない。体育祭マジックなのか俺の元気を吸い取っているのか、やけに生き生きとした水瀬にべむべむと頭を叩かれたのでやり返しておいた。
「過剰防衛って知ってるか? 病み上がりで発揮していい元気じゃないだろ……」
椅子と机の間に押し込まれた水瀬の文句を流しながら、体育祭は進んでいく。
「お、起きたか」
フリーズから覚めると生徒会テントのソファで寝転がされていた。え? 本当に何。
ヒョイッと水瀬がおれの顔を覗き込む。当たり前のように生徒会テントにいるな。まぁ委員も生徒会っちゃ生徒会か
「ずっとロードしてっから、とりあえずつれて帰ったんだよ。邪魔になんだろテメェ」
「むとっ、会長さま~……?」
「酷い言い方するなよ。縦にも横にもデカくて邪魔なのは本人も承知の上だろ?」
「勝手に承知させないで欲しいかも」
どうやら本当にフリーズし続けてたらしい。いやでも、そのくらい水瀬のデレは貴重なのだ。だっていっつも事実陳列罪してくるし口も悪ければ性格も悪いので。
水瀬のいつメンと遊ばされた時も最終的にぐったりしてる俺見てめっちゃ笑ってた。お前この調子じゃ俺以外と遊べないなとか言ってくる割に水瀬は友達多いしな……
だからそんな水瀬にデレをかまされてフリーズしないわけが──
「熱中症と脱水のダブルパンチだな。こんな気温高い日に着ぐるみとか着るからだダボ」
「だ、そうだ。仔犬ちゃんの割には正確な診断じゃないか?」
普通に身体要因でした。お疲れ様です。
しかもめちゃくちゃ正論だ。水瀬に渡されたスポドリを受け取って飲む。あっ美味しい。
「どう? うまい?」
起き上がった俺の顔を下から覗き込み、水瀬が小首をかしげる。顔がいいな、ではなく。
「おいし~」
「よし療養」
「え?」
ガッ!! とスポドリを傾けられる。え? 何罠? 水責め!?
無理やり喉に突っ込まれて飲まされる。一生懸命嚥下するが、生理的な涙も溢れてきた。昔風邪引いた時も思ったけど水瀬マジで看病が荒い。必要な栄養などを無理やり口こじ開けてぶち込んでくる。軍なの?
「っぐ……ん、ぅっ……ぅぐ……」
「これ美味いって感じるのだいぶやばいぜ宗介。一旦飲み干せ飲み干せ」
「ん"ん"ーーーッッッ!!!!」
わかった、わかったから自分のペースでやらせて欲しい。別に子牛とかでは無いから普通に飲み干せるので。手使えるの見えてない? 俺が。
だとしたら観察力無さすぎるんだけど。
ぎゅっと瞑っていた目をどうにかこじ開け、武藤さまの方に助けを求める。
「お、い水瀬。流石にそれは……」
「だぁっとけ素人は。コイツ一回無茶して運ばれたことあんだぞ」
「いや死にかけてるんだが」
くそっ俺がそのエピソード出されたらどうにもならないのを察して。おとなしくぎゅむっと目を瞑り飲まされるがまま嚥下する。口の端から液体が漏れ、ぼたぼたと溢れているがシーツの心配等できなかった。
水瀬は人の看病をしたことがなく、初めて看病した相手が俺とかいう引くほど丈夫な相手だったので色々とバグっているのだ。
「──ッゲホ!! げほっ、ぅえ……おまえまじで、まじでゆるさん……」
「お、元気なったな」
「どこがァ~!?」
ようやくペットボトル一つ分飲み干せた俺を見て水瀬が満足そうにふふんと笑う。お前マジでほんとに俺がタフだからその看病が通用してるんであって普通の人間にしたら追い詰めるだけだからな二度とするなよ。
「あーーなんかお腹タプタプする……一気に入れるから……え? てかそれ大容量パックのやつじゃん。殺す気?」
「水分はいっぱいあったほうがいいだろ?」
「アラ~~~~よちよちえらいでちゅねたくさん考えれて~~~~次から“許容量”って言葉を学べるといいでちゅねぇ~~~~」
ハァーーッとでかいため息をつき、まぁ休むかとソファに寄りかかる。ほんとに疲れた。こちらを呆然と見つめている武藤さまが目に入り、力無く笑いかける。
「ごめんねぇ、会長さま……迷惑かけて……」
「……ッチ」
「舌打ち!? どっか行っちゃった」
武藤さまは眉間に皺を寄せ、踵を返してどこかに行ってしまった。ソファを汚してしまったから怒っているのだろうか。後でちゃんと掃除しておかないと。
水瀬が俺の隣にどっかりと座る。本当に遠慮がないなこいつは。武藤さまと水瀬の距離感なので口は出さないけど。
「ま、性癖歪んだ仔犬ちゃんの事は気にすんな。可哀想にな、ありゃもう戻れないぜ」
「水瀬は精神が歪んでるけどな」
「アッハハ! 痛い目に合わせる」
「虐待やんけ~~~~!!!!」
こいつは子供を持っちゃいけない。体育祭マジックなのか俺の元気を吸い取っているのか、やけに生き生きとした水瀬にべむべむと頭を叩かれたのでやり返しておいた。
「過剰防衛って知ってるか? 病み上がりで発揮していい元気じゃないだろ……」
椅子と机の間に押し込まれた水瀬の文句を流しながら、体育祭は進んでいく。
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