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昼時なので、食事をとりに会長様御一行が現れたのだ。
「す、凄い! 今日は執行部の方々もおそろいだ……! 生徒会役員なんて、間近で一人見られるだけでも運がいいのに……!」
「じゃあ俺毎日ラッキーデイだな」
園芸委員長は別である。旧校舎行けばいるし。餃子定食しか食わない生徒会役員ってなんか嫌だ。
食堂の入り口、民衆をモーセのように割って歩いているのは生徒会執行部の皆々様。どうせならこの場を借りて紹介させていただこう。
「おや、今日も元気のよろしいことで」
抱きたい男ランキング堂々の一位! 銀縁眼鏡に怜悧な眼差し、傾国の美人、副会長たる刑部遼太郎!
「そりゃそうだよ!」
「ボクたちが揃うの、珍しいもん!」
「「ねー!」」
可愛らしいピンクのふわふわ髪とそっくりなクリクリの目! 見分けのつかないイタズラ好きの双子席務、小鳥遊桜、椿!
「……会長、崇拝」
寡黙で大柄な大型犬系イケメン、口数は少ないが成績はとてつもなくいいぞ! 優しく動物に好かれる姿が時折目撃される書記、犬神浩一郎!
「会長を崇拝してる人も多いからにぎやかって? 違うね! 皆が見たいのは、このボクさ!」
自信満々ナルシストなハーフ! プラチナブロンドのカールした髪はまるで天使様のよう! うざめの言動が親しみやすさを醸し出す会計、二ノ宮レオ!
「ハン、うるせぇ奴らだ」
そして、天上天下唯我独尊、抱かれたい男ランキング堂々の一位! 美しさを語り尽くすには言葉じゃ足りない、濡羽の髪とがっしりとついた筋肉は俺たちの心をときめかせる、我らが会長、武藤瑛一!
敬称略! 個性豊かな生徒会執行部の面々だが、これに加えて風紀委員長や図書委員長など、役員を含めると本当に顔面美の暴力となってくる。
普通の人間が並べば霞むどころかもはや引き立て役にすらなれず空気となるような顔面美を持った美形たちがずらりと揃い、こちらの方──具体的にはテラス席──へと歩いてくる。
基本的にこの時は歩みをお邪魔しないよう、端の方に避けておくのだ。
「すげー歓声……」
きゃああああ、と男子校とは思えない黄色い歓声が飛び交っている。それぞれの役員の親衛隊が歓声を上げラブコールしているのだ。
「武藤様ー! こっち見てー!」
「副会長、今日もお美しい……これに比べたら今食べてる鮎はカスや」
「うおおお! 小鳥遊双子! 可愛いぞー!!」
「レオー! 俺たちはお前目当てだー!!」
「浩一郎さまがお話しされた!? お美しい……」
少しでも推しに見られたい、認知されたいと思いながらも歩む道は邪魔しない。いじらしい事である。ちなみに犬神親衛隊は今日も発言した事を写経しておりかなりキモかった。
あいつらは害もないしユニコーンが極端に少なく、基本的に推しの幸せをただ願ういい集団だが、ただ普通に奇行をしている時がある。いい人たちだけども。
「はぁ……推し、今日も顔がいい……俺の隠された虫根性があの光に群がろうとしてしまう……」
「気色悪いな」
水瀬の貶しも今はスルーできる。やはり自然光の元で見る武藤さまは美しかった。もちろん夜にディナーをなされる武藤さまも洗い物をしている武藤さまもお美しいけれど。
一行の歩みに見惚れていると──歓声は上げない、キャラが崩れるので──先頭を歩いていた武藤さまの前に、何やら人影が飛び出してきた。
「あ! あそこ空いとるよ! よかったー!」
うお田舎もん!!
どうやら騒いでいるのを何ら疑問に思わなかった(なんで?)らしい田舎もんまりも、こと転校生が一行の進行方向に乱入してきていたらしい。
もうすでに友人ができたのか、後ろを見ながら何やら手を振っている。うーんコミュ力の敗北、じゃなくて!
「……は? なにあいつ」
「武藤さまのこと知らないわけ?」
「ださ、何あの格好」
ヒソヒソと悪意が伝播する。武藤さまは何も言わず、どかない転校生を見つめていた。面白そうに双子がくすくす笑い合い、副会長がかちゃりとメガネを上げる。
「うわ、あいつ勇気あるな」
この中で笑っているのは水瀬と転校生だけである。とんだ大物だ。やめておけ!
「す、凄い! 今日は執行部の方々もおそろいだ……! 生徒会役員なんて、間近で一人見られるだけでも運がいいのに……!」
「じゃあ俺毎日ラッキーデイだな」
園芸委員長は別である。旧校舎行けばいるし。餃子定食しか食わない生徒会役員ってなんか嫌だ。
食堂の入り口、民衆をモーセのように割って歩いているのは生徒会執行部の皆々様。どうせならこの場を借りて紹介させていただこう。
「おや、今日も元気のよろしいことで」
抱きたい男ランキング堂々の一位! 銀縁眼鏡に怜悧な眼差し、傾国の美人、副会長たる刑部遼太郎!
「そりゃそうだよ!」
「ボクたちが揃うの、珍しいもん!」
「「ねー!」」
可愛らしいピンクのふわふわ髪とそっくりなクリクリの目! 見分けのつかないイタズラ好きの双子席務、小鳥遊桜、椿!
「……会長、崇拝」
寡黙で大柄な大型犬系イケメン、口数は少ないが成績はとてつもなくいいぞ! 優しく動物に好かれる姿が時折目撃される書記、犬神浩一郎!
「会長を崇拝してる人も多いからにぎやかって? 違うね! 皆が見たいのは、このボクさ!」
自信満々ナルシストなハーフ! プラチナブロンドのカールした髪はまるで天使様のよう! うざめの言動が親しみやすさを醸し出す会計、二ノ宮レオ!
「ハン、うるせぇ奴らだ」
そして、天上天下唯我独尊、抱かれたい男ランキング堂々の一位! 美しさを語り尽くすには言葉じゃ足りない、濡羽の髪とがっしりとついた筋肉は俺たちの心をときめかせる、我らが会長、武藤瑛一!
敬称略! 個性豊かな生徒会執行部の面々だが、これに加えて風紀委員長や図書委員長など、役員を含めると本当に顔面美の暴力となってくる。
普通の人間が並べば霞むどころかもはや引き立て役にすらなれず空気となるような顔面美を持った美形たちがずらりと揃い、こちらの方──具体的にはテラス席──へと歩いてくる。
基本的にこの時は歩みをお邪魔しないよう、端の方に避けておくのだ。
「すげー歓声……」
きゃああああ、と男子校とは思えない黄色い歓声が飛び交っている。それぞれの役員の親衛隊が歓声を上げラブコールしているのだ。
「武藤様ー! こっち見てー!」
「副会長、今日もお美しい……これに比べたら今食べてる鮎はカスや」
「うおおお! 小鳥遊双子! 可愛いぞー!!」
「レオー! 俺たちはお前目当てだー!!」
「浩一郎さまがお話しされた!? お美しい……」
少しでも推しに見られたい、認知されたいと思いながらも歩む道は邪魔しない。いじらしい事である。ちなみに犬神親衛隊は今日も発言した事を写経しておりかなりキモかった。
あいつらは害もないしユニコーンが極端に少なく、基本的に推しの幸せをただ願ういい集団だが、ただ普通に奇行をしている時がある。いい人たちだけども。
「はぁ……推し、今日も顔がいい……俺の隠された虫根性があの光に群がろうとしてしまう……」
「気色悪いな」
水瀬の貶しも今はスルーできる。やはり自然光の元で見る武藤さまは美しかった。もちろん夜にディナーをなされる武藤さまも洗い物をしている武藤さまもお美しいけれど。
一行の歩みに見惚れていると──歓声は上げない、キャラが崩れるので──先頭を歩いていた武藤さまの前に、何やら人影が飛び出してきた。
「あ! あそこ空いとるよ! よかったー!」
うお田舎もん!!
どうやら騒いでいるのを何ら疑問に思わなかった(なんで?)らしい田舎もんまりも、こと転校生が一行の進行方向に乱入してきていたらしい。
もうすでに友人ができたのか、後ろを見ながら何やら手を振っている。うーんコミュ力の敗北、じゃなくて!
「……は? なにあいつ」
「武藤さまのこと知らないわけ?」
「ださ、何あの格好」
ヒソヒソと悪意が伝播する。武藤さまは何も言わず、どかない転校生を見つめていた。面白そうに双子がくすくす笑い合い、副会長がかちゃりとメガネを上げる。
「うわ、あいつ勇気あるな」
この中で笑っているのは水瀬と転校生だけである。とんだ大物だ。やめておけ!
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