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第1章 番(つがい)になるまで
16、暴かれる秘密(※)
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#いわゆる18シーンはありませんが、性に関する表現が出てきますので、タイトルに(※)をつけております
++++++++++++++++++++++++++++
「みっ……見ないで……見せたくない」
「どうした?何か問題が? 」
僕はコクコクと頷く。
でも自分の口から言えない。
「分かった。
レンの可愛い脚に挟まれた手を、一度引き抜きたいから、少しだけ力を抜いてくれないか?」
ホッと安心して身体から力を抜いた一瞬を、見事にシルヴィス様から狙われた。
脚を折り畳んだまま、ガバッと左右に大きく開かれ、なす術もなく僕の下半身がシルヴィス様に丸見えになる。
「これは……どういう……孔が2つだと? 」
どうやってもシルヴィス様の力に叶わず、隠したい脚が閉じれないので、せめてもの抵抗で、僕は両手で顔を覆う。
感じすぎたせいか、体液まみれのドロドロでひどい状態なのに、シルヴィス様は全く気にもされず、まじまじと観察されているのが気配で分かった。
「感じて体液が出ているこちらの方は、もしかして……女性体器官である膣なのか?」
バース性の研究に携わっている医師のせいか、シルヴィス様はさほどの驚きを見せずに正解を言い当てる。
一般的な男性オメガ性は、第一次性は男性のため、身体的特徴は男性体だ。
だから局部として、陰茎、睾丸があり、その下に肛門がある。
ただ第二次性は産む性であるオメガ性のため、内部に子宮があり、肛門から子宮に繋がる器官も持つ。
だがこれらは、いわば内部器官なため、外見的 特徴としては、肛門という孔が1つあるだけだった。
だけど僕は、男性体が持つ陰茎、睾丸、肛門があるというところまでは一緒だが、睾丸と肛門の間に、第一次性の女性体だけが持つ膣があり……そのため、外見的 特徴としては、孔が2つあった。
絶対に知られたくなかったことが明るみになった今、恥ずかしいやら、情けないやら、悔しいやら……とにかく心中が複雑すぎて言葉にならず、僕は思わず泣き出してしまった。
「さっきから謝ってばかりだが……レン、悪かった。
泣かないでくれ。」
そっと、僕の脚を元に戻し、シルヴィス様は優しく僕を抱きしめる。
「うっ、うっ、うっ」
なかなか涙は、止まらない。
シルヴィス様がこの事実を知って何を思うのか、僕は怖くなって、ただ震えて泣くしかなかった。
「レン、悪かった、すまない」
顔を覆っている僕の手の甲に、啄むようなキスの雨が降り注ぐ。
以前、この事実を知った人が放った感想を、シルヴィス様からもう一度言われる前に、逆に僕から敢えてこう言った。
「気持ち悪いですよね?」
自分が受けるダメージを、少しでも軽くするための保身からだった。
「はっ、何がだ?」
シルヴィス様の声は少し怒っているように聞こえたため、様子を伺おうと、僕は顔を覆っている手を少しだけ開けて、シルヴィス様を見つめながら答えた。
「僕の身体は外見上、2つの性器を持っていて……性別不明だからです」
シルヴィス様は、理解できないという表情をして、僕に質問してきた。
「それは事実だが、どうしてそんなひどい言葉を使うんだ?」
「僕のこの身体の仕組みが解明されるまで、親切に接してくれた研究者の方にそう言われたからです」
「誰だそいつは!
レンに直接言ってきたのか?」
シルヴィス様は今度ははっきりと怒っていた。
だから、僕は顔から手を下ろし、勇気を出して、その出来事をシルヴィス様に話した。
「いいえ、その研究者の方が同僚へ話されているのを、偶然聞いてしまったのです。
もし自分の番が、僕のような性別不明の身体だったら、気持ち悪くて受け入れられないと。
だけど、研究対象として最高の素材だから、僕に嫌われたくなくて、仕方なく親切にしているんだ……とそう言っていました。
その会話を聞いてしまってから、僕はその方を避けていましたが、逆に付きまとわれてしまい……心配した両親が護衛のテオをつけてくれたんです」
シルヴィス様は、話を黙って聞いた後、そっと僕の額に触れるだけのキスをした。
「そうだったのか……大変な思いをしたな。
オレの気持ちを話す前に、申し訳ないが一つだけ……不躾な質問をしていいか?」
「はい」
僕は目を閉じて額への優しいキスを受けた後、もう一度、しっかりシルヴィス様の目を見つめた。
「女性の器官があるなら、同じ系統の子宮もありそうだが……そうじゃなかったのか?」
「はい、こういう外見なので、全身、特に腹部は入念な医療的走査が行われました。
その結果、女性体器官の膣の先には、実は子宮らしきものがありました。
ですが、通常の器官に比べて断然小さく、形も歪でした。
他にも様々な検査を受けましたが、総合的結果として、ほぼ機能しておらず、器官としてない状態に等しいと判断されました。
もう一つの奥の方の孔は、肛門機能だけで、通常の男性オメガ性のような子宮も、それを繋ぐ器官もないとの診断でした」
声はひどく震えたが、心を殺して事実だけを淡々と伝えることには成功した。
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「みっ……見ないで……見せたくない」
「どうした?何か問題が? 」
僕はコクコクと頷く。
でも自分の口から言えない。
「分かった。
レンの可愛い脚に挟まれた手を、一度引き抜きたいから、少しだけ力を抜いてくれないか?」
ホッと安心して身体から力を抜いた一瞬を、見事にシルヴィス様から狙われた。
脚を折り畳んだまま、ガバッと左右に大きく開かれ、なす術もなく僕の下半身がシルヴィス様に丸見えになる。
「これは……どういう……孔が2つだと? 」
どうやってもシルヴィス様の力に叶わず、隠したい脚が閉じれないので、せめてもの抵抗で、僕は両手で顔を覆う。
感じすぎたせいか、体液まみれのドロドロでひどい状態なのに、シルヴィス様は全く気にもされず、まじまじと観察されているのが気配で分かった。
「感じて体液が出ているこちらの方は、もしかして……女性体器官である膣なのか?」
バース性の研究に携わっている医師のせいか、シルヴィス様はさほどの驚きを見せずに正解を言い当てる。
一般的な男性オメガ性は、第一次性は男性のため、身体的特徴は男性体だ。
だから局部として、陰茎、睾丸があり、その下に肛門がある。
ただ第二次性は産む性であるオメガ性のため、内部に子宮があり、肛門から子宮に繋がる器官も持つ。
だがこれらは、いわば内部器官なため、外見的 特徴としては、肛門という孔が1つあるだけだった。
だけど僕は、男性体が持つ陰茎、睾丸、肛門があるというところまでは一緒だが、睾丸と肛門の間に、第一次性の女性体だけが持つ膣があり……そのため、外見的 特徴としては、孔が2つあった。
絶対に知られたくなかったことが明るみになった今、恥ずかしいやら、情けないやら、悔しいやら……とにかく心中が複雑すぎて言葉にならず、僕は思わず泣き出してしまった。
「さっきから謝ってばかりだが……レン、悪かった。
泣かないでくれ。」
そっと、僕の脚を元に戻し、シルヴィス様は優しく僕を抱きしめる。
「うっ、うっ、うっ」
なかなか涙は、止まらない。
シルヴィス様がこの事実を知って何を思うのか、僕は怖くなって、ただ震えて泣くしかなかった。
「レン、悪かった、すまない」
顔を覆っている僕の手の甲に、啄むようなキスの雨が降り注ぐ。
以前、この事実を知った人が放った感想を、シルヴィス様からもう一度言われる前に、逆に僕から敢えてこう言った。
「気持ち悪いですよね?」
自分が受けるダメージを、少しでも軽くするための保身からだった。
「はっ、何がだ?」
シルヴィス様の声は少し怒っているように聞こえたため、様子を伺おうと、僕は顔を覆っている手を少しだけ開けて、シルヴィス様を見つめながら答えた。
「僕の身体は外見上、2つの性器を持っていて……性別不明だからです」
シルヴィス様は、理解できないという表情をして、僕に質問してきた。
「それは事実だが、どうしてそんなひどい言葉を使うんだ?」
「僕のこの身体の仕組みが解明されるまで、親切に接してくれた研究者の方にそう言われたからです」
「誰だそいつは!
レンに直接言ってきたのか?」
シルヴィス様は今度ははっきりと怒っていた。
だから、僕は顔から手を下ろし、勇気を出して、その出来事をシルヴィス様に話した。
「いいえ、その研究者の方が同僚へ話されているのを、偶然聞いてしまったのです。
もし自分の番が、僕のような性別不明の身体だったら、気持ち悪くて受け入れられないと。
だけど、研究対象として最高の素材だから、僕に嫌われたくなくて、仕方なく親切にしているんだ……とそう言っていました。
その会話を聞いてしまってから、僕はその方を避けていましたが、逆に付きまとわれてしまい……心配した両親が護衛のテオをつけてくれたんです」
シルヴィス様は、話を黙って聞いた後、そっと僕の額に触れるだけのキスをした。
「そうだったのか……大変な思いをしたな。
オレの気持ちを話す前に、申し訳ないが一つだけ……不躾な質問をしていいか?」
「はい」
僕は目を閉じて額への優しいキスを受けた後、もう一度、しっかりシルヴィス様の目を見つめた。
「女性の器官があるなら、同じ系統の子宮もありそうだが……そうじゃなかったのか?」
「はい、こういう外見なので、全身、特に腹部は入念な医療的走査が行われました。
その結果、女性体器官の膣の先には、実は子宮らしきものがありました。
ですが、通常の器官に比べて断然小さく、形も歪でした。
他にも様々な検査を受けましたが、総合的結果として、ほぼ機能しておらず、器官としてない状態に等しいと判断されました。
もう一つの奥の方の孔は、肛門機能だけで、通常の男性オメガ性のような子宮も、それを繋ぐ器官もないとの診断でした」
声はひどく震えたが、心を殺して事実だけを淡々と伝えることには成功した。
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