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攻防戦開始
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「あれが噂の皇太子か!」
「悪そうな顔をしているわ。真面目なアラン殿下とは大違いね」
グレンは招待客のはずなのに、なぜか全員の注目を浴びている。
そして、ゆっくりとリエルに近づいてくる。
その姿を見て、アランは怒り狂いそうになった。
「グレイアム皇太子、これは何のつもりだ?」
「見ての通り、恋人が望まない結婚を強いられているから奪いに来た」
「恋人だと? 何を血迷ったことを……」
アランの前で、グレンはいきなりリエルの肩を掴み、自分に抱き寄せて周囲に聞こえるように声高に言った。
「僕たちは深く愛し合っているんだ」
その瞬間、周囲がどっと騒ぎ出した。
「令嬢と皇太子の噂は本当だったのか」
「最低ですわ。客人として招かれた分際でその国の王太子妃となる令嬢と不貞だなんて」
アランは焦り、狼狽える。
リエルの両親は驚愕のあまり硬直した。
騒々しい中、リエルはあまりに近すぎるグレンにこっそり文句を言った。
「ちょっと、ここまでするなんて聞いてないわ」
「いいじゃないか。どれだけ本気か見せてやれば効果があるだろ」
グレンはそう言って、いきなりリエルの額にキスをした。
令嬢たちが「きゃああっ」と悲鳴じみた声を上げる。
アランはあまりの衝撃に驚愕の表情のまま絶句している。
リエルは羞恥に頬を赤らめながら何とか平静を保ち、アランをまっすぐ見据えた。
「アラン殿下」
アランは呼びかけられてびくっと反応した。
リエルは凛とした態度で堂々と言い放つ。
「私をこの国から追い出していただいて結構です。私にはもうこの国に大切なものはございません」
さらにリエルはアランに見せつけるように、グレンの腕にしがみつき、ぴったりとくっついてみせる。
「私の大切なものは、彼ひとりですから」
アランは口を開けたまま放心状態だった。
さすがにここまですればアランは何も言えないはずだ。
リエルはグレンにくっついたまま、アランの反応を待った。
パーティ会場は大混乱に陥っている。
全員がアランの判断を待っている状態だ。
そんなアランは怒りで拳を握りしめ、震えている。
(許さない。リエルは渡さない。他の男ならまだしも皇太子にだけは絶対に)
アランは怒りが爆発しそうになっている。
それを見て、リエルはわずかに冷や汗をかいた。
リエルはちらりと、アランのとなりにいるノエラに目をやった。
そして胸中でノエラに告げる。
(さあ、ノエラ。あなたの出番よ。思いきりやっちゃってもいいのよ)
リエルは回帰前のことを思い浮かべる。
(あの日、死んでいく私の目の前でやったように)
ノエラのわざとらしいアランへの媚びが頭から離れない。
(可愛らしい顔で、甘ったるい声で、アランのご機嫌を取ればいいわ)
リエルの思惑どおり、ノエラはすぐに動いた。
「殿下、お気をたしかに! あたくしがそばについていますわ」
「ノエラ……」
アランは狼狽えながらノエラの顔を見つめる。
ノエラは今にも泣きそうな表情で、瞳をうるませながらアランに訴えるように言った。
「あたくしは決めました。ここにいるカーレン令嬢はもう、親友ではありませんわ!」
リエルは口もとに笑みを浮かべた。
「悪そうな顔をしているわ。真面目なアラン殿下とは大違いね」
グレンは招待客のはずなのに、なぜか全員の注目を浴びている。
そして、ゆっくりとリエルに近づいてくる。
その姿を見て、アランは怒り狂いそうになった。
「グレイアム皇太子、これは何のつもりだ?」
「見ての通り、恋人が望まない結婚を強いられているから奪いに来た」
「恋人だと? 何を血迷ったことを……」
アランの前で、グレンはいきなりリエルの肩を掴み、自分に抱き寄せて周囲に聞こえるように声高に言った。
「僕たちは深く愛し合っているんだ」
その瞬間、周囲がどっと騒ぎ出した。
「令嬢と皇太子の噂は本当だったのか」
「最低ですわ。客人として招かれた分際でその国の王太子妃となる令嬢と不貞だなんて」
アランは焦り、狼狽える。
リエルの両親は驚愕のあまり硬直した。
騒々しい中、リエルはあまりに近すぎるグレンにこっそり文句を言った。
「ちょっと、ここまでするなんて聞いてないわ」
「いいじゃないか。どれだけ本気か見せてやれば効果があるだろ」
グレンはそう言って、いきなりリエルの額にキスをした。
令嬢たちが「きゃああっ」と悲鳴じみた声を上げる。
アランはあまりの衝撃に驚愕の表情のまま絶句している。
リエルは羞恥に頬を赤らめながら何とか平静を保ち、アランをまっすぐ見据えた。
「アラン殿下」
アランは呼びかけられてびくっと反応した。
リエルは凛とした態度で堂々と言い放つ。
「私をこの国から追い出していただいて結構です。私にはもうこの国に大切なものはございません」
さらにリエルはアランに見せつけるように、グレンの腕にしがみつき、ぴったりとくっついてみせる。
「私の大切なものは、彼ひとりですから」
アランは口を開けたまま放心状態だった。
さすがにここまですればアランは何も言えないはずだ。
リエルはグレンにくっついたまま、アランの反応を待った。
パーティ会場は大混乱に陥っている。
全員がアランの判断を待っている状態だ。
そんなアランは怒りで拳を握りしめ、震えている。
(許さない。リエルは渡さない。他の男ならまだしも皇太子にだけは絶対に)
アランは怒りが爆発しそうになっている。
それを見て、リエルはわずかに冷や汗をかいた。
リエルはちらりと、アランのとなりにいるノエラに目をやった。
そして胸中でノエラに告げる。
(さあ、ノエラ。あなたの出番よ。思いきりやっちゃってもいいのよ)
リエルは回帰前のことを思い浮かべる。
(あの日、死んでいく私の目の前でやったように)
ノエラのわざとらしいアランへの媚びが頭から離れない。
(可愛らしい顔で、甘ったるい声で、アランのご機嫌を取ればいいわ)
リエルの思惑どおり、ノエラはすぐに動いた。
「殿下、お気をたしかに! あたくしがそばについていますわ」
「ノエラ……」
アランは狼狽えながらノエラの顔を見つめる。
ノエラは今にも泣きそうな表情で、瞳をうるませながらアランに訴えるように言った。
「あたくしは決めました。ここにいるカーレン令嬢はもう、親友ではありませんわ!」
リエルは口もとに笑みを浮かべた。
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