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不機嫌な王太子②
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「殿下、今そのような話は……」
「女の分際で政務に口を挟むんじゃない!」
息を荒らげて興奮するアランに、リエルは少し動揺する。
(話を聞いてくれないかもとは思ったけれど、これほど怒るとは想定外だわ)
リエルは呆れ顔でため息をつく。
そして、冷めた表情でアランを見据えた。
(そちらがその態度なら、もういいわ)
「では、今後の執務はすべて殿下がなさるということでよろしいですね?」
「なっ……!」
アランは激しく動揺した。
今までリエルに仕事を押しつけてきたアランがまともに執務を遂行できるわけがない。
リエルは強気で言い放つ。
「私が今抱えている仕事をすべて殿下にお任せしてもよろしいですね?」
「君は……!」
「だって殿下がおっしゃったではありませんか。妃の仕事はパーティ関連行事と貴族への返礼だと」
「ふざけるな!」
アランはバンっと激しく執務机に拳を叩きつけた。
その音にリエルは動揺したが、何とか平静を保ち、アランを睨み据える。
「君は何様のつもりだ? 王宮入りして調子に乗っているのか? 君の噂を耳にしているぞ」
「噂とはどのようなことでしょうか?」
わかっているがあくまで冷静に訊ねた。
するとアランはさらに声を荒らげた。
「君は使用人たちを冷遇し、ノエラにも迷惑をかけたあげく、グレイアム皇太子と不貞を働いているそうじゃないか!」
リエルは平静を保っているが、内心穏やかではない。
(いい加減にイライラするわ。殴ってやりたいくらいだけど、今は我慢よ)
リエルはひと呼吸置いて、冷静に話を続ける。
「殿下、個人的な感情は抜きにして今は仕事の話を……」
するとアランは思いついたようににやりと笑い、リエルの言葉を遮った。
「ああ、そうだ。君に仕事を与える。婚約披露パーティは3日後にする。すぐに準備するがいい」
「えっ……?」
リエルは驚愕のあまり絶句した。
パーティは7日後の予定だ。そのように招待状を送っている。
今さら変更することなどできない。
笑みを浮かべるアランに対し、リエルはさすがに焦る。
「急に変更されると出席できない貴族の方々がいらっしゃると思います」
「かまわん。王太子である俺の命令だ」
(めちゃくちゃだわ。王宮内が混乱してしまう)
リエルは何とか冷静に話をしようとする。
「殿下、そのようなことをすれば貴族派たちの反発は免れません」
「俺は王太子だ。将来の国王の命令に従わない者は必要ない。来ない者など放っておけばよい」
アランは自分の味方には徹底していい顔をするが、敵対する者に対しての扱いは相当なものだ。
(やっぱりこの人、頭がおかしかったのね。まさか、ここまでとは……)
リエルは呆れて言葉を失った。
「理由をお聞かせ願えますか?」
リエルが訊ねると、アランはもっともな理由を述べた。
「父は病がひどく、長くはもたない。早く君との婚約を発表して安心させてやる必要がある」
理解はできるが、それでたった4日程度早める必要性など感じられない。
「それだけが理由なら7日後でも遅くは……」
「君はこれ以上皇太子との噂が広がってもいいのか?」
アランが本音をぶちまけて、リエルは呆気にとられた。
(まさか、それが理由で? 信じられない。バカなの?)
「女の分際で政務に口を挟むんじゃない!」
息を荒らげて興奮するアランに、リエルは少し動揺する。
(話を聞いてくれないかもとは思ったけれど、これほど怒るとは想定外だわ)
リエルは呆れ顔でため息をつく。
そして、冷めた表情でアランを見据えた。
(そちらがその態度なら、もういいわ)
「では、今後の執務はすべて殿下がなさるということでよろしいですね?」
「なっ……!」
アランは激しく動揺した。
今までリエルに仕事を押しつけてきたアランがまともに執務を遂行できるわけがない。
リエルは強気で言い放つ。
「私が今抱えている仕事をすべて殿下にお任せしてもよろしいですね?」
「君は……!」
「だって殿下がおっしゃったではありませんか。妃の仕事はパーティ関連行事と貴族への返礼だと」
「ふざけるな!」
アランはバンっと激しく執務机に拳を叩きつけた。
その音にリエルは動揺したが、何とか平静を保ち、アランを睨み据える。
「君は何様のつもりだ? 王宮入りして調子に乗っているのか? 君の噂を耳にしているぞ」
「噂とはどのようなことでしょうか?」
わかっているがあくまで冷静に訊ねた。
するとアランはさらに声を荒らげた。
「君は使用人たちを冷遇し、ノエラにも迷惑をかけたあげく、グレイアム皇太子と不貞を働いているそうじゃないか!」
リエルは平静を保っているが、内心穏やかではない。
(いい加減にイライラするわ。殴ってやりたいくらいだけど、今は我慢よ)
リエルはひと呼吸置いて、冷静に話を続ける。
「殿下、個人的な感情は抜きにして今は仕事の話を……」
するとアランは思いついたようににやりと笑い、リエルの言葉を遮った。
「ああ、そうだ。君に仕事を与える。婚約披露パーティは3日後にする。すぐに準備するがいい」
「えっ……?」
リエルは驚愕のあまり絶句した。
パーティは7日後の予定だ。そのように招待状を送っている。
今さら変更することなどできない。
笑みを浮かべるアランに対し、リエルはさすがに焦る。
「急に変更されると出席できない貴族の方々がいらっしゃると思います」
「かまわん。王太子である俺の命令だ」
(めちゃくちゃだわ。王宮内が混乱してしまう)
リエルは何とか冷静に話をしようとする。
「殿下、そのようなことをすれば貴族派たちの反発は免れません」
「俺は王太子だ。将来の国王の命令に従わない者は必要ない。来ない者など放っておけばよい」
アランは自分の味方には徹底していい顔をするが、敵対する者に対しての扱いは相当なものだ。
(やっぱりこの人、頭がおかしかったのね。まさか、ここまでとは……)
リエルは呆れて言葉を失った。
「理由をお聞かせ願えますか?」
リエルが訊ねると、アランはもっともな理由を述べた。
「父は病がひどく、長くはもたない。早く君との婚約を発表して安心させてやる必要がある」
理解はできるが、それでたった4日程度早める必要性など感じられない。
「それだけが理由なら7日後でも遅くは……」
「君はこれ以上皇太子との噂が広がってもいいのか?」
アランが本音をぶちまけて、リエルは呆気にとられた。
(まさか、それが理由で? 信じられない。バカなの?)
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