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37話
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「じゃあ次の模試で290点以上を取らせてみせろ」
「上等です。絶対に取らせます」
一人の男と俺。
互いを睨むように見て、雰囲気は険悪だった。
こうなったのは、次の日の勉強会での出来事が原因であった……。
☆☆☆
「国語の選択問題、どうすればいいと思う? 渚くん」
「うーん……ちゃんと、古文の文法とか動詞の活用とか、わかるなら古文にした方がいいけどなぁ……でも漢文もよく考えたら簡単だし」
次の日も、部活や用事が無かった俺は、日夏の家で再び勉強会を行っていた。
日夏に相談されたのは、模試の国語の選択問題の話だ。
模試には、各教科、国語、英語、数学(一年生は三教科)があり、どの教科もだいたい選択問題と呼ばれる、自分で大問を選べるというものだ。
自分で選べる! ラッキー! と思ったそこのあなた! 大概、選択問題は難しいのだよ……。
特に数学は面倒くさい。
なにせ、数学の全国平均が42点ほど。
もちろん、100点満点でだ。
どれほど難しいのか理解できるだろう。
つまり、その中で前回264点という日夏と、満点の俺はすごいのだ!(自慢)
「渚くんっていつどこで勉強してるの?」
と、ふいに日夏に言われた。
ふむ、いつ、と言われても毎日としか答えられないけど。
「毎日家で、帰ってから寝るまでずっと」
俺が事実をありのまま告げると、日夏は目を剥いて驚いた。
「え!? どうやったらそんなに勉強できるの!? 私もそんなに集中力持たないよ……」
「趣味が勉強ってだけだよ」
「それは嘘でしょ」
信じてもらえない……。
勉強が趣味なのは本当だ。
ゲームも本当に暇な時しかしないし、遊びに行くことも、ケイヤと以外ないし。
べ、別に友達が少ないってわけじゃないんだからねっ!
……嘘ですごめんなさい、友達少ないです。
まあ、家にいても、ボーっと呆けているのも勿体無いため、勉強してるわけだ。
勉強は才能じゃない。努力だ。
かの有名な人も言っていただろう。
『天才とは99%の努力と1%のひらめきだ』とね。
ひらめきも経験で養える。
だから100%努力!
所詮、才能の違いなんだから、とか言ってるやつはいますぐブラジルでサンバでも踊ってきた方がいい。いや、待て意味わからん。
勉強してないで、点数を取れる人は授業毎の集中力や、理解しようとするやる気が違うのだ。
全ての結果は努力において、成り立つ。
パクりだが、俺の持論だ。
「だから日夏も頑張れよ」
急に脈略もなく応援され、目をしばしばさせ、呆ける。
だって前後の文言ってないもの!
「え、急にどうしたの?」
当然、聞いてくる。
「いや、ただ応援してるってだけ」
「? あ、ありがとう?」
戸惑ったように、お礼を口にする。
さて、気を取り戻して勉強といこう。
「さて! 今回は漢文をするよ!」
「急にどうしたの!? そのテンション!」
気にするな日夏よ。
松岡◯造並みにテンション高いだけだ。
よし、これから松岡◯造並みを松並と言おう。
「まずは文にレ点とか一・二点、つまり返り点の付け方のコツだよ!」
「あ、そのテンションでいくんだ」
何か諦めた様子の日夏。
なぜか俺は呆れた表情で見ている。
そんな日夏を気にせずに俺は続ける。
「普通の文章に返り点を付けたい時は読みたい順番に番号を振っていくのがコツ! なんかよくわからない漢字に、そのまま返り点付けるよりは、番号で付けた方が楽だぜ!」
ふむふむ、とノートにメモしていく、日夏。
もう、テンションのことはつっこまないようだ。
そこで、日夏がハイッ! と学校ように手を上げて質問してくる。
「実際の模試で、単純に返り点付ける問題って出なくない?」
「うん、出ないね」
「えぇ!? それじゃあ意味が……」
俺があえて言っているのはもちろん、理由がある。
「まあ、全ての基礎だからな。問題の解き方の途中で返り点付ける作業はするだろ? その時に焦ったりすると、間違えることが多いんだ。だから焦らず番号とか、わかりやすい方法で解いた方がいいってこと」
「なるほど……わかりました! 先生っ!」
ふざけて俺は先生呼びにしてくる日夏。
なんだかんだノリノリのようだ。
「じゃあ次に──」
と、言おうとした瞬間、日夏以外開けないドアのはずが、ガチャっという音とともに、玄関の扉が開いた。
「「っっ!?」」
二人揃ってその音にビクッとする。
「え、泥棒!?」
俺がそう聞くと、少し焦った様子の日夏が返してきた。
「鍵使って開けた音がしたからおそらく……」
俺はゴクッと唾を飲み込む。
おそらく……? と俺が聞き返すと、日夏はこう言った。
「おそらく…………お父さん」
「オトウサン!?」
思わずすっとんきょうな声が出た。
「上等です。絶対に取らせます」
一人の男と俺。
互いを睨むように見て、雰囲気は険悪だった。
こうなったのは、次の日の勉強会での出来事が原因であった……。
☆☆☆
「国語の選択問題、どうすればいいと思う? 渚くん」
「うーん……ちゃんと、古文の文法とか動詞の活用とか、わかるなら古文にした方がいいけどなぁ……でも漢文もよく考えたら簡単だし」
次の日も、部活や用事が無かった俺は、日夏の家で再び勉強会を行っていた。
日夏に相談されたのは、模試の国語の選択問題の話だ。
模試には、各教科、国語、英語、数学(一年生は三教科)があり、どの教科もだいたい選択問題と呼ばれる、自分で大問を選べるというものだ。
自分で選べる! ラッキー! と思ったそこのあなた! 大概、選択問題は難しいのだよ……。
特に数学は面倒くさい。
なにせ、数学の全国平均が42点ほど。
もちろん、100点満点でだ。
どれほど難しいのか理解できるだろう。
つまり、その中で前回264点という日夏と、満点の俺はすごいのだ!(自慢)
「渚くんっていつどこで勉強してるの?」
と、ふいに日夏に言われた。
ふむ、いつ、と言われても毎日としか答えられないけど。
「毎日家で、帰ってから寝るまでずっと」
俺が事実をありのまま告げると、日夏は目を剥いて驚いた。
「え!? どうやったらそんなに勉強できるの!? 私もそんなに集中力持たないよ……」
「趣味が勉強ってだけだよ」
「それは嘘でしょ」
信じてもらえない……。
勉強が趣味なのは本当だ。
ゲームも本当に暇な時しかしないし、遊びに行くことも、ケイヤと以外ないし。
べ、別に友達が少ないってわけじゃないんだからねっ!
……嘘ですごめんなさい、友達少ないです。
まあ、家にいても、ボーっと呆けているのも勿体無いため、勉強してるわけだ。
勉強は才能じゃない。努力だ。
かの有名な人も言っていただろう。
『天才とは99%の努力と1%のひらめきだ』とね。
ひらめきも経験で養える。
だから100%努力!
所詮、才能の違いなんだから、とか言ってるやつはいますぐブラジルでサンバでも踊ってきた方がいい。いや、待て意味わからん。
勉強してないで、点数を取れる人は授業毎の集中力や、理解しようとするやる気が違うのだ。
全ての結果は努力において、成り立つ。
パクりだが、俺の持論だ。
「だから日夏も頑張れよ」
急に脈略もなく応援され、目をしばしばさせ、呆ける。
だって前後の文言ってないもの!
「え、急にどうしたの?」
当然、聞いてくる。
「いや、ただ応援してるってだけ」
「? あ、ありがとう?」
戸惑ったように、お礼を口にする。
さて、気を取り戻して勉強といこう。
「さて! 今回は漢文をするよ!」
「急にどうしたの!? そのテンション!」
気にするな日夏よ。
松岡◯造並みにテンション高いだけだ。
よし、これから松岡◯造並みを松並と言おう。
「まずは文にレ点とか一・二点、つまり返り点の付け方のコツだよ!」
「あ、そのテンションでいくんだ」
何か諦めた様子の日夏。
なぜか俺は呆れた表情で見ている。
そんな日夏を気にせずに俺は続ける。
「普通の文章に返り点を付けたい時は読みたい順番に番号を振っていくのがコツ! なんかよくわからない漢字に、そのまま返り点付けるよりは、番号で付けた方が楽だぜ!」
ふむふむ、とノートにメモしていく、日夏。
もう、テンションのことはつっこまないようだ。
そこで、日夏がハイッ! と学校ように手を上げて質問してくる。
「実際の模試で、単純に返り点付ける問題って出なくない?」
「うん、出ないね」
「えぇ!? それじゃあ意味が……」
俺があえて言っているのはもちろん、理由がある。
「まあ、全ての基礎だからな。問題の解き方の途中で返り点付ける作業はするだろ? その時に焦ったりすると、間違えることが多いんだ。だから焦らず番号とか、わかりやすい方法で解いた方がいいってこと」
「なるほど……わかりました! 先生っ!」
ふざけて俺は先生呼びにしてくる日夏。
なんだかんだノリノリのようだ。
「じゃあ次に──」
と、言おうとした瞬間、日夏以外開けないドアのはずが、ガチャっという音とともに、玄関の扉が開いた。
「「っっ!?」」
二人揃ってその音にビクッとする。
「え、泥棒!?」
俺がそう聞くと、少し焦った様子の日夏が返してきた。
「鍵使って開けた音がしたからおそらく……」
俺はゴクッと唾を飲み込む。
おそらく……? と俺が聞き返すと、日夏はこう言った。
「おそらく…………お父さん」
「オトウサン!?」
思わずすっとんきょうな声が出た。
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