10 / 73
10話
しおりを挟む
その後の授業を気合いで乗り切り、放課後となった。
俺は絶対に授業で寝ないタイプなのだ。
なぜなら内申点が引かれるからである!
寝てても家で充分に勉強するため、どうでもいいのだが推薦狙いの人は内申点が重要だ。
ま、俺は推薦狙いじゃないから元より関係のない話だが。
どこでも入れるからな……おっと自慢じゃない。
俺は教科書類をカバンに入れるなどの帰り支度をした。
そういえば春風の姿が見えないことに気が付いた。
一緒に帰ろうと言っていたが当の春風がいない。
……もしかしたら忘れて帰っちゃったのかな?
と思っていたが、俺が最後の教科書をバッグに入れたタイミングで声をかけてくれた。
「ご、ごめん! 連絡先交換したと思ってて油断してた! 一緒に帰ろ!」
と、まあまあ通る声で、しかもまだ人が残っている教室で言ってきたのだ。
「あ」
察し。
教室はざわざわとした空気に包まれた。
しかもざわざわがかなり大きく聴こえる。
カイジかよ。
「あの大天使様と一緒に帰る、だと?」
と、最近若ハゲに悩んでいるクラスメートAが。
「許せぬ、許せぬぞぉ!」
と、暴れん坊将軍にはまり、ハリボテの馬を自作したクラスメートBが。
「おい、だが待てよ? 相手は狭山だぞ?」
と、やけに陰キャに恨みを持つクラスメートCが。
「でも白海さんとも一緒にいなかったか?」
何の特徴もないクラスメートDが。
「ってことは……なんだ……また用事か」
と、昨日隣のクラスの人と喧嘩して骨折したクラスメートEが。
「「やっぱりね」」
と、全員が決め付けてきたのだった。
解せぬ。
いや、その前にクラスメートの情報の密がすごいな。
俺はため息を吐いた。
慣れているとはいえ、そこまで決め付けるか? とは思う。
隣では春風がクラスメートのやり取りを見ておろおろしている。
「な、なんかごめんね。私のせいで……」
申し訳なさそうに謝ってきた。
春風は悪くないが自分自身が原因の一端だ、とでも思ったのだろうか。
手を右往左往して慌てている。
「いや、別に春風は悪くないよ。とりあえず移動しようぜ」
これ以上誤解というか、勘違いが広がらないために、手を教室の外に示し移動を提案する。
「う、うん」
罰が悪そうな顔をしながら、頷き移動をした。
外へ出るためため3階から1階まで降り、昇降口で靴を履き替え外に出る。
その間春風は無言だった。
まだ気にしているのだろうか。
あまりにも申し訳なさそうな顔をしているので、フォローをする。
「そんなに気にすることでもないぞ」
「いや、でも」
「俺は慣れてるし、春風が可愛くて人気があるからこその嫉妬だと思うしな」
苦笑しつつ答える。
「かわっ……!?」
なぜかそこで赤くなる春風。
いやいや、
「え、言われ慣れてるだろ?」
だから言ったのだが、それに事実だし。
……まさかセクハラになる!?
お巡りさん待ったなしはやめてくれよ……
と内心焦る俺。
しかし、危惧した内容とは別の言葉が帰ってきた。
「うん……言われるは言われるんだけど、軽薄そうに言ってくるしその時絶対に私の胸とか……太ももばっかり見てくるんだ」
それを聞いて俺はなるほどな、と思った。
確かに春風ならその経験の方が多そうだな。
しっかし頭おかしいのではないか? 普通人と話す時は目を見て話すのが基本のはずだ。
それを胸とか太ももを見るとか……とんだ外道だな……ドスがあれば切り落として、指詰めてやるのに。
はっ! 思考がブラックに陥ってた……
今時ドスで指詰めとかないからな……まあやりそうなやつに心当たりが無いわけでもないが。
せめて生爪剥がしだな!
と謎の結論に至った。
根っこは裏社会のようだ。
胸や太ももを見てくる、と言った時の春風は顔に嫌悪がにじみ出ていた。
不誠実にもほどがあるからな。
「だから……」
「ん?」
そこで言葉を切り、俺を見上げる。
「誠実に、本心で可愛いって言ってくれたのは初めて。だから……嬉しい……」
ちょっと照れたように言う春風。
髪をにじにじして顔を赤くする姿は、確かに可愛かった。
俺は絶対に授業で寝ないタイプなのだ。
なぜなら内申点が引かれるからである!
寝てても家で充分に勉強するため、どうでもいいのだが推薦狙いの人は内申点が重要だ。
ま、俺は推薦狙いじゃないから元より関係のない話だが。
どこでも入れるからな……おっと自慢じゃない。
俺は教科書類をカバンに入れるなどの帰り支度をした。
そういえば春風の姿が見えないことに気が付いた。
一緒に帰ろうと言っていたが当の春風がいない。
……もしかしたら忘れて帰っちゃったのかな?
と思っていたが、俺が最後の教科書をバッグに入れたタイミングで声をかけてくれた。
「ご、ごめん! 連絡先交換したと思ってて油断してた! 一緒に帰ろ!」
と、まあまあ通る声で、しかもまだ人が残っている教室で言ってきたのだ。
「あ」
察し。
教室はざわざわとした空気に包まれた。
しかもざわざわがかなり大きく聴こえる。
カイジかよ。
「あの大天使様と一緒に帰る、だと?」
と、最近若ハゲに悩んでいるクラスメートAが。
「許せぬ、許せぬぞぉ!」
と、暴れん坊将軍にはまり、ハリボテの馬を自作したクラスメートBが。
「おい、だが待てよ? 相手は狭山だぞ?」
と、やけに陰キャに恨みを持つクラスメートCが。
「でも白海さんとも一緒にいなかったか?」
何の特徴もないクラスメートDが。
「ってことは……なんだ……また用事か」
と、昨日隣のクラスの人と喧嘩して骨折したクラスメートEが。
「「やっぱりね」」
と、全員が決め付けてきたのだった。
解せぬ。
いや、その前にクラスメートの情報の密がすごいな。
俺はため息を吐いた。
慣れているとはいえ、そこまで決め付けるか? とは思う。
隣では春風がクラスメートのやり取りを見ておろおろしている。
「な、なんかごめんね。私のせいで……」
申し訳なさそうに謝ってきた。
春風は悪くないが自分自身が原因の一端だ、とでも思ったのだろうか。
手を右往左往して慌てている。
「いや、別に春風は悪くないよ。とりあえず移動しようぜ」
これ以上誤解というか、勘違いが広がらないために、手を教室の外に示し移動を提案する。
「う、うん」
罰が悪そうな顔をしながら、頷き移動をした。
外へ出るためため3階から1階まで降り、昇降口で靴を履き替え外に出る。
その間春風は無言だった。
まだ気にしているのだろうか。
あまりにも申し訳なさそうな顔をしているので、フォローをする。
「そんなに気にすることでもないぞ」
「いや、でも」
「俺は慣れてるし、春風が可愛くて人気があるからこその嫉妬だと思うしな」
苦笑しつつ答える。
「かわっ……!?」
なぜかそこで赤くなる春風。
いやいや、
「え、言われ慣れてるだろ?」
だから言ったのだが、それに事実だし。
……まさかセクハラになる!?
お巡りさん待ったなしはやめてくれよ……
と内心焦る俺。
しかし、危惧した内容とは別の言葉が帰ってきた。
「うん……言われるは言われるんだけど、軽薄そうに言ってくるしその時絶対に私の胸とか……太ももばっかり見てくるんだ」
それを聞いて俺はなるほどな、と思った。
確かに春風ならその経験の方が多そうだな。
しっかし頭おかしいのではないか? 普通人と話す時は目を見て話すのが基本のはずだ。
それを胸とか太ももを見るとか……とんだ外道だな……ドスがあれば切り落として、指詰めてやるのに。
はっ! 思考がブラックに陥ってた……
今時ドスで指詰めとかないからな……まあやりそうなやつに心当たりが無いわけでもないが。
せめて生爪剥がしだな!
と謎の結論に至った。
根っこは裏社会のようだ。
胸や太ももを見てくる、と言った時の春風は顔に嫌悪がにじみ出ていた。
不誠実にもほどがあるからな。
「だから……」
「ん?」
そこで言葉を切り、俺を見上げる。
「誠実に、本心で可愛いって言ってくれたのは初めて。だから……嬉しい……」
ちょっと照れたように言う春風。
髪をにじにじして顔を赤くする姿は、確かに可愛かった。
7
お気に入りに追加
216
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

俺の高校生活がラブコメ的な状況になっている件
ながしょー
青春
高校入学を前に両親は長期海外出張。
一人暮らしになるかと思いきや、出発当日の朝、父からとんでもないことを言われた。
それは……
同い年の子と同居?!しかも女の子!
ただえさえ、俺は中学の頃はぼっちで人と話す事も苦手なのだが。
とにかく、同居することになった子はとてつもなく美少女だった。
これから俺はどうなる?この先の生活は?ラブコメ的な展開とかあるのか?!
「俺の家には学校一の美少女がいる!」の改稿版です。
主人公の名前やもしかしたら今後いろんなところが変わってくるかもしれません。
話もだいぶ変わると思います。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。
昼寝部
キャラ文芸
天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。
その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。
すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」
これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。
※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる