恐喝されている女の子を助けたら学校で有名な学園三大姫の一人でした

恋狸

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2話

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 俺はヤスとヒデの二人を睨んで帰したあと、白海とさっきとは場所を移し、歩いて5分程度の、とある喫茶店にやってきた。

 場所を変えましょう、と提案されたのは俺で、案内もしたのが白海だ。
 俺は初めてくる喫茶店のお洒落な雰囲気に落ち着かずソワソワしてしまう。
 この喫茶店の大人っぽい雰囲気のせいなのか。
 どうも場違いな気しかしない。

 白海は話の内容を聞かれたくないことを察したのか、一番奥の席を要望した。

 「お待たせ致しました。ごゆっくりどうぞ」

 店の雰囲気に合った、落ち着いた雰囲気のある女性の従業員に案内され、俺たちは座る。

 そして、無言。
 ……何話せばいいんだ。
 悲しいかな、異性と二人っきりという状況に慣れてない俺は、何を話せばいいのかわからないのであった。

 「別に世間話から入んなくてもいいわよ。私はまどろっこしいの苦手だし」 

 そんな俺を見かねてか、助け船を出してくれた。
 正直助かる申し出なので、素直に受けとる。

 「じゃあさっそく……と言いたいところだけど、俺の話をするためにはまず白海の状況を説明してくれないと、何を説明していいのか分からないから先に説明してもらってもいいか?」

 俺の話を一から話すとおそらく終わらない。
 そのため、白海に何があったかを知ることでその補足的な説明をしようと思ったのだ。

 白海は俺の要望に首肯する。

 「わかったわ。じゃあさっそく。まず、何で追いかけられてたかというと、まあ端的に言えば借金よ」

 「……」

 ある程度は予想はしてたため、黙ってそれを聞く。

 「私がしたわけではないわよ。……私の親が……ね? 親といっても私の父は、私が小さい頃に事故で亡くなったから母親なんだけど、母は大のギャンブル好きで……。昼夜問わず毎日パチンコとか……あとは競馬とか。お金が絡むことをしょっちゅうしてたのよね。なぜか運は良かったから勝つことが多かったけれど……」

 「まあ、そんな生活が続くわけないよな」

 世の中には勝負師なるものがいるが、当然百発百中な訳がない。
リターンは大きいがリスクの方がでかい。
そんな不安定なことは勿論、長続きしない。

 「そうね……私が中学生の頃はまだ良かったの。ある日大勝して手に入れた大金で私たちは普通の生活を過ごしていたわ。母も私がいるし、ギャンブルを控えて母親らしく振る舞おうとしたり……今思えばあの頃が一番幸せだったのかもね。」

 その時を思い出してか、少し微笑を浮かべる。
 まるで目に見えぬ母親のいつかの表情を思い浮かべてか。
 しかし、その顔は黒く、暗かった。

 「白海……」

 「でも……私が高校に進学した頃……ちょうど四ヶ月前くらいかしらね? 母のギャンブル好きは治らなかった。むしろ大金を手に入れたことで味を占めたのか、もっと多くの賭けをするようになった。そして……負けた……結果、大量の借金を抱えることになってしまった……。しかも、そのお金は天笠とも繋がっていてね。天笠を恐れた母は、私を置いて海外に逃げた。……私に借金を全て押し付けて。あとは簡単。取り立て屋に毎日取り立てられ今に至る。それだけよ」

 白海のその表情には諦観の表情が浮かんでいた。
 何をしようとどうにもならない。
 ……まるで昔の俺だった。

 「辛いことを話させて悪かった。俺はお前と同じことを経験してはいないから、お前の気持ちは分からない。だから同情はしない、けど……応援はする。ちょうどあの馬鹿が迷惑を掛けたしちょうどいい」

 俺の言葉に白海は、眼を大きくして驚いていた。

 「なぜ? なぜあなたはそんなことで私の味方をするの? あなたに利益はないでしょう?」

 確かに俺にメリットはないだろう。

 「それは白海が苦楽をともにするクラスメートだからだよ」

 当然別の理由だ。
 だが、嘘は言っていない。

 「それに白海は可愛いからな。俺みたいな陰キャが関われる理由があるならそうするさ」

 暗い雰囲気を少しでも変えようと、少しおどける。

 俺の茶化した言葉に白海はハァっとため息を吐く。
 しかし、そのため息は呆れだけではなくて。
 少し喜色も混じっていた。

 「あなたって真性の馬鹿ね」

 「酷い言われようだ」

 「ふふっ、ふふふ」

 ここに来てから初めて白海が笑ってくれたような気がする。
 さっきの沈んだ表情などとは比べ物にならない。
 日溜まりのような笑みを浮かべる綺麗な少女がそこにはいた。




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