世界に1人だけの魔物学者

ベルリン

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第4章 vs竜

会合その2

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(レイ視点です。)

 ナタリア達と別れて宿へ帰った夜半過ぎ。ちょうど宿屋でレナとアルバに出会ったので僕は今までのことを話していた。

「えー!?案内人ともう会ったのー?てか、何その珍しいお店!私も誘ってくれてもよかったじゃん!」

「私も、伯爵家の娘さんとお話ししたかったです。」

「ははっ、ごめん。でもレナもアルバも誘う前にどっか消えてたじゃん。」

僕は頬を掻き謝る。

「2人ともどこに行ってたんだ?」

僕は疑問を口にする。

「…まぁ内緒です。」

そう答えたアルバの肌はやけにツヤツヤしていた。

「んー、私は魔術組合ギルドへ寄ってたわよ~。そのあと街でご飯食べてたの。ところでその案内人?どうだった?」

どうだった。その疑問を受け僕は思案する。案内人とはローランのことだ。

「…強さに関してはまだ分からない。そもそも案内人だから彼は戦う必要はないのだけれど。まぁ、少し魔力を流そうとしたら適切に対処された。魔力のコントロール自体は上手い人だと思うよ。性格についてもまだ良くは分からないが、冷静で合理的ってイメージかな。」


「あんた、また初対面の人に魔力流したの?あれ、めっちゃゾッてするからやられた方はたまったもんじゃないわよ。その…ローラン?って人、職人タイプの人なのね。」
レナが少し顔をしかめながら言う。

「少なくとも、自分の身は守れそうだったよ。」

僕はさらに言葉を続ける。

「それよりもよかったのかい?僕が無断でパーティーメンバー増やしちゃったけど。」

ナタリアとペンタクールのことだ。ローランは反対していたけど、僕は2人のパーティー参加に賛成した。
理由は自分でもよくわからない。何となくナタリアともっと話してみたいと思ったからかもしれない、

今度はアルバが角を触りながら声を出す。

「…私は伯爵家の娘に会ってみたいので構いません。守る人が1人増えようが2人増えようが変わりませんし。」


「へぇ、アルバってそんな貴族に興味ある人だっけ?」

レナが僕も抱いた疑問を代弁してくれた。
その言葉を聞いたアルバは、椅子に座り小さくため息をはいた。

「…私たち魔族は、今だによろしくない目で見られることがあります。卑しい魔族とか、戦争のイメージが強いんでしょうね。元々、私が勇者パーティーに入っているのは魔族の地位の向上と言う目的もあります。誰でもいい、上の立場に居る人と仲良くなることはその目的達成の一つの要素になると判断したからです。」

魔族の地位向上、この話は旅の中で数回アルバの口から聞いたことがある。彼はアルテマより西の国からやってきた人で、そこでは魔族差別が横行していたらしい。

最も僕はあまり、政治分野には疎いので良く分からないが。

だが今回、メヴィアに竜退治と同時に王との面会を取り付けたのはアルバの頼みもあってのことだ。

「アルバが問題ないって言うなら私も問題無いわよ。少なくともレイが入れて良いって思うんならド素人じゃ無いんでしょ??」

「2人ともありがとう。いやぁすまない、いっつも勝手に話を進めちゃって。」

「今更いいわよ。もう慣れたわ。」

信用があるのか無いのか微妙なところだが話はまとまった。

「それじゃあ明日打ち合わせ、明後日迷宮入りということで。おやすみ。みんな」

「おやさみなさい」
「おやすみ」

僕たちはそれぞれ自室へ向かって夜を過ごした。
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