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青の命路 -05
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何度も、何度もユウリは繰り返す。
ナギを追って、延々と転生する。
例え、出会えるのが一瞬だとしても。
悲惨な生涯になるかもしれないとしても。
ナギとの出会い、その一点だけを追い求めて、ユウリは何度も繰り返す。
そして、いつも同じだ。出会えたところで、その先はない。もはや遥か遠い昔のことであるが、かつて“また会いたいと思った”と想いを告げた青年は、もうどこにもいない。
そして、その彼を愛し、“俺も、また会いたい”と涙を零した青年も。
ユウリという魂だけが、いつまでもそれに縛られ続け、約束を果たそうと、何度も繰り返している。たとえ結ばれることはなくても。ただ“再会する”という目的だけに囚われて。
最初のうちは、半ば呆れたようにその生き様を静観していたバンだが、次第に眉を顰めるようになった。
ユウリが転生する度にほぼ毎回夢に見ている、前世、あるいは更にそれ以前の記憶が、やはり気にかかるのだ。
通常、魂が前世の記憶や痛みを、次の生に持ち越すことはない。バンにとってそれは、初めて見るケースだった。
しかし、すぐにその原因に思い当たった。ユウリの魂は、ナギのタイミングに合わせて転生する。そのため、自らの純化に、充分な時間を費やせていないのだ。
転生に不要な記憶を携え、負った消耗もろくに癒さないまま、生まれ変わりを繰り返していく魂の結末を、バンは知らないし、予想もできない。前例がなかった。
バンから見れば、人の生など、一瞬の花火のようなものだ。その刹那の間に交わされた約束に、今でも縛り続けられている、愚直なまでに一途な魂。
微かな哀れみさえ覚える。
ナギを追って、延々と転生する。
例え、出会えるのが一瞬だとしても。
悲惨な生涯になるかもしれないとしても。
ナギとの出会い、その一点だけを追い求めて、ユウリは何度も繰り返す。
そして、いつも同じだ。出会えたところで、その先はない。もはや遥か遠い昔のことであるが、かつて“また会いたいと思った”と想いを告げた青年は、もうどこにもいない。
そして、その彼を愛し、“俺も、また会いたい”と涙を零した青年も。
ユウリという魂だけが、いつまでもそれに縛られ続け、約束を果たそうと、何度も繰り返している。たとえ結ばれることはなくても。ただ“再会する”という目的だけに囚われて。
最初のうちは、半ば呆れたようにその生き様を静観していたバンだが、次第に眉を顰めるようになった。
ユウリが転生する度にほぼ毎回夢に見ている、前世、あるいは更にそれ以前の記憶が、やはり気にかかるのだ。
通常、魂が前世の記憶や痛みを、次の生に持ち越すことはない。バンにとってそれは、初めて見るケースだった。
しかし、すぐにその原因に思い当たった。ユウリの魂は、ナギのタイミングに合わせて転生する。そのため、自らの純化に、充分な時間を費やせていないのだ。
転生に不要な記憶を携え、負った消耗もろくに癒さないまま、生まれ変わりを繰り返していく魂の結末を、バンは知らないし、予想もできない。前例がなかった。
バンから見れば、人の生など、一瞬の花火のようなものだ。その刹那の間に交わされた約束に、今でも縛り続けられている、愚直なまでに一途な魂。
微かな哀れみさえ覚える。
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