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商人2
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「偽物だなんてとんでもない!」
「せやで、雪儿。偽物やったらこんな輝きないはずや」
「……せやろか?」
「偽物だという証拠でも?」
癪に触ったのだろう商人の顔つきがキツくなり、それに同調するように言い方に棘が含まれた。
「雪儿ダメよ」
「姐ちゃん大丈夫やで。雪儿は喧嘩するつもりないから」
抱きしめてくる杏儿の膝に乗ると雪儿は商人を頭の先から足先まで視線を這わしたあと、床に置かれた鞄の中にある宝石を見た。
「雪儿はまだ子供やからこういうもんの価値がわからんだけやって」
場を宥めるように香姫の一人が笑顔で間に立とうとする雪儿は横にズレてくれと言わんばかりにちょいちょいと手を動かす。
「瑞成はええ見本やと思う」
「瑞成?」
「瑞成があんな格好しとるんは龍渓で流行ってきとるからやって言うとった。全部の指にじゃらじゃら指輪しとるんも、男やのに耳飾りしとるんもぜーんぶ流行っとるからって」
「そうです。向こうでは男もピアスをするんですよ。ですからこのアクセサリーは全部──」
「雪儿が気になっとるんは商品やなくておじさんのほうやで」
「わたくし?」
「だから立ってもろてん」
宝石の価値は香姫が言うようにこれっぽっちもわからない。キラキラしていて綺麗という程度の感想しか持てず、それらを身につけたいと思ったことは一度もないのだから。
だから宝石が偽物というより、商人としてやってきた男の拭えない違和感に疑問を持った。
「わたくしの何がおかしいと言うのですか?」
ハッキリと言えと言いたげな態度でドンッと床を踏んだ男から雪儿を遠ざけるように杏儿は腕の力を緩めないまま距離を取る。
「派手な宝石を売りに来たわりには服の色が派手。皆が髪飾りとか買う店の人はみーんな黒い服着とる」
「派手な色を着ただけで偽物扱いですか? 素晴らしい偏見教育を受けていますね」
「瑞成と比べて服の素材が安っぽい感じがする。高いもん扱う商人が安く見える素材の服着とるってどないなんやろ?」
派手な金色のブローチをつけ、上着には金糸で刺繍が施されているが、それが妙に安っぽく見える。
「それにそのズボン」
「ズボン?」
「今の流行りは細身やって言うとった。せやのに流行り語る人間が流行りとは正反対の裾がちょっと広がっとるズボン履くやろか?」
「わたくしはさまざまな国を回るので、一箇所の流行りに留まらないのです! これはここに来る前に訪れた国の流行りだったのです!」
一応納得できる返事に頷くが、雪儿の疑問はまだ続く。
「髪がまとまりすぎとるのはなんでなん?」
「は? 髪はまとめるものでしょう。清潔感とはこういうのを言うのです」
「初めてできた恋人との逢瀬に気合い入れて理髪店行って上品な感じでって注文したら出来上がった髪型みたい」
「的確すぎん?」
「こないだ買い出し行ったらな、理髪店の店主と言い合いしながら出てきた男の人がそない言うて怒とってん。そん人とおんなし髪型しとる」
瑞成の髪型はセットしてあるが、まとまりすぎてはいない。商人の男の髪型がピッシリと櫛で整えたような七三分けの髪型。そこにオイルをつけすぎてテカテカに光っている。とても品ある人間がする髪型とは思えない。
「あと、靴も気になっとる」
「女のあなたに紳士靴の価値がわかるのですか?」
「価値はわからんけど、磨きすぎなことはわかる。通りで靴磨きに磨いてもろてもそこまで輝かんで。瑞成の靴は価値なんか知らん子供から見てもええ靴なんやろうなぁってわかる代物やけど、おじさんの身につけとるもんからは一つもその感じがせえへん。どれも高価やって見せかけた嘘もんに見える」
「なんだと!? 言わせておけばこのガキ! 痛い目見るぞ!」
「やめてください!!」
男が振り上げた拳に杏儿が雪儿を抱え込むようにして抱きしめるも振り下ろされることはない。
「な、なんなんだ……!」
「その手ぇ下ろしてみぃ。身体中穴ボコだらけになんで」
先ほどまで装飾品を見てキャッキャッしていた香姫たちの手に握られているのは髪に挿していた簪。男を囲むようにして突きつける女たちは誰一人として笑っていない。
「おや~? 何やら物騒なことになってる?」
いつもの格好で咥え煙草をしながら入ってきた瑞成が目を瞬かせながら近付いてくる。
「お、お客さんが来たようだぞ!」
「俺のこと? 俺はここの楼主で、お客じゃないんだよねぇ。この人は?」
「宝石商の人間らしいけど、雪儿は偽物やないかって」
「どれどれ~?」
「そ、それは……!」
「動くんやない!」
瑞成の服と指輪を見た男は慌てて鞄を閉じようと足を動かそうとするも簪がグッと腹に押し当てられたことで動けなくなってしまう。
「あ~、これバリバリの偽物じゃん。上手く磨けば宝石みたいに輝くってだけのカラーストーンだ。今ねぇ、これ流行ってんのよ。本物の宝石に見せかけて流行りのアクセサリーとして販売する詐欺がね。おーおー、強気な値段まで付けちゃって。すごいねぇ」
手にした指輪をポイッと鞄の中に放るとそのまま足を使って鞄の蓋を踏みつけるように閉めた。響く大きな音に香姫たちは簪を下ろしてソファーに腰掛ける。
「で? 紫雫楼の香姫なら金持ってると思ってこの値段?」
「そ、そういうわけでは………!」
「どうせ値札いくつか持ってんでしょ? 店のグレードに合わせて値札を変えて、安いんじゃないかって思わせて売りつける昔ながらの手口。お前、詐欺師だろ?」
「わ、わたくしは──」
煙草を挟む指に着けてある指輪の宝石はまさしく本物で、リングの金も本物。上質な素材で仕立てられたスーツ。ボタン一つとっても高級品。本物を知る男だと瑞成から目を逸らすも流れる汗は止められない。
「彼女たちが必死に稼いだ金、偽物買わせて奪い取るつもりだったんだ?」
「そ、それは……」
「俺ねぇ、無駄な時間って嫌いなんだよねぇ。遠回しに話もしたくないしさぁ、イエスかノーで答えてほしいわけ。それにさ、出張から帰ってきたばっかで疲れてんの。人間、疲れるとどうなるかわかる? 横になりたいってそればっか頭にあるのに、くだらない問題の対応させられるとブチギレそうになるんだよ。普段は抑えられる怒りが抑えられなくなって、怒りに任せて何度も何度も何度も何度も殴りつけたくなるわけ。気が済むまで殴り続けたらストレス発散になるって知ってる? 試して──」
一瞬で視界から姿を消した男は床の上で背を丸めて額を床に押し当てながら腹の底から叫んだ。
「お許しください! すみません! 騙そうとして申し訳ございませんでした!」
「詐欺師だって認めるんだ?」
「はい!!」
「だって。どうする?」
「ムカつくけど、お金取られてへんし。問題起こすんも瑞鳳に叱られるしな。杏儿が正しかったってわけや。ボコボコにはせんでええよ」
同意するように頷く香姫たちに笑顔を見せ、男の肩に手を置くと安堵したように息を吐きながら上げたその顔に瑞成は鼻先に煙草を押し付けた。
「ギャアアアアッ!」
「うちの香姫たちを食い物にしようとした罰は別ね。詐欺師してて痛い目見ないことなんてありえないって現実知れてよかったねぇ」
「あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!」
「雷真、お客様のお帰り」
「はい」
両手に持っていた荷物をそっと下ろしてから床の上でのたうち回る男の首根っこを掴むとそのまま外へと出ていった。その数秒後、ドボンッと水に岩が落ちたような鈍い音が聞こえ、香姫たちが外を覗くとそこに立っていたのは雷真だけで男の姿はなかった。
「お疲れ。ちゃんと帰った?」
「急いでいたようなので川渡りで帰ってもらいました」
「そっ。あ、鞄忘れてんね。大事な商売道具なのに。あーあー、身分証まで置いてっちゃってぇ」
偽物が集められた鞄だけでなく財布や書類などが入った小さい鞄も置きっぱなし。ひっくり返して中身をぶちまけると「あ」と声を漏らした。
「ほんまや……」
「ね?」
瑞成の予想どおり、値札が入った袋が出てきた。
「しかし、よく気付いたね。これだけよく磨かれてたら見抜くの、結構難しいよ」
「瑞成のおかげやんな? 雪儿」
「どういうこと?」
顔を向けると挨拶のように片手を上げた雪儿に笑顔を向けた。
「せやで、雪儿。偽物やったらこんな輝きないはずや」
「……せやろか?」
「偽物だという証拠でも?」
癪に触ったのだろう商人の顔つきがキツくなり、それに同調するように言い方に棘が含まれた。
「雪儿ダメよ」
「姐ちゃん大丈夫やで。雪儿は喧嘩するつもりないから」
抱きしめてくる杏儿の膝に乗ると雪儿は商人を頭の先から足先まで視線を這わしたあと、床に置かれた鞄の中にある宝石を見た。
「雪儿はまだ子供やからこういうもんの価値がわからんだけやって」
場を宥めるように香姫の一人が笑顔で間に立とうとする雪儿は横にズレてくれと言わんばかりにちょいちょいと手を動かす。
「瑞成はええ見本やと思う」
「瑞成?」
「瑞成があんな格好しとるんは龍渓で流行ってきとるからやって言うとった。全部の指にじゃらじゃら指輪しとるんも、男やのに耳飾りしとるんもぜーんぶ流行っとるからって」
「そうです。向こうでは男もピアスをするんですよ。ですからこのアクセサリーは全部──」
「雪儿が気になっとるんは商品やなくておじさんのほうやで」
「わたくし?」
「だから立ってもろてん」
宝石の価値は香姫が言うようにこれっぽっちもわからない。キラキラしていて綺麗という程度の感想しか持てず、それらを身につけたいと思ったことは一度もないのだから。
だから宝石が偽物というより、商人としてやってきた男の拭えない違和感に疑問を持った。
「わたくしの何がおかしいと言うのですか?」
ハッキリと言えと言いたげな態度でドンッと床を踏んだ男から雪儿を遠ざけるように杏儿は腕の力を緩めないまま距離を取る。
「派手な宝石を売りに来たわりには服の色が派手。皆が髪飾りとか買う店の人はみーんな黒い服着とる」
「派手な色を着ただけで偽物扱いですか? 素晴らしい偏見教育を受けていますね」
「瑞成と比べて服の素材が安っぽい感じがする。高いもん扱う商人が安く見える素材の服着とるってどないなんやろ?」
派手な金色のブローチをつけ、上着には金糸で刺繍が施されているが、それが妙に安っぽく見える。
「それにそのズボン」
「ズボン?」
「今の流行りは細身やって言うとった。せやのに流行り語る人間が流行りとは正反対の裾がちょっと広がっとるズボン履くやろか?」
「わたくしはさまざまな国を回るので、一箇所の流行りに留まらないのです! これはここに来る前に訪れた国の流行りだったのです!」
一応納得できる返事に頷くが、雪儿の疑問はまだ続く。
「髪がまとまりすぎとるのはなんでなん?」
「は? 髪はまとめるものでしょう。清潔感とはこういうのを言うのです」
「初めてできた恋人との逢瀬に気合い入れて理髪店行って上品な感じでって注文したら出来上がった髪型みたい」
「的確すぎん?」
「こないだ買い出し行ったらな、理髪店の店主と言い合いしながら出てきた男の人がそない言うて怒とってん。そん人とおんなし髪型しとる」
瑞成の髪型はセットしてあるが、まとまりすぎてはいない。商人の男の髪型がピッシリと櫛で整えたような七三分けの髪型。そこにオイルをつけすぎてテカテカに光っている。とても品ある人間がする髪型とは思えない。
「あと、靴も気になっとる」
「女のあなたに紳士靴の価値がわかるのですか?」
「価値はわからんけど、磨きすぎなことはわかる。通りで靴磨きに磨いてもろてもそこまで輝かんで。瑞成の靴は価値なんか知らん子供から見てもええ靴なんやろうなぁってわかる代物やけど、おじさんの身につけとるもんからは一つもその感じがせえへん。どれも高価やって見せかけた嘘もんに見える」
「なんだと!? 言わせておけばこのガキ! 痛い目見るぞ!」
「やめてください!!」
男が振り上げた拳に杏儿が雪儿を抱え込むようにして抱きしめるも振り下ろされることはない。
「な、なんなんだ……!」
「その手ぇ下ろしてみぃ。身体中穴ボコだらけになんで」
先ほどまで装飾品を見てキャッキャッしていた香姫たちの手に握られているのは髪に挿していた簪。男を囲むようにして突きつける女たちは誰一人として笑っていない。
「おや~? 何やら物騒なことになってる?」
いつもの格好で咥え煙草をしながら入ってきた瑞成が目を瞬かせながら近付いてくる。
「お、お客さんが来たようだぞ!」
「俺のこと? 俺はここの楼主で、お客じゃないんだよねぇ。この人は?」
「宝石商の人間らしいけど、雪儿は偽物やないかって」
「どれどれ~?」
「そ、それは……!」
「動くんやない!」
瑞成の服と指輪を見た男は慌てて鞄を閉じようと足を動かそうとするも簪がグッと腹に押し当てられたことで動けなくなってしまう。
「あ~、これバリバリの偽物じゃん。上手く磨けば宝石みたいに輝くってだけのカラーストーンだ。今ねぇ、これ流行ってんのよ。本物の宝石に見せかけて流行りのアクセサリーとして販売する詐欺がね。おーおー、強気な値段まで付けちゃって。すごいねぇ」
手にした指輪をポイッと鞄の中に放るとそのまま足を使って鞄の蓋を踏みつけるように閉めた。響く大きな音に香姫たちは簪を下ろしてソファーに腰掛ける。
「で? 紫雫楼の香姫なら金持ってると思ってこの値段?」
「そ、そういうわけでは………!」
「どうせ値札いくつか持ってんでしょ? 店のグレードに合わせて値札を変えて、安いんじゃないかって思わせて売りつける昔ながらの手口。お前、詐欺師だろ?」
「わ、わたくしは──」
煙草を挟む指に着けてある指輪の宝石はまさしく本物で、リングの金も本物。上質な素材で仕立てられたスーツ。ボタン一つとっても高級品。本物を知る男だと瑞成から目を逸らすも流れる汗は止められない。
「彼女たちが必死に稼いだ金、偽物買わせて奪い取るつもりだったんだ?」
「そ、それは……」
「俺ねぇ、無駄な時間って嫌いなんだよねぇ。遠回しに話もしたくないしさぁ、イエスかノーで答えてほしいわけ。それにさ、出張から帰ってきたばっかで疲れてんの。人間、疲れるとどうなるかわかる? 横になりたいってそればっか頭にあるのに、くだらない問題の対応させられるとブチギレそうになるんだよ。普段は抑えられる怒りが抑えられなくなって、怒りに任せて何度も何度も何度も何度も殴りつけたくなるわけ。気が済むまで殴り続けたらストレス発散になるって知ってる? 試して──」
一瞬で視界から姿を消した男は床の上で背を丸めて額を床に押し当てながら腹の底から叫んだ。
「お許しください! すみません! 騙そうとして申し訳ございませんでした!」
「詐欺師だって認めるんだ?」
「はい!!」
「だって。どうする?」
「ムカつくけど、お金取られてへんし。問題起こすんも瑞鳳に叱られるしな。杏儿が正しかったってわけや。ボコボコにはせんでええよ」
同意するように頷く香姫たちに笑顔を見せ、男の肩に手を置くと安堵したように息を吐きながら上げたその顔に瑞成は鼻先に煙草を押し付けた。
「ギャアアアアッ!」
「うちの香姫たちを食い物にしようとした罰は別ね。詐欺師してて痛い目見ないことなんてありえないって現実知れてよかったねぇ」
「あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!」
「雷真、お客様のお帰り」
「はい」
両手に持っていた荷物をそっと下ろしてから床の上でのたうち回る男の首根っこを掴むとそのまま外へと出ていった。その数秒後、ドボンッと水に岩が落ちたような鈍い音が聞こえ、香姫たちが外を覗くとそこに立っていたのは雷真だけで男の姿はなかった。
「お疲れ。ちゃんと帰った?」
「急いでいたようなので川渡りで帰ってもらいました」
「そっ。あ、鞄忘れてんね。大事な商売道具なのに。あーあー、身分証まで置いてっちゃってぇ」
偽物が集められた鞄だけでなく財布や書類などが入った小さい鞄も置きっぱなし。ひっくり返して中身をぶちまけると「あ」と声を漏らした。
「ほんまや……」
「ね?」
瑞成の予想どおり、値札が入った袋が出てきた。
「しかし、よく気付いたね。これだけよく磨かれてたら見抜くの、結構難しいよ」
「瑞成のおかげやんな? 雪儿」
「どういうこと?」
顔を向けると挨拶のように片手を上げた雪儿に笑顔を向けた。
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