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恋しい気持ち2
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「いかがなさいました?」
「いや、彼女と夫婦になるんだと思うとなんか……急に色んな感情が込み上げてきて……」
喜びや恥ずかしさが混ざりあっている顔は見せたくない。自分でもひどい顔をしているとわかっているから。膝の間に顔を埋めているアーサーを見下ろしながらハンネスはしょうがない人だと小さな笑みを浮かべる。
「本当はもっと大人にエスコートしてあげたかった。マリーがロマンチックだって喜んでくれるようなことをたくさんしてあげたいんだ。一度だって僕との結婚が間違いだったって思うことのないように、楽しい思い出を毎日作りたい」
「ご主人様の努力次第ですね」
アーサー・アーチボルトが恋に不安になっている姿などレアもレア。誰もこんな姿など想像したこともないだろう。きっと、令嬢たちの間では『アーサー・アーチボルトと付き合ったら~』という話題が出て盛り上がることもあっただろうが、何一つ、アーサーが叶えられるものはなかったはず。大人な恋を演出してくれるアーサー・アーチボルトは妄想の世界でしか存在しない。実際のアーサー・アーチボルトは恋愛初心者なのだ。
「よくキスまでいけましたね」
「勢いで……」
「おやおや、勢いとは。ロマンチックとは最も程遠いものですね」
「後悔はしてないんだけど、反省はしてる」
子供のような反省の仕方に苦笑しながら背中を撫でる。
「マリーはきっと、はじめてのキスだったはず。もっと良い場所で、もっとちゃんとエスコートするべきだったって、今も後悔してる。自分がこんなに欲望に弱いなんて思ってもなかった」
馬車の中で致す貴族たちを散々愚かだなんだと軽蔑してきた自分も馬車の中でキスをした。馬車の中は二人きりで、誰の監視もない。
「エスコートできるほどキスの経験がおありとは意外ですね」
「ハンネス、僕をイジメて楽しいかい?」
「ええ、とても」
アーサー・アーチボルト四十二歳。キスの経験、過去に一度のみ。まだ今時の子供のほうがたくさんしているという現実に大きな溜息をつく。
ハンネスの言い方は意地悪ではあるが、言っていることは正しい。アーサーは知識としてのキスは熟知していると言っても過言ではない。目の前でイチャつくことを何とも思っていない友人たちが恋人や娼婦とキスをするのは何度も見てきた。だからどういう風にすればいいのかぐらい知っている。でもそれだけ。
「私としては、ご主人様があのようなキスができたことが驚きでした」
「見たのか!?」
「音を聞けばわかります」
食むように交わしたキスが奏でるリップ音はハンネスにも届いていた。あれがマリーのファーストキスとなってしまったのだからとんでもないことをしてしまったと今は反省しているが、当時はそんなこと微塵も気にしておらず、マリーの唇の感触を味わうのに必死だった。
「ダサすぎる……」
大人が少女の唇にむしゃぶりつく姿など不気味以外のなんでもないだろうと自らの心に槍を突き立てては立ち上がれなくなったアーサーにハンネスは窓を開けて部屋に空気を入れる。ふわりと拭く風が心地良く、アーサーも思わず顔を上げた。
「どれだけ取り繕っても、それは所詮偽りでしかありません。いつかボロは必ず出るものです」
「でも、マリーはきっと大人な僕を期待してる」
「いつのまに読心術を極められたのですか?」
「そうじゃないけど……」
これが五つぐらいの歳の差であればそれほど気にもならなかっただろう。しかし、マリーは現在十七歳。アーサーが二十五歳のときにこの世に生を受けたのだ。
二十五歳なら結婚していてもおかしくはないし、子を授かっていてもおかしくない。ましてや二十五歳の男なら恋愛の一つや二つ、女の三人や四人抱いていてもなんら不思議ではないのに、アーサーはモテすぎるが故に若くしてその道から外れてしまった。
大人の恋がなんなのか、それさえもわからないのではマリーにガッカリさせてしまうのではないかと不安になっている。
「例えばこの先、キスをしたときに歯がぶつかってしまったらどうします? 歯がぶつかるのを恐れてもうキスはしませんか?」
「まさか。ぶつからないように気をつける」
「そういうことです。失敗から学ぶことがほとんどですよ。一人で考えて行動するばかりでは夫婦の形にはなりません。ご主人様とマリー様は別人なのですから、なんでも話し合うべきなのです」
それは両親を見ていたからよくわかる。アーサーの両親はバカな弟ばかり可愛がって甘やかしてダメにした。夫婦として互いに愛を向けるのではなく自分の愛は次男に向けるだけ。二人の間には愛など存在さえしていなかった。
だからこそ、余計にアーサーは理想を作ってしまう。惜しみなく愛を注いで良い夫婦になりたい。だが、そう考えると疑問が浮かぶ。『良い夫婦とはなんだ?』と。
考えこむアーサーに身体を向けたハンネスはパンパンッと手を叩いて鳴らした。
「見本はあっても真似はできません。ご自分たちの理想を話し合って、一つずつ形を作っていけばいいんです。過去の女性の影が見えないことをマリー様は喜ばれるかもしれませんよ?」
その言葉にアーサーはすんなり納得した。自分とてマリーに過去の恋人の影が見えたら辛い。どんなデートをしたのか。どんなキスをしたのかと無粋に探りたくなってしまうし、勝手に想像して勝手に傷つくだろう。情けない男だとわかっていながらも撃沈するのが容易に想像できてしまう。
もし、マリーが四十二歳の婚約者が恋愛初心者であることと過去の女の影がないことを天秤にかけ、恋愛初心者であることを喜んでくれるなら、アーサーにとってそれは大いなる安堵をもたらしてくれるもの。
「僕の目標はアーネット男爵夫妻なんだ。彼らのような夫婦になりたい。男爵であるからと卑屈になることも媚びることもしない。孫のためなら立場をも捨てられる。孫を守ろうと大公にだって牙を向けられるんだよ、彼らは。でも、受け入れた者には他人だろうと惜しみない愛を分け与える。なかなかできることじゃない。なかなかどころか、そんなことできる人間のほうが少ないよ。信頼し合って、支え合って、愛し合うことだって夫婦だからと簡単なわけじゃない。だからこそ、僕もそうなりたいんだ」
少し前まではマリーと結婚したい。それだけの気持ちだった。だが、すぐにそこにあの二人が加わった。マリーと結婚したい、だけではなく、あの三人の家族になりたいと。あの二人をも幸せにしたい。そして、あの二人のように愛に溢れる夫婦になりたいと思うようになった。
そんなことを思うのは早すぎるかもしれない。でも、既に目標になってしまっている。
「マリーもそうだといいな」
「そうですね」
目標にするにしても真似をしてはいけない。自分たちの夫婦を作り上げることが理想。マリーもそう思ってくれるだろうかと、マリーの笑顔を思い出して小さな笑みを浮かべる。
「会いたいなぁ」
「恋ですねぇ」
「明日、マリーに会いに行っても──」
「ダメです」
「じゃあ明後日──」
「ダメです。予定より長く居たことで仕事が溜まっていると言ったはずです」
山積みになっている仕事はできるだけ早めにこなしていたが、マリーのことを考えるのに時間を使っているせいでマリーに出会う前より仕事を終わらせるペースがずっと遅くなっている。
恋は人をダメにすると言う。良い意味でも悪い意味でも。恋する男である前に彼は大公である。恋にうつつを抜かして腑抜けになってもらっては困るとハンネスは彼を甘やかしはしなかった。
「いや、彼女と夫婦になるんだと思うとなんか……急に色んな感情が込み上げてきて……」
喜びや恥ずかしさが混ざりあっている顔は見せたくない。自分でもひどい顔をしているとわかっているから。膝の間に顔を埋めているアーサーを見下ろしながらハンネスはしょうがない人だと小さな笑みを浮かべる。
「本当はもっと大人にエスコートしてあげたかった。マリーがロマンチックだって喜んでくれるようなことをたくさんしてあげたいんだ。一度だって僕との結婚が間違いだったって思うことのないように、楽しい思い出を毎日作りたい」
「ご主人様の努力次第ですね」
アーサー・アーチボルトが恋に不安になっている姿などレアもレア。誰もこんな姿など想像したこともないだろう。きっと、令嬢たちの間では『アーサー・アーチボルトと付き合ったら~』という話題が出て盛り上がることもあっただろうが、何一つ、アーサーが叶えられるものはなかったはず。大人な恋を演出してくれるアーサー・アーチボルトは妄想の世界でしか存在しない。実際のアーサー・アーチボルトは恋愛初心者なのだ。
「よくキスまでいけましたね」
「勢いで……」
「おやおや、勢いとは。ロマンチックとは最も程遠いものですね」
「後悔はしてないんだけど、反省はしてる」
子供のような反省の仕方に苦笑しながら背中を撫でる。
「マリーはきっと、はじめてのキスだったはず。もっと良い場所で、もっとちゃんとエスコートするべきだったって、今も後悔してる。自分がこんなに欲望に弱いなんて思ってもなかった」
馬車の中で致す貴族たちを散々愚かだなんだと軽蔑してきた自分も馬車の中でキスをした。馬車の中は二人きりで、誰の監視もない。
「エスコートできるほどキスの経験がおありとは意外ですね」
「ハンネス、僕をイジメて楽しいかい?」
「ええ、とても」
アーサー・アーチボルト四十二歳。キスの経験、過去に一度のみ。まだ今時の子供のほうがたくさんしているという現実に大きな溜息をつく。
ハンネスの言い方は意地悪ではあるが、言っていることは正しい。アーサーは知識としてのキスは熟知していると言っても過言ではない。目の前でイチャつくことを何とも思っていない友人たちが恋人や娼婦とキスをするのは何度も見てきた。だからどういう風にすればいいのかぐらい知っている。でもそれだけ。
「私としては、ご主人様があのようなキスができたことが驚きでした」
「見たのか!?」
「音を聞けばわかります」
食むように交わしたキスが奏でるリップ音はハンネスにも届いていた。あれがマリーのファーストキスとなってしまったのだからとんでもないことをしてしまったと今は反省しているが、当時はそんなこと微塵も気にしておらず、マリーの唇の感触を味わうのに必死だった。
「ダサすぎる……」
大人が少女の唇にむしゃぶりつく姿など不気味以外のなんでもないだろうと自らの心に槍を突き立てては立ち上がれなくなったアーサーにハンネスは窓を開けて部屋に空気を入れる。ふわりと拭く風が心地良く、アーサーも思わず顔を上げた。
「どれだけ取り繕っても、それは所詮偽りでしかありません。いつかボロは必ず出るものです」
「でも、マリーはきっと大人な僕を期待してる」
「いつのまに読心術を極められたのですか?」
「そうじゃないけど……」
これが五つぐらいの歳の差であればそれほど気にもならなかっただろう。しかし、マリーは現在十七歳。アーサーが二十五歳のときにこの世に生を受けたのだ。
二十五歳なら結婚していてもおかしくはないし、子を授かっていてもおかしくない。ましてや二十五歳の男なら恋愛の一つや二つ、女の三人や四人抱いていてもなんら不思議ではないのに、アーサーはモテすぎるが故に若くしてその道から外れてしまった。
大人の恋がなんなのか、それさえもわからないのではマリーにガッカリさせてしまうのではないかと不安になっている。
「例えばこの先、キスをしたときに歯がぶつかってしまったらどうします? 歯がぶつかるのを恐れてもうキスはしませんか?」
「まさか。ぶつからないように気をつける」
「そういうことです。失敗から学ぶことがほとんどですよ。一人で考えて行動するばかりでは夫婦の形にはなりません。ご主人様とマリー様は別人なのですから、なんでも話し合うべきなのです」
それは両親を見ていたからよくわかる。アーサーの両親はバカな弟ばかり可愛がって甘やかしてダメにした。夫婦として互いに愛を向けるのではなく自分の愛は次男に向けるだけ。二人の間には愛など存在さえしていなかった。
だからこそ、余計にアーサーは理想を作ってしまう。惜しみなく愛を注いで良い夫婦になりたい。だが、そう考えると疑問が浮かぶ。『良い夫婦とはなんだ?』と。
考えこむアーサーに身体を向けたハンネスはパンパンッと手を叩いて鳴らした。
「見本はあっても真似はできません。ご自分たちの理想を話し合って、一つずつ形を作っていけばいいんです。過去の女性の影が見えないことをマリー様は喜ばれるかもしれませんよ?」
その言葉にアーサーはすんなり納得した。自分とてマリーに過去の恋人の影が見えたら辛い。どんなデートをしたのか。どんなキスをしたのかと無粋に探りたくなってしまうし、勝手に想像して勝手に傷つくだろう。情けない男だとわかっていながらも撃沈するのが容易に想像できてしまう。
もし、マリーが四十二歳の婚約者が恋愛初心者であることと過去の女の影がないことを天秤にかけ、恋愛初心者であることを喜んでくれるなら、アーサーにとってそれは大いなる安堵をもたらしてくれるもの。
「僕の目標はアーネット男爵夫妻なんだ。彼らのような夫婦になりたい。男爵であるからと卑屈になることも媚びることもしない。孫のためなら立場をも捨てられる。孫を守ろうと大公にだって牙を向けられるんだよ、彼らは。でも、受け入れた者には他人だろうと惜しみない愛を分け与える。なかなかできることじゃない。なかなかどころか、そんなことできる人間のほうが少ないよ。信頼し合って、支え合って、愛し合うことだって夫婦だからと簡単なわけじゃない。だからこそ、僕もそうなりたいんだ」
少し前まではマリーと結婚したい。それだけの気持ちだった。だが、すぐにそこにあの二人が加わった。マリーと結婚したい、だけではなく、あの三人の家族になりたいと。あの二人をも幸せにしたい。そして、あの二人のように愛に溢れる夫婦になりたいと思うようになった。
そんなことを思うのは早すぎるかもしれない。でも、既に目標になってしまっている。
「マリーもそうだといいな」
「そうですね」
目標にするにしても真似をしてはいけない。自分たちの夫婦を作り上げることが理想。マリーもそう思ってくれるだろうかと、マリーの笑顔を思い出して小さな笑みを浮かべる。
「会いたいなぁ」
「恋ですねぇ」
「明日、マリーに会いに行っても──」
「ダメです」
「じゃあ明後日──」
「ダメです。予定より長く居たことで仕事が溜まっていると言ったはずです」
山積みになっている仕事はできるだけ早めにこなしていたが、マリーのことを考えるのに時間を使っているせいでマリーに出会う前より仕事を終わらせるペースがずっと遅くなっている。
恋は人をダメにすると言う。良い意味でも悪い意味でも。恋する男である前に彼は大公である。恋にうつつを抜かして腑抜けになってもらっては困るとハンネスは彼を甘やかしはしなかった。
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