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第三王女オリヴィア
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「えっと……確か……お兄様の元婚約者の……」
「オリヴィア。元婚約者って言い方しないで、不愉快」
「申し訳ございません、オリヴィア王女」
紋章に見覚えがあったわけだと思うと同時に覚えていなかったことにも納得。
オリヴィアとカイルは何度か会っていてもアリスは一度会っただけ。そのときのオリヴィアはカイルしか見ておらず、アリスとの会話はゼロに等しかった。
王女と言えど小国の王女であり、権力はベンフィールド家のほうが上と言っても過言ではない。カイルはそう言っていた。
『力なき王女が立場も弁えず愚かに偉そうぶる様は哀れだ』
本人には直接言うことはなかったが、冷たい言い方をした兄がオリヴィアに好意を寄せていないのはわかった。
「兄はまだ帰っていませんが──」
「あなたに話があってわざわざここまで足を運んだの」
カイルではなく自分にお客だと言われたため、そうだろうとは思っていたが確認した結果やはり自分にだった。
だが、アリスにとってオリヴィアの訪問には疑問しかない。ほとんど話したことがない相手がなぜ自分に話があるのか。
不思議そうな顔を見せるアリスをオリヴィアは小馬鹿にしたように鼻で笑った。
「あなた、カイルの妹のわりには随分と地味なのね」
「ええ、まあ、そうですね」
否定はしない。言われ慣れた言葉だ。
「公爵令嬢がそんなに地味なお顔で恥ずかしくないのかしら?」
「全然」
「……でもカイルはどうかしら? 妹が地味なお顔なんて嫌だと思うけど」
「兄は素顔が一番可愛いと言ってくれますよ、毎日」
「…………自慢してるつもり?」
「いえ、事実を言っているだけです」
カイルと話しているときのオリヴィアは上品だが甘え上手という印象だった。
しかし今、こうして直接話してみて思ったのはティーナタイプであるということ。
王族侮辱罪にならない程度に相手をするしかないと嫌味の如くため息を吐きたいのを堪えてオリヴィアを見た。物凄い表情でこちらを見ている。
「カイルが私のことをなんと言っているかは知らないけど、私はカイルと結婚すると決めているの」
(名前すら出てこないと言ったらショック受けるよね……?)
「でもカイルは妹が結婚するまでは兄として傍で見守ってやる義務があるとおっしゃるの。兄が先に結婚をするのが普通なのに。それを妹のために流してしまうのよ。兄の幸せを奪ってるって気付いてる?」
「私は兄に自由に結婚してほしいと言っています」
「でもあなたが頼りないからカイルはあなたを心配して結婚の意思を固めない。そうでしょ?」
「そうだと思います」
詰めてくるやり方も言い方もティーナにそっくりだと思った。
そしてこういうタイプは指摘すると途端にキレ始める。
ティーナであれば無視でいいが、相手は小国だろうと王女は王女。立場が立場なだけにティーナより面倒だと感じる。
「だったらさっさと結婚すべきじゃない? あなたがカイルに結婚してほしいと願っていてもカイルはあなたが結婚するまで結婚しないとおっしゃってる。だったらあなたが結婚すれば全て解決じゃない」
「私は婚約者がいませんし、結婚する相手は兄が決めることになっているんです」
「頼めばいいじゃない」
「兄はまだ私に結婚は早いと言っています」
「ッ~~~! なんなのよ!!」
怒り方もそっくり。姉妹なのではないかと疑ってしまう。
妹が兄にべったりだからだと指摘しに来たオリヴィアだが、何を言っても淡々と返されてしまうことに苛立ちを見せはじめた。
「だったらなに? あなたの話が本当だとして、あなたが結婚するまで私とカイルは結婚できないってこと!?」
「兄は頑固で、一度決めたら親が言おうと譲りません。なので……断言はできませんが、たぶんそうである可能性は高いかと……」
めちゃくちゃな言い方をしている自覚はあるが、どう言うのが正しいのかわからなかった。
カイルに結婚の意思はない。もし少しでもオリヴィアを気に入っていれば何度か会話に名前が出てきたはずだ。それが一度もなかったということはカイルの中でオリヴィアは婚約者候補にはならなかったということ。
それを伝えるべきかどうか迷っていた。
「お兄様は婚約破棄の手紙を送ったと言っていましたが……」
「そうよ! あんなの納得できるわけないもの! 先日、聖フォンス学園前まで行ったの、カイルに会いにね! でも見たのはカイルの素敵な姿ではなく、妹のあなたにキスをする姿だった! ショックを受けたわ!」
「ショック?」
「そうよ! だって妹にあんなにデレデレして! あれは妻にこそ向けるべき顔! どうしてあなたに向けるの!?」
「妹だからだと思いますけど……」
異常な過保護だからだと思うもオリヴィアがそれを知っているかは知らなかった。言ってしまえば諦めるかもしれない、それがカイルのためになるかもしれないと思ったが、オリヴィアの性格から察するに言ったところで「妹であるあなたが離れないからでしょ!」と言うのは目に見えていた。
「私の話聞いてた?」
「はい」
「あっそ! だったら話を理解する頭が足りないのね!」
怖いというより面倒くさいという感情が勝っている。許されるなら今すぐ立ち上がって部屋を飛び出し自室に帰ってベッドに飛び込みたい。
相手が王女でなければ適当に理由をつけて早々に退散している。
「あなたが私より美人だったら私も諦められたわよ! でもあなたが私より勝ってるとこなんて何一つないじゃない!」
「そうですね」
「じゃあどうして私を拒むの!? 条件は最高よ!? 見てよ、この顔! 身体! 王女! どこに不満があるってわけ!?」
確かに顔は美人だし、胸は今にもドレスからこぼれ落ちそうなほど大きい。ウエストのくびれはコルセットで絞めているためわからないがスタイルは良い。王女であるのも確か。
だが、カイルは外見や地位だけで婚約者を決めることはない。
「カイルが好きなタイプってどんな人?」
ズイッと身を乗り出してきたオリヴィアに思わず少し背を反らす。
「さあ……兄は女性の話はしないので……」
「まさか男色家!?」
「わかりません」
「だったらあなた、私に協力して!」
「……え?」
あれだけ人をバカにしておきながら何を言ってるんだとアリスは目を瞬かせる。
こんな人間と兄を結ばせる協力をするぐらいならここで鞭打ちを受けたほうがマシだとさえ思った。
「あなた、妹でしょ? 兄と恋の話をするぐらい簡単じゃない。そこでカイルの好みのタイプを聞き出して私に手紙を送りなさい」
「兄は私が恋の話をするのを極端に嫌うので」
「でもしたいんだって言いなさいよ。しないと嫌いになるって」
嫌いというワードは禁忌にも近い。よほどのことがない限りは使わないようにしている。
オリヴィアは何かあればそうやって使ってきたのだろうとアリスは思った。
「兄は恋に興味がないんです。両親から聞かれたときも好きになった相手が好みだと言っていましたし、結婚したくなったらするとも言っていました。それまでは放っておいてくれと。そういう話になると不機嫌になるので我が家では話題にしないことにしているんです」
「でも妹なんだからできるでしょ? やりなさいよ」
なぜこうも自分の周りには面倒な人間ばかり集まるんだろうと頭を抱えたくなる。
人に命令し慣れているオリヴィアにとってこれは非常識でもなんでもない。自分の望みを叶えるために協力“させてやってる”だけの話。
「ねえ、どうしてイエスの一つが言えないわけ? それぐらいしか役に立てないんだからやりなさいよ」
「兄の嫌がることはしたくありません」
「私のお願いが聞けないって言うの!?」
「私にとって大切なのは王女様ではなく兄なんですッ」
殴られるのではないかと思わず頭を抱えて身構えるアリスにオリヴィアが声を上げる。
「はぁぁあああああああ!? 私のお願いが聞けないなんてどういうこと!? 私のお願いを断るなんて一体何様のつもりなの!? 処刑されたい──」
「それはこちらのセリフです」
鬼の形相へと変化したオリヴィアの怒声が響き渡る中、ガチャリと音を立ててドアが開き、怒気を含んだ声と共にカイルが現れた。
「オリヴィア。元婚約者って言い方しないで、不愉快」
「申し訳ございません、オリヴィア王女」
紋章に見覚えがあったわけだと思うと同時に覚えていなかったことにも納得。
オリヴィアとカイルは何度か会っていてもアリスは一度会っただけ。そのときのオリヴィアはカイルしか見ておらず、アリスとの会話はゼロに等しかった。
王女と言えど小国の王女であり、権力はベンフィールド家のほうが上と言っても過言ではない。カイルはそう言っていた。
『力なき王女が立場も弁えず愚かに偉そうぶる様は哀れだ』
本人には直接言うことはなかったが、冷たい言い方をした兄がオリヴィアに好意を寄せていないのはわかった。
「兄はまだ帰っていませんが──」
「あなたに話があってわざわざここまで足を運んだの」
カイルではなく自分にお客だと言われたため、そうだろうとは思っていたが確認した結果やはり自分にだった。
だが、アリスにとってオリヴィアの訪問には疑問しかない。ほとんど話したことがない相手がなぜ自分に話があるのか。
不思議そうな顔を見せるアリスをオリヴィアは小馬鹿にしたように鼻で笑った。
「あなた、カイルの妹のわりには随分と地味なのね」
「ええ、まあ、そうですね」
否定はしない。言われ慣れた言葉だ。
「公爵令嬢がそんなに地味なお顔で恥ずかしくないのかしら?」
「全然」
「……でもカイルはどうかしら? 妹が地味なお顔なんて嫌だと思うけど」
「兄は素顔が一番可愛いと言ってくれますよ、毎日」
「…………自慢してるつもり?」
「いえ、事実を言っているだけです」
カイルと話しているときのオリヴィアは上品だが甘え上手という印象だった。
しかし今、こうして直接話してみて思ったのはティーナタイプであるということ。
王族侮辱罪にならない程度に相手をするしかないと嫌味の如くため息を吐きたいのを堪えてオリヴィアを見た。物凄い表情でこちらを見ている。
「カイルが私のことをなんと言っているかは知らないけど、私はカイルと結婚すると決めているの」
(名前すら出てこないと言ったらショック受けるよね……?)
「でもカイルは妹が結婚するまでは兄として傍で見守ってやる義務があるとおっしゃるの。兄が先に結婚をするのが普通なのに。それを妹のために流してしまうのよ。兄の幸せを奪ってるって気付いてる?」
「私は兄に自由に結婚してほしいと言っています」
「でもあなたが頼りないからカイルはあなたを心配して結婚の意思を固めない。そうでしょ?」
「そうだと思います」
詰めてくるやり方も言い方もティーナにそっくりだと思った。
そしてこういうタイプは指摘すると途端にキレ始める。
ティーナであれば無視でいいが、相手は小国だろうと王女は王女。立場が立場なだけにティーナより面倒だと感じる。
「だったらさっさと結婚すべきじゃない? あなたがカイルに結婚してほしいと願っていてもカイルはあなたが結婚するまで結婚しないとおっしゃってる。だったらあなたが結婚すれば全て解決じゃない」
「私は婚約者がいませんし、結婚する相手は兄が決めることになっているんです」
「頼めばいいじゃない」
「兄はまだ私に結婚は早いと言っています」
「ッ~~~! なんなのよ!!」
怒り方もそっくり。姉妹なのではないかと疑ってしまう。
妹が兄にべったりだからだと指摘しに来たオリヴィアだが、何を言っても淡々と返されてしまうことに苛立ちを見せはじめた。
「だったらなに? あなたの話が本当だとして、あなたが結婚するまで私とカイルは結婚できないってこと!?」
「兄は頑固で、一度決めたら親が言おうと譲りません。なので……断言はできませんが、たぶんそうである可能性は高いかと……」
めちゃくちゃな言い方をしている自覚はあるが、どう言うのが正しいのかわからなかった。
カイルに結婚の意思はない。もし少しでもオリヴィアを気に入っていれば何度か会話に名前が出てきたはずだ。それが一度もなかったということはカイルの中でオリヴィアは婚約者候補にはならなかったということ。
それを伝えるべきかどうか迷っていた。
「お兄様は婚約破棄の手紙を送ったと言っていましたが……」
「そうよ! あんなの納得できるわけないもの! 先日、聖フォンス学園前まで行ったの、カイルに会いにね! でも見たのはカイルの素敵な姿ではなく、妹のあなたにキスをする姿だった! ショックを受けたわ!」
「ショック?」
「そうよ! だって妹にあんなにデレデレして! あれは妻にこそ向けるべき顔! どうしてあなたに向けるの!?」
「妹だからだと思いますけど……」
異常な過保護だからだと思うもオリヴィアがそれを知っているかは知らなかった。言ってしまえば諦めるかもしれない、それがカイルのためになるかもしれないと思ったが、オリヴィアの性格から察するに言ったところで「妹であるあなたが離れないからでしょ!」と言うのは目に見えていた。
「私の話聞いてた?」
「はい」
「あっそ! だったら話を理解する頭が足りないのね!」
怖いというより面倒くさいという感情が勝っている。許されるなら今すぐ立ち上がって部屋を飛び出し自室に帰ってベッドに飛び込みたい。
相手が王女でなければ適当に理由をつけて早々に退散している。
「あなたが私より美人だったら私も諦められたわよ! でもあなたが私より勝ってるとこなんて何一つないじゃない!」
「そうですね」
「じゃあどうして私を拒むの!? 条件は最高よ!? 見てよ、この顔! 身体! 王女! どこに不満があるってわけ!?」
確かに顔は美人だし、胸は今にもドレスからこぼれ落ちそうなほど大きい。ウエストのくびれはコルセットで絞めているためわからないがスタイルは良い。王女であるのも確か。
だが、カイルは外見や地位だけで婚約者を決めることはない。
「カイルが好きなタイプってどんな人?」
ズイッと身を乗り出してきたオリヴィアに思わず少し背を反らす。
「さあ……兄は女性の話はしないので……」
「まさか男色家!?」
「わかりません」
「だったらあなた、私に協力して!」
「……え?」
あれだけ人をバカにしておきながら何を言ってるんだとアリスは目を瞬かせる。
こんな人間と兄を結ばせる協力をするぐらいならここで鞭打ちを受けたほうがマシだとさえ思った。
「あなた、妹でしょ? 兄と恋の話をするぐらい簡単じゃない。そこでカイルの好みのタイプを聞き出して私に手紙を送りなさい」
「兄は私が恋の話をするのを極端に嫌うので」
「でもしたいんだって言いなさいよ。しないと嫌いになるって」
嫌いというワードは禁忌にも近い。よほどのことがない限りは使わないようにしている。
オリヴィアは何かあればそうやって使ってきたのだろうとアリスは思った。
「兄は恋に興味がないんです。両親から聞かれたときも好きになった相手が好みだと言っていましたし、結婚したくなったらするとも言っていました。それまでは放っておいてくれと。そういう話になると不機嫌になるので我が家では話題にしないことにしているんです」
「でも妹なんだからできるでしょ? やりなさいよ」
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人に命令し慣れているオリヴィアにとってこれは非常識でもなんでもない。自分の望みを叶えるために協力“させてやってる”だけの話。
「ねえ、どうしてイエスの一つが言えないわけ? それぐらいしか役に立てないんだからやりなさいよ」
「兄の嫌がることはしたくありません」
「私のお願いが聞けないって言うの!?」
「私にとって大切なのは王女様ではなく兄なんですッ」
殴られるのではないかと思わず頭を抱えて身構えるアリスにオリヴィアが声を上げる。
「はぁぁあああああああ!? 私のお願いが聞けないなんてどういうこと!? 私のお願いを断るなんて一体何様のつもりなの!? 処刑されたい──」
「それはこちらのセリフです」
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