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歳を取れば
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ジルヴァが十三歳になる頃、ロイクは咳が増えた。
「おいジジイ、また咳してんじゃねぇか」
「風邪か?」
「歳取れば肺が弱る。十三年しか生きてねぇお前らにはわからねぇだろうがな」
「痰が絡んでるもんな」
「煙草の吸いすぎだろ」
「だからお前は吸うなって言ってんだ」
煙草を吸えば痰も咳も増えると言うが、まだ若いジルヴァたちにはわからない。二人はロイクに拾われてから煙草とは縁を切り、ロイクが言ったように自分の稼ぎで買えるようになっても買わないと誓った。
煙草を吸い始めて数十年。今更ロイクにやめろと言ったところでやめられるはずがないしやめるつもりもないだろうから誰も煙草をやめろとは言わないが、今年に入ってから毎日咳をしていることが気にかかっていた。
「どこ行くんだよ」
「昼休憩の煙草に決まってんだろ。いちいち聞くな。お前は俺の母ちゃんか」
「そんなジジイ産んだ覚えねぇよ」
「育てられた覚えもねぇしな」
昼休み、ロイクはいつもどおりだった。ひどい咳をし続けているわけではない。何度か咳をして痰を吐き出せば終わる。オージたちも煙草を吸っているためわかるわかると同意しているが、ジルヴァは喫煙者という言葉で片付けられない嫌な不安を感じていた。
「おい、賄いなくなっちまうぞ」
「俺の分まで食って太れ」
いつもならすぐに漂ってくる煙草の匂いがしない。おかしいと感じたジルヴァは立ち上がって外へと向かう。
裏口のドアを開ければいつもならすぐそこに立っているのに今日は姿が見えない。
「クソジジイ! どこだ!」
大声を張り上げても返事はない。辺りを見回し、右に行くべきか左に行くべきか迷って左へと向かう。
「たぶんあそこだ」
左に曲がり、森の中へと入っていく。煙草の匂いはしないが、森の中ではいつも吸わないようにしている。新鮮な空気を汚すわけにはいかないからと。だからこの先にいる確証はまだないが、なんとなくそんな気がして突っ走った。
「いた……」
墓に向かう一本道。前方を歩くロイクの姿が見えた。大きく息を吐き出して安堵したように呟くジルヴァがもう一度呼ぶ。
「クソジジイ!」
その声にロイクの足が止まり振り向いた。
「何してんだ?」
「それはこっちのセリフだ! 煙草吸いに行くって言っただろ!」
「吸いに来たじゃねぇか」
「森じゃ吸わねぇだろ」
「皿とグラスの回収に来たんだよ」
「ならそう言ってけよ」
夜中の墓参りを知っているのはジルヴァたちだけだが、フクーシャの墓参りにはオージたちも行くためグラスと皿があることは毎年見ている。だから「皿とグラスの回収」と言ったところで誰も笑いはしないのに言わなかった。わざわざ言うような性格ではないとわかっているが、お説教よりも聞いている咳が気になって苛立った感じの悪い言い方をしてしまう。
「悪かったよ」
大人の対応をするロイクにもう一度ゆっくり息を吐き出して冷静になると小走りで隣に立ち、一緒にフクーシャの墓まで行く。
「なあ、病院行ったらどうだ? 医者に診てもらえよ」
「もう診てもらったんだよ」
「……診断は?」
「癌」
ジルヴァは医者でもなければ医療の知識もない。知っているのは怪我したときの手当て方法ぐらいだが、癌は聞いたことがある。不治の病だと。ドクンッと大きく心臓が跳ね、毛穴が一瞬で開いた感じがした。
「は……?」
十歳までロイクはジルヴァの人生にはいなかった。まだ出会って三年。いなかった人生のほうが長いが、それでも十三年間生きてきた中でこの三年が一番幸せだった。それは間違いなくロイクのおかげで、シェフになるという夢を持てたのもロイクのおかげ。だから大人になったらアルフィオと恩返しをすると誓った。フクシアをこの国一番の店にしてロイクを大金持ちにするんだと。
成人するまでまだ三年ある。それまでロイクはいるのか? そんな不安にジルヴァの足が止まる。
「どうせ嘘だろ……」
「ああ、嘘だ」
ケロッと嘘を認めたロイクに目を見開いたジルヴァの蹴りがロイクの尻にヒットする。
「い、いてぇ……!」
強烈な蹴りに膝をついたロイクの腹を手加減して蹴った。
「やりすぎだろ……」
「どっちがやりすぎだ。嘘でも言っていいことと悪いことがあんだろうが!」
ジルヴァの怒声に含まれる悲痛な叫びに立ち上がったロイクが苦笑しながら「そうだな」と呟いた。
「悪かったよ。冗談でも言うことじゃなかった。お前が怒るのも当然だ」
「当たり前だろ。フクーシャに報告するからな」
「怒られるじゃねぇか。やめろよ」
「絶対言う」
大股で進んでいくジルヴァは墓の前に立ってロイクが嘘をついたことをフクーシャに報告する。いかにバカでひどい人間かを語る様子に笑いながら隣に立って言い訳をした。
グラスと皿を持ったのは昼休みが終わる少し前。
「どうした?」
ドアの前で立ち止まって入ろうとしないロイクに振り返ると皿とグラスが差し出される。
「あ?」
「煙草吸うから先に入ってろ」
「置いとくからな」
「洗ってくれよー」
「やだ。奥さんの食った食器は旦那が洗うって決まってんだよ」
「作ったのに洗い物まですんのかよ」
「それも今度報告しとく」
「お前すぐチクりやがるな、このチクリ虫」
「チクられて困るようなこと言ってんじゃねぇよ」
ドアが閉まるといつもの場所に立って煙草に火をつける。中からはオージたちの賑やかな声が聞こえてくる。晴れた空を見上げながら彼らの声を聞いて煙草を吸う。これをもう何年続けているだろうとふと思い出すも首を振る。まだ仕事が残っているのにそういうことを思い出すと感傷的になってしまう。まだ愛しい妻が笑顔で働いていた日のことまで思い出してしまうから。
「オーナー、コイツが癌について聞いてくるんですけど知らねぇっつったらバカに聞いたのが間違いだったって言いやがるんですよ。教育してくださいよ」
「オメーそりゃ事実だからどうしようもねぇぞ」
「ひどい!」
ドアを開ければいつもどおりギャアギャアと言い合いが行われている。主にジルヴァとオージ。オージはコミュニケーション能力が高いため子供であろうと簡単に合わせることができる。だからジルヴァにとってオージは良い玩具となっている。
ロイクはこういう光景を見ながら常々思うことがある。人と関わる仕事をするならまず店側の人間が笑顔でいなければならない。客は店員に会いに来ているのではなく飯を食いに来ているのだが、笑顔で来て笑顔で帰ってもらうには彼らの笑顔を維持しなければならない。それは料理だけが美味くてもダメだと。それに気付いたのは客がくれた一言だった。
『ここはいつ来ても皆が元気でいいね。ここに来るだけで笑顔になれるよ。アンタらの笑顔に元気をもらってる』
料理はどんな場所でも材料さえあれば美味い物を作れる自信がある。それは五十年培ってきた腕があるから。ボケなければレシピはいつでもどこでも思い出せる。ボケたって思い出せるかもしれない。だが、笑顔でいることは忘れなかっただろうかと振り返ると集中しすぎて誰かに笑顔を見せることを忘れていることもあった。
ありがとうございました。その一言を真顔で言うか笑顔で言うかの実験をした際、真顔で言うと会釈が返ってくることが多かったが、笑顔で言うとほとんどの客が笑顔を返してくれた。
フクーシャがいつも笑顔でいた理由がそのときようやくわかった。その大事さが。
だからその日から笑顔でいることを心がけようと皆で話し合った。暗い気持ちの日はムリしなくていい。休んだっていい。でも元気な日は笑顔でいてほしいと皆に伝えた。
売り上げこそこの国一番ではないが、全従業員が笑顔でいるレストランはこの国じゃこの店だけだと自負している。
努力してくれている彼らには感謝してもしきれない。その思いはジルヴァたちを育てるようになってから更に強くなった。
「咳出すぎだってうるせーから癌だって言ったら怒っちまってよ。お前に八つ当たりしてんだわ」
「お前なぁ、オーナーが癌なわけねぇだろ。俺にバカバカ言ってねぇでその細い目開けてちゃんとオーナーの顔色見やがれ。肌艶良すぎだろ」
「もともと腐った色してっからわかんねんだよ。いてッ!」
頭上に落とされた拳骨に痛みを訴えるジルヴァに皆が大笑いする。オージの笑い方が一番腹が立つため股を蹴ろうとするも防がれる。
「チッ!」
大きく舌打ちをするジルヴァの髪を乱暴に撫でたロイクが手を叩いて「仕込みするぞ!」と声を張る。その笑顔は誰が見ても元気で、声にも張りがある。咳が止まらなくなったり急にトイレや裏口に走ったり倒れるわけでもない。そんなことはまだ一度も起こっていない。
「気にしすぎだって」
通り過ぎ様に背中を叩くアルフィオの言うとおりかもしれない。嘘で癌だと言う人間ではない。そんなことフクーシャが許さない。
でもジルヴァの中ではずっと引っかかっていた。あの日、夜ではなく昼休みにわざわざ森へ向かったのは命日に置いた食器を下げるためではなく、フクーシャに何か話に向かったのではないか。そこに自分がやってきたから食器を下げるという体のいい嘘をついた。そう考えていた。
その嫌な不安は二年経っても消えることはなかった。
「おいジジイ、また咳してんじゃねぇか」
「風邪か?」
「歳取れば肺が弱る。十三年しか生きてねぇお前らにはわからねぇだろうがな」
「痰が絡んでるもんな」
「煙草の吸いすぎだろ」
「だからお前は吸うなって言ってんだ」
煙草を吸えば痰も咳も増えると言うが、まだ若いジルヴァたちにはわからない。二人はロイクに拾われてから煙草とは縁を切り、ロイクが言ったように自分の稼ぎで買えるようになっても買わないと誓った。
煙草を吸い始めて数十年。今更ロイクにやめろと言ったところでやめられるはずがないしやめるつもりもないだろうから誰も煙草をやめろとは言わないが、今年に入ってから毎日咳をしていることが気にかかっていた。
「どこ行くんだよ」
「昼休憩の煙草に決まってんだろ。いちいち聞くな。お前は俺の母ちゃんか」
「そんなジジイ産んだ覚えねぇよ」
「育てられた覚えもねぇしな」
昼休み、ロイクはいつもどおりだった。ひどい咳をし続けているわけではない。何度か咳をして痰を吐き出せば終わる。オージたちも煙草を吸っているためわかるわかると同意しているが、ジルヴァは喫煙者という言葉で片付けられない嫌な不安を感じていた。
「おい、賄いなくなっちまうぞ」
「俺の分まで食って太れ」
いつもならすぐに漂ってくる煙草の匂いがしない。おかしいと感じたジルヴァは立ち上がって外へと向かう。
裏口のドアを開ければいつもならすぐそこに立っているのに今日は姿が見えない。
「クソジジイ! どこだ!」
大声を張り上げても返事はない。辺りを見回し、右に行くべきか左に行くべきか迷って左へと向かう。
「たぶんあそこだ」
左に曲がり、森の中へと入っていく。煙草の匂いはしないが、森の中ではいつも吸わないようにしている。新鮮な空気を汚すわけにはいかないからと。だからこの先にいる確証はまだないが、なんとなくそんな気がして突っ走った。
「いた……」
墓に向かう一本道。前方を歩くロイクの姿が見えた。大きく息を吐き出して安堵したように呟くジルヴァがもう一度呼ぶ。
「クソジジイ!」
その声にロイクの足が止まり振り向いた。
「何してんだ?」
「それはこっちのセリフだ! 煙草吸いに行くって言っただろ!」
「吸いに来たじゃねぇか」
「森じゃ吸わねぇだろ」
「皿とグラスの回収に来たんだよ」
「ならそう言ってけよ」
夜中の墓参りを知っているのはジルヴァたちだけだが、フクーシャの墓参りにはオージたちも行くためグラスと皿があることは毎年見ている。だから「皿とグラスの回収」と言ったところで誰も笑いはしないのに言わなかった。わざわざ言うような性格ではないとわかっているが、お説教よりも聞いている咳が気になって苛立った感じの悪い言い方をしてしまう。
「悪かったよ」
大人の対応をするロイクにもう一度ゆっくり息を吐き出して冷静になると小走りで隣に立ち、一緒にフクーシャの墓まで行く。
「なあ、病院行ったらどうだ? 医者に診てもらえよ」
「もう診てもらったんだよ」
「……診断は?」
「癌」
ジルヴァは医者でもなければ医療の知識もない。知っているのは怪我したときの手当て方法ぐらいだが、癌は聞いたことがある。不治の病だと。ドクンッと大きく心臓が跳ね、毛穴が一瞬で開いた感じがした。
「は……?」
十歳までロイクはジルヴァの人生にはいなかった。まだ出会って三年。いなかった人生のほうが長いが、それでも十三年間生きてきた中でこの三年が一番幸せだった。それは間違いなくロイクのおかげで、シェフになるという夢を持てたのもロイクのおかげ。だから大人になったらアルフィオと恩返しをすると誓った。フクシアをこの国一番の店にしてロイクを大金持ちにするんだと。
成人するまでまだ三年ある。それまでロイクはいるのか? そんな不安にジルヴァの足が止まる。
「どうせ嘘だろ……」
「ああ、嘘だ」
ケロッと嘘を認めたロイクに目を見開いたジルヴァの蹴りがロイクの尻にヒットする。
「い、いてぇ……!」
強烈な蹴りに膝をついたロイクの腹を手加減して蹴った。
「やりすぎだろ……」
「どっちがやりすぎだ。嘘でも言っていいことと悪いことがあんだろうが!」
ジルヴァの怒声に含まれる悲痛な叫びに立ち上がったロイクが苦笑しながら「そうだな」と呟いた。
「悪かったよ。冗談でも言うことじゃなかった。お前が怒るのも当然だ」
「当たり前だろ。フクーシャに報告するからな」
「怒られるじゃねぇか。やめろよ」
「絶対言う」
大股で進んでいくジルヴァは墓の前に立ってロイクが嘘をついたことをフクーシャに報告する。いかにバカでひどい人間かを語る様子に笑いながら隣に立って言い訳をした。
グラスと皿を持ったのは昼休みが終わる少し前。
「どうした?」
ドアの前で立ち止まって入ろうとしないロイクに振り返ると皿とグラスが差し出される。
「あ?」
「煙草吸うから先に入ってろ」
「置いとくからな」
「洗ってくれよー」
「やだ。奥さんの食った食器は旦那が洗うって決まってんだよ」
「作ったのに洗い物まですんのかよ」
「それも今度報告しとく」
「お前すぐチクりやがるな、このチクリ虫」
「チクられて困るようなこと言ってんじゃねぇよ」
ドアが閉まるといつもの場所に立って煙草に火をつける。中からはオージたちの賑やかな声が聞こえてくる。晴れた空を見上げながら彼らの声を聞いて煙草を吸う。これをもう何年続けているだろうとふと思い出すも首を振る。まだ仕事が残っているのにそういうことを思い出すと感傷的になってしまう。まだ愛しい妻が笑顔で働いていた日のことまで思い出してしまうから。
「オーナー、コイツが癌について聞いてくるんですけど知らねぇっつったらバカに聞いたのが間違いだったって言いやがるんですよ。教育してくださいよ」
「オメーそりゃ事実だからどうしようもねぇぞ」
「ひどい!」
ドアを開ければいつもどおりギャアギャアと言い合いが行われている。主にジルヴァとオージ。オージはコミュニケーション能力が高いため子供であろうと簡単に合わせることができる。だからジルヴァにとってオージは良い玩具となっている。
ロイクはこういう光景を見ながら常々思うことがある。人と関わる仕事をするならまず店側の人間が笑顔でいなければならない。客は店員に会いに来ているのではなく飯を食いに来ているのだが、笑顔で来て笑顔で帰ってもらうには彼らの笑顔を維持しなければならない。それは料理だけが美味くてもダメだと。それに気付いたのは客がくれた一言だった。
『ここはいつ来ても皆が元気でいいね。ここに来るだけで笑顔になれるよ。アンタらの笑顔に元気をもらってる』
料理はどんな場所でも材料さえあれば美味い物を作れる自信がある。それは五十年培ってきた腕があるから。ボケなければレシピはいつでもどこでも思い出せる。ボケたって思い出せるかもしれない。だが、笑顔でいることは忘れなかっただろうかと振り返ると集中しすぎて誰かに笑顔を見せることを忘れていることもあった。
ありがとうございました。その一言を真顔で言うか笑顔で言うかの実験をした際、真顔で言うと会釈が返ってくることが多かったが、笑顔で言うとほとんどの客が笑顔を返してくれた。
フクーシャがいつも笑顔でいた理由がそのときようやくわかった。その大事さが。
だからその日から笑顔でいることを心がけようと皆で話し合った。暗い気持ちの日はムリしなくていい。休んだっていい。でも元気な日は笑顔でいてほしいと皆に伝えた。
売り上げこそこの国一番ではないが、全従業員が笑顔でいるレストランはこの国じゃこの店だけだと自負している。
努力してくれている彼らには感謝してもしきれない。その思いはジルヴァたちを育てるようになってから更に強くなった。
「咳出すぎだってうるせーから癌だって言ったら怒っちまってよ。お前に八つ当たりしてんだわ」
「お前なぁ、オーナーが癌なわけねぇだろ。俺にバカバカ言ってねぇでその細い目開けてちゃんとオーナーの顔色見やがれ。肌艶良すぎだろ」
「もともと腐った色してっからわかんねんだよ。いてッ!」
頭上に落とされた拳骨に痛みを訴えるジルヴァに皆が大笑いする。オージの笑い方が一番腹が立つため股を蹴ろうとするも防がれる。
「チッ!」
大きく舌打ちをするジルヴァの髪を乱暴に撫でたロイクが手を叩いて「仕込みするぞ!」と声を張る。その笑顔は誰が見ても元気で、声にも張りがある。咳が止まらなくなったり急にトイレや裏口に走ったり倒れるわけでもない。そんなことはまだ一度も起こっていない。
「気にしすぎだって」
通り過ぎ様に背中を叩くアルフィオの言うとおりかもしれない。嘘で癌だと言う人間ではない。そんなことフクーシャが許さない。
でもジルヴァの中ではずっと引っかかっていた。あの日、夜ではなく昼休みにわざわざ森へ向かったのは命日に置いた食器を下げるためではなく、フクーシャに何か話に向かったのではないか。そこに自分がやってきたから食器を下げるという体のいい嘘をついた。そう考えていた。
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