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別れ
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あまりに突然告げられた一方的すぎる発言にエイベルが納得できるわけがない。聞いていた会話の中で家族に気付かれているようなものはなかった。むしろくだらない日常会話が続いていたのに、なぜ急に別れを告げられなければならないのか、エイベルには理解できない。
できる限りの愛情を示してきたつもりだった。誤魔化してきた感情もあったが、それでも自分なりにクラリッサを大事にしてきたつもりだった。
クラリッサは好きという好意を真に受けないところはあった。パーティーで自分に会いに来る人間は必ず言う台詞で、そこに愛はなく、ただ美味しいから好きだと好物を述べるのと同じだと言っていた。愛をくれるのは家族だけだと。
そういうのもあってエイベルはクラリッサに好きだとは伝えはしなかったが、感情は伝わっていると思っていた。クラリッサからの感情も伝わっていた。だからダークエルフに家族制度がなかろうとそういう関係であるように感じていた。それがまさか自分だけだったのかと思うと言葉も出ないほどの衝撃に襲われ、出てくるのは絶句のみ。口を押さえて余計な言葉や感情が溢れないようにしながら頭を必死に働かせる。クラリッサのことだからまた余計なことを考えて一人で抱え込んでいるのではないかと。もしそうならまた説明してやる必要がある。
「アイレ」
戻ってきているだろうアイレを今度は静かに呼ぶと従順に姿を見せるが、その表情はどこか申し訳ないように眉を下げてエイベルに向けられる。
「クラリッサの様子はどうだった?」
「……わかんない」
「わからないだと?」
一瞬で空気がピリついたことに慌てたアイレが両手をバタつかせながら口を開く。
「クラリッサは嘘を隠すのが上手いから」
エイベルにはそう思えなくとも、他の者にとってはそうなのだ。完璧な笑顔はクラリッサが持つ最大の武器。勝手に与えられた不名誉な称号を汚さぬよう守り続けるための武器であり、誰にも感情を悟られないための盾でもあった。だから家族は誰もクラリッサが抱える感情に気付いていない。アイレもそうだ。だが、エイベルは違う。クラリッサが隠している感情一つ一つが全て手に取るようにわかった。
クラリッサは小さき者を守ろうとする。だから下のきょうだいもアイレも自分の感情に巻き込まないようにしていたが、エイベルは守らなくてもいい存在だから感情を見せやすかったのかもしれない。
全ては本人に聞かなければわからないことだが、今は会う方法がない。
「クラリッサに出てくるよう伝えてくれ」
「……クラリッサは……出たくないんだと思う……」
「何を知っているんだ?」
「……別に。ただ、クラリッサがそうしないのには理由があると思う。クラリッサは理由もなく人を傷つけるような人間じゃない」
「なら俺を避けているのには理由があると?」
「……たぶん……」
アイレは何かを知っている。ここで強制的に吐かせることはできても、それは今すべきことではない。クラリッサに近付けるのはアイレだけならアイレを上手く使わなければとエイベルは己が感情を落ち着かせるためにゆっくりと息を吐き出した。
どれほど長く息を吐こうとも苛立ちは増すばかり。エイベルの人生は生まれてからずっと苦のないものだった。ダークエルフの中でも身体能力が高く、狩りの才能は幼い頃から周りの大人たちよりもあった。恵まれた容姿と才能に群がってくるミーハーたちのおかげで女に不自由することはなく、外に出られずとも森の中で何一つ不自由のない暮らしができていた。
何不自由のない暮らしの中で生まれた贅沢ともいえる退屈。ただ同じ日々を過ごしていく中で女を抱くことにも食べることにも飽き、何かないかと周りに無茶振りを繰り返す日々の中に突如現れた面白さ。異端者を招き入れることで退屈から解き放たれ、会えば会うほど満たされていくのを感じていた。それはいつしか手放したくないと思うほどに。
それが突然崩れるなど耐えられない。ましてや一方的に。
だからエイベルは打って出る。
「アイレ、無茶は言わないから聞いてくれ」
「なに?」
老いて死ぬことがないため内乱でも起きて負傷しない限りは永遠の命を得ている。先代の長は魂の話をしていたが、そんな与太話は信じていない。
魂などどうだっていい。今はただ、クラリッサと話をしなければならないとアイレに静かにお願いを繰り返した。
クラリッサが小さな欠伸をしてそろそろ寝ようとサイドテーブルの上に置いてある蝋燭の火を吹き消そうとしたとき、窓の外が光ったように見えたことで口を閉じた。森からの光ではなく、もっと近くに感じたそれに眉を寄せながら近付くとアイレが浮いていた。
「アイレ? どうしたの?」
いつもは部屋の中にパッと現れるアイレがまるで中に入れないとでも言いたげにテラスで両手を大きく振っている。何かあったのだろうかと音を立てないようにガラス戸を開けた瞬間、影ができた。
「エイベ──!?」
見間違うわけがないその顔に刻まれた怒り。ドアを閉めようと手に力を入れると同時にエイベルの大きな手がクラリッサの細い腕を掴み、有無を言わさず森へと連れて行ってしまった。
心の中でクラリッサに対しごめんと繰り返すアイレは辺りを見回して誰も見ていないかったか確認してからクラリッサが吹き消そうとしていた蝋燭の火を吹き消し、そっとガラス戸を閉めて二人の後を追った。
森へと入るといつもの場所に着いたが、専用とも言える大木ではなく、その近くにある立っている大木へと背中を押し付けられた。
「また同じことを繰り返すことになるとはな!」
隠しもしない怒りが森の空気だけではなくクラリッサの肌まで震わせる。父親の怒りとはまた違う感覚に、こっちのほうがずっと恐ろしいと感じていた。
震える手を拳に変えて、極力平常心を保とうと鼻から静かに息を吐き出す。
「なぜ来なかった?」
「忙しくて……」
これはアイレでもわかる嘘。いつものクラリッサなら何があっても目を合わせて嘘をつくのに、今日はわかりやすいほど目を合わせようとはしない。
「妹とのくだらん恋の話にか?」
やはり聞いていたかと驚きはしないが、苦笑は滲む。
「あの子たちの話をくだらないなんて言わないで。」
クラリッサにとって家族は宝物。その家族がどんな人間であろうと外との接触を許されないクラリッサにとっては家族しかいないのだと悔しさはあれど、エイベルは怒りを抑え込んで「すまない」と呟いた。
「……忙しかったのか?」
珍しく伺うような言葉にクラリッサが顔を上げてエイベルを見た。いつもの余裕のある笑みはなく、どこか悲しげにさえ見える表情にクラリッサは泣きたくなった。それでも一度はさよならを告げた身。今更縋りついて泣きじゃくるような真似はしたくなかった。
「忙しかった」
「今までと変わらないだろう。それでも来なかったのは俺に会いたくなかったからか?」
すぐに伏せてしまう顔を指で持ち上げると抗いはしないが、いつもの柔らかな表情も見せない。少しでいいから笑顔が見たい。いつも通りの、手放せない日常へと戻りたいとエイベルが親指でクラリッサの唇を撫でた。柔らかく潤った唇に今すぐにでも貪りつきたい衝動を抑えながらエイベルは待った。
だが、そこにいつもの日常は戻ってこない。クラリッサは首に腕を回すことも目を閉じることもしない。ただされるがまま大人しくしているだけ。
「挨拶はどうした?」
挨拶という単語にクラリッサがピクリと反応を見せるも表情は変わらない。
「今日は疲れてて……」
人間は疲れていても挨拶はするが、それは言葉のみだからの話であってキスとなれば気分もあると受け入れることにしたエイベルは休ませようと肩を抱いて大木へ腰掛けるよう促そうとしたのをクラリッサが離れた。初めてのことだ。
「……クラリッサ?」
初めての拒絶に戸惑うエイベルにクラリッサは顔をも逸らして「帰らないと」と言った。
「明日も忙しいの」
背中を向けて全身で拒絶するような態度を見せるクラリッサにエイベルは水が沸騰するようにカッと頭に血が昇るのを感じ、強い口調で言い放ってしまう。
「ならもうお前とは会わない」
自分から告げたさよなら。それを返されて驚く権利はない。だが、クラリッサは思わず目を見開いて振り返り、エイベルを見た。その様子はエイベルをほんの少し安堵させるものだったが、怒りを鎮められるほどではなかった。
「お前はここが、俺の傍が癒しだと言ったな。それを拒んで帰るということは、ここはもうお前の癒しの場ではないということだろう。ならばお前がここに来る理由などないはずだ」
心の中では何度も祈りを繰り返しているのに言葉は厳しさを纏って止まらない。今まで一度だって見せなかった拒絶を見せたのには必ず理由がある。話を聞かなければならないこともエイベルはわかっているのに、きっと涙を見せて縋りついてくるはずだと甘えがあった。
だから絶望する。
クラリッサが見せたのは涙ではなく悲しみを滲ませた微笑みだった。ネグリジェの胸元を握りながら頭を下げて帰っていくその背中をエイベルは見送ることしかできなかった。
どうすればいいかわからないとき、クラリッサはいつもあの笑顔を見せた。自分の意思を上手く伝えられないときはそうすることで上手く事が運んでいくと知っているから。
哀れな哀れな操り人形──……
できる限りの愛情を示してきたつもりだった。誤魔化してきた感情もあったが、それでも自分なりにクラリッサを大事にしてきたつもりだった。
クラリッサは好きという好意を真に受けないところはあった。パーティーで自分に会いに来る人間は必ず言う台詞で、そこに愛はなく、ただ美味しいから好きだと好物を述べるのと同じだと言っていた。愛をくれるのは家族だけだと。
そういうのもあってエイベルはクラリッサに好きだとは伝えはしなかったが、感情は伝わっていると思っていた。クラリッサからの感情も伝わっていた。だからダークエルフに家族制度がなかろうとそういう関係であるように感じていた。それがまさか自分だけだったのかと思うと言葉も出ないほどの衝撃に襲われ、出てくるのは絶句のみ。口を押さえて余計な言葉や感情が溢れないようにしながら頭を必死に働かせる。クラリッサのことだからまた余計なことを考えて一人で抱え込んでいるのではないかと。もしそうならまた説明してやる必要がある。
「アイレ」
戻ってきているだろうアイレを今度は静かに呼ぶと従順に姿を見せるが、その表情はどこか申し訳ないように眉を下げてエイベルに向けられる。
「クラリッサの様子はどうだった?」
「……わかんない」
「わからないだと?」
一瞬で空気がピリついたことに慌てたアイレが両手をバタつかせながら口を開く。
「クラリッサは嘘を隠すのが上手いから」
エイベルにはそう思えなくとも、他の者にとってはそうなのだ。完璧な笑顔はクラリッサが持つ最大の武器。勝手に与えられた不名誉な称号を汚さぬよう守り続けるための武器であり、誰にも感情を悟られないための盾でもあった。だから家族は誰もクラリッサが抱える感情に気付いていない。アイレもそうだ。だが、エイベルは違う。クラリッサが隠している感情一つ一つが全て手に取るようにわかった。
クラリッサは小さき者を守ろうとする。だから下のきょうだいもアイレも自分の感情に巻き込まないようにしていたが、エイベルは守らなくてもいい存在だから感情を見せやすかったのかもしれない。
全ては本人に聞かなければわからないことだが、今は会う方法がない。
「クラリッサに出てくるよう伝えてくれ」
「……クラリッサは……出たくないんだと思う……」
「何を知っているんだ?」
「……別に。ただ、クラリッサがそうしないのには理由があると思う。クラリッサは理由もなく人を傷つけるような人間じゃない」
「なら俺を避けているのには理由があると?」
「……たぶん……」
アイレは何かを知っている。ここで強制的に吐かせることはできても、それは今すべきことではない。クラリッサに近付けるのはアイレだけならアイレを上手く使わなければとエイベルは己が感情を落ち着かせるためにゆっくりと息を吐き出した。
どれほど長く息を吐こうとも苛立ちは増すばかり。エイベルの人生は生まれてからずっと苦のないものだった。ダークエルフの中でも身体能力が高く、狩りの才能は幼い頃から周りの大人たちよりもあった。恵まれた容姿と才能に群がってくるミーハーたちのおかげで女に不自由することはなく、外に出られずとも森の中で何一つ不自由のない暮らしができていた。
何不自由のない暮らしの中で生まれた贅沢ともいえる退屈。ただ同じ日々を過ごしていく中で女を抱くことにも食べることにも飽き、何かないかと周りに無茶振りを繰り返す日々の中に突如現れた面白さ。異端者を招き入れることで退屈から解き放たれ、会えば会うほど満たされていくのを感じていた。それはいつしか手放したくないと思うほどに。
それが突然崩れるなど耐えられない。ましてや一方的に。
だからエイベルは打って出る。
「アイレ、無茶は言わないから聞いてくれ」
「なに?」
老いて死ぬことがないため内乱でも起きて負傷しない限りは永遠の命を得ている。先代の長は魂の話をしていたが、そんな与太話は信じていない。
魂などどうだっていい。今はただ、クラリッサと話をしなければならないとアイレに静かにお願いを繰り返した。
クラリッサが小さな欠伸をしてそろそろ寝ようとサイドテーブルの上に置いてある蝋燭の火を吹き消そうとしたとき、窓の外が光ったように見えたことで口を閉じた。森からの光ではなく、もっと近くに感じたそれに眉を寄せながら近付くとアイレが浮いていた。
「アイレ? どうしたの?」
いつもは部屋の中にパッと現れるアイレがまるで中に入れないとでも言いたげにテラスで両手を大きく振っている。何かあったのだろうかと音を立てないようにガラス戸を開けた瞬間、影ができた。
「エイベ──!?」
見間違うわけがないその顔に刻まれた怒り。ドアを閉めようと手に力を入れると同時にエイベルの大きな手がクラリッサの細い腕を掴み、有無を言わさず森へと連れて行ってしまった。
心の中でクラリッサに対しごめんと繰り返すアイレは辺りを見回して誰も見ていないかったか確認してからクラリッサが吹き消そうとしていた蝋燭の火を吹き消し、そっとガラス戸を閉めて二人の後を追った。
森へと入るといつもの場所に着いたが、専用とも言える大木ではなく、その近くにある立っている大木へと背中を押し付けられた。
「また同じことを繰り返すことになるとはな!」
隠しもしない怒りが森の空気だけではなくクラリッサの肌まで震わせる。父親の怒りとはまた違う感覚に、こっちのほうがずっと恐ろしいと感じていた。
震える手を拳に変えて、極力平常心を保とうと鼻から静かに息を吐き出す。
「なぜ来なかった?」
「忙しくて……」
これはアイレでもわかる嘘。いつものクラリッサなら何があっても目を合わせて嘘をつくのに、今日はわかりやすいほど目を合わせようとはしない。
「妹とのくだらん恋の話にか?」
やはり聞いていたかと驚きはしないが、苦笑は滲む。
「あの子たちの話をくだらないなんて言わないで。」
クラリッサにとって家族は宝物。その家族がどんな人間であろうと外との接触を許されないクラリッサにとっては家族しかいないのだと悔しさはあれど、エイベルは怒りを抑え込んで「すまない」と呟いた。
「……忙しかったのか?」
珍しく伺うような言葉にクラリッサが顔を上げてエイベルを見た。いつもの余裕のある笑みはなく、どこか悲しげにさえ見える表情にクラリッサは泣きたくなった。それでも一度はさよならを告げた身。今更縋りついて泣きじゃくるような真似はしたくなかった。
「忙しかった」
「今までと変わらないだろう。それでも来なかったのは俺に会いたくなかったからか?」
すぐに伏せてしまう顔を指で持ち上げると抗いはしないが、いつもの柔らかな表情も見せない。少しでいいから笑顔が見たい。いつも通りの、手放せない日常へと戻りたいとエイベルが親指でクラリッサの唇を撫でた。柔らかく潤った唇に今すぐにでも貪りつきたい衝動を抑えながらエイベルは待った。
だが、そこにいつもの日常は戻ってこない。クラリッサは首に腕を回すことも目を閉じることもしない。ただされるがまま大人しくしているだけ。
「挨拶はどうした?」
挨拶という単語にクラリッサがピクリと反応を見せるも表情は変わらない。
「今日は疲れてて……」
人間は疲れていても挨拶はするが、それは言葉のみだからの話であってキスとなれば気分もあると受け入れることにしたエイベルは休ませようと肩を抱いて大木へ腰掛けるよう促そうとしたのをクラリッサが離れた。初めてのことだ。
「……クラリッサ?」
初めての拒絶に戸惑うエイベルにクラリッサは顔をも逸らして「帰らないと」と言った。
「明日も忙しいの」
背中を向けて全身で拒絶するような態度を見せるクラリッサにエイベルは水が沸騰するようにカッと頭に血が昇るのを感じ、強い口調で言い放ってしまう。
「ならもうお前とは会わない」
自分から告げたさよなら。それを返されて驚く権利はない。だが、クラリッサは思わず目を見開いて振り返り、エイベルを見た。その様子はエイベルをほんの少し安堵させるものだったが、怒りを鎮められるほどではなかった。
「お前はここが、俺の傍が癒しだと言ったな。それを拒んで帰るということは、ここはもうお前の癒しの場ではないということだろう。ならばお前がここに来る理由などないはずだ」
心の中では何度も祈りを繰り返しているのに言葉は厳しさを纏って止まらない。今まで一度だって見せなかった拒絶を見せたのには必ず理由がある。話を聞かなければならないこともエイベルはわかっているのに、きっと涙を見せて縋りついてくるはずだと甘えがあった。
だから絶望する。
クラリッサが見せたのは涙ではなく悲しみを滲ませた微笑みだった。ネグリジェの胸元を握りながら頭を下げて帰っていくその背中をエイベルは見送ることしかできなかった。
どうすればいいかわからないとき、クラリッサはいつもあの笑顔を見せた。自分の意思を上手く伝えられないときはそうすることで上手く事が運んでいくと知っているから。
哀れな哀れな操り人形──……
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