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約束
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あれからデイジーはちゃんとクラリッサや他の家族に対して反抗的な態度を取ることをやめた。父親はあれからデイジーがそこに存在していないかのように振舞っている。その居心地の悪さはあれど、父親の子供じみた態度は今に始まったことではないためデイジーに話しかけることをやめる者はいなかった。
クラリッサは父親の態度が気に入らないものの、反抗しないと約束を交わした以上はもう庇ってやることはできない。その代わり、クラリッサはあの日あの場所で見ているだけだったエヴァンとウォレンに事情を説明し、脅した。
『エヴァンお兄様がお父様の土地の一部を勝手に売ってしまったこと』
『ウォレンお兄様が花売りの娘に恋をしていること』
二人にそれぞれ話をすると顔を真っ青にしながら兄としての役目を果たすことを約束してくれた。
エヴァンのことはエヴァンから、ウォレンのことはウォレンから聞いたため間違いはない。友人のいないクラリッサになら話しても大丈夫だろうと思って話したことがまさか脅しに使われると思っていなかった二人にとって驚きでしかなかったが、あの日、兄として何もできなかったことを恥じていた二人は反論せず受け入れた。
「怖い女だな」
「ふふっ、でしょ」
森へ行ってエイベルに話すと呆れと笑いを繰り返していた。
「王女がパン屋の息子と結婚すればパン屋は大儲かりだな」
「そうね。デイジーは彼のパンはうちのシェフのパンより美味しいって言ってたわ」
「愛がスパイスとなってるんだろうな」
「あら、愛を知らないあなたにも愛の味がわかるの?」
「お前よりはわかる」
「私とあなたって同じだと思ってたのに、裏切り者」
目を伏せて笑うエイベルの肩にもたれかかるクラリッサが大きく息を吐き出すと顎を持ち上げられ強制的に顔を向かされる。何事かと顔を見るも表情は真面目そのもの。
「父親に捨てられるまで操り人形と化す契約をした気分はどうだ?」
「何も変わらないわ。利用価値があるって思われてるだけマシだと思うことにしたの。私は恋をしたことがないからわからないけれど、デイジーを見ていると素敵なものだってことが伝わってきて……姉としてできることをしてあげたかったから後悔はないわ」
「愚かだな」
「家族ってそういうものよ」
今まで傷付けてばかりで妹のために何もしてやれなかった過去を考えれば今までの行動に契約という名がついただけで大したことではないため、クラリッサはあの選択が間違いだったと思ってはいないが、エイベルは違う。
「お前は妹に何をしてもらった?」
「え?」
「お前の家族はお前に何をしてくれたんだ?」
「何って……」
家族に何かを望んだことはない。何も知らない自分に外の世界の話を父親に内緒でしてくれることも、言葉を教えてくれることもしてもらった。いつだって優しさを向けてくれる家族にこれ以上何を望むことがあるのかとエイベルを見ながら首を振ると呆れた顔が向けられる。
「家族はこれからお前のために何をしてくれるんだろうな。お前がダークエルフと仲良くしていると聞いて庇ってくれるか?」
「庇って……もらおうとは思ってないからいいの」
きょうだいがダークエルフを快く思っていないことは知っている。だから誰にも話してはいない。幸い、夜は誰も部屋を訪ねて来ないため夜の外出もバレてはおらず、この関係は二人だけの秘密となっている。
そして、これからも誰にも話すつもりはなかった。
「俺との関係がバレたらどうするつもりだ?」
「どうって……どうもしないわ。お父様に事実を話すだけ。ダークエルフは悪い生き物じゃないってね」
「それで納得すると思っているのか? 問題なのはダークエルフがどういう生き物かではなく、ダークエルフという存在とお前が繋がっていたことだ。父親は嘆き悲しみ、そして激昂するだろう。お前はそれをどう受け止める?」
「……土下座でもしようかしら?」
「お前の土下座に価値などないだろう」
「ひどい言い方。ロマンある男ならもっと違う言い方ができたんじゃない?」
「茶化すな」
珍しく真剣なエイベルになぜ今更になってそんなことを聞くのか不思議だった。
クラリッサとてバレない確信があるわけではない。夜にクラリッサを訪ねないと決められてはいるが、イレギュラーはある。そのとき、クラリッサが部屋におらず外にも姿が見当たらないとなれば父親は全使用人を叩き起こして捜索させるだろう。そこでクラリッサがどこからかひょっこり顔を出して「どうしたの?」と不思議顔で現れようと父親は納得しない。眠れないから散歩をしていたと言ってもきっと信用しない。クラリッサの部屋でレニスを見つけた瞬間から、父親の頭の中には“もしも”が発生していることをクラリッサも薄々感じ取っているだけにエイベルの問いかけに答えるのがしんどかった。
「ありのままを話すわ。ダークエルフのことを何も教えてくれないから興味があって森に行ったって」
「監禁されるぞ」
「かもね。でもそしたら今度はあなたが会いに来てくれるでしょ? リズが言ってたの。王子様はいつも窓から会いに来てくれるのって」
エイベルからの良い返事はない。いつものように笑って「そうしてほしいか?」ぐらいは言うと思っていたのに、それさえもないのでは実現しそうにないと少しショックだった。
「なぜいつものように嘘をつこうと考えないんだ?」
森に行くようになってから何度父親に嘘をついたかわからない。罪悪感はなく、父親が娘を鑑賞用として自慢していることを考えればそんなにひどいことではないだろうと既に開き直っている。
もしバレたとてありのままを話す必要はない。怪しまれていることに対してクラリッサなら上手く嘘をつけるはずだと思うエイベルにクラリッサは首を振る。
「あなたと出会えて私の人生は変わった。楽しみができて、幸せを感じて、大口を開けて笑うことだってできた。あなたと出会えた幸せを、過ごしてきた思い出を嘘にしたくないから真実を話すの」
「それで罰を受けることになったとしてもか?」
「ええ」
確かな意思が瞳に宿っているのを見たエイベルの表情は相変わらず浮かないもので、いつもと違うその雰囲気にクラリッサは戸惑ってしまう。
「そうだ! 手を出して」
「なんだ?」
「いいから手、出して」
言われたとおりに出した手がクラリッサの柔らかな手に握られる。
「目を閉じて」
「なんなんだ?」
「ふふっ、なんでしょう」
目を閉じていると何かヌルッとした物が手に塗りつけられたような感覚に反射的に目を開けたエイベルにクラリッサが不満を顔に出した。
「もう、いいって言うまで開けちゃダメじゃない」
「何をしたんだ?」
手を見ると白いクリームのような物がついており、座っている大木の上には蓋の開いた小瓶があった。中に入っているのは手につけられたクリームと同じ色の物。
「ハンドクリームよ。お風呂上がりにいつも塗るの」
「なぜ俺の手に塗るんだ?」
不可解と顔に書くエイベルに笑いながら何度も何度もしっかりと塗り込んでいく。体温によって温められたクリームからはふわりと花の香りが漂い、エイベルとクラリッサの鼻に届いた。
「お前の匂いだな」
「ふふっ、そうでしょ。あなたにも分けてあげる」
「俺には必要ない」
「ダメ。手は大切にして」
ずっとプレゼントしようと思っていたが、なかなか持ち出すことができなかった。自分で塗るわけではないクリームをどう持ち出すべきか考えていたら遅くなってしまった。
「エルフにとって手はとても大事なんでしょう? 手がなくなれば狩りができないから大事にしてるって言ってたじゃない。でもあなたの手は傷つかないようにしてるだけで皮膚はガサガサ。触られると痛いときがあるの。だからこれをあなたにあげる。毎日ちゃんと手入れして。ケアしながら香りを嗅ぐたびに私を思い出すでしょ?」
「マーキングか?」
「マーキングになる?」
「どうだかな」
「なると嬉しいんだけど」
予想外に素直に答えたクラリッサに驚きながらも、マーキングだと言いきらずに願い事のように呟く声に感じる多少の物悲しさがエイベルは引っかかった。
「こんな物を俺が塗ったところですぐに効果はなくなる。俺は土を触り、弓を引き、動物を捌く」
「だからこそケアが必要なの。あなたの指ってあちこち傷だらけなんだもの。血が出たら痛いでしょ?」
「痛みなど慣れたものだ」
「でも痛みなんてないほうがいいんだからケアして」
ケアすると言うまで言い続けそうだと大きなため息をついて反論をやめたエイベルに満足に笑うクラリッサは指の間から爪にまでしっかり塗り込んでから手を離した。
エイベルの手に塗り込んだおかげで自分の手にも塗り込まれたハンドクリームの匂いを嗅ぐとお気に入りの良い香りに目を細める。
「この匂いはね、おばあさまが好きだった匂いなの」
「お前の祖母は亡くなったんだったか?」
「どうして知ってるの?」
祖父母の話はしたことがないのにと驚くクラリッサにエイベルは「話に出てこないからだ」と推測できることだと伝えた。
「あれだけきょうだいの話をするんだ、祖母が生きていればお前の話に必ず出てくるはずだ」
「正解。祖母は私が子供の頃に亡くなったわ。気が強いけど優しくてかっこいい女性だったの。大好きだった」
思い出すのは祖母との苦くも美しい思い出。昔の女性にしては口が悪く、男に負けないほど気が強かったが、それに怯えることをさせないほど優しさと愛に溢れた女性だった。
目を閉じればまるで昨日のことのように祖母との思い出が蘇ってくる。
クラリッサは父親の態度が気に入らないものの、反抗しないと約束を交わした以上はもう庇ってやることはできない。その代わり、クラリッサはあの日あの場所で見ているだけだったエヴァンとウォレンに事情を説明し、脅した。
『エヴァンお兄様がお父様の土地の一部を勝手に売ってしまったこと』
『ウォレンお兄様が花売りの娘に恋をしていること』
二人にそれぞれ話をすると顔を真っ青にしながら兄としての役目を果たすことを約束してくれた。
エヴァンのことはエヴァンから、ウォレンのことはウォレンから聞いたため間違いはない。友人のいないクラリッサになら話しても大丈夫だろうと思って話したことがまさか脅しに使われると思っていなかった二人にとって驚きでしかなかったが、あの日、兄として何もできなかったことを恥じていた二人は反論せず受け入れた。
「怖い女だな」
「ふふっ、でしょ」
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「王女がパン屋の息子と結婚すればパン屋は大儲かりだな」
「そうね。デイジーは彼のパンはうちのシェフのパンより美味しいって言ってたわ」
「愛がスパイスとなってるんだろうな」
「あら、愛を知らないあなたにも愛の味がわかるの?」
「お前よりはわかる」
「私とあなたって同じだと思ってたのに、裏切り者」
目を伏せて笑うエイベルの肩にもたれかかるクラリッサが大きく息を吐き出すと顎を持ち上げられ強制的に顔を向かされる。何事かと顔を見るも表情は真面目そのもの。
「父親に捨てられるまで操り人形と化す契約をした気分はどうだ?」
「何も変わらないわ。利用価値があるって思われてるだけマシだと思うことにしたの。私は恋をしたことがないからわからないけれど、デイジーを見ていると素敵なものだってことが伝わってきて……姉としてできることをしてあげたかったから後悔はないわ」
「愚かだな」
「家族ってそういうものよ」
今まで傷付けてばかりで妹のために何もしてやれなかった過去を考えれば今までの行動に契約という名がついただけで大したことではないため、クラリッサはあの選択が間違いだったと思ってはいないが、エイベルは違う。
「お前は妹に何をしてもらった?」
「え?」
「お前の家族はお前に何をしてくれたんだ?」
「何って……」
家族に何かを望んだことはない。何も知らない自分に外の世界の話を父親に内緒でしてくれることも、言葉を教えてくれることもしてもらった。いつだって優しさを向けてくれる家族にこれ以上何を望むことがあるのかとエイベルを見ながら首を振ると呆れた顔が向けられる。
「家族はこれからお前のために何をしてくれるんだろうな。お前がダークエルフと仲良くしていると聞いて庇ってくれるか?」
「庇って……もらおうとは思ってないからいいの」
きょうだいがダークエルフを快く思っていないことは知っている。だから誰にも話してはいない。幸い、夜は誰も部屋を訪ねて来ないため夜の外出もバレてはおらず、この関係は二人だけの秘密となっている。
そして、これからも誰にも話すつもりはなかった。
「俺との関係がバレたらどうするつもりだ?」
「どうって……どうもしないわ。お父様に事実を話すだけ。ダークエルフは悪い生き物じゃないってね」
「それで納得すると思っているのか? 問題なのはダークエルフがどういう生き物かではなく、ダークエルフという存在とお前が繋がっていたことだ。父親は嘆き悲しみ、そして激昂するだろう。お前はそれをどう受け止める?」
「……土下座でもしようかしら?」
「お前の土下座に価値などないだろう」
「ひどい言い方。ロマンある男ならもっと違う言い方ができたんじゃない?」
「茶化すな」
珍しく真剣なエイベルになぜ今更になってそんなことを聞くのか不思議だった。
クラリッサとてバレない確信があるわけではない。夜にクラリッサを訪ねないと決められてはいるが、イレギュラーはある。そのとき、クラリッサが部屋におらず外にも姿が見当たらないとなれば父親は全使用人を叩き起こして捜索させるだろう。そこでクラリッサがどこからかひょっこり顔を出して「どうしたの?」と不思議顔で現れようと父親は納得しない。眠れないから散歩をしていたと言ってもきっと信用しない。クラリッサの部屋でレニスを見つけた瞬間から、父親の頭の中には“もしも”が発生していることをクラリッサも薄々感じ取っているだけにエイベルの問いかけに答えるのがしんどかった。
「ありのままを話すわ。ダークエルフのことを何も教えてくれないから興味があって森に行ったって」
「監禁されるぞ」
「かもね。でもそしたら今度はあなたが会いに来てくれるでしょ? リズが言ってたの。王子様はいつも窓から会いに来てくれるのって」
エイベルからの良い返事はない。いつものように笑って「そうしてほしいか?」ぐらいは言うと思っていたのに、それさえもないのでは実現しそうにないと少しショックだった。
「なぜいつものように嘘をつこうと考えないんだ?」
森に行くようになってから何度父親に嘘をついたかわからない。罪悪感はなく、父親が娘を鑑賞用として自慢していることを考えればそんなにひどいことではないだろうと既に開き直っている。
もしバレたとてありのままを話す必要はない。怪しまれていることに対してクラリッサなら上手く嘘をつけるはずだと思うエイベルにクラリッサは首を振る。
「あなたと出会えて私の人生は変わった。楽しみができて、幸せを感じて、大口を開けて笑うことだってできた。あなたと出会えた幸せを、過ごしてきた思い出を嘘にしたくないから真実を話すの」
「それで罰を受けることになったとしてもか?」
「ええ」
確かな意思が瞳に宿っているのを見たエイベルの表情は相変わらず浮かないもので、いつもと違うその雰囲気にクラリッサは戸惑ってしまう。
「そうだ! 手を出して」
「なんだ?」
「いいから手、出して」
言われたとおりに出した手がクラリッサの柔らかな手に握られる。
「目を閉じて」
「なんなんだ?」
「ふふっ、なんでしょう」
目を閉じていると何かヌルッとした物が手に塗りつけられたような感覚に反射的に目を開けたエイベルにクラリッサが不満を顔に出した。
「もう、いいって言うまで開けちゃダメじゃない」
「何をしたんだ?」
手を見ると白いクリームのような物がついており、座っている大木の上には蓋の開いた小瓶があった。中に入っているのは手につけられたクリームと同じ色の物。
「ハンドクリームよ。お風呂上がりにいつも塗るの」
「なぜ俺の手に塗るんだ?」
不可解と顔に書くエイベルに笑いながら何度も何度もしっかりと塗り込んでいく。体温によって温められたクリームからはふわりと花の香りが漂い、エイベルとクラリッサの鼻に届いた。
「お前の匂いだな」
「ふふっ、そうでしょ。あなたにも分けてあげる」
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「ダメ。手は大切にして」
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「エルフにとって手はとても大事なんでしょう? 手がなくなれば狩りができないから大事にしてるって言ってたじゃない。でもあなたの手は傷つかないようにしてるだけで皮膚はガサガサ。触られると痛いときがあるの。だからこれをあなたにあげる。毎日ちゃんと手入れして。ケアしながら香りを嗅ぐたびに私を思い出すでしょ?」
「マーキングか?」
「マーキングになる?」
「どうだかな」
「なると嬉しいんだけど」
予想外に素直に答えたクラリッサに驚きながらも、マーキングだと言いきらずに願い事のように呟く声に感じる多少の物悲しさがエイベルは引っかかった。
「こんな物を俺が塗ったところですぐに効果はなくなる。俺は土を触り、弓を引き、動物を捌く」
「だからこそケアが必要なの。あなたの指ってあちこち傷だらけなんだもの。血が出たら痛いでしょ?」
「痛みなど慣れたものだ」
「でも痛みなんてないほうがいいんだからケアして」
ケアすると言うまで言い続けそうだと大きなため息をついて反論をやめたエイベルに満足に笑うクラリッサは指の間から爪にまでしっかり塗り込んでから手を離した。
エイベルの手に塗り込んだおかげで自分の手にも塗り込まれたハンドクリームの匂いを嗅ぐとお気に入りの良い香りに目を細める。
「この匂いはね、おばあさまが好きだった匂いなの」
「お前の祖母は亡くなったんだったか?」
「どうして知ってるの?」
祖父母の話はしたことがないのにと驚くクラリッサにエイベルは「話に出てこないからだ」と推測できることだと伝えた。
「あれだけきょうだいの話をするんだ、祖母が生きていればお前の話に必ず出てくるはずだ」
「正解。祖母は私が子供の頃に亡くなったわ。気が強いけど優しくてかっこいい女性だったの。大好きだった」
思い出すのは祖母との苦くも美しい思い出。昔の女性にしては口が悪く、男に負けないほど気が強かったが、それに怯えることをさせないほど優しさと愛に溢れた女性だった。
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