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二度目の逢瀬2
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「冗談で言っているわけではないぞ」
驚きに固まっていたクラリッサがハッとする。
まだ二度しか訪れていないが、クラリッサはこの場所が好きだった。椅子ではない、ただの大木に腰掛けたことなど一度もなかったが、意外と悪くはないと感じている。
木が揺れ、葉が鳴る音も、小動物の鳴き声も、光っては消える淡い光も、豪華な部屋よりずっと落ち着く場所になっていた。
だが、まだ二度目。この森はただの森ではなく、ダークエルフの森。人間で、しかもなんの知恵もの能力も持たない自分が暮らせるのだろうかと不安が過ぎる。
「そうできたらいいんだけどね」
手紙と同じだとわかっている。現実的ではない。護衛を付けずに屋敷内を歩き回ることさえ許されないのに、森で暮らすと言えば監禁されかねない。
話し相手を用意され、食事に変更もなく、規則正しい生活を送らされる。不自由はないだろう。しかし、今よりずっと自由もなくなる。テラスにさえ警備兵が立つかもしれない。
ダークエルフを憎んでいる父親にダークエルフの森に興味を持っていると話すことさえできなかったのだから、今こうしてダークエルフの森でダークエルフと一緒に夜を過ごしていると言えばどんな癇癪を起こすかわかったものじゃない。
「父親が怖いか?」
「怖くはないわ。父はとても優しい人よ。少し、自分勝手な部分もあるし、考え方に偏りもあるけど……でも基本的には子供のことを愛してる人」
「娘を鑑賞用に育て上げることが父親の愛か?」
「愛してなかったらあんなにお金をかけることはしないわ」
「望まぬ結婚をさせることは愛か?」
「んー……それは違うかも。でも結婚させるつもりなんてないのよ。結婚はさせたくない。でも大昔になんらかの契約を交わした以上は一応の義理として顔合わせぐらいはしておかなきゃって感じなんだと思う」
「巻き込まれたことへの文句はないのか?」
「あるわよ。私は心優しいから、いいのよお父様、気にしないでって言うけど心の中ではこう思ってる」
「「イリオリス」」
合わせてきたエイベルによって声が重なったことにクラリッサが目を瞬かせるもすぐに吹き出して大笑いする。
声を上げて笑うなど品がないことはするな。大口を開けて笑ってはならない。笑うときは歯を見せるべからず。幼い頃から教え込まれてきたことはちゃんと守ってきた。完璧な笑顔の作り方もわかっている。今では寸分狂わず完璧な笑顔を作れるようになった。
だが、それは結局は作り物でしかない。クラリッサの本当の笑顔はこうして大口を開けて声を上げて笑うのだ。
「本当はね、気にしないで、なんて言ってないの。絶対に断ってって怒鳴りつけたわ」
「父親は?」
「縋り付いてきた。でも断ってもらう。断らなきゃもう二度とパーティーになんて出ない」
「パーティーの場で大口を開けて笑ってみてはどうだ?」
「楽しくないのにどうやって笑うの?」
パーティーが始まってから終わるまでずっと笑顔を作っている。もう仮面舞踏会に変更してほしいと思うほど仮面のように貼りついた笑顔をどうやったら大口を開けるに変更できるのかとクラリッサには想像もつかないが、エイベルは何もない前方を指差した。
「男が一人跪く度に心の中でイリオリスと唱えろ」
「それで?」
「楽しくなってくるんじゃないか?」
「それだけで楽しくなる?」
「二十人を超えた辺りから楽しくなってくるぞ」
「やったことあるの?」
「ない」
「なにそれッ」
適当すぎる提案に笑うクラリッサの笑顔にいつもの完璧さはない。クラリッサ自身、こうして自由に笑えることが嬉しくて楽しくて仕方ない。
エイべるもその笑顔を見ているとつられて笑顔になる。
「あなたは? 結婚しないの?」
「エルフは結婚はしない」
「どうして?」
「そのシステムになんの意味がある? 伴侶を決める理由はなんだ?」
「繁栄のため」
ロマンも何もない言葉にエイベルは思わず口元を隠した。
「どうしたの?」
「いや、その顔で現実的なことを言うのが少しおかしくてな」
「何を言うと思ってたの?」
「愛だなんだと言うのかと思っていた」
「王侯貴族に愛ある結婚なんてないもの。愛なんて知ることなく結婚して子供を産んだら……あとは死ぬまで母親でいるだけ」
「夢のない話だ」
「お母様を見てればわかるわ」
両親は愛に溢れた夫婦ではない。
王女が王子に嫁ぎ、子を産み、子供が成長していくのを見守るだけ。特別なことは何もない。高価な宝石に目を輝かせ、お茶を楽しむ。そういう末路が待っているのなら結婚に夢はないとロマンなど一欠片も感じたことはなかった。
「好きな女性はいないの? というか、ダークエルフには女性もいる?」
「当たり前だ」
「そうよね。じゃあ、好きな人はいるの?」
「ダークエルフは特定の相手は作らん」
「恋愛感情がないから?」
「ないわけではないが、持つ者は少ないな」
「あなたはその少数に入る?」
「入らん」
なにを聞いても淡々と答えてくれる相手のことが知れるのは嬉しい。
まだたった二度しか会っていないのに、クラリッサは既に彼に惹かれ始めていた。
「受け入れてもらえて嬉しい」
「受け入れたと誰が言った?」
「受け入れてない相手に自分のことを教えるほど親切なの?」
「教えたところで問題のないことばかりだ」
「でも迎えに来てくれた」
「王女がダークエルフの森に向かってるのが見つかれば我々が巻き添えになる。それを避けたかっただけだ。お前を賓客として招いているなら上等なカーペットの上に置いた上質なソファーに座らせている」
「この森にもカーペットやソファーがあるの?」
「ない」
「適当なことばかり言わないでよ」
言葉は冷たくとも言い方はそれとは対照的に優しさに溢れている。表情も口調と同じで優しく、だからクラリッサは傷つかない。
エイベルはクラリッサの周りにはいなかったタイプの男だ。
彼が話すだけで面白い。この森にいる間、クラリッサは終始笑顔でいられた。
「ダークエルフは耳が尖ってるの?」
「そうだ。これはエルフと名のつく種族は全員尖っている」
「他にもエルフがいるの?」
「エルフ、ダークエルフ、ハイエルフ、ハーフエルフが存在する」
「エルフはどうしてエルフなの?」
「特徴も能力もないエルフだからだ」
あからさまに表情を変えたエイベルを見ているとエルフとやらに嫌悪感を持っていることが伝わってくる。
ダークエルフ以外の名は聞いたことがないため他にも種族が存在することは知らなかった。
「ここには住んでいないの?」
「ここはダークエルフの森だ。よそ者は入れん」
「私はいいの?」
「長が認めた者はかまわない」
「ダークエルフの長は誰?」
「俺だ」
目を瞬かせるクラリッサは脳をフル回転させて必死に理解に努めようとしているが、脳内ではエラーが発生し続けて理解が遅れている。
「ダークエルフの長は誰?」
「俺だ」
繰り返されるやりとりに今度は首を傾げたクラリッサ。
「えっと……長っていうのは……国王みたいな人のことよね?」
父親と兄が世界のトップについて話していた際に聞いた長という言葉。話の内容から一応の理解をしてたが、相手が長だと聞くとそれも正しくないのではないかと不安になってきた。
「ああ」
理解は間違ってはいなかったと頷くが、これは納得の理解ではない。
「……あなた、いくつ?」
「エルフは年齢は数えない。人間とは流れている時間が違うからな」
「どういうこと?」
「俺は既にこの世に産み落とされて三百年が過ぎている」
頭を使う必要がない世界で生きてきたクラリッサはたったこれだけの情報が情報過多として処理しきれず脳がパンクしてしまいそうになっていた。
三百年の時を生きられる者などいない。またからかっているのかと眉を寄せてもエイベルの表情にニヤつきは見えない。
「エルフに寿命はない」
「……で、でも、動物にも人間にも寿命はあるのよ? エルフだけ寿命がないなんてそんなの……」
おかしいとは言いきれない。自分は世界どころか外の常識さえ知らないのだから知ったように語ることはできない。
ダークエルフの存在も聞くまでは知らなかった。ダークエルフから他にもエルフがいると聞くまで知らなかった。自分が知っていることなど家族が話している内容を聞いて覚えただけの小さなことだけ。
「世界は広いのね」
「そうだ。お前は世界を知らなすぎる」
「外を飛び回ってる鳥のほうがよっぽど世界を知ってるわ」
「だろうな」
何百回では足りないほどそう思った。誰に縛られることなく自由に飛び回る鳥が羨ましかった。
「あなたは世界を知ってる?」
「当然だ。拠点はここだが、世界中を旅したこともある」
「じゃあ、あなたが聞かせて。私の知らない世界の話を」
「長い時間が必要だぞ」
「私はまだ十九歳、あなたは寿命がない。時間はたっぷりあるわ」
クラリッサの笑顔につられて笑うエイベルはクラリッサの時間が許す限り、話をした。
世界には多くの人種が存在すること。人種は違えど職業は同じであったりすること。国によって考え方や法律が違うこと。国ばかりではないこと。世の中には貧富の差があること。人間とエルフが結婚して出来たのがハーフエルフであること。
驚き、悲しみ、喜びと様々な感情を面に出すクラリッサを見ているだけでエイベルも楽しかったが、まだ肝心なことは何も話せてはいない。話す日が来るのかもわからない。
ただ、この笑顔を見ているとまだ話す気にはなれなかった。
驚きに固まっていたクラリッサがハッとする。
まだ二度しか訪れていないが、クラリッサはこの場所が好きだった。椅子ではない、ただの大木に腰掛けたことなど一度もなかったが、意外と悪くはないと感じている。
木が揺れ、葉が鳴る音も、小動物の鳴き声も、光っては消える淡い光も、豪華な部屋よりずっと落ち着く場所になっていた。
だが、まだ二度目。この森はただの森ではなく、ダークエルフの森。人間で、しかもなんの知恵もの能力も持たない自分が暮らせるのだろうかと不安が過ぎる。
「そうできたらいいんだけどね」
手紙と同じだとわかっている。現実的ではない。護衛を付けずに屋敷内を歩き回ることさえ許されないのに、森で暮らすと言えば監禁されかねない。
話し相手を用意され、食事に変更もなく、規則正しい生活を送らされる。不自由はないだろう。しかし、今よりずっと自由もなくなる。テラスにさえ警備兵が立つかもしれない。
ダークエルフを憎んでいる父親にダークエルフの森に興味を持っていると話すことさえできなかったのだから、今こうしてダークエルフの森でダークエルフと一緒に夜を過ごしていると言えばどんな癇癪を起こすかわかったものじゃない。
「父親が怖いか?」
「怖くはないわ。父はとても優しい人よ。少し、自分勝手な部分もあるし、考え方に偏りもあるけど……でも基本的には子供のことを愛してる人」
「娘を鑑賞用に育て上げることが父親の愛か?」
「愛してなかったらあんなにお金をかけることはしないわ」
「望まぬ結婚をさせることは愛か?」
「んー……それは違うかも。でも結婚させるつもりなんてないのよ。結婚はさせたくない。でも大昔になんらかの契約を交わした以上は一応の義理として顔合わせぐらいはしておかなきゃって感じなんだと思う」
「巻き込まれたことへの文句はないのか?」
「あるわよ。私は心優しいから、いいのよお父様、気にしないでって言うけど心の中ではこう思ってる」
「「イリオリス」」
合わせてきたエイベルによって声が重なったことにクラリッサが目を瞬かせるもすぐに吹き出して大笑いする。
声を上げて笑うなど品がないことはするな。大口を開けて笑ってはならない。笑うときは歯を見せるべからず。幼い頃から教え込まれてきたことはちゃんと守ってきた。完璧な笑顔の作り方もわかっている。今では寸分狂わず完璧な笑顔を作れるようになった。
だが、それは結局は作り物でしかない。クラリッサの本当の笑顔はこうして大口を開けて声を上げて笑うのだ。
「本当はね、気にしないで、なんて言ってないの。絶対に断ってって怒鳴りつけたわ」
「父親は?」
「縋り付いてきた。でも断ってもらう。断らなきゃもう二度とパーティーになんて出ない」
「パーティーの場で大口を開けて笑ってみてはどうだ?」
「楽しくないのにどうやって笑うの?」
パーティーが始まってから終わるまでずっと笑顔を作っている。もう仮面舞踏会に変更してほしいと思うほど仮面のように貼りついた笑顔をどうやったら大口を開けるに変更できるのかとクラリッサには想像もつかないが、エイベルは何もない前方を指差した。
「男が一人跪く度に心の中でイリオリスと唱えろ」
「それで?」
「楽しくなってくるんじゃないか?」
「それだけで楽しくなる?」
「二十人を超えた辺りから楽しくなってくるぞ」
「やったことあるの?」
「ない」
「なにそれッ」
適当すぎる提案に笑うクラリッサの笑顔にいつもの完璧さはない。クラリッサ自身、こうして自由に笑えることが嬉しくて楽しくて仕方ない。
エイべるもその笑顔を見ているとつられて笑顔になる。
「あなたは? 結婚しないの?」
「エルフは結婚はしない」
「どうして?」
「そのシステムになんの意味がある? 伴侶を決める理由はなんだ?」
「繁栄のため」
ロマンも何もない言葉にエイベルは思わず口元を隠した。
「どうしたの?」
「いや、その顔で現実的なことを言うのが少しおかしくてな」
「何を言うと思ってたの?」
「愛だなんだと言うのかと思っていた」
「王侯貴族に愛ある結婚なんてないもの。愛なんて知ることなく結婚して子供を産んだら……あとは死ぬまで母親でいるだけ」
「夢のない話だ」
「お母様を見てればわかるわ」
両親は愛に溢れた夫婦ではない。
王女が王子に嫁ぎ、子を産み、子供が成長していくのを見守るだけ。特別なことは何もない。高価な宝石に目を輝かせ、お茶を楽しむ。そういう末路が待っているのなら結婚に夢はないとロマンなど一欠片も感じたことはなかった。
「好きな女性はいないの? というか、ダークエルフには女性もいる?」
「当たり前だ」
「そうよね。じゃあ、好きな人はいるの?」
「ダークエルフは特定の相手は作らん」
「恋愛感情がないから?」
「ないわけではないが、持つ者は少ないな」
「あなたはその少数に入る?」
「入らん」
なにを聞いても淡々と答えてくれる相手のことが知れるのは嬉しい。
まだたった二度しか会っていないのに、クラリッサは既に彼に惹かれ始めていた。
「受け入れてもらえて嬉しい」
「受け入れたと誰が言った?」
「受け入れてない相手に自分のことを教えるほど親切なの?」
「教えたところで問題のないことばかりだ」
「でも迎えに来てくれた」
「王女がダークエルフの森に向かってるのが見つかれば我々が巻き添えになる。それを避けたかっただけだ。お前を賓客として招いているなら上等なカーペットの上に置いた上質なソファーに座らせている」
「この森にもカーペットやソファーがあるの?」
「ない」
「適当なことばかり言わないでよ」
言葉は冷たくとも言い方はそれとは対照的に優しさに溢れている。表情も口調と同じで優しく、だからクラリッサは傷つかない。
エイベルはクラリッサの周りにはいなかったタイプの男だ。
彼が話すだけで面白い。この森にいる間、クラリッサは終始笑顔でいられた。
「ダークエルフは耳が尖ってるの?」
「そうだ。これはエルフと名のつく種族は全員尖っている」
「他にもエルフがいるの?」
「エルフ、ダークエルフ、ハイエルフ、ハーフエルフが存在する」
「エルフはどうしてエルフなの?」
「特徴も能力もないエルフだからだ」
あからさまに表情を変えたエイベルを見ているとエルフとやらに嫌悪感を持っていることが伝わってくる。
ダークエルフ以外の名は聞いたことがないため他にも種族が存在することは知らなかった。
「ここには住んでいないの?」
「ここはダークエルフの森だ。よそ者は入れん」
「私はいいの?」
「長が認めた者はかまわない」
「ダークエルフの長は誰?」
「俺だ」
目を瞬かせるクラリッサは脳をフル回転させて必死に理解に努めようとしているが、脳内ではエラーが発生し続けて理解が遅れている。
「ダークエルフの長は誰?」
「俺だ」
繰り返されるやりとりに今度は首を傾げたクラリッサ。
「えっと……長っていうのは……国王みたいな人のことよね?」
父親と兄が世界のトップについて話していた際に聞いた長という言葉。話の内容から一応の理解をしてたが、相手が長だと聞くとそれも正しくないのではないかと不安になってきた。
「ああ」
理解は間違ってはいなかったと頷くが、これは納得の理解ではない。
「……あなた、いくつ?」
「エルフは年齢は数えない。人間とは流れている時間が違うからな」
「どういうこと?」
「俺は既にこの世に産み落とされて三百年が過ぎている」
頭を使う必要がない世界で生きてきたクラリッサはたったこれだけの情報が情報過多として処理しきれず脳がパンクしてしまいそうになっていた。
三百年の時を生きられる者などいない。またからかっているのかと眉を寄せてもエイベルの表情にニヤつきは見えない。
「エルフに寿命はない」
「……で、でも、動物にも人間にも寿命はあるのよ? エルフだけ寿命がないなんてそんなの……」
おかしいとは言いきれない。自分は世界どころか外の常識さえ知らないのだから知ったように語ることはできない。
ダークエルフの存在も聞くまでは知らなかった。ダークエルフから他にもエルフがいると聞くまで知らなかった。自分が知っていることなど家族が話している内容を聞いて覚えただけの小さなことだけ。
「世界は広いのね」
「そうだ。お前は世界を知らなすぎる」
「外を飛び回ってる鳥のほうがよっぽど世界を知ってるわ」
「だろうな」
何百回では足りないほどそう思った。誰に縛られることなく自由に飛び回る鳥が羨ましかった。
「あなたは世界を知ってる?」
「当然だ。拠点はここだが、世界中を旅したこともある」
「じゃあ、あなたが聞かせて。私の知らない世界の話を」
「長い時間が必要だぞ」
「私はまだ十九歳、あなたは寿命がない。時間はたっぷりあるわ」
クラリッサの笑顔につられて笑うエイベルはクラリッサの時間が許す限り、話をした。
世界には多くの人種が存在すること。人種は違えど職業は同じであったりすること。国によって考え方や法律が違うこと。国ばかりではないこと。世の中には貧富の差があること。人間とエルフが結婚して出来たのがハーフエルフであること。
驚き、悲しみ、喜びと様々な感情を面に出すクラリッサを見ているだけでエイベルも楽しかったが、まだ肝心なことは何も話せてはいない。話す日が来るのかもわからない。
ただ、この笑顔を見ているとまだ話す気にはなれなかった。
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