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番外編
if story〜リンウッド〜8
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「本当か!?」
すっかり辺りが暗くなった頃、リンウッドはようやく、初めて、有力な情報を手に入れた。
思わず声が大きくなったことに対面している男が驚く。
「あ、ああ。港のほうで男の子を見なかったかって取り乱してる親がいたぞ。夜の便には乗らなきゃいけないのに見つからないって泣いてたな」
「夜の便って何時だ!?」
「二十時が最終便だからそれじゃねぇかな」
時計を確認すると二十時まで三十分を切っている。馬車で行けば二十分で着く。だが、馬車まで戻る時間はない。かといって、この時間帯が一番馬車が見つからない。走れば間に合うかと考えるもイベリスを置いていくことはできない。何が最善かわからなくなったリンウッドの背中をイベリスが軽く叩く。
〈リンウッド、行って。私、ここのカフェで待ってるから〉
〈こんな時間に君を一人にはできない〉
〈話してる時間ある?〉
何を言っているのかはわかっていなかったはず。焦り具合から察したのだろう。聞いたのがカフェの前で良かったとドアノブを引いたイベリスを見て「絶対届けるから」と言葉にした。口の動きでわかったのか、笑顔で頷いたイベリスがカフェの中に入ったのを見てリンウッドが走り始めた。
間に合うかわからない。ここまで何時間も歩き続けている。今日は朝から良い日になるはずだった。晴れで、風が気持ち良くて、イベリスは相変わらず可愛くて、自分の気持ちは相変わらず重たくて、でも誇らしくて好きだという想いが今日も溢れ出していた。それなのに今日はイベリスと満足に会話もできていない。こんな日があっていいはずがないのにと悔しさに唇を噛み締めながら走り続ける。
早く着いて早く戻らなければ。カフェは夜遅くまで開いてはいない。外で待たせるなんて絶対にあり得ない。それこそリングデール夫妻に顔向けできなくなってしまう。それだけは絶対にダメだと肺が痛くなろうと走った。
港は暗い。灯りが少なく、船の灯りだけが見えている状態。親が子を探している声は聞こえない。前の便で出てしまったのではないかと焦っていると子供が声を上げた。
「ママッ! パパッ!」
悲鳴のような声を上げた子供がバタつき、地面に下ろすと一気に駆け出した。船の前でしゃがみこんでいた女が顔を上げて駆け出し、抱きしめる。彼らはきっとここからあまり動かなかったのだろう。すれ違いになっては困ると。旅先で自分まで迷子になっては本末転倒。船で来たなら船の前で待っていれば戻ってくるかもしれないと。
どこに行ってたの。どうやってここに戻ってきたの。そう問いかける親に少年はリンウッドを指差す。
「あのお兄ちゃんが……あれ?」
だが、姿は見当たらなかった。
(早く帰らないと!!)
親に言いたいことは山ほどあった。旅行で来たくせに子供から目を離すなんて何考えてるんだ。二度と手を離すな。親失格だ。怒鳴りつけてやりたい気持ちもあった。しかし、そんなことに時間を使うつもりはなかった。知らない子供だ。知らない相手だ。もう一度、自分の知らない場所であの子供が迷子になって親が泣き喚こうとどうだっていい。自業自得だ。今はそんなことよりも一秒でも早くあのカフェに帰らなければならない。肺が苦しくなろうとも足が痛くなろうとも休むわけにはいかない。ポケットの中にある懐中時計を確認する時間すら惜しい。
辺りはすっかり暗くなり、今が何時なのかわからない。時間はたぶん、一時間も経っていないはず。なら、まだカフェは開いているはず。
貴族が走るなんてことはしない。貴族は常に余裕を持って生きなければならない暗黙のルールのようなものが存在する。焦る姿や急いでいる姿を他人に見せるのはみっともない。わかっている。でも、リンウッドには関係ない。貴族としての余裕なんて知らない。どうだっていい。もし自分が離れている間にイベリスがナンパされるようなことがあれば自分を許せない。
「イベリスッ!!」
カフェの辺りは相変わらず暗く、カフェの灯りも消えていた。姿がない。冗談だろ。心臓が大きく跳ね、そして絞まる。勝手にいなくなるはずがないと慌ててカフェのドアを引くも開かない。
「子供は無事に届けられたか?」
子供の親がいる場所の情報をくれた男はまだそこにいた。苦しい呼吸を繰り返すだけのリンウッドに笑みを浮かべながら手紙を差し出す。奪うようにそれを手に取って薄明かりの下に移動する。
「ここに立ってると怒られるだろうからって──……あ」
紙に書かれたことを読むとすぐに駆け出したリンウッドに唖然とするも男はまた笑う。青春だと。
こんなに走ったのは人生で初めてではないか。走ること自体がにリンウッドの人生では珍しい。イベリスが待っている。早く会わなければ。その思いがリンウッドの足を動かす。
着いたのはヘイグ家の馬車。暗い中でも灯りに照らされた白い髪が光って見えた。その瞬間、震えるほどの安堵に襲われた。でも足は止まらない。
〈リンウッド!〉
窓から乗り出すようにして手を振るイベリスの笑顔を見つめながら馬車の前で止まり、その小さな手を握った。
〈大丈夫?〉
「大丈夫だよ」
ゆっくりと動かされた唇を読んで頷くリンウッドは誰が見ても大丈夫ではない。汗だくで、呼吸は苦しげ。深く吸えない呼吸で彼がどれほど走っていたのかよくわかる。
〈乗って〉
ドアを開けると手が離れるが、すぐに乗り込んできてまた手を握られる。手を握られては手話ができないし、筆談もできないというのに、と笑ってしまう。でも、離そうとはしない。
子供がいないことについて問いかけるつもりはない。あの子がいないことが全てだ。リンウッドはきっと、捜索に乗り気ではなかった。それでも放り出そうとはしなかった。遅くなったからと放り出して帰ることは絶対にしない。それを知っているから安心しているし、喜んでいる。
〈お疲れ様〉
リンウッドの額が肩に乗せられると頭を預けて目を閉じる。馬車の中にあるランタンの淡い光がリンウッドの汗を照らす。激しく上下を繰り返す背中を撫でながら口を動かして声なき労いをかけた。
十分ほど経って頭を上げたリンウッドを見てイベリスが小さく笑う。
〈どうかした?〉
〈あなたは今日一日、とっても素敵な紳士だったんだって思って〉
〈え? どういう意味?〉
トントンと自分の胸元を叩くイベリスを見て自分の胸に視線を落としてヒュッと喉が鳴った。ピンクのバラが胸ポケットに入ったままだった。
イベリスに渡そうと思って買ったピンクのバラは一番似合う相手に渡す前にリンウッドの胸ポケットに収まった。迷子の少年が現れたことで渡せなかったのだ。すっかり忘れていたリンウッドは朝からずっと胸ポケットに愛らしいバラを挿したまま子供を抱っこしていたのかと途端に羞恥に襲われた。
迷子を探してる親を見なかったかと問いかけたときに妙に笑顔でこちらを見てくる婦人たちがいた。愛想の良い人間だと思っていたが、これを見て笑っていたのだと気付いて青くなる。
〈大丈夫よ、リンウッド。とってもよく似合ってるもの〉
〈君のために買ったんだ……〉
情けないとまた顔を伏せてしまったリンウッドを抱きしめると背中に腕が回る。そのまま抱き寄せられ隣に移動すると甘えるように首元に擦り寄ってくるくすぐったさに笑いながら再び背中を撫でた。
「かっこ悪すぎる……」
溜め息と共に吐き出した言葉は後悔そのもの。イベリスの前ではいつだってかっこいい男でいたかった。気遣いのできる優しい男でいたかった。今日はイレギュラーがあったせいでいつもどおりとはいかなかった。
〈ごめん、イベリス〉
ずり落ちるように頭を下げたリンウッドの顔を強制的に上げさせるとイベリスは笑顔を見せた。そっと手を離したイベリスが手話ではなくメモ帳を開いて、言葉を綴る。何故わざわざメモ帳に書くのかと不思議そうに見ていたリンウッドの目が段々と見開かれていく。
〈あなたはいつだってかっこ良いし、素敵な人。一生懸命なあなたが大好きよ。どんなあなただって大好き〉
自分の声は聞こえていなかったはず。驚きに目を瞬かせていたが、すぐに理解する。声なんて聞こえなくてもイベリスには全てお見通しだと。わかりやすいと何百回も言われてきた。いつだってイベリスにどう思われているか気にして生きてきたリンウッドの原動力の全てがイベリスであり、それ以外ではリンウッドは動かない。
〈私はあなたをとても誇りに思うし、あなたの婚約者になれてとても幸せよ〉
キュッと唇を噛む。文字を読んでいるだけなのに泣きそうになっていた。
「愛してるんだよ、イベリス」
この気持ちは、好きなんて言葉では足りない。愛してるでも足りないと思っているぐらいだ。それでも、それ以上の言葉を知らないから愛してると伝える。もっと、深い愛を伝える言葉があれば良いのに。
小さな手を両手で握るとしっかり握り返される。
〈知ってる〉
愛してるという単語を読むのは簡単。イベリスという動きと好きと愛してるの動きはどんなに早くても読める気がする。
ふふッと笑うイベリスの手を引いて近付いてきた顔に目を閉じて触れるだけのキスをした。
すっかり辺りが暗くなった頃、リンウッドはようやく、初めて、有力な情報を手に入れた。
思わず声が大きくなったことに対面している男が驚く。
「あ、ああ。港のほうで男の子を見なかったかって取り乱してる親がいたぞ。夜の便には乗らなきゃいけないのに見つからないって泣いてたな」
「夜の便って何時だ!?」
「二十時が最終便だからそれじゃねぇかな」
時計を確認すると二十時まで三十分を切っている。馬車で行けば二十分で着く。だが、馬車まで戻る時間はない。かといって、この時間帯が一番馬車が見つからない。走れば間に合うかと考えるもイベリスを置いていくことはできない。何が最善かわからなくなったリンウッドの背中をイベリスが軽く叩く。
〈リンウッド、行って。私、ここのカフェで待ってるから〉
〈こんな時間に君を一人にはできない〉
〈話してる時間ある?〉
何を言っているのかはわかっていなかったはず。焦り具合から察したのだろう。聞いたのがカフェの前で良かったとドアノブを引いたイベリスを見て「絶対届けるから」と言葉にした。口の動きでわかったのか、笑顔で頷いたイベリスがカフェの中に入ったのを見てリンウッドが走り始めた。
間に合うかわからない。ここまで何時間も歩き続けている。今日は朝から良い日になるはずだった。晴れで、風が気持ち良くて、イベリスは相変わらず可愛くて、自分の気持ちは相変わらず重たくて、でも誇らしくて好きだという想いが今日も溢れ出していた。それなのに今日はイベリスと満足に会話もできていない。こんな日があっていいはずがないのにと悔しさに唇を噛み締めながら走り続ける。
早く着いて早く戻らなければ。カフェは夜遅くまで開いてはいない。外で待たせるなんて絶対にあり得ない。それこそリングデール夫妻に顔向けできなくなってしまう。それだけは絶対にダメだと肺が痛くなろうと走った。
港は暗い。灯りが少なく、船の灯りだけが見えている状態。親が子を探している声は聞こえない。前の便で出てしまったのではないかと焦っていると子供が声を上げた。
「ママッ! パパッ!」
悲鳴のような声を上げた子供がバタつき、地面に下ろすと一気に駆け出した。船の前でしゃがみこんでいた女が顔を上げて駆け出し、抱きしめる。彼らはきっとここからあまり動かなかったのだろう。すれ違いになっては困ると。旅先で自分まで迷子になっては本末転倒。船で来たなら船の前で待っていれば戻ってくるかもしれないと。
どこに行ってたの。どうやってここに戻ってきたの。そう問いかける親に少年はリンウッドを指差す。
「あのお兄ちゃんが……あれ?」
だが、姿は見当たらなかった。
(早く帰らないと!!)
親に言いたいことは山ほどあった。旅行で来たくせに子供から目を離すなんて何考えてるんだ。二度と手を離すな。親失格だ。怒鳴りつけてやりたい気持ちもあった。しかし、そんなことに時間を使うつもりはなかった。知らない子供だ。知らない相手だ。もう一度、自分の知らない場所であの子供が迷子になって親が泣き喚こうとどうだっていい。自業自得だ。今はそんなことよりも一秒でも早くあのカフェに帰らなければならない。肺が苦しくなろうとも足が痛くなろうとも休むわけにはいかない。ポケットの中にある懐中時計を確認する時間すら惜しい。
辺りはすっかり暗くなり、今が何時なのかわからない。時間はたぶん、一時間も経っていないはず。なら、まだカフェは開いているはず。
貴族が走るなんてことはしない。貴族は常に余裕を持って生きなければならない暗黙のルールのようなものが存在する。焦る姿や急いでいる姿を他人に見せるのはみっともない。わかっている。でも、リンウッドには関係ない。貴族としての余裕なんて知らない。どうだっていい。もし自分が離れている間にイベリスがナンパされるようなことがあれば自分を許せない。
「イベリスッ!!」
カフェの辺りは相変わらず暗く、カフェの灯りも消えていた。姿がない。冗談だろ。心臓が大きく跳ね、そして絞まる。勝手にいなくなるはずがないと慌ててカフェのドアを引くも開かない。
「子供は無事に届けられたか?」
子供の親がいる場所の情報をくれた男はまだそこにいた。苦しい呼吸を繰り返すだけのリンウッドに笑みを浮かべながら手紙を差し出す。奪うようにそれを手に取って薄明かりの下に移動する。
「ここに立ってると怒られるだろうからって──……あ」
紙に書かれたことを読むとすぐに駆け出したリンウッドに唖然とするも男はまた笑う。青春だと。
こんなに走ったのは人生で初めてではないか。走ること自体がにリンウッドの人生では珍しい。イベリスが待っている。早く会わなければ。その思いがリンウッドの足を動かす。
着いたのはヘイグ家の馬車。暗い中でも灯りに照らされた白い髪が光って見えた。その瞬間、震えるほどの安堵に襲われた。でも足は止まらない。
〈リンウッド!〉
窓から乗り出すようにして手を振るイベリスの笑顔を見つめながら馬車の前で止まり、その小さな手を握った。
〈大丈夫?〉
「大丈夫だよ」
ゆっくりと動かされた唇を読んで頷くリンウッドは誰が見ても大丈夫ではない。汗だくで、呼吸は苦しげ。深く吸えない呼吸で彼がどれほど走っていたのかよくわかる。
〈乗って〉
ドアを開けると手が離れるが、すぐに乗り込んできてまた手を握られる。手を握られては手話ができないし、筆談もできないというのに、と笑ってしまう。でも、離そうとはしない。
子供がいないことについて問いかけるつもりはない。あの子がいないことが全てだ。リンウッドはきっと、捜索に乗り気ではなかった。それでも放り出そうとはしなかった。遅くなったからと放り出して帰ることは絶対にしない。それを知っているから安心しているし、喜んでいる。
〈お疲れ様〉
リンウッドの額が肩に乗せられると頭を預けて目を閉じる。馬車の中にあるランタンの淡い光がリンウッドの汗を照らす。激しく上下を繰り返す背中を撫でながら口を動かして声なき労いをかけた。
十分ほど経って頭を上げたリンウッドを見てイベリスが小さく笑う。
〈どうかした?〉
〈あなたは今日一日、とっても素敵な紳士だったんだって思って〉
〈え? どういう意味?〉
トントンと自分の胸元を叩くイベリスを見て自分の胸に視線を落としてヒュッと喉が鳴った。ピンクのバラが胸ポケットに入ったままだった。
イベリスに渡そうと思って買ったピンクのバラは一番似合う相手に渡す前にリンウッドの胸ポケットに収まった。迷子の少年が現れたことで渡せなかったのだ。すっかり忘れていたリンウッドは朝からずっと胸ポケットに愛らしいバラを挿したまま子供を抱っこしていたのかと途端に羞恥に襲われた。
迷子を探してる親を見なかったかと問いかけたときに妙に笑顔でこちらを見てくる婦人たちがいた。愛想の良い人間だと思っていたが、これを見て笑っていたのだと気付いて青くなる。
〈大丈夫よ、リンウッド。とってもよく似合ってるもの〉
〈君のために買ったんだ……〉
情けないとまた顔を伏せてしまったリンウッドを抱きしめると背中に腕が回る。そのまま抱き寄せられ隣に移動すると甘えるように首元に擦り寄ってくるくすぐったさに笑いながら再び背中を撫でた。
「かっこ悪すぎる……」
溜め息と共に吐き出した言葉は後悔そのもの。イベリスの前ではいつだってかっこいい男でいたかった。気遣いのできる優しい男でいたかった。今日はイレギュラーがあったせいでいつもどおりとはいかなかった。
〈ごめん、イベリス〉
ずり落ちるように頭を下げたリンウッドの顔を強制的に上げさせるとイベリスは笑顔を見せた。そっと手を離したイベリスが手話ではなくメモ帳を開いて、言葉を綴る。何故わざわざメモ帳に書くのかと不思議そうに見ていたリンウッドの目が段々と見開かれていく。
〈あなたはいつだってかっこ良いし、素敵な人。一生懸命なあなたが大好きよ。どんなあなただって大好き〉
自分の声は聞こえていなかったはず。驚きに目を瞬かせていたが、すぐに理解する。声なんて聞こえなくてもイベリスには全てお見通しだと。わかりやすいと何百回も言われてきた。いつだってイベリスにどう思われているか気にして生きてきたリンウッドの原動力の全てがイベリスであり、それ以外ではリンウッドは動かない。
〈私はあなたをとても誇りに思うし、あなたの婚約者になれてとても幸せよ〉
キュッと唇を噛む。文字を読んでいるだけなのに泣きそうになっていた。
「愛してるんだよ、イベリス」
この気持ちは、好きなんて言葉では足りない。愛してるでも足りないと思っているぐらいだ。それでも、それ以上の言葉を知らないから愛してると伝える。もっと、深い愛を伝える言葉があれば良いのに。
小さな手を両手で握るとしっかり握り返される。
〈知ってる〉
愛してるという単語を読むのは簡単。イベリスという動きと好きと愛してるの動きはどんなに早くても読める気がする。
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