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イベリス復活編
美しい景色
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「ワンッ!」
犬の鳴き声で目を覚ましたウォルフの視界を真っ白な毛が覆う。思わず自分の手を見て獣化していないかを確認すると勢いよく起き上がった。
「マシロ!? おまっ、なんでここに!?」
「連れてきたのよ。あんなとこに居させるの可哀想だから」
椅子とテーブルがあるにもかかわらず、相変わらず宙に浮いて食事をする魔女と、いるはずのないマシロを交互に見る。自分に瞬間移動を使う能力があればマシロも同行させたが、死ぬかもしれない場所にマシロを同行させるわけにはいかず、置いていった。もし本当にイベリスに会うことができて生活基盤が整ったら迎えに行くつもりだった。だが、マシロはここにいる。まるで日常に戻ったかのように。
聞かずともわかる。魔女が連れてきたのだ。
誰よりもイベリスに会いたかっただろうマシロが今ここにいることに安堵する。
「身体は? 痛くない?」
「すみません。俺、寝てました」
夢じゃなかった。夢じゃない。イベリスが話せている。耳が聞こえるだけじゃない。嬉しい。彼女の声が聞けて嬉しい。強く感じる幸せを何度も噛み締めながら手を伸ばして抱きしめる。以前は彼女には夫がいて、皇妃と騎士という立場であり、堂々とした接触は許されなかったが、今は自分の恋人。どれだけ触れても咎められることはない。まだ半獣化したままのウォルフの尻尾が喜びに揺れて毛布も揺れる。
「おはよう」
パタパタと動く耳を指でくすぐる。そうすると大袈裟なまでに耳が激しく動く。それが面白くてまたやってしまう。
「痛みはありますが、だいぶ回復しました」
「獣人族は力と回復力だけが取り柄だものね」
「そーでーす」
魔女の嫌味を軽く流してベッドから降り、大きく伸びをする。痛みはまだある。しかしこの程度なら問題ない。あの何千本もの針で刺されているかのような痛みはもうなかった。
「パンを焼いたの。食べる?」
「イベリス様はパンが焼けるのですか?」
「あの日からずーっと焼かされてたからレシピなくても焼けるようになっちゃった」
ウォルフたちの前から消えた日からずっと台所に立たされた。魔法でなんでもできるくせに魔女はイベリスを召使いのように働かせた。その甲斐あってイベリスは洗い物も料理も一人で問題なくできるレベルにまで成長した。
「パンを焼くのに小麦粉を使うって知らなかったのよ、この子」
「パン粉で作るんだと思ってた」
あははと苦笑しながら頬を掻くイベリスに笑いながら席へと着けば目の前に朝食が並ぶ。パンと卵と野菜と果物。
「ハムは……」
「ハムが食べたいならその立派な太ももの肉を削いで食べるといいんじゃない?」
「意外とお肉やお魚って食べないでも生きられることがわかったの」
「俺は肉食なんですけどね」
「削いであげましょうか?」
「いただきます!」
目が本気だったと慌ててフォークを手に取り、パンの上に野菜と卵を乗せてかぶりつく。そのままバクッバクッと続けてかぶりついて終わり。さすがの魔女もあんぐりと口を開け、何が起こったのかと久しぶりに自分の目を疑った。
「ふふふっ、面白いでしょ。ウォルフと一緒にご飯食べてるとすごく気持ちいいの」
「おかわりください」
「今日中に倉庫の中の物、食べ尽くさないでよ……?」
「気をつける」
獣人族の食欲を忘れていたと嫌そうな顔をする魔女に歯を見せて笑うも肩を竦められる。焼いたパン全部をカゴに入れて持ってきたイベリスは淹れたばかりの紅茶を魔女に差し出し、ウォルフの前にはミルクを置く。
山盛りだったパンは五分もかからずペロリとウォルフの胃にキレイに収まった。
「お腹いっぱいになった?」
「物足りなさはありますが、今はこれで満足したことにします」
「呆れた。人の分まで食べておいてそれ? どんな胃袋してるのよ」
お昼用にまた焼かなければならないと仕事が増えたが、イベリスは楽しんでいる。久しぶりにこんなにも穏やかで幸せな時間を過ごしているのだ。こんなにも幸せなのはリンウッドに婚約破棄される前の生活以来。フォークが落ちただけで笑えるような気分でいられる日々に感謝している。
「外に出てみない? すごく美しいのよ」
「出ましょ……お?」
昨日は感じなかったが、立ち上がると小屋の屋根が高くなる。「異物に壊されないために小屋が自衛しただけよ」と魔女が言った。魔法の力が無限大と言った理由がよくわかる光景に魔法使いが羨ましくなる。魔法が使えたらきっともっとイベリスを喜ばせてやれるのにと。獣化でも喜んではくれるが、その喜びはマシロで満たされている。彼女のために自分にしかできないことはなんだろうと考えるも今はまだわからない。
「行きましょ」
「はい」
差し出された手を握って一緒に小屋の外へ出ると息をのんだ。終焉の森を抜けた先の光景とは思えないほどに美しい。
目の前を流れる小川は透き通っており、耳心地の良い音を立てる。鹿、兎、リス、鳥、馬。目に見える以外にも動物はいる。彼らの鳴き声がウォルフの耳に入ってくる。高く伸びた木々。奥にはテロスの城にあったよりも立派な花畑。風が吹くと青々とした葉がザアッと音を立てる。
無意識に深呼吸をしていた。どこを歩いても空気が汚れていると感じることはない。それほど繊細な性格ではないから気にもしなかったが、ここに立ってわかった。澄んだ空気、汚れた空気は存在する。グラキエスの空気は澄んでいるが、この森ほどではない。テロスの空気は汚れている。人が多いせいだろう。煙突も船も多いテロスの空気はあまり良くないのだ。
「イベリス様」
ウォルフは改めて考えた。
「ここを去ったら、どこかこういう空気の澄んだ場所で暮らしませんか? 静かな場所で暮らしたほうがあなたには合ってると思うんです」
もう皇妃ではない相手が危険に遭うことはないと思いたいが、可能性はゼロではない。世の中は危険に満ちている。
いくつかのトラウマを抱えている相手が穏やかに暮らせるようにするためにはこうした静かな場所がいいと考えるウォルフにイベリスは即座に「嫌」と答えた。
あまりにも早いその返事に目を瞬かせるウォルフにイベリスが笑顔を向ける。
「もっと、たくさんの音を聞いて回りたいの。皆が当たり前に知ってる音を私は知らない。あなたたちと同じ位置に立ってたくさん話をしたいから、静かな場所にこもっていたくない」
「確かに……」
「聞こえるようになったら途端に欲が出てきちゃって。わがままでごめんね」
わがままなものかと微笑みながらかぶりを振る。
「俺も、あなたに教えたい音がたくさんあります。見せたい景色もたくさんあるんです。俺も世界のことはよく知らないけど、あなたと一緒に見て回りたい」
「リンベルの案内なら任せて」
「グラキエスの案内なら任せてください。一回行きましたけど、今度はもっとディープなとこを案内しますよ。口うるさいサーシャもいませんし」
「誰が口うるさいよ」
聞こえるはずのない声に二人同時に振り向いた。終焉の森から氷が伸び、周囲の木々は既に凍っている。そこからゆっくりと歩いてきた女の姿にイベリスが駆け出した。ウォルフの身体で隠れて見えていなかった少女の姿に目を見開き、信じられないと顔に出しながらもサーシャも駆け出した。
「イベリス様ッ!!」
全てを捨てるつもりでやってきた場所に彼女がいた。
「サーシャ!!」
名前を呼んだのは誰だ。魔女か? 違う。魔女の声はこんなに美しくない。抱きついてきた少女に手が触れないように腕だけで抱きしめながら戸惑うサーシャにウォルフが歩み寄る。
「俺らの想像どおりだろ?」
「サーシャ、もう一度あなたに会いたかった」
「声が……」
「声だけじゃねぇよ。耳も聞こえるんだ」
ここに来るまでの間、消滅した魂を復元するには何を差し出せばいいのかとずっと考えていた。自分の命には価値がないと言われ、命が差し出せないのではそれ以上に何を差し出せるのかと絶望しながら超えてきた先でイベリスを見つけた。
聖女気取りだったあの女の歌声よりも美しいはずだと二人で話していた予想は当たっており、美しいその音色に涙が溢れたサーシャはその場に座り込んで、子供のように大声で泣き出した。
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「マシロ!? おまっ、なんでここに!?」
「連れてきたのよ。あんなとこに居させるの可哀想だから」
椅子とテーブルがあるにもかかわらず、相変わらず宙に浮いて食事をする魔女と、いるはずのないマシロを交互に見る。自分に瞬間移動を使う能力があればマシロも同行させたが、死ぬかもしれない場所にマシロを同行させるわけにはいかず、置いていった。もし本当にイベリスに会うことができて生活基盤が整ったら迎えに行くつもりだった。だが、マシロはここにいる。まるで日常に戻ったかのように。
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誰よりもイベリスに会いたかっただろうマシロが今ここにいることに安堵する。
「身体は? 痛くない?」
「すみません。俺、寝てました」
夢じゃなかった。夢じゃない。イベリスが話せている。耳が聞こえるだけじゃない。嬉しい。彼女の声が聞けて嬉しい。強く感じる幸せを何度も噛み締めながら手を伸ばして抱きしめる。以前は彼女には夫がいて、皇妃と騎士という立場であり、堂々とした接触は許されなかったが、今は自分の恋人。どれだけ触れても咎められることはない。まだ半獣化したままのウォルフの尻尾が喜びに揺れて毛布も揺れる。
「おはよう」
パタパタと動く耳を指でくすぐる。そうすると大袈裟なまでに耳が激しく動く。それが面白くてまたやってしまう。
「痛みはありますが、だいぶ回復しました」
「獣人族は力と回復力だけが取り柄だものね」
「そーでーす」
魔女の嫌味を軽く流してベッドから降り、大きく伸びをする。痛みはまだある。しかしこの程度なら問題ない。あの何千本もの針で刺されているかのような痛みはもうなかった。
「パンを焼いたの。食べる?」
「イベリス様はパンが焼けるのですか?」
「あの日からずーっと焼かされてたからレシピなくても焼けるようになっちゃった」
ウォルフたちの前から消えた日からずっと台所に立たされた。魔法でなんでもできるくせに魔女はイベリスを召使いのように働かせた。その甲斐あってイベリスは洗い物も料理も一人で問題なくできるレベルにまで成長した。
「パンを焼くのに小麦粉を使うって知らなかったのよ、この子」
「パン粉で作るんだと思ってた」
あははと苦笑しながら頬を掻くイベリスに笑いながら席へと着けば目の前に朝食が並ぶ。パンと卵と野菜と果物。
「ハムは……」
「ハムが食べたいならその立派な太ももの肉を削いで食べるといいんじゃない?」
「意外とお肉やお魚って食べないでも生きられることがわかったの」
「俺は肉食なんですけどね」
「削いであげましょうか?」
「いただきます!」
目が本気だったと慌ててフォークを手に取り、パンの上に野菜と卵を乗せてかぶりつく。そのままバクッバクッと続けてかぶりついて終わり。さすがの魔女もあんぐりと口を開け、何が起こったのかと久しぶりに自分の目を疑った。
「ふふふっ、面白いでしょ。ウォルフと一緒にご飯食べてるとすごく気持ちいいの」
「おかわりください」
「今日中に倉庫の中の物、食べ尽くさないでよ……?」
「気をつける」
獣人族の食欲を忘れていたと嫌そうな顔をする魔女に歯を見せて笑うも肩を竦められる。焼いたパン全部をカゴに入れて持ってきたイベリスは淹れたばかりの紅茶を魔女に差し出し、ウォルフの前にはミルクを置く。
山盛りだったパンは五分もかからずペロリとウォルフの胃にキレイに収まった。
「お腹いっぱいになった?」
「物足りなさはありますが、今はこれで満足したことにします」
「呆れた。人の分まで食べておいてそれ? どんな胃袋してるのよ」
お昼用にまた焼かなければならないと仕事が増えたが、イベリスは楽しんでいる。久しぶりにこんなにも穏やかで幸せな時間を過ごしているのだ。こんなにも幸せなのはリンウッドに婚約破棄される前の生活以来。フォークが落ちただけで笑えるような気分でいられる日々に感謝している。
「外に出てみない? すごく美しいのよ」
「出ましょ……お?」
昨日は感じなかったが、立ち上がると小屋の屋根が高くなる。「異物に壊されないために小屋が自衛しただけよ」と魔女が言った。魔法の力が無限大と言った理由がよくわかる光景に魔法使いが羨ましくなる。魔法が使えたらきっともっとイベリスを喜ばせてやれるのにと。獣化でも喜んではくれるが、その喜びはマシロで満たされている。彼女のために自分にしかできないことはなんだろうと考えるも今はまだわからない。
「行きましょ」
「はい」
差し出された手を握って一緒に小屋の外へ出ると息をのんだ。終焉の森を抜けた先の光景とは思えないほどに美しい。
目の前を流れる小川は透き通っており、耳心地の良い音を立てる。鹿、兎、リス、鳥、馬。目に見える以外にも動物はいる。彼らの鳴き声がウォルフの耳に入ってくる。高く伸びた木々。奥にはテロスの城にあったよりも立派な花畑。風が吹くと青々とした葉がザアッと音を立てる。
無意識に深呼吸をしていた。どこを歩いても空気が汚れていると感じることはない。それほど繊細な性格ではないから気にもしなかったが、ここに立ってわかった。澄んだ空気、汚れた空気は存在する。グラキエスの空気は澄んでいるが、この森ほどではない。テロスの空気は汚れている。人が多いせいだろう。煙突も船も多いテロスの空気はあまり良くないのだ。
「イベリス様」
ウォルフは改めて考えた。
「ここを去ったら、どこかこういう空気の澄んだ場所で暮らしませんか? 静かな場所で暮らしたほうがあなたには合ってると思うんです」
もう皇妃ではない相手が危険に遭うことはないと思いたいが、可能性はゼロではない。世の中は危険に満ちている。
いくつかのトラウマを抱えている相手が穏やかに暮らせるようにするためにはこうした静かな場所がいいと考えるウォルフにイベリスは即座に「嫌」と答えた。
あまりにも早いその返事に目を瞬かせるウォルフにイベリスが笑顔を向ける。
「もっと、たくさんの音を聞いて回りたいの。皆が当たり前に知ってる音を私は知らない。あなたたちと同じ位置に立ってたくさん話をしたいから、静かな場所にこもっていたくない」
「確かに……」
「聞こえるようになったら途端に欲が出てきちゃって。わがままでごめんね」
わがままなものかと微笑みながらかぶりを振る。
「俺も、あなたに教えたい音がたくさんあります。見せたい景色もたくさんあるんです。俺も世界のことはよく知らないけど、あなたと一緒に見て回りたい」
「リンベルの案内なら任せて」
「グラキエスの案内なら任せてください。一回行きましたけど、今度はもっとディープなとこを案内しますよ。口うるさいサーシャもいませんし」
「誰が口うるさいよ」
聞こえるはずのない声に二人同時に振り向いた。終焉の森から氷が伸び、周囲の木々は既に凍っている。そこからゆっくりと歩いてきた女の姿にイベリスが駆け出した。ウォルフの身体で隠れて見えていなかった少女の姿に目を見開き、信じられないと顔に出しながらもサーシャも駆け出した。
「イベリス様ッ!!」
全てを捨てるつもりでやってきた場所に彼女がいた。
「サーシャ!!」
名前を呼んだのは誰だ。魔女か? 違う。魔女の声はこんなに美しくない。抱きついてきた少女に手が触れないように腕だけで抱きしめながら戸惑うサーシャにウォルフが歩み寄る。
「俺らの想像どおりだろ?」
「サーシャ、もう一度あなたに会いたかった」
「声が……」
「声だけじゃねぇよ。耳も聞こえるんだ」
ここに来るまでの間、消滅した魂を復元するには何を差し出せばいいのかとずっと考えていた。自分の命には価値がないと言われ、命が差し出せないのではそれ以上に何を差し出せるのかと絶望しながら超えてきた先でイベリスを見つけた。
聖女気取りだったあの女の歌声よりも美しいはずだと二人で話していた予想は当たっており、美しいその音色に涙が溢れたサーシャはその場に座り込んで、子供のように大声で泣き出した。
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