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ロベリア復活
パレード
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「ねえ、どう? 似合う? 似合ってるわよね?」
「よくお似合いです」
朝から目が回るほど忙しい中でサーシャは鏡に向かって笑顔を振り撒くロベリアを無表情で見ていた。
急ピッチで仕立てさせた美しいドレスを見に纏い、お気に入りの装飾品を一つずつ身につけさせる。セットしては、あれでもないこれでもないと言い続けてるロベリアに対し、サーシャは無の境地に達していた。
今朝から何十回も同じ質問をして飽きないのか。それしか能がないのかと嫌味を言いたくなるぐらいには返事に飽きているサーシャの無表情、低トーンの声もロベリアは気にしない。
「なんの記念日でもないのにパレードの開催だなんて私に対する彼の愛ったらすごいわよね」
「そうですね」
特別なパレードではなく、国に活気を与えるためのパレードだとファーディナンドは言ったが、ロベリアは自分のためだと信じている。だから上機嫌なのだ。着飾ることが好きなロベリアはパーティーよりもパレードが好きだった。国民が沿道に集まって一斉に注目する。テロスのミニ旗を振り、黄色い歓声を浴びる。これほど気持ちの良いことはない。
「あなたは侍女なんだから着飾ればいいのにファーディナンドもケチよね」
「当然のことですから」
「素材は悪くないのにね」
「恐縮です」
(次女にも着せろと掛け合ってもないくせによく言うわ、このクソ女)
心の中で悪態を吐きながら白グローブを通させる。
完成した自分の姿を満足げに見つめながら恍惚とする表情を見ないためにサーシャは一歩下がって視界から鏡を外した。
「ファーディナンドに見せに行きましょう」
(待っとけよ)
暴言が許されるなら言葉にしている苛立ちを抱えながらドレスの裾を持ち、直前まで働くファーディナンドがいる執務室へと向かった。
「陛下、そろそろ準備なさいませんと」
「なんのパレードかもわからん予定を何故入れたんだ?」
「陛下がお決めになられたことです。私個人でこのような大規模な催しを決定する権限はございませんので」
使用人のための慰労会の開催はアイゼンに権限があるが、その他は必ず皇帝の許可が必要。予定に入っていることに気付いたときはアイゼンも驚いた。何故こんな予定が入っているのか、何故気付かなかったのかと。
何もかも大急ぎで関係者全員を振り回すこととなった。
ロベリアにはそれらしいことを言ったはいいが、ファーディナンドは乗り気ではない。なんのパレードかもわからないのに国民の前に出て、とってつけたようなスピーチをするぐらいなら執務室にこもって仕事をしているほうがいい。
「これもあの少女との約束だったのか……?」
「かもしれませんね」
「パレードを開くことがか? あの子供にそんな権限があったと?」
「妻、だったのであれば可能ですね」
リンウッドの墓の前で流れ込んできた記憶の中で彼は確かに『妻にしておきながら』と言った。
ファーディナンドはロベリアが復活してから流れてきた記憶を整理するために言葉と状況を全て書き出している。鍵のかかる引き出しの中へとしまい、誰にも見られないようにしていた。それを取り出して確認すると霊園に行った日付の横に彼のだろう言葉が書いてある。その一文に目を通すとアイゼンの言葉を否定するようにかぶりを振る。
「愛そうともしない、と彼は言った。少女をよく知る人物だったのだろう。もし仮に少女が俺の妻だったとして、彼がそう言ったということは少女は彼にそういった内容の手紙を書いていたということだ。それなのにパレードだけは開催するつもりだったと?」
「妻であったのなら再婚という形になり、一周年記念なりの予定だったのかもしれません」
「ロベリアを復活させるために魔女と契約までしておきながら再婚? 愛してもいない妻のためにパレード? 国費を使うんだぞ。矛盾している」
ファーディナンドは怪訝な顔をするが、アイゼンは何もおかしなことはないと言いたげな表情を見せる。
「その少女をロベリア様の器として用意したのであれば、再婚はごく自然なことです。その身体にロベリア様が入られるのですからそのまま夫婦として生きていけばいいだけのこと」
「偽りの夫婦だったからこそリンウッド・ヘイグは少女から手紙を受け取って怒りを抱いた。俺はロベリア復活までの我慢だとでも思っていたのか? いやだが、それにしては……」
「感謝を言われるほどのことを陛下はなさった」
確かに少女はありがとうと言った。だが、どうにも喜べない。あの言葉を思い出すたびに胸がモヤつく。苦しくなる。感謝されて喜べない理由はなんなのか。
「少女はまだ幼かった。二十三に満たなかったのだろう。ロベリアだと一目でわかるほど似てはいるが……ロベリアはこんな顔ではなかった、とも思うんだ」
「……そうですね」
少し間があったアイゼンにファーディナンドも小さく頷く。わかっている。何かが違う。年齢もそうだが、そこではなく、ロベリアはこんな顔だったかと、見るたびに首を傾げたくなる。
「お前の目にはどこが違うように見える?」
「どこ……という明確なものはありません。ただ、器の少女はとても清らかな人間だったのではないかと思うのです。私はスピリチュアルなものは信じない主義ですが、不思議とそう感じます」
「そうか」
ファーディナンドもアイゼンの意見に賛成だった。
ロベリアは二十三歳で死んだ。だが、器の少女は明らかに十代半ば程度。その年齢はファーディナンドがロベリアと出会った頃だ。しかし、不思議とあの頃のロベリアとは思わなかった。ロベリアのように見えてロベリアではない。そんな感じがする。それは自分が盲目的にロベリアを愛していたせいで本当の彼女が見えていなかったからかもしれない。眩しいほどキラキラと輝いて見えていたあの頃の愛が今はもうない。魔女と契約してまで生き返らせてもらったのに、だ。
一体この一年間の間に何があったのか。
「俺は……本当に彼女を愛していたのだろうか……?」
「かもしれませんね」
どちらを、とは聞かなかった。アイゼンもこの一年の記憶は所々曖昧な部分がある。記憶力にはまだまだ自信があるだけに魔女が関係しているのだと聞かされて納得はしている。だからムリに思い出そうともしない。思い出せば辛くなるような気がしている。
暴君であるロベリアをただ盲目的に愛していた彼がここまで変わったのは間違いなくそこの一年、妻として過ごした器の少女のおかげだろう。何があったのかは思い出せない。それでも彼は少女が消えた今でもこうして以前に戻ることなく現実を見ている。
ロベリアも彼を変えた。感情豊かになったのはロベリアのおかげだ。良くも悪くも。ロベリアの言葉を絶対とし、彼が笑うも怒るもロベリア次第。次期皇帝として厳しく育てられた彼がロベリアの顔色を窺い生きていたあの頃はテロスもここまでだと思っていた。今の彼にはその危機感を抱く必要がない。感謝を伝えたかったほどの変化だ。
「ファーディナンドー!」
ノックもなしにドアを開けたロベリアにノックをするようアイゼンが注意をするも無視。
「どう? 似合う?」
「ああ、よく似合っている」
小首を傾げて微笑む姿に目を細めながらもその奥に少女の影を見る。だが、不思議と映像は流れてこない。いや、何かぼんやりとは浮かぶ。それがハッキリとしない。
「なんの花だ……?」
「え?」
「あ、いや、なんでもない」
「ジャスミンの花の香りよ。とっても優雅でしょ」
「ああ、そうだな」
少女が身にまとうドレスに何かの花のような飾りが縫い付けられている。花にはこれっぽっちも興味がなく、それがなんの花か特定することができない。ましてや白黒。花びらの色すらわからない。少女も何かのイベントでドレスを着ていた。
(まさか……このパレードのために作ったドレスか?)
スケジュールを管理するアイゼンでさえなんのパレードかわからないのは少女が関係しているから。少女がドレスを着ている映像……いや、写真が見えた。動いていない。もし自分が少女のためにパレードを開催しようと計画し、ドレスを新調したのだとしたら……
(愛していたのか……)
一周年記念のパレードだとしても中止の理由ならいくらでも付けられるはずだ。体調を崩していると言えば国民は納得する。それに、器として置いておくために妻にしただけなら今も盲目的にロベリアを愛しているはず。
ロベリアが『ただいま』と言ったとき、涙を流すほど嬉しかったはずが、胸は引き裂かれそうなほど痛かった。あれはずっと会いたくてたまらなかった相手に会えたことで死に別れた当時のことを思い出していたせいだと思っていたが、違う。
(あれは……ロベリアが戻る前の、少女との別れで流していた涙……)
涙を流すほど愛していた。胸が引き裂かれそうなほどの痛みを感じる愛。ロベリアが死ぬまで抱いていたあの感情をたった一年一緒だった少女に抱いていたという事実があるだとしたら、ロベリアへの愛情が薄れている理由も納得できる。
少女は一体どういう人間で、自分はどれほどの愛情を少女に抱いていたのだろう。記憶が表に出てこないことがもどかしくて仕方なかった。
「よくお似合いです」
朝から目が回るほど忙しい中でサーシャは鏡に向かって笑顔を振り撒くロベリアを無表情で見ていた。
急ピッチで仕立てさせた美しいドレスを見に纏い、お気に入りの装飾品を一つずつ身につけさせる。セットしては、あれでもないこれでもないと言い続けてるロベリアに対し、サーシャは無の境地に達していた。
今朝から何十回も同じ質問をして飽きないのか。それしか能がないのかと嫌味を言いたくなるぐらいには返事に飽きているサーシャの無表情、低トーンの声もロベリアは気にしない。
「なんの記念日でもないのにパレードの開催だなんて私に対する彼の愛ったらすごいわよね」
「そうですね」
特別なパレードではなく、国に活気を与えるためのパレードだとファーディナンドは言ったが、ロベリアは自分のためだと信じている。だから上機嫌なのだ。着飾ることが好きなロベリアはパーティーよりもパレードが好きだった。国民が沿道に集まって一斉に注目する。テロスのミニ旗を振り、黄色い歓声を浴びる。これほど気持ちの良いことはない。
「あなたは侍女なんだから着飾ればいいのにファーディナンドもケチよね」
「当然のことですから」
「素材は悪くないのにね」
「恐縮です」
(次女にも着せろと掛け合ってもないくせによく言うわ、このクソ女)
心の中で悪態を吐きながら白グローブを通させる。
完成した自分の姿を満足げに見つめながら恍惚とする表情を見ないためにサーシャは一歩下がって視界から鏡を外した。
「ファーディナンドに見せに行きましょう」
(待っとけよ)
暴言が許されるなら言葉にしている苛立ちを抱えながらドレスの裾を持ち、直前まで働くファーディナンドがいる執務室へと向かった。
「陛下、そろそろ準備なさいませんと」
「なんのパレードかもわからん予定を何故入れたんだ?」
「陛下がお決めになられたことです。私個人でこのような大規模な催しを決定する権限はございませんので」
使用人のための慰労会の開催はアイゼンに権限があるが、その他は必ず皇帝の許可が必要。予定に入っていることに気付いたときはアイゼンも驚いた。何故こんな予定が入っているのか、何故気付かなかったのかと。
何もかも大急ぎで関係者全員を振り回すこととなった。
ロベリアにはそれらしいことを言ったはいいが、ファーディナンドは乗り気ではない。なんのパレードかもわからないのに国民の前に出て、とってつけたようなスピーチをするぐらいなら執務室にこもって仕事をしているほうがいい。
「これもあの少女との約束だったのか……?」
「かもしれませんね」
「パレードを開くことがか? あの子供にそんな権限があったと?」
「妻、だったのであれば可能ですね」
リンウッドの墓の前で流れ込んできた記憶の中で彼は確かに『妻にしておきながら』と言った。
ファーディナンドはロベリアが復活してから流れてきた記憶を整理するために言葉と状況を全て書き出している。鍵のかかる引き出しの中へとしまい、誰にも見られないようにしていた。それを取り出して確認すると霊園に行った日付の横に彼のだろう言葉が書いてある。その一文に目を通すとアイゼンの言葉を否定するようにかぶりを振る。
「愛そうともしない、と彼は言った。少女をよく知る人物だったのだろう。もし仮に少女が俺の妻だったとして、彼がそう言ったということは少女は彼にそういった内容の手紙を書いていたということだ。それなのにパレードだけは開催するつもりだったと?」
「妻であったのなら再婚という形になり、一周年記念なりの予定だったのかもしれません」
「ロベリアを復活させるために魔女と契約までしておきながら再婚? 愛してもいない妻のためにパレード? 国費を使うんだぞ。矛盾している」
ファーディナンドは怪訝な顔をするが、アイゼンは何もおかしなことはないと言いたげな表情を見せる。
「その少女をロベリア様の器として用意したのであれば、再婚はごく自然なことです。その身体にロベリア様が入られるのですからそのまま夫婦として生きていけばいいだけのこと」
「偽りの夫婦だったからこそリンウッド・ヘイグは少女から手紙を受け取って怒りを抱いた。俺はロベリア復活までの我慢だとでも思っていたのか? いやだが、それにしては……」
「感謝を言われるほどのことを陛下はなさった」
確かに少女はありがとうと言った。だが、どうにも喜べない。あの言葉を思い出すたびに胸がモヤつく。苦しくなる。感謝されて喜べない理由はなんなのか。
「少女はまだ幼かった。二十三に満たなかったのだろう。ロベリアだと一目でわかるほど似てはいるが……ロベリアはこんな顔ではなかった、とも思うんだ」
「……そうですね」
少し間があったアイゼンにファーディナンドも小さく頷く。わかっている。何かが違う。年齢もそうだが、そこではなく、ロベリアはこんな顔だったかと、見るたびに首を傾げたくなる。
「お前の目にはどこが違うように見える?」
「どこ……という明確なものはありません。ただ、器の少女はとても清らかな人間だったのではないかと思うのです。私はスピリチュアルなものは信じない主義ですが、不思議とそう感じます」
「そうか」
ファーディナンドもアイゼンの意見に賛成だった。
ロベリアは二十三歳で死んだ。だが、器の少女は明らかに十代半ば程度。その年齢はファーディナンドがロベリアと出会った頃だ。しかし、不思議とあの頃のロベリアとは思わなかった。ロベリアのように見えてロベリアではない。そんな感じがする。それは自分が盲目的にロベリアを愛していたせいで本当の彼女が見えていなかったからかもしれない。眩しいほどキラキラと輝いて見えていたあの頃の愛が今はもうない。魔女と契約してまで生き返らせてもらったのに、だ。
一体この一年間の間に何があったのか。
「俺は……本当に彼女を愛していたのだろうか……?」
「かもしれませんね」
どちらを、とは聞かなかった。アイゼンもこの一年の記憶は所々曖昧な部分がある。記憶力にはまだまだ自信があるだけに魔女が関係しているのだと聞かされて納得はしている。だからムリに思い出そうともしない。思い出せば辛くなるような気がしている。
暴君であるロベリアをただ盲目的に愛していた彼がここまで変わったのは間違いなくそこの一年、妻として過ごした器の少女のおかげだろう。何があったのかは思い出せない。それでも彼は少女が消えた今でもこうして以前に戻ることなく現実を見ている。
ロベリアも彼を変えた。感情豊かになったのはロベリアのおかげだ。良くも悪くも。ロベリアの言葉を絶対とし、彼が笑うも怒るもロベリア次第。次期皇帝として厳しく育てられた彼がロベリアの顔色を窺い生きていたあの頃はテロスもここまでだと思っていた。今の彼にはその危機感を抱く必要がない。感謝を伝えたかったほどの変化だ。
「ファーディナンドー!」
ノックもなしにドアを開けたロベリアにノックをするようアイゼンが注意をするも無視。
「どう? 似合う?」
「ああ、よく似合っている」
小首を傾げて微笑む姿に目を細めながらもその奥に少女の影を見る。だが、不思議と映像は流れてこない。いや、何かぼんやりとは浮かぶ。それがハッキリとしない。
「なんの花だ……?」
「え?」
「あ、いや、なんでもない」
「ジャスミンの花の香りよ。とっても優雅でしょ」
「ああ、そうだな」
少女が身にまとうドレスに何かの花のような飾りが縫い付けられている。花にはこれっぽっちも興味がなく、それがなんの花か特定することができない。ましてや白黒。花びらの色すらわからない。少女も何かのイベントでドレスを着ていた。
(まさか……このパレードのために作ったドレスか?)
スケジュールを管理するアイゼンでさえなんのパレードかわからないのは少女が関係しているから。少女がドレスを着ている映像……いや、写真が見えた。動いていない。もし自分が少女のためにパレードを開催しようと計画し、ドレスを新調したのだとしたら……
(愛していたのか……)
一周年記念のパレードだとしても中止の理由ならいくらでも付けられるはずだ。体調を崩していると言えば国民は納得する。それに、器として置いておくために妻にしただけなら今も盲目的にロベリアを愛しているはず。
ロベリアが『ただいま』と言ったとき、涙を流すほど嬉しかったはずが、胸は引き裂かれそうなほど痛かった。あれはずっと会いたくてたまらなかった相手に会えたことで死に別れた当時のことを思い出していたせいだと思っていたが、違う。
(あれは……ロベリアが戻る前の、少女との別れで流していた涙……)
涙を流すほど愛していた。胸が引き裂かれそうなほどの痛みを感じる愛。ロベリアが死ぬまで抱いていたあの感情をたった一年一緒だった少女に抱いていたという事実があるだとしたら、ロベリアへの愛情が薄れている理由も納得できる。
少女は一体どういう人間で、自分はどれほどの愛情を少女に抱いていたのだろう。記憶が表に出てこないことがもどかしくて仕方なかった。
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