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ロベリア復活
鍵2
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「陛下の記憶には確かに鍵がかかっていました。それもある一部の記憶帯にだけ」
「その記憶はどういう記憶だ?」
「覗けませんでした」
恥じ入ることなく伝えたことに舌打ちが飛び出した。
「事前にお伝えしましたように、記憶に関する魔法は書物自体が少ないのです。他人の記憶を覗く魔法ですら生涯かけても習得できない者もいるほど高度な技術。そこに鍵をかけるなど、ましてや一部にだけかける技術など一体何百年生きれば習得できるのか……」
できたのは鍵がかけられていることの確認だけ。
「何があった?」
杖を弾かれただけで済んだ魔法士ですら思い出して身体を震わせる。ごくりと喉を鳴らして息を吐き出す。
「記憶にかけてある鍵に触れた瞬間、魔法が跳ね返ってきたのです」
「黒くなったのは化学反応か?」
アイツの腕はもう機能しないだろう。そんな予想が容易についてしまうほどひどかったあの状態を思い出し唇を噛む。
「黒魔法は魔法士世界では禁忌とされ、書物は世界にたった一冊。それもマギア島にあるグリモワール保管庫の地下で管理されています。大賢者しか立ち入ることは許されておらず、持ち出しは当然のこと、読むだけでも死罪と決められています」
一点を見つめたまま語る魔法士の額には暑くもないのに汗が滲んでいる。それがこめかみから顎へと伝い、床に落ちた。
「過去にそれを読んだのは大賢者とたった一人の魔女だけ。大賢者はマギア島からお出になることはありません。接触があったとすれば魔女のみ……」
だから魔女と契約したのだと彼らは思った。
「陛下、魔女との契約は世界政府が禁止している重罪行為。それがバレればテロスは問答無用での消滅。全て分かった上で契約を……?」
「……ああ」
「一体何を契約したのですか!? 魔女に願わなければならないものとは国民の命よりも重いものだったのですか!?」
当時の自分にとってはそうだった。周りのことなど考えもせず、ロベリアが失われた悲しみを受け入れることもできずに生き返らせることにだけ頭を使った。
わがままなところも可愛いとすら思っていた。皇妃なのだから使用人は仕えて当然であり、皇帝が民のために生きているのだから国民もそうあるべきだと考えていた。
生き返ってくれて嬉しいはずなのに、「何故そんなことをした」「何故受け入れようとしなかった」と呆れるもう一人の自分がいる。周りが見えなくなるほど彼女を愛していた自分はどこへ行ったのか、客観的に見ている自分もいた。
魔女との契約がいかに愚かであるか、魔法士に言われて改めて認識する。だが、もう遅い。
「俺の頭の中にかけられているのは黒魔法によるものだというのか?」
「いえ、記憶の関する魔法自体は黒魔法ではありません。ただ、その魔法に黒魔法が練られている可能性があるということです」
「俺も魔女に会ったことがあるということか……?」
「だろうな」
「俺は魔女に会ったこともなければ終焉の森に行ったこともない」
「記憶に鍵をかけられてるだけなんじゃないか?」
「陛下はかけられてないのにか?」
フンッと鼻を鳴らす魔法士に蹴りの一つでも入れてやりたい気分だった。
「陛下、どうなさるおつもりですか?」
「どうすると言ってもどうしようもないだろう。まさか自分から世界政府に魔女と契約してしまったと言えるはずがない」
同僚の言葉にまた唇を噛む。
自首すればテロスは終わる。結局はバレないことを願いながら生きるしかないのだ。世界は広く、国によほどの変化がない限りは世界政府も目を付けることはない。
「手間をかけた」
鍵がかけられているとハッキリわかっただけでも意味があった。彼らが解除方法を知らないのでは長居したところで意味はない。
立ち上がったファーディナンドが部屋を出るとドア越しに悔しげな叫び声が聞こえるも二人は足を止めなかった。
「情けない話だ」
廊下を渡りながら呟くファーディナンドに「魔女との契約は何を?」と問いかけるも返事はない。
「解除法、本当にないんですかね?」
「マギア島に行けばわかるかもしれんが……」
「地図には存在しない島ですよね、確か」
「そうだ」
世界中の人間が名前は知っているが場所を知らない島。島はハリケーンのような風で守られていて、それを破れた者だけが入ることを許されるとか、賢者しか入れないとか、世界政府の城の地下と繋がっているとか噂はさまざま。何が本当かわからない、存在さえ不確かな島だ。
海の上を彷徨い探し続けるよりも終焉の森に行って魔女へと辿り着く道のほうが解除できる可能性としては高い。
「何かがキッカケで鍵が解除されるようになってればいいんですけどね」
「世界で最も性悪と言われる魔女がそんな優しさを持っていると思うか?」
「まあ、そうですよね。契約すれば願いは叶える律儀な魔女が性悪って呼ばれるにはそれ相応の理由があるわけですし」
「また思い出したら教えてくれ」
「わかりました」
城に戻ると外から戻ってきたロベリアとバッタリ出くわした。嬉しそうに駆け寄ってくるロベリアを抱き留めるとウォルフが一礼して去っていく。
「二人で魔法士の塔に行って何してたの?」
「頭痛の原因が医者ではわからなかったからな。魔法士に診てもらってきた」
「大丈夫だった?」
「脳が疲れていると言われた。少し休まねばな」
「あなたはずっと働き続けていたんだもの。少しは休まないと」
そう言いながらも拗ねた顔をするロベリアに首を傾げる。
「私が言っても聞かないのに魔法士に言われたら聞くのね」
「お前はすぐに休んだほうがいいと言うだろう」
「心配なの。今度はあなたが倒れたらって……」
ギュッと胸に顔を埋めるロベリアの背中を撫でるファーディナンドの頭の中はロベリアが死んだときの自分の悲惨さではなく、少女との記憶にだけ鍵がかかっている理由を探すのでいっぱいだった。
(何故、魔女は少女との記憶に鍵をかけたのか。まさか少女との思い出が残っていたら可哀想だという慈悲ではあるまい。俺が勘違いしているロベリアの記憶は少女のものか?)
砂糖菓子のような甘い匂いや犬を飼うのが夢だったと言っていたのも少女との記憶。匂いを覚えるほど近くにいて、夢を語るほど親しかった。ロベリアの復活を願いながら? ありえない。
何をかけ合わそうにも腑に落ちない状況にまた頭痛が発生しそうで考えるのをやめた。
「ねえ、あの獣人じゃなくて別の騎士に変えてくれない? 彼は嫌だわ」
「獣人族は身体能力が高い。お前に危険が迫ったときに対処できる人間は優秀な者がいい」
「でも彼は私を嫌ってる。皇妃を嫌う騎士なんて必要ない。騎士の称号を剥奪してやりたいぐらいよ」
「ウォルフはグラキエスの騎士だ。騎士の称号を剥奪できる人間がいるとしたら向こうの皇帝だけだ」
「じゃあグラキエスに帰して」
「何をそこまで嫌がっているんだ?」
「私に楯突くのよ」
「そうなのか?」
ジーッと向ける視線は明らかに不満があることを悟らせようとしており、苦笑しながら歩みを再開するファーディナンドの腕にしがみつくように密着しながらロベリアの文句は続く。
ウォルフは必要ない。嫌いだ。テロスは安全で危険はない。身体能力が高くても愛想がないなら意味がない。グラキエスの人間は冷たい感じがして好きじゃない。ついでにサーシャも愛想がないから苦手だと付け足した。後ろにいるのに。
「まあ、皇妃として寛大な心で許してやれ」
その言葉がロベリアの機嫌を悪くする。
「あなた、変わったわね」
「そうか?」
「以前はもっと私を守ってくれてたのに、今は一緒に怒ってもくれない」
「この目で見てないことを判断するのは難しい」
「私が嘘をついてるって言うの?」
「そうじゃない」
足を止めてロベリアの顔を見て否定するもじわりと涙を滲ませ、そのまま走っていってしまう。あ、と手を伸ばしはするが足は追いかけようとまではしない。その気がない。むしろ面倒だとさえ感じている。
大きく吐き出される溜息に目を閉じる。
あんなにも愛していたのに、失ってあんなにも悲しかったのに、今は彼女といると居心地の悪さすら感じてしまう。
ロベリアと話す使用人に緊張が見えたとき、アイゼンの言葉をようやく信じることができた。横柄で横暴な人間である自分に見合った相手なのかもしれないとすら考え始めている。
だが、愛しさもある。若返ったせいか、無邪気なところが愛らしいと思うこともある。常識の範囲内で活動し、問題を起こさずいてくれればそれでいいじゃないかと自分に言い聞かせたのだが、その日の夜、ロベリアの悲鳴が響き渡った。
「その記憶はどういう記憶だ?」
「覗けませんでした」
恥じ入ることなく伝えたことに舌打ちが飛び出した。
「事前にお伝えしましたように、記憶に関する魔法は書物自体が少ないのです。他人の記憶を覗く魔法ですら生涯かけても習得できない者もいるほど高度な技術。そこに鍵をかけるなど、ましてや一部にだけかける技術など一体何百年生きれば習得できるのか……」
できたのは鍵がかけられていることの確認だけ。
「何があった?」
杖を弾かれただけで済んだ魔法士ですら思い出して身体を震わせる。ごくりと喉を鳴らして息を吐き出す。
「記憶にかけてある鍵に触れた瞬間、魔法が跳ね返ってきたのです」
「黒くなったのは化学反応か?」
アイツの腕はもう機能しないだろう。そんな予想が容易についてしまうほどひどかったあの状態を思い出し唇を噛む。
「黒魔法は魔法士世界では禁忌とされ、書物は世界にたった一冊。それもマギア島にあるグリモワール保管庫の地下で管理されています。大賢者しか立ち入ることは許されておらず、持ち出しは当然のこと、読むだけでも死罪と決められています」
一点を見つめたまま語る魔法士の額には暑くもないのに汗が滲んでいる。それがこめかみから顎へと伝い、床に落ちた。
「過去にそれを読んだのは大賢者とたった一人の魔女だけ。大賢者はマギア島からお出になることはありません。接触があったとすれば魔女のみ……」
だから魔女と契約したのだと彼らは思った。
「陛下、魔女との契約は世界政府が禁止している重罪行為。それがバレればテロスは問答無用での消滅。全て分かった上で契約を……?」
「……ああ」
「一体何を契約したのですか!? 魔女に願わなければならないものとは国民の命よりも重いものだったのですか!?」
当時の自分にとってはそうだった。周りのことなど考えもせず、ロベリアが失われた悲しみを受け入れることもできずに生き返らせることにだけ頭を使った。
わがままなところも可愛いとすら思っていた。皇妃なのだから使用人は仕えて当然であり、皇帝が民のために生きているのだから国民もそうあるべきだと考えていた。
生き返ってくれて嬉しいはずなのに、「何故そんなことをした」「何故受け入れようとしなかった」と呆れるもう一人の自分がいる。周りが見えなくなるほど彼女を愛していた自分はどこへ行ったのか、客観的に見ている自分もいた。
魔女との契約がいかに愚かであるか、魔法士に言われて改めて認識する。だが、もう遅い。
「俺の頭の中にかけられているのは黒魔法によるものだというのか?」
「いえ、記憶の関する魔法自体は黒魔法ではありません。ただ、その魔法に黒魔法が練られている可能性があるということです」
「俺も魔女に会ったことがあるということか……?」
「だろうな」
「俺は魔女に会ったこともなければ終焉の森に行ったこともない」
「記憶に鍵をかけられてるだけなんじゃないか?」
「陛下はかけられてないのにか?」
フンッと鼻を鳴らす魔法士に蹴りの一つでも入れてやりたい気分だった。
「陛下、どうなさるおつもりですか?」
「どうすると言ってもどうしようもないだろう。まさか自分から世界政府に魔女と契約してしまったと言えるはずがない」
同僚の言葉にまた唇を噛む。
自首すればテロスは終わる。結局はバレないことを願いながら生きるしかないのだ。世界は広く、国によほどの変化がない限りは世界政府も目を付けることはない。
「手間をかけた」
鍵がかけられているとハッキリわかっただけでも意味があった。彼らが解除方法を知らないのでは長居したところで意味はない。
立ち上がったファーディナンドが部屋を出るとドア越しに悔しげな叫び声が聞こえるも二人は足を止めなかった。
「情けない話だ」
廊下を渡りながら呟くファーディナンドに「魔女との契約は何を?」と問いかけるも返事はない。
「解除法、本当にないんですかね?」
「マギア島に行けばわかるかもしれんが……」
「地図には存在しない島ですよね、確か」
「そうだ」
世界中の人間が名前は知っているが場所を知らない島。島はハリケーンのような風で守られていて、それを破れた者だけが入ることを許されるとか、賢者しか入れないとか、世界政府の城の地下と繋がっているとか噂はさまざま。何が本当かわからない、存在さえ不確かな島だ。
海の上を彷徨い探し続けるよりも終焉の森に行って魔女へと辿り着く道のほうが解除できる可能性としては高い。
「何かがキッカケで鍵が解除されるようになってればいいんですけどね」
「世界で最も性悪と言われる魔女がそんな優しさを持っていると思うか?」
「まあ、そうですよね。契約すれば願いは叶える律儀な魔女が性悪って呼ばれるにはそれ相応の理由があるわけですし」
「また思い出したら教えてくれ」
「わかりました」
城に戻ると外から戻ってきたロベリアとバッタリ出くわした。嬉しそうに駆け寄ってくるロベリアを抱き留めるとウォルフが一礼して去っていく。
「二人で魔法士の塔に行って何してたの?」
「頭痛の原因が医者ではわからなかったからな。魔法士に診てもらってきた」
「大丈夫だった?」
「脳が疲れていると言われた。少し休まねばな」
「あなたはずっと働き続けていたんだもの。少しは休まないと」
そう言いながらも拗ねた顔をするロベリアに首を傾げる。
「私が言っても聞かないのに魔法士に言われたら聞くのね」
「お前はすぐに休んだほうがいいと言うだろう」
「心配なの。今度はあなたが倒れたらって……」
ギュッと胸に顔を埋めるロベリアの背中を撫でるファーディナンドの頭の中はロベリアが死んだときの自分の悲惨さではなく、少女との記憶にだけ鍵がかかっている理由を探すのでいっぱいだった。
(何故、魔女は少女との記憶に鍵をかけたのか。まさか少女との思い出が残っていたら可哀想だという慈悲ではあるまい。俺が勘違いしているロベリアの記憶は少女のものか?)
砂糖菓子のような甘い匂いや犬を飼うのが夢だったと言っていたのも少女との記憶。匂いを覚えるほど近くにいて、夢を語るほど親しかった。ロベリアの復活を願いながら? ありえない。
何をかけ合わそうにも腑に落ちない状況にまた頭痛が発生しそうで考えるのをやめた。
「ねえ、あの獣人じゃなくて別の騎士に変えてくれない? 彼は嫌だわ」
「獣人族は身体能力が高い。お前に危険が迫ったときに対処できる人間は優秀な者がいい」
「でも彼は私を嫌ってる。皇妃を嫌う騎士なんて必要ない。騎士の称号を剥奪してやりたいぐらいよ」
「ウォルフはグラキエスの騎士だ。騎士の称号を剥奪できる人間がいるとしたら向こうの皇帝だけだ」
「じゃあグラキエスに帰して」
「何をそこまで嫌がっているんだ?」
「私に楯突くのよ」
「そうなのか?」
ジーッと向ける視線は明らかに不満があることを悟らせようとしており、苦笑しながら歩みを再開するファーディナンドの腕にしがみつくように密着しながらロベリアの文句は続く。
ウォルフは必要ない。嫌いだ。テロスは安全で危険はない。身体能力が高くても愛想がないなら意味がない。グラキエスの人間は冷たい感じがして好きじゃない。ついでにサーシャも愛想がないから苦手だと付け足した。後ろにいるのに。
「まあ、皇妃として寛大な心で許してやれ」
その言葉がロベリアの機嫌を悪くする。
「あなた、変わったわね」
「そうか?」
「以前はもっと私を守ってくれてたのに、今は一緒に怒ってもくれない」
「この目で見てないことを判断するのは難しい」
「私が嘘をついてるって言うの?」
「そうじゃない」
足を止めてロベリアの顔を見て否定するもじわりと涙を滲ませ、そのまま走っていってしまう。あ、と手を伸ばしはするが足は追いかけようとまではしない。その気がない。むしろ面倒だとさえ感じている。
大きく吐き出される溜息に目を閉じる。
あんなにも愛していたのに、失ってあんなにも悲しかったのに、今は彼女といると居心地の悪さすら感じてしまう。
ロベリアと話す使用人に緊張が見えたとき、アイゼンの言葉をようやく信じることができた。横柄で横暴な人間である自分に見合った相手なのかもしれないとすら考え始めている。
だが、愛しさもある。若返ったせいか、無邪気なところが愛らしいと思うこともある。常識の範囲内で活動し、問題を起こさずいてくれればそれでいいじゃないかと自分に言い聞かせたのだが、その日の夜、ロベリアの悲鳴が響き渡った。
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