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救助
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「なんで殺した!! 聞き出すことがあっただろ!!」
呆然としているウォルフがその光景を見ていた海賊の一人がヒイッと声を上げたことで我に返り、声を上げた。怒りで我を失ったサーシャが向ける目の冷たさに眉を寄せる。
「テロスに戻ったところでどうせ死刑よ。あの女は裁判を受ける資格すらない。時間のムダ。一秒でも早く死んでもらったほうが世の中のためでしょう」
「お前が決めることじゃな──……あ?」
至極冷静に話すサーシャを咎めようとしたウォルフは背中に感じた違和感に目を瞬かせた。ドンッと誰かがぶつかったような感覚があるが、鋭い何かも感じる。
「バ、バケモノの分際で人様の船で暴れやがって!!」
耳から血を流す男は既に聴力を失っているだろう。それでも立ち上がり、一矢報いるために無防備なウォルフの背中にナイフを突き立てた。白い毛に赤い血が滲みだす。身体が大きいせいか、痛みに強いせいか、呻くほどではない。
どうしてやろう。頭はとても冷静だった。今、動けばイベリスに全てを見せることになる。できればイベリスにはテロスに戻るまで眠っていてほしい。リンウッドを失ったときのように。
立ち上がって男を叩き潰すことはできないため、どうしようか考えている数秒の間に男はイーリスと同じ末路を辿った。
パキンと軽い音がして、粉塵のように舞う氷。サーシャは冷静だが、それは激怒を超えるほどの怒りなのだろう。残酷ささえ垣間見える状態にウォルフはグラキエスの暴君を思い出した。
「イベリス様」
サーシャはいつもイベリスを呼ぶ。呼んだところで自分の言葉は表示されないとわかっていても必ず声をかけて呼ぶようにしている。ウォルフに話すのとは違う、とても優しい声でイベリスを呼ぶと、聞こえていないはずなのに振り向いた。
冷気に意識を取り戻したイベリスが目を開ける。エプロンをちぎって床に捨てたサーシャが歩み寄ってくるのを見て身じろぐ。
〈サーシャ……〉
「イベリス様、駆けつけるのが遅れて申し訳ございません」
顔を歪めて名を呼んでくれるイベリスをキツく抱きしめながら何度も謝罪を繰り返す。
口を開けて泣きじゃくるイベリスの後ろ手を縛っている縄をウォルフが噛みちぎり、解放するとサーシャの身体に腕が回った。力は入っていない。長時間縛られていたせいで力が入らなくなっている。
「イベリス様、これを着てください」
床にはイベリスのネグリジェだった布が落ちていた。それを拾い上げたところで服として機能はしない。サーシャは躊躇することなくメイド服を脱いだ。ウォルフが顔を背けるも視界の端に入る姿に顔を戻した。
「なんで、ズボン履いてんだ?」
メイド服の下にサーシャは男物のズボンを履いていた。必要ないはずだと疑問をぶつけるもサーシャはイベリスの着替えを優先する。黒いワンピースを着たようになったイベリスをサーシャは先に風呂に入らせてやりたかった。しかし、浴室があるはずもなく、イーリスが乗っていたのなら大量に用意してあるだろう清水を探すべく立ち上がる。
「イベリス様を温めてて。私は清水と食料を探してくるから」
「わかった」
騎士の軽装のような格好で部屋を出たサーシャはイベリスに触れたであろう気絶している男たちも凍らせて砕いた。躊躇ない行動。静かなる怒り。グラキエスの皇帝にそっくりだと恐ろしく感じた。
〈サーシャはどこへ行ったの?〉
「飲み水と食料を探しに行きました」
〈お腹すいてない……〉
「ムリなら食べなくてもいいんです。口に含むだけでもいいので、試してみてください。ダメなら吐いてください」
落ち着かないのだろう。他にも誰かいるのではないかとようやく周りを見たイベリスは首を傾げる。
〈彼ら、は……?〉
「サーシャが凍らせて、テロスに着くまで地下に放り込んでおくそうです」
〈もう……出て、こない?〉
「ええ、もう大丈夫ですよ。俺たちがいますから、イベリス様が危険な目に遭うことは二度とありません。お約束します」
リンウッドとどこまで進んでいたのかは知らない。少なくともファーディナンドとは何もなかった。イベリスはお喋りで、あれやこれやとなんでも話してくれるから初夜を迎えれば話をするはず。それが一度もなかったため初夜はまだ迎えていないと断言する。
イベリスの性格を考えれば結婚までに全て済ませているというのも考え難いとウォルフは思う。イベリスの身体から男たちの精の匂いがしないことにひとまず安心を得た。
〈どうして……ここがわかったの?〉
最大の疑問をぶつけるイベリスの手が震えている。その手に顔を擦り寄せると撫でてもらえる。
〈船の中なんて……絶対に気付いてくれないと思ってた……〉
「船着場の人夫が、聖女が船で出航したって教えてくれたんです。それでピーンと来たんです。まあ、気付いたのはサーシャなんですけどね」
〈来てくれて嬉しい〉
「どこへだって駆けつけます。俺はイベリス様の騎士ですから」
震えながら手話を繰り返すイベリスの笑顔には疲れが見える。笑顔を浮かべようとしても浮かばない。それでも笑おうとするのは自己防衛だろう。最悪の経験をした人間がムリに笑う必要はなく、ウォルフは大きな舌でイベリスの顔を舐め上げた。
〈汚いからダメ!〉
今まで一度も拒まなかったイベリスの強い拒絶にウォルフは静かに怒りを感じていた。拒絶したイベリスにではない。拒絶理由となった男たちに、だ。男たちに舐められたのだろう。そうでなければ拒むはずがない。服を剥がれ、下着を剥がれたイベリスの裸体を汚い手と舌が這いずり回った。
遺体が残っていないのが残念に思うほどの怒りがウォルフの中で湧き上がる。
「サーシャがお湯の準備をしてくれるでしょうからお風呂に入れますよ」
頷くイベリスに寄り添いながらサーシャが戻ってくるまでの間、静かな時間を過ごす。大丈夫か、と安易な言葉はかけられない。婚約者でも恋人でも友人ですらない男たちに触れられる地獄を味わった人間にかける適切な言葉をウォルフは知らない。
騎士はモテる。酒場に行けばウェイトレスがやってきて笑いながら身体を触ってくる。よくある話であり、他の騎士はその筋肉を自慢したり、女に触れられることに喜んでいたりするが、ウォルフはあまり良い気分にはならなかった。服の上から、拒める状況ですらそう感じるのに、複数人の男に抵抗できない状況で弄ばれた人間に気休めとしてかける言葉すら浮かんでこない。
自分も男であることが気後れしているのかもしれない。今は狼の姿であるが故に警戒していないが、これが人間の姿に戻ったら拒まれるかもしれないと考えると少し怖かった。
「おかえり」
一時間ほどして戻ってきたサーシャに声をかけると眠りかけていたイベリスが気配に気付いて身体を起こした。
〈お湯の準備が整いましたのでお風呂に行きませんか?〉
頷くイベリスを軽々と抱き上げ、サーシャはウォルフと目を合わせた。
「向こうに救急箱を見つけたからイベリス様の入浴中に傷の手当てをしておいて」
言いたいことはあるが、ここで返事をするとイベリスの前に表示されてしまうため何も言わずに頷いた。
(手当ては自分でやれってことね)
やれやれとかぶりを振りながらゆっくりと起き上がり、どうするかと考える。狼のままナイフを引き抜いたほうが痛みが少なくていい。が、狼の姿では背中に刺さっているナイフに口が届かない。横っ腹なら届いたのにと舌打ちしながら大きな溜め息を吐き出す。
(しょーがない……)
覚悟を決めて人間の姿に戻るとその場で膝をついた。強烈な痛みが襲ってくる。男はただ刺したわけじゃない。体重を乗せて刺したのだ。ナイフを使い慣れている人間らしいやり方に眉を寄せながら歯を食いしばって勢いよく引き抜いた。
悲鳴を上げそうになるのを堪えながらナイフを床に投げ捨てる。
「ふー……」
床に落ちてあるイベリスのネグリジェだった布を拾って傷口に押し当てながら部屋を移動する。
サーシャは丁寧にイベリスの全身を洗っているはず。時間稼ぎも兼ねて。その間に自分がすべきことは一つ。
救急箱の側には清水も置いてあり、まず傷口を洗った。それから止血剤を傷口に押し込むように塗り入れてガーゼを当て、上から包帯を巻く。騎士にとって傷の手当ては入団してすぐ覚えさせられることの一つ。あまり怪我をしたことはないが処置は完璧。
(心の傷もこんな風に簡単に薬で治せたらいいのにな……)
一生消えない傷になっただろう今回の事件。まだ十六歳のイベリスが受けるにはあまりにも大きすぎた傷だ。
アナベルとフレドリカの会話が真実であれば、イベリスはあまりにも辛い現実に身を置いていることになる。彼女たちの会話が聞こえていなかったのが唯一の救い。
(このままテロスに帰っていいのか……?)
ファーディナンドが取り戻したいのはイベリスか? それともロベリアの器か? わからないからこそ迷ってしまう。ロベリアのために頭を下げたのだとしたら帰すわけにはいかない。だが、その判断はどこでつけるのか。
サーシャは反対するだろう。話し合おうとしたところで話し合いにすらならないはず。
(どうする……)
治療を終えた身体を床の上に横倒しながら考え込む。
何を真実と受け止めれば良いのかわからないウォルフは二人が戻ってくるまでに答えを出せなかった。
呆然としているウォルフがその光景を見ていた海賊の一人がヒイッと声を上げたことで我に返り、声を上げた。怒りで我を失ったサーシャが向ける目の冷たさに眉を寄せる。
「テロスに戻ったところでどうせ死刑よ。あの女は裁判を受ける資格すらない。時間のムダ。一秒でも早く死んでもらったほうが世の中のためでしょう」
「お前が決めることじゃな──……あ?」
至極冷静に話すサーシャを咎めようとしたウォルフは背中に感じた違和感に目を瞬かせた。ドンッと誰かがぶつかったような感覚があるが、鋭い何かも感じる。
「バ、バケモノの分際で人様の船で暴れやがって!!」
耳から血を流す男は既に聴力を失っているだろう。それでも立ち上がり、一矢報いるために無防備なウォルフの背中にナイフを突き立てた。白い毛に赤い血が滲みだす。身体が大きいせいか、痛みに強いせいか、呻くほどではない。
どうしてやろう。頭はとても冷静だった。今、動けばイベリスに全てを見せることになる。できればイベリスにはテロスに戻るまで眠っていてほしい。リンウッドを失ったときのように。
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パキンと軽い音がして、粉塵のように舞う氷。サーシャは冷静だが、それは激怒を超えるほどの怒りなのだろう。残酷ささえ垣間見える状態にウォルフはグラキエスの暴君を思い出した。
「イベリス様」
サーシャはいつもイベリスを呼ぶ。呼んだところで自分の言葉は表示されないとわかっていても必ず声をかけて呼ぶようにしている。ウォルフに話すのとは違う、とても優しい声でイベリスを呼ぶと、聞こえていないはずなのに振り向いた。
冷気に意識を取り戻したイベリスが目を開ける。エプロンをちぎって床に捨てたサーシャが歩み寄ってくるのを見て身じろぐ。
〈サーシャ……〉
「イベリス様、駆けつけるのが遅れて申し訳ございません」
顔を歪めて名を呼んでくれるイベリスをキツく抱きしめながら何度も謝罪を繰り返す。
口を開けて泣きじゃくるイベリスの後ろ手を縛っている縄をウォルフが噛みちぎり、解放するとサーシャの身体に腕が回った。力は入っていない。長時間縛られていたせいで力が入らなくなっている。
「イベリス様、これを着てください」
床にはイベリスのネグリジェだった布が落ちていた。それを拾い上げたところで服として機能はしない。サーシャは躊躇することなくメイド服を脱いだ。ウォルフが顔を背けるも視界の端に入る姿に顔を戻した。
「なんで、ズボン履いてんだ?」
メイド服の下にサーシャは男物のズボンを履いていた。必要ないはずだと疑問をぶつけるもサーシャはイベリスの着替えを優先する。黒いワンピースを着たようになったイベリスをサーシャは先に風呂に入らせてやりたかった。しかし、浴室があるはずもなく、イーリスが乗っていたのなら大量に用意してあるだろう清水を探すべく立ち上がる。
「イベリス様を温めてて。私は清水と食料を探してくるから」
「わかった」
騎士の軽装のような格好で部屋を出たサーシャはイベリスに触れたであろう気絶している男たちも凍らせて砕いた。躊躇ない行動。静かなる怒り。グラキエスの皇帝にそっくりだと恐ろしく感じた。
〈サーシャはどこへ行ったの?〉
「飲み水と食料を探しに行きました」
〈お腹すいてない……〉
「ムリなら食べなくてもいいんです。口に含むだけでもいいので、試してみてください。ダメなら吐いてください」
落ち着かないのだろう。他にも誰かいるのではないかとようやく周りを見たイベリスは首を傾げる。
〈彼ら、は……?〉
「サーシャが凍らせて、テロスに着くまで地下に放り込んでおくそうです」
〈もう……出て、こない?〉
「ええ、もう大丈夫ですよ。俺たちがいますから、イベリス様が危険な目に遭うことは二度とありません。お約束します」
リンウッドとどこまで進んでいたのかは知らない。少なくともファーディナンドとは何もなかった。イベリスはお喋りで、あれやこれやとなんでも話してくれるから初夜を迎えれば話をするはず。それが一度もなかったため初夜はまだ迎えていないと断言する。
イベリスの性格を考えれば結婚までに全て済ませているというのも考え難いとウォルフは思う。イベリスの身体から男たちの精の匂いがしないことにひとまず安心を得た。
〈どうして……ここがわかったの?〉
最大の疑問をぶつけるイベリスの手が震えている。その手に顔を擦り寄せると撫でてもらえる。
〈船の中なんて……絶対に気付いてくれないと思ってた……〉
「船着場の人夫が、聖女が船で出航したって教えてくれたんです。それでピーンと来たんです。まあ、気付いたのはサーシャなんですけどね」
〈来てくれて嬉しい〉
「どこへだって駆けつけます。俺はイベリス様の騎士ですから」
震えながら手話を繰り返すイベリスの笑顔には疲れが見える。笑顔を浮かべようとしても浮かばない。それでも笑おうとするのは自己防衛だろう。最悪の経験をした人間がムリに笑う必要はなく、ウォルフは大きな舌でイベリスの顔を舐め上げた。
〈汚いからダメ!〉
今まで一度も拒まなかったイベリスの強い拒絶にウォルフは静かに怒りを感じていた。拒絶したイベリスにではない。拒絶理由となった男たちに、だ。男たちに舐められたのだろう。そうでなければ拒むはずがない。服を剥がれ、下着を剥がれたイベリスの裸体を汚い手と舌が這いずり回った。
遺体が残っていないのが残念に思うほどの怒りがウォルフの中で湧き上がる。
「サーシャがお湯の準備をしてくれるでしょうからお風呂に入れますよ」
頷くイベリスに寄り添いながらサーシャが戻ってくるまでの間、静かな時間を過ごす。大丈夫か、と安易な言葉はかけられない。婚約者でも恋人でも友人ですらない男たちに触れられる地獄を味わった人間にかける適切な言葉をウォルフは知らない。
騎士はモテる。酒場に行けばウェイトレスがやってきて笑いながら身体を触ってくる。よくある話であり、他の騎士はその筋肉を自慢したり、女に触れられることに喜んでいたりするが、ウォルフはあまり良い気分にはならなかった。服の上から、拒める状況ですらそう感じるのに、複数人の男に抵抗できない状況で弄ばれた人間に気休めとしてかける言葉すら浮かんでこない。
自分も男であることが気後れしているのかもしれない。今は狼の姿であるが故に警戒していないが、これが人間の姿に戻ったら拒まれるかもしれないと考えると少し怖かった。
「おかえり」
一時間ほどして戻ってきたサーシャに声をかけると眠りかけていたイベリスが気配に気付いて身体を起こした。
〈お湯の準備が整いましたのでお風呂に行きませんか?〉
頷くイベリスを軽々と抱き上げ、サーシャはウォルフと目を合わせた。
「向こうに救急箱を見つけたからイベリス様の入浴中に傷の手当てをしておいて」
言いたいことはあるが、ここで返事をするとイベリスの前に表示されてしまうため何も言わずに頷いた。
(手当ては自分でやれってことね)
やれやれとかぶりを振りながらゆっくりと起き上がり、どうするかと考える。狼のままナイフを引き抜いたほうが痛みが少なくていい。が、狼の姿では背中に刺さっているナイフに口が届かない。横っ腹なら届いたのにと舌打ちしながら大きな溜め息を吐き出す。
(しょーがない……)
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悲鳴を上げそうになるのを堪えながらナイフを床に投げ捨てる。
「ふー……」
床に落ちてあるイベリスのネグリジェだった布を拾って傷口に押し当てながら部屋を移動する。
サーシャは丁寧にイベリスの全身を洗っているはず。時間稼ぎも兼ねて。その間に自分がすべきことは一つ。
救急箱の側には清水も置いてあり、まず傷口を洗った。それから止血剤を傷口に押し込むように塗り入れてガーゼを当て、上から包帯を巻く。騎士にとって傷の手当ては入団してすぐ覚えさせられることの一つ。あまり怪我をしたことはないが処置は完璧。
(心の傷もこんな風に簡単に薬で治せたらいいのにな……)
一生消えない傷になっただろう今回の事件。まだ十六歳のイベリスが受けるにはあまりにも大きすぎた傷だ。
アナベルとフレドリカの会話が真実であれば、イベリスはあまりにも辛い現実に身を置いていることになる。彼女たちの会話が聞こえていなかったのが唯一の救い。
(このままテロスに帰っていいのか……?)
ファーディナンドが取り戻したいのはイベリスか? それともロベリアの器か? わからないからこそ迷ってしまう。ロベリアのために頭を下げたのだとしたら帰すわけにはいかない。だが、その判断はどこでつけるのか。
サーシャは反対するだろう。話し合おうとしたところで話し合いにすらならないはず。
(どうする……)
治療を終えた身体を床の上に横倒しながら考え込む。
何を真実と受け止めれば良いのかわからないウォルフは二人が戻ってくるまでに答えを出せなかった。
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