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絶望に落つ ※性被害表現有
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※この回は性被害表現があります。苦手な方や嫌悪ある方はここでリターンいただきますようお願い致します。
突然、さっきまで壁際にいてイーリスの話を聞いていた男たちがイベリスの前に立った。
何も言ってはいない。ただこちらを見て笑っているだけ。だが、その笑みが親切な人間とは程遠いものであることに気付いたイベリスの顔色が変わっていく。
これは先程までと同じ、想像でしかないことだが、我が身に危険が迫っているとイベリスは考えていた。そうでなければ男たちがこんなに至近距離に立つ必要はなく、ましてや一人の少女を囲むなどありえないからだ。
髪を掴んでいたイーリスはいつの間にか角に置かれている机がある場所に倒した椅子を持って移動していた。置かれていたワインボトルをグラスへと傾け、注いだ赤ワインの香りを嗅ぎ、グラスの中で軽く回す。
(どうかしてるんじゃないの!?って人に言ったことはないけど、そうやって人に叫ぶ登場人物の気持ちが今すごく理解できる……!)
逃げようにも後ろ手に縛られていては立つこともできない。立とうとすれば肩を押さえられて終わる。
「まあまあ、そう怯えず楽しもうや」
「オニーサンたち優しいよ?」
「ギャハハハ! 嘘つくなよ!」
「何が嘘なんだよ!」
「オニーサンでもなけりゃ優しくもねーよ!」
大口を開けて笑う彼らを一瞬見てはすぐ目を逸らす。緊張と恐怖で呼吸が浅くなる。海の真ん中に浮かぶ船の中、たとえ声が出たとしても助けを呼んだところで意味はないだろう。
絶望的な状況の中、イベリスを更に絶望へと追いやるのは、目の前の人間が全員敵であるということ。
伸びてくる手を逃げようにも払おうにも肩を動かすぐらいしかできないことも絶望で、前に立っていた数人が横と後ろへ回ったのも絶望。
もし仮にここで十秒の猶予が与えられ、好きに逃げ回ってもいいと紙に書いて伝えられたとしても腕が動かないのではドアも開けられない。
〈来ないで! 触らないで!!〉
伸びてくる手に必死に叫ぶも声は出ない。イベリスが口を開けて何か言っているようにしか見えない。
『静かでいい』
リーダスでファーディナンドは知人にそう言った。きっと彼らも笑いながらそう言っているのだろう。
(こんなことになるならリンウッドかファーディナンドにでもあげればよかった……)
求められる幸せを知っていながらそれに応えようとしなかった自分への罰だろうかと震える唇を噛む。
なんとかして逃げなければと考える頭と逃げられるはずがないと考える頭が天秤を揺らす。揺れるばかりで傾かない天秤が答えを出すのを待っていると左右に立っていた男が二人同時にイベリスの服を掴んで引き裂いた。音のない悲鳴を上げ、慌てて膝を立てるも両手足を押さえつけられ、素肌が露わになる。
「まだガキだな」
人の身体を見ながら吐き捨てるように言った肩を床に押さえつける男に手が空いている男が「文句言うな」と言った。イベリスに跨り、身体を屈め、伸ばした舌でイベリスの頬を舐める。一瞬で全身鳥肌が立つほどの嫌悪感に吐き気さえ感じながら顔を逸らすも顎を掴んで固定される。
「抵抗したら殺すぞ」
「お前もかよ。聞こえてねぇんだっつってんだろ」
「あ、そうか」
ギュッと目を閉じているイベリスには彼らが笑っていることすらわからない。一人の女を数人がかりで押さえつけ、あまつさえ乱暴を働こうとしている男たちの異常さに恐怖よりも悔しさが勝る。
力があれば今頃殴っている。気の済むまで殴って、そしたら海に放り出す。それかキランと星になるほど遠くへ投げ飛ばすのに、などと考えていた。
頭は意外にも冷静で、イベリスは既に諦めている。男たちに囲まれて、手を縛られてどうやって逃げ出すのか。ドアは押し開くタイプではなく引くタイプ。タックルしたところで運よく開くことはない。足は縛られていないといえど押さえられていては逃げ出すこともできない。イベリスはとんでもない握力や脚力の持ち主ではないのだから。
小説の中での誘拐はヒロインが巧みな話術で助けが来るまでの時間稼ぎをする。イベリスにはそれができない。誰も紙とペンを持ってこようとしないのは誰もイベリスの言葉を必要としていないから。一方的に喋ってスッキリだ。
(気持ち悪い……!)
頬から首筋へと伝う舌の気持ち悪さにゾッとする。獣化したウォルフやマシロに舐められるのとは違う。嫌悪しかない感情にこれから我が身に起こる悲惨な末路を想像し、イベリスは咄嗟に覚悟を決めて口を開けた。だが、閉じる前に口に何かを押し込まれた。
「おい、何してる!」
驚いたのはイベリスも同じ。急に突っ込まれた物がなんなのかわからず目を見開くと見えたのは布だった。
「コイツ、舌噛もうとしやがった」
冷静な声で仲間に告げる男のほうがイベリスが舌を噛むより速かった。
失敗した。
堪えていた涙が溢れ、頬を伝うと男はそれさえも舐め取り、そのまま唇を舐めようとしたのをイベリスが勢いよく俯いたことで回避した。
「ギャハハハハハ! オメーの息はクセェってよ!」
「ふざけんな! 俺の息は臭くねぇ!!」
仲間に大笑いされたことでカッとなった男が前髪を掴んで強制的に顔を上げさせると肩を押さえている男が慌てて止める。
「やめろや! すぐ使うんだからお前の汚ぇ唾液が付くだろ!」
「付きゃいいだろ!」
「俺は潔癖なんだよ! テメーのクソ汚ぇ唾液に触れたらかぶれる!
二人が喧嘩しているのはわかるが、言葉がわからない。このまま大きな喧嘩に発展して殴り合いでも始まってくれないかと願うしかない無力さに一層涙が溢れる。
イベリスがわかるのはここが地獄よりもひどい場所であり、今から死ぬより辛い目に遭うということ。
「俺好みの肉付きじゃあねぇが、久しぶりの女だ。文句はねぇぜ」
足を押さえていた男がイベリスの細い脚の上に尻を下ろして固定し、空いた手で足首から太ももまで撫で上げる。
「最近のお貴族様は胸は痩せてるほうが美しいとか言ってんだろ? 胸は寄せあげて、腹は細くっての? わかってねぇよな。男は胸も尻もデカいほうが好きだってのによぉ」
「そりゃお前の好みだろ」
「若い娘ってだけで俺は満足だけどな。街で若い娘買うには金がいる。安いのはババアばっかでハリもねぇし、何よりクセェ」
「コイツの口臭並みにってか?」
「違いねぇ!」
「ふざけんな! 俺をおちょくってタダで済むと思うなよ!!」
若い柔肌を確かめるように何度も脚の上を這う手を蹴り払おうとするも男の体重によって固定された足はビクともしない。
大笑いしながらも手が止まることはなく、何度か這い回った手はそのまま腰まで上がり、下着に指を引っ掛けた。イベリスの身体が緊張で跳ねる。
「うるさいんだよ! 口動かしてないで手ぇ動かしな!! さっさとヤれ!!」
「ヒステリーババア」
「だから聖女になれなかったんだろ」
「聞こえたら夜の相手させられるぞ」
「グロすぎ」
言い合いしていたのはどこへやら、男たちは小声で悪口を言って睨み合っていたのをやめて手を再開させる。
声のない叫びと意味のない抵抗を続けるイベリスを見ながらイーリスはニヤつき、その光景を楽しんでいた。
「あとは涙の練習をしておくだけね」
イベリスの溺死体をテロスに持ち帰ったあと、皇帝の前で泣きながら祈るだけだと既に達成できたような満足感さえ得ているイーリスにとってこの光景は酒のつまみになるほど素晴らしいものに見えた。
自分の人生をここまで上手く運んでくれるイベリスに感謝さえしている。
(五年前、テロスを訪れたときはロベリアって皇妃が気に入らなかったのよね。あの女の目は同類の目。絶対騙せなかっただろうし)
だからロベリアが死んだと聞いたときは思わず新聞を投げ捨ててガッツポーズした。自分が座るはずだった場所に新たな女が就いたと知ったときは怒りでおかしくなりそうだったが、所詮は欠陥品で世間知らずのお嬢様。
耳が聞こえないため得意の幻術が効いていなかった節はあったが、幻術を使っているという証拠がなかったため伝えなかったのだろう。それが功を奏した。
(バカな女)
ロクに風呂も入っていない汚い海の男たちのガサついた手で汚されて死んでいくのだとイーリスの高笑いが船内に響いていた。
突然、さっきまで壁際にいてイーリスの話を聞いていた男たちがイベリスの前に立った。
何も言ってはいない。ただこちらを見て笑っているだけ。だが、その笑みが親切な人間とは程遠いものであることに気付いたイベリスの顔色が変わっていく。
これは先程までと同じ、想像でしかないことだが、我が身に危険が迫っているとイベリスは考えていた。そうでなければ男たちがこんなに至近距離に立つ必要はなく、ましてや一人の少女を囲むなどありえないからだ。
髪を掴んでいたイーリスはいつの間にか角に置かれている机がある場所に倒した椅子を持って移動していた。置かれていたワインボトルをグラスへと傾け、注いだ赤ワインの香りを嗅ぎ、グラスの中で軽く回す。
(どうかしてるんじゃないの!?って人に言ったことはないけど、そうやって人に叫ぶ登場人物の気持ちが今すごく理解できる……!)
逃げようにも後ろ手に縛られていては立つこともできない。立とうとすれば肩を押さえられて終わる。
「まあまあ、そう怯えず楽しもうや」
「オニーサンたち優しいよ?」
「ギャハハハ! 嘘つくなよ!」
「何が嘘なんだよ!」
「オニーサンでもなけりゃ優しくもねーよ!」
大口を開けて笑う彼らを一瞬見てはすぐ目を逸らす。緊張と恐怖で呼吸が浅くなる。海の真ん中に浮かぶ船の中、たとえ声が出たとしても助けを呼んだところで意味はないだろう。
絶望的な状況の中、イベリスを更に絶望へと追いやるのは、目の前の人間が全員敵であるということ。
伸びてくる手を逃げようにも払おうにも肩を動かすぐらいしかできないことも絶望で、前に立っていた数人が横と後ろへ回ったのも絶望。
もし仮にここで十秒の猶予が与えられ、好きに逃げ回ってもいいと紙に書いて伝えられたとしても腕が動かないのではドアも開けられない。
〈来ないで! 触らないで!!〉
伸びてくる手に必死に叫ぶも声は出ない。イベリスが口を開けて何か言っているようにしか見えない。
『静かでいい』
リーダスでファーディナンドは知人にそう言った。きっと彼らも笑いながらそう言っているのだろう。
(こんなことになるならリンウッドかファーディナンドにでもあげればよかった……)
求められる幸せを知っていながらそれに応えようとしなかった自分への罰だろうかと震える唇を噛む。
なんとかして逃げなければと考える頭と逃げられるはずがないと考える頭が天秤を揺らす。揺れるばかりで傾かない天秤が答えを出すのを待っていると左右に立っていた男が二人同時にイベリスの服を掴んで引き裂いた。音のない悲鳴を上げ、慌てて膝を立てるも両手足を押さえつけられ、素肌が露わになる。
「まだガキだな」
人の身体を見ながら吐き捨てるように言った肩を床に押さえつける男に手が空いている男が「文句言うな」と言った。イベリスに跨り、身体を屈め、伸ばした舌でイベリスの頬を舐める。一瞬で全身鳥肌が立つほどの嫌悪感に吐き気さえ感じながら顔を逸らすも顎を掴んで固定される。
「抵抗したら殺すぞ」
「お前もかよ。聞こえてねぇんだっつってんだろ」
「あ、そうか」
ギュッと目を閉じているイベリスには彼らが笑っていることすらわからない。一人の女を数人がかりで押さえつけ、あまつさえ乱暴を働こうとしている男たちの異常さに恐怖よりも悔しさが勝る。
力があれば今頃殴っている。気の済むまで殴って、そしたら海に放り出す。それかキランと星になるほど遠くへ投げ飛ばすのに、などと考えていた。
頭は意外にも冷静で、イベリスは既に諦めている。男たちに囲まれて、手を縛られてどうやって逃げ出すのか。ドアは押し開くタイプではなく引くタイプ。タックルしたところで運よく開くことはない。足は縛られていないといえど押さえられていては逃げ出すこともできない。イベリスはとんでもない握力や脚力の持ち主ではないのだから。
小説の中での誘拐はヒロインが巧みな話術で助けが来るまでの時間稼ぎをする。イベリスにはそれができない。誰も紙とペンを持ってこようとしないのは誰もイベリスの言葉を必要としていないから。一方的に喋ってスッキリだ。
(気持ち悪い……!)
頬から首筋へと伝う舌の気持ち悪さにゾッとする。獣化したウォルフやマシロに舐められるのとは違う。嫌悪しかない感情にこれから我が身に起こる悲惨な末路を想像し、イベリスは咄嗟に覚悟を決めて口を開けた。だが、閉じる前に口に何かを押し込まれた。
「おい、何してる!」
驚いたのはイベリスも同じ。急に突っ込まれた物がなんなのかわからず目を見開くと見えたのは布だった。
「コイツ、舌噛もうとしやがった」
冷静な声で仲間に告げる男のほうがイベリスが舌を噛むより速かった。
失敗した。
堪えていた涙が溢れ、頬を伝うと男はそれさえも舐め取り、そのまま唇を舐めようとしたのをイベリスが勢いよく俯いたことで回避した。
「ギャハハハハハ! オメーの息はクセェってよ!」
「ふざけんな! 俺の息は臭くねぇ!!」
仲間に大笑いされたことでカッとなった男が前髪を掴んで強制的に顔を上げさせると肩を押さえている男が慌てて止める。
「やめろや! すぐ使うんだからお前の汚ぇ唾液が付くだろ!」
「付きゃいいだろ!」
「俺は潔癖なんだよ! テメーのクソ汚ぇ唾液に触れたらかぶれる!
二人が喧嘩しているのはわかるが、言葉がわからない。このまま大きな喧嘩に発展して殴り合いでも始まってくれないかと願うしかない無力さに一層涙が溢れる。
イベリスがわかるのはここが地獄よりもひどい場所であり、今から死ぬより辛い目に遭うということ。
「俺好みの肉付きじゃあねぇが、久しぶりの女だ。文句はねぇぜ」
足を押さえていた男がイベリスの細い脚の上に尻を下ろして固定し、空いた手で足首から太ももまで撫で上げる。
「最近のお貴族様は胸は痩せてるほうが美しいとか言ってんだろ? 胸は寄せあげて、腹は細くっての? わかってねぇよな。男は胸も尻もデカいほうが好きだってのによぉ」
「そりゃお前の好みだろ」
「若い娘ってだけで俺は満足だけどな。街で若い娘買うには金がいる。安いのはババアばっかでハリもねぇし、何よりクセェ」
「コイツの口臭並みにってか?」
「違いねぇ!」
「ふざけんな! 俺をおちょくってタダで済むと思うなよ!!」
若い柔肌を確かめるように何度も脚の上を這う手を蹴り払おうとするも男の体重によって固定された足はビクともしない。
大笑いしながらも手が止まることはなく、何度か這い回った手はそのまま腰まで上がり、下着に指を引っ掛けた。イベリスの身体が緊張で跳ねる。
「うるさいんだよ! 口動かしてないで手ぇ動かしな!! さっさとヤれ!!」
「ヒステリーババア」
「だから聖女になれなかったんだろ」
「聞こえたら夜の相手させられるぞ」
「グロすぎ」
言い合いしていたのはどこへやら、男たちは小声で悪口を言って睨み合っていたのをやめて手を再開させる。
声のない叫びと意味のない抵抗を続けるイベリスを見ながらイーリスはニヤつき、その光景を楽しんでいた。
「あとは涙の練習をしておくだけね」
イベリスの溺死体をテロスに持ち帰ったあと、皇帝の前で泣きながら祈るだけだと既に達成できたような満足感さえ得ているイーリスにとってこの光景は酒のつまみになるほど素晴らしいものに見えた。
自分の人生をここまで上手く運んでくれるイベリスに感謝さえしている。
(五年前、テロスを訪れたときはロベリアって皇妃が気に入らなかったのよね。あの女の目は同類の目。絶対騙せなかっただろうし)
だからロベリアが死んだと聞いたときは思わず新聞を投げ捨ててガッツポーズした。自分が座るはずだった場所に新たな女が就いたと知ったときは怒りでおかしくなりそうだったが、所詮は欠陥品で世間知らずのお嬢様。
耳が聞こえないため得意の幻術が効いていなかった節はあったが、幻術を使っているという証拠がなかったため伝えなかったのだろう。それが功を奏した。
(バカな女)
ロクに風呂も入っていない汚い海の男たちのガサついた手で汚されて死んでいくのだとイーリスの高笑いが船内に響いていた。
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