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聖女9
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イベリスは昨日から笑うようになった。だがそれはウォルフがくっついているからであって、マシロがいなくなった傷が癒えたからではない。
獣化して傍にいるウォルフに不満はあれど、アイゼン曰く、獣人族というのは獣化しているときが一番能力が上がっているという。護衛として雇ったため能力は高いほうがいい。
文句を言うに言えない状況に我慢しながら冷静に声をかけた。
「イベリス、聖女が帰るそうだ。見送りに行くぞ」
獣のまま丸まっているウォルフにもたれかかりながら本を読むイベリスが立ち上がる。差し出した手を握られることはなく、イベリスの手はウォルフの顔を撫でた。
(本当に一週間で帰るとは思わなかった。絶対に何かと理由をつけて延長するって思ってたのに……昨日の事件で身の危険を感じたってことかしら?)
その存在の希少性から命を狙われることも多い聖女にとって毒殺未遂は恐怖だっただろう。自分は良いことをしているつもりでも他者からすればそれが気に入らないということもある。
廊下に出て外を見ると聖女は既に噴水の前にいた。
〈引き留めなくてよかったの?〉
メモ帳から顔を上げるとファーディナンドが首を傾げる。
「引き留める理由があるか?」
〈聖女がいてもらうだけでテロスに箔が付くし、国民も安心するとか〉
「テロスは帝国だ。それだけで箔は付いている。国民の安堵は聖女ではなく皇帝である俺がもたらすべきだ。今回は情けなくも国民に安心をもたらすことができなかったがな」
ふーんと心の中で返事をしながら長い階段を降りて一階まで行き、今度は少し急であるためファーディナンドの手を借りながら外の階段を下りていく。
聖女の前まで歩くと手を離し、ニコッと微笑む。
「皇妃様に何事もなくてよかったです」
「皇妃に何もなくてよかったと」
垂直に立てた手を左手の甲にトンッと下ろして同時に頭を下げると感謝の手話だとファーディナンドが通訳する。
「一週間の滞在は短くも充実した日々でした。陛下直々にたくさんのお話を聞かせていただき、感謝しております」
「みっともない食事会になってすまなかったな」
「とんでもない。被害がなかったのは何よりです」
「また近くに来ることがあれば寄るといい。そなたならいつでも歓迎だ」
「ありがとうございます」
深く頭を下げた聖女を見送りに大勢の国民が城門前に集まっている。振り返って手を振るだけで歓声が起こる。イベリスが国民の顔を順番に見ようとも目が合うことはなかった。名ばかりの皇妃より国を救った聖女。
手話か筆談でなければ会話ができないこともあって、幼い頃から少し避けられがちだった。大人になってからもそれはあまり変わらず、会話してくれるのは下心がある者だけ。
皇妃になったから好かれるわけではない。ロベリアは皇妃として努力していたから好かれていたのであって、同じ顔でも別人というのはファーディナンドより国民のほうがわかっていると肩を竦めたくなった。
「聖女様、歌ってください!」
一人の男が発した声にそれに賛成するような拍手が起こる。困ったように笑う聖女だが、二人を見て「いいですか?」と問いかけ、ファーディナンドが許可を出した。
胸に手を当て、深呼吸をしてからゆっくりと口を開けた聖女が歌いだす。歌声が目に見えたならシルクのように滑らかな物だろうとファーディナンドは思う。美しいと感嘆の息を漏らす国民たちと一緒になって耳を澄ませ、その歌声に酔いしれる。
(歌声ってどんなものなのかしら。歌ってどんなものなのかしら? 涙を流すほど感動するもの? 恍惚とするほど美しいもの?)
目の前の光景と一つになれないのはイベリスだけ。涙を流してありがたがっているように見える者。恍惚とした表情を浮かべる者。目を閉じて天を仰ぐ者と様々。自分だけが違う世界にいるような疎外感。慣れたはずなのに、今日は久しぶりにそれを強く感じている。
音のない世界を生きるイベリスにとって聖女のありがたみはこれっぽっちもわからなかった。
「ありがとうございました」
「素晴らしい歌声だった。感謝する」
盛大な拍手の中、聖女は馬車へと向かう。そのあとをついて行き、馬車の前で振り返った聖女がイベリスに向かって感謝の手話をして見せた。嬉しそうに笑ったのはファーディナンドだけで、イベリスは違う。ニコッとした笑顔を張り付けて手を振った。
聞こえない不幸もあれば聞こえない幸せもある。皇妃のこうした振る舞いを快く思わない国民もいるだろう。横目で見る国民の中には隣の人間と耳打ち合いながらこちらを見ている者がいる。大方、「聖女が手話をしてるんだから手話で返せばいいのに」とでも言っているのだろうと予測し、聞こえなくてよかったと心から思う。
「では、失礼いたします」
聖女を見送ったあと、イベリスはそのまま先に城内へと戻っていく。
「何か怒っているのか?」
長い足で追いかけてくるファーディナンドにあっという間に追いつかれ、目の前の言葉を読むも足は止めない。怒っているわけでもなければ気分を害したわけでもない。ただ、居心地が悪いだけ。だから一刻も早く自分のテリトリーに戻りたかった。
「イベリス」
玄関ホールで腕を掴まれ、強制的に止められる。
振り向いたイベリスの不満げな顔に思わず眉が寄った。
「ウォルフにはあれだけ笑いかけるくせに俺にはその表情か?」
離してと腕を振り、そのままペンを握るとメモ帳の上で走らせる。
〈怒ってるのはあなたでしょ〉
「俺は怒ってるわけじゃない。お前が……」
ウォルフにだけ笑うから、と言おうとして口を閉じた。彼女の一番大切なものを奪った人間が要求できることなどあるはずがない。ウォルフは運良く獣人族だったからイベリスに最も必要なものを与えられた。
たった一週間しか滞在しない聖女のためにイベリスからマシロを奪った。国のため、国民のためと言い訳しながら決めたことだ。
目を閉じ、溜息をこぼしたファーディナンドから逃げるようにその場をあとにした。
「聖女が帰ってよかったですね」
〈そうね。なんだか好きになれない人だった。あんまり接してないのに〉
「そういうもんですよ。接してなくても生理的に、とかありますからね」
〈ウォルフもそういうのあった?〉
「山ほどありますよ。俺、あまり性格がよろしくないので嫌いな人間のほうが多いんです」
ガバッと起き上がったイベリスが驚いた顔でウォルフを見ると大きな犬歯を見せて笑う。
確かに昨日の口調には驚いたが、それでも性格が悪いとは思わなかった。人間は多面性な生き物だと思っているし、一緒に過ごした月日の中で知った彼はとても良い人。だからイベリスは〈ウォルフの性格が悪いなら私なんて目も当てられないほどよ〉と書いた。大きな目が何度か瞬き、そして笑う。
「イベリス様は天使ですよ。優しくて、愛らしくて、朗らかで」
「耳が聞こえないからそう思うのよ。なんでもすぐ口走ったりしないしね」
「聞こえても聞こえなくても、イベリス様が天使であることに変わりはないと思います。あ、でも、お喋りに拍車はかかったでしょうけど」
「お喋り大好きだもの」
「そういうところも素敵なんですよ」
いつも褒めてくれるウォルフに恥ずかしくなり、毛に顔を埋めながら彼のお腹をトントンと叩く。
今の季節、ウォルフの毛に埋まるのは暖かい。良い暖になっている。マシロもそうだった。手を埋めると暖かくて、冷えた手を毛に埋めては少し逃げられるを繰り返して遊んでいた。
(マシロに会いたい……)
自分がちゃんと聖女の気配に気付いていればマシロは今も隣にいて、お腹を出して眠っていたのに。
聖女が来てくれたから混乱が消えた。その代わり、マシロも消えてしまった。
じわりと滲む涙をウォルフの毛が吸い取っていく。それでも流れる涙にイベリスは今日も後悔し続けていた。
(聖女なんて……)
国よりも民よりも一匹の犬が大事だと思ってしまう自分もまた嫌いだった。
獣化して傍にいるウォルフに不満はあれど、アイゼン曰く、獣人族というのは獣化しているときが一番能力が上がっているという。護衛として雇ったため能力は高いほうがいい。
文句を言うに言えない状況に我慢しながら冷静に声をかけた。
「イベリス、聖女が帰るそうだ。見送りに行くぞ」
獣のまま丸まっているウォルフにもたれかかりながら本を読むイベリスが立ち上がる。差し出した手を握られることはなく、イベリスの手はウォルフの顔を撫でた。
(本当に一週間で帰るとは思わなかった。絶対に何かと理由をつけて延長するって思ってたのに……昨日の事件で身の危険を感じたってことかしら?)
その存在の希少性から命を狙われることも多い聖女にとって毒殺未遂は恐怖だっただろう。自分は良いことをしているつもりでも他者からすればそれが気に入らないということもある。
廊下に出て外を見ると聖女は既に噴水の前にいた。
〈引き留めなくてよかったの?〉
メモ帳から顔を上げるとファーディナンドが首を傾げる。
「引き留める理由があるか?」
〈聖女がいてもらうだけでテロスに箔が付くし、国民も安心するとか〉
「テロスは帝国だ。それだけで箔は付いている。国民の安堵は聖女ではなく皇帝である俺がもたらすべきだ。今回は情けなくも国民に安心をもたらすことができなかったがな」
ふーんと心の中で返事をしながら長い階段を降りて一階まで行き、今度は少し急であるためファーディナンドの手を借りながら外の階段を下りていく。
聖女の前まで歩くと手を離し、ニコッと微笑む。
「皇妃様に何事もなくてよかったです」
「皇妃に何もなくてよかったと」
垂直に立てた手を左手の甲にトンッと下ろして同時に頭を下げると感謝の手話だとファーディナンドが通訳する。
「一週間の滞在は短くも充実した日々でした。陛下直々にたくさんのお話を聞かせていただき、感謝しております」
「みっともない食事会になってすまなかったな」
「とんでもない。被害がなかったのは何よりです」
「また近くに来ることがあれば寄るといい。そなたならいつでも歓迎だ」
「ありがとうございます」
深く頭を下げた聖女を見送りに大勢の国民が城門前に集まっている。振り返って手を振るだけで歓声が起こる。イベリスが国民の顔を順番に見ようとも目が合うことはなかった。名ばかりの皇妃より国を救った聖女。
手話か筆談でなければ会話ができないこともあって、幼い頃から少し避けられがちだった。大人になってからもそれはあまり変わらず、会話してくれるのは下心がある者だけ。
皇妃になったから好かれるわけではない。ロベリアは皇妃として努力していたから好かれていたのであって、同じ顔でも別人というのはファーディナンドより国民のほうがわかっていると肩を竦めたくなった。
「聖女様、歌ってください!」
一人の男が発した声にそれに賛成するような拍手が起こる。困ったように笑う聖女だが、二人を見て「いいですか?」と問いかけ、ファーディナンドが許可を出した。
胸に手を当て、深呼吸をしてからゆっくりと口を開けた聖女が歌いだす。歌声が目に見えたならシルクのように滑らかな物だろうとファーディナンドは思う。美しいと感嘆の息を漏らす国民たちと一緒になって耳を澄ませ、その歌声に酔いしれる。
(歌声ってどんなものなのかしら。歌ってどんなものなのかしら? 涙を流すほど感動するもの? 恍惚とするほど美しいもの?)
目の前の光景と一つになれないのはイベリスだけ。涙を流してありがたがっているように見える者。恍惚とした表情を浮かべる者。目を閉じて天を仰ぐ者と様々。自分だけが違う世界にいるような疎外感。慣れたはずなのに、今日は久しぶりにそれを強く感じている。
音のない世界を生きるイベリスにとって聖女のありがたみはこれっぽっちもわからなかった。
「ありがとうございました」
「素晴らしい歌声だった。感謝する」
盛大な拍手の中、聖女は馬車へと向かう。そのあとをついて行き、馬車の前で振り返った聖女がイベリスに向かって感謝の手話をして見せた。嬉しそうに笑ったのはファーディナンドだけで、イベリスは違う。ニコッとした笑顔を張り付けて手を振った。
聞こえない不幸もあれば聞こえない幸せもある。皇妃のこうした振る舞いを快く思わない国民もいるだろう。横目で見る国民の中には隣の人間と耳打ち合いながらこちらを見ている者がいる。大方、「聖女が手話をしてるんだから手話で返せばいいのに」とでも言っているのだろうと予測し、聞こえなくてよかったと心から思う。
「では、失礼いたします」
聖女を見送ったあと、イベリスはそのまま先に城内へと戻っていく。
「何か怒っているのか?」
長い足で追いかけてくるファーディナンドにあっという間に追いつかれ、目の前の言葉を読むも足は止めない。怒っているわけでもなければ気分を害したわけでもない。ただ、居心地が悪いだけ。だから一刻も早く自分のテリトリーに戻りたかった。
「イベリス」
玄関ホールで腕を掴まれ、強制的に止められる。
振り向いたイベリスの不満げな顔に思わず眉が寄った。
「ウォルフにはあれだけ笑いかけるくせに俺にはその表情か?」
離してと腕を振り、そのままペンを握るとメモ帳の上で走らせる。
〈怒ってるのはあなたでしょ〉
「俺は怒ってるわけじゃない。お前が……」
ウォルフにだけ笑うから、と言おうとして口を閉じた。彼女の一番大切なものを奪った人間が要求できることなどあるはずがない。ウォルフは運良く獣人族だったからイベリスに最も必要なものを与えられた。
たった一週間しか滞在しない聖女のためにイベリスからマシロを奪った。国のため、国民のためと言い訳しながら決めたことだ。
目を閉じ、溜息をこぼしたファーディナンドから逃げるようにその場をあとにした。
「聖女が帰ってよかったですね」
〈そうね。なんだか好きになれない人だった。あんまり接してないのに〉
「そういうもんですよ。接してなくても生理的に、とかありますからね」
〈ウォルフもそういうのあった?〉
「山ほどありますよ。俺、あまり性格がよろしくないので嫌いな人間のほうが多いんです」
ガバッと起き上がったイベリスが驚いた顔でウォルフを見ると大きな犬歯を見せて笑う。
確かに昨日の口調には驚いたが、それでも性格が悪いとは思わなかった。人間は多面性な生き物だと思っているし、一緒に過ごした月日の中で知った彼はとても良い人。だからイベリスは〈ウォルフの性格が悪いなら私なんて目も当てられないほどよ〉と書いた。大きな目が何度か瞬き、そして笑う。
「イベリス様は天使ですよ。優しくて、愛らしくて、朗らかで」
「耳が聞こえないからそう思うのよ。なんでもすぐ口走ったりしないしね」
「聞こえても聞こえなくても、イベリス様が天使であることに変わりはないと思います。あ、でも、お喋りに拍車はかかったでしょうけど」
「お喋り大好きだもの」
「そういうところも素敵なんですよ」
いつも褒めてくれるウォルフに恥ずかしくなり、毛に顔を埋めながら彼のお腹をトントンと叩く。
今の季節、ウォルフの毛に埋まるのは暖かい。良い暖になっている。マシロもそうだった。手を埋めると暖かくて、冷えた手を毛に埋めては少し逃げられるを繰り返して遊んでいた。
(マシロに会いたい……)
自分がちゃんと聖女の気配に気付いていればマシロは今も隣にいて、お腹を出して眠っていたのに。
聖女が来てくれたから混乱が消えた。その代わり、マシロも消えてしまった。
じわりと滲む涙をウォルフの毛が吸い取っていく。それでも流れる涙にイベリスは今日も後悔し続けていた。
(聖女なんて……)
国よりも民よりも一匹の犬が大事だと思ってしまう自分もまた嫌いだった。
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