亡き妻を求める皇帝は耳の聞こえない少女を妻にして偽りの愛を誓う

永江寧々

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パーティー会場にて3

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「イベリス様がベンジャミン王子に一緒に軽食をどうかと差し出されたのですが、ベンジャミン様がそれはいらないと──」
「手を払ったのか?」
「はい」

 音と怒声は確かにファーディナンドにも届いていた。あくまでもこれは事実確認。迷うことなく頷いたウォルフと否定しないベンジャミンに事実であると確信する。
 まるで警戒している子猫のように怒りを剥き出しにしているイベリスを見るのは珍しく、食べるのが好きなイベリスにとって許されない行為であることも認識するとイベリスの頭に手を置いてからベンジャミンの前に立った。

「ベンジャミン王子、些かやり過ぎなのではないか?」
「僕はいらないと言った。それをコイツがしつこくしたから僕は再度拒んだそれだけだ」
「人の妻をコイツ呼ばわりとは随分と不躾だな」
「躾がなっていないのはお前の妻だろう」
「お前……?」

 ピクッと眉を動かしたファーディナンドにウォルフが慌てる。一瞬で湧き上がった感情によるオーラに肌がピリつく。この会場にそれを感じ取れる者は少ないだろうが、雰囲気が良くないことは察しているはず。
 よからぬ結果に終わる前にと慌てて前に出た。

「陛下、ここはリーダスであることをお忘れなく」
「わかっている。俺も馬鹿ではない」
「女の躾一つできん愚か者ではあるだろうが」
「ベンジャミン王子もそういった人の不快感を煽るような言葉を吐かれるのは王族としての品位を損ねることになりかねないのでは?」
「騎士ごときがこの僕にに説教をするつもりか? 妻一人、ろくに躾もできん皇帝に、使用人の分際で他国の王子を睨む女に、なんの役にも立たん騎士か。極め付けは耳の聞こえん欠陥品の皇妃。大帝国と呼ばれるわりにはテロスも大したことないな」

 嘲笑めいた顔で毒を吐き散らすベンジャミンにどこまで人を愚弄すれば気が済むのかとさすがに腹が立ったファーディナンドが拳を握り、ウォルフはそれを見逃さなかった。本気で引き離さなければ大事になると慌てて笑顔を保ったまま息を吸い込んだ瞬間、後方から怒声が響いた。

「ベンジャミンッ!!」

 会場にいた全員が振り返る。
 怒声を上げたのは玉座に座るリーダスの王であり、ベンジャミンの父親であるダーマイト。

「父上……?」

 こんなに声を張って名前を呼ばれたのは初めてで、キョトンとするベンジャミンの前まで歩いてくるダーマイトのための道ができる。
 サーシャとウォルフは道を開けるもファーディナンドは避けずにその場で仁王立ちのまま言葉を待っていた。

「ファーディナンド陛下、多大なる無礼をどうかお許しください」
「父上!?」

 深々と頭を下げる父親の姿を見たことがないベンジャミンは何をしているんだと慌て、隣に立って頭を上げさせようとするも逆に頭を押さえつけられる。強制的に下げさせられる頭を嫌だと拒否するも父親の力がそれを許さなかった。

「お恥ずかしながら馬鹿な子ほど可愛いと甘やかし続けた結果でございます。まさか立場も弁えることも知らぬ人間に育っていたとは……。誠に、誠に申し訳ございません」

 今にも土下座しそうなほど頭を下げる父親の言葉にベンジャミンはショックを受けた。
 父親は何を言っても、何をしても許してくれた。おおらかに笑って『お前らしいな、ベンジャミン』と言ってくれた。だがそれは父親が甘やかしてくれていただけで、常識的な教育ではなかったのだとこの瞬間、初めて知った。

「頭を上げろ、ダーマイト」

 ゆっくりと頭を上げながら息子の頭を解放する。一緒に頭を上げたベンジャミンはまず、周りを見た。笑顔を見せている者は誰もいない。それどころか嫌悪、嘲笑、呆れといった負の感情がそこにある。
 自分が意地悪王子と呼ばれていることは知っている。人から好かれていないことも。人に好かれる方法がわからないから嫌われるなら自分からと考えて生きてきた。一人でも平気だ。自分は強い男だからと言い聞かせて。
 だがそれは、親に頭を下げさせてまで貫くことではなかった。親に頭を下げさせるような行いは愚行でしかなく、強い人間どころか常識外れの哀れな人間であるだけ。
 顔をファーディナンドに向けると目が合う。ベンジャミンは何故かその目に恐怖を覚え、すぐに逸らしてしまった。

「お前は他国の皇妃を前にしてコイツと呼ぶのか?」
「滅相もございません!!」
「お前の息子は俺の妻をコイツと呼んだぞ」
「申し訳ございません!!」
「お前は他国の人間を地位など関係もなく見下せと教えているのか?」
「滅相もございません!!」
「俺の妻が何故お前の息子に怒っているか、わかるか?」
「愚息をお誘いいただいたにもかかわらず、自分の立場もわきまえぬまま思いやりの欠片もなく食べ物を粗末に扱ったせいでございます!!」
「遠目に見ていたお前にそれが理解できて何故お前の息子はそれが理解できんのだ?」

 矢継ぎ早に飛んでくる問いかけにダーマイトの身体が小刻みに震えだす。呼吸をするのさえ苦しく感じる。心臓か肺が悪いのではないかと疑いたくなるほどに。
 静かな声で静かに問いかけられることほど怖いものはない。
 妻はずっと甘やかし過ぎだと注意していた。でもダーマイトは聞かなかった。その報いを今、ここで受けている。大衆の前で、玉座から降りた男が他国の皇帝にまた頭を下げて謝り続ける。
 戸惑い、絶望するベンジャミンの顔色は悪く、ファーディナンドはそんなベンジャミンに身体ごと向けると表情を崩さないまま問いかけた。

「父親が恥だと悔いている存在よ」
「なッ……!」
「父親にだけ頭を下げさせるのか?」
「僕に頭を下げろと……?」
「お前のくだらんプライドなど誰も必要としていない。プライドと呼べるほどの物ではないだろうしな」
「あ、謝ってほしければそう言えばいいだろう!! 遠回しに言うなんて性格が悪いんだな!!」

 サーシャとウォルフが小さくかぶりを振る。
 これはファーディナンドが与えた最後のチャンス。頭を下げ、甘やかし続けた自分を恥じ、自分が一番偉いと勘違いする人間に育ててしまったことを悔いている父親を見て自らを恥じ、謝罪するチャンスだった。それさえ気付かないベンジャミンにファーディナンドは溜息をついた。

「リーダスとの交流はこの瞬間をもって終了とする」

 勢いよく頭を上げたダーマイトが縋り付くような視線を向けるもファーディナンドは目を合わせる慈悲さえも見せず、出口へと向かう。

「ち、父上……? ぼ、僕のせいか? 僕のせいで……」

 拳を握るもダーマイトは苦笑を浮かべ、ベンジャミンの背中を撫でた。

「お前のせいではない。これは私が甘やかし続けた結果なのだ。父として、国王として差別的な教育をしてきた行いが自らに返ってきただけのこと……」

 仕方ないことだと受け入れはしたが、この状況の中、のんきに笑ってもいられない。ゲストとして来てくれた招待客の気分も良くはない。むしろ最悪へと変わってしまっている。
 一つの国が一つの破滅を味わう瞬間はまるで自分のことのように気が重く、談笑していた者たちはその重たい口を開こうとはしなかった。何事もなかったかのように笑ってくれれば二人の気も楽なのだが、そんな雰囲気ではない。

「イベリス様、陛下がお待ちです」 

 ウォルフが促すもイベリスは動かない。真っ直ぐベンジャミンを見つめたままサーシャの腕を振り払って足を進める。

「イベリス様!?」
「イベリス、余計なことはするな。来い」

 目の前にファーディナンドの言葉が表示されるもそれを無視してベンジャミンの前に立った。
 何を言うつもりだと顔に書くが、その表情にもはや威張りはなく、むしろ少し緊張さえしているように見える。
 サーシャに手を出してメモ帳を催促すると乗せられたそれにペンを走らせた。

〈まだ謝ってもらってない〉

 ズイッと差し出されたメモ帳に書かれた言葉にベンジャミンが眉を寄せる。
 見えていたのはファーディナンドとウォルフの言葉だけ。親交が終わると聞いて関係破綻が起こったことは理解したが、イベリスはそれにも納得していなかった。
 
〈食べ物を粗末にしちゃいけないって教わらなかったの? 気に入らない相手には態度悪く接してもいいって教わったの?〉
「ぼ、僕は……」

 言いかけて一度口を閉じた。ここで思うがままに口を開くことがどれほど危険なことかベンジャミンは理解していた。偉いと思っていた父親はファーディナンドに何度も必死に許しを得ようとしていた。それでも許されなかったのだから諦めるしかないと苦笑を浮かべるだけ。全ては自分のせい。自分がもっと親切丁寧に接していればこんなことにはならなかった。
 生意気を言っても許される。だって自分は王子だからと思っていたベンジャミンにとってファーディナンドもイベリスも予想外の人物で、対処に戸惑っていた。
 謝るべきだ。わかっていながらもくだらないプライドが邪魔をする。頭を下げれば笑われるのではないか。あの意地悪王子が頭を下げたぞと、そんな声が聞こえてくるのではないかと考えると怖かった。

〈今日のためにシェフたちが一生懸命作ってくれた物を粗末にしたのよ。最低なことをしたの。私がしつこくしたのも悪かったのかもしれないけど、それでもあんなことすべきじゃないでしょ〉

 耳が濃いのは筆圧のせい。ペンを握る手に力が入っているのだ。怒りのままに綴られる言葉を読みながらベンジャミンは唇を噛み締める。
 顔を上げたイベリスと目が合い、暫く目を合わせるもなかなか頭は下がらない。
 その様子を見ていたダーマイトが息子の肩に手を乗せた。

「頭を下げるのは難しいか?」
「そんなことは……」
「教えてこなかった私が悪いんだ。すまないな」

 謝られると辛くなる。自分を否定されているような気持ちになる。

「私が代わりに謝ろう。お前にはこれからちゃんと教えていくことにする。遅すぎる教育かもしれんが、情けない父親の背を見て、反面教師としてくれればいい」

 なんの会話が成されているのかわからなかったイベリスはダーマイトが頭を下げようとすることに戸惑った。彼からの謝罪が欲しいわけじゃない。欲しいのは彼の息子からの謝罪。なぜこうなると怪訝な表情を浮かべるイベリスの前でベンジャミンが頭を下げた。

「すまなかった!」

 会場に響き渡るほどの声での謝罪。イベリスには聞こえていないが、勢いよく頭を下げたことでサーシャを見ると頷かれたことで理解する。
 その場でメモ帳に言葉を書いたイベリスが頭を下げたままのベンジャミンの前にそれを差し出した。

〈シェフに謝ってね〉

 この城のシェフが作ったのだからと付け足すとベンジャミンが頭を上げ、しっかりと頷いた。

「イベリス皇妃、寛大なお心での慈悲を感謝いたします」

 サーシャがダーマイトの言葉を書いて見せる。微笑むイベリスは「来い」と目の前に表示された言葉に従って二人と一緒に出口へ向かう。

「イベリス!」

 追いかけてきたベンジャミンが目の前に立ってようやくイベリスは足を止めた。

「お前……あなたに謝罪の手紙を書く。受け取ってくれるか?」

 メモ帳の字を追ったイベリスは嬉しそうに笑って頷いた。

〈もちろん!〉

 バイバイと手を振って馬車へと向かうイベリスをベンジャミンは小さく手を振り返しながら見送った。

「お許しになられてよかったのですか?」
〈私も感情的に叩いちゃったから〉
「あれぐらいで済んだのはむしろ慈悲だと思いますよ。サーシャなんて殺しかねない勢いでしたから」
「ウォルフ、口を閉じなさい」
〈テロスの新しい皇妃は口卑しい人間だって思われちゃったかもしれない。ごめんなさい〉
〈そんなことはありません。大事な心だと思います〉
〈だといいんだけど。ファーディナンドはどう思ってるかしら?〉
「そんなに気にしていないと思いますよ」

 実際のところ、どうなのかウォルフにもわからない。ファーディナンドは意外にも感情が表に出やすく、読みやすい。だが、あの場で彼が見せた怒りは警告ではなかった。確かな怒りだった。
 それは誰のための怒りか。
 ウォルフはファーディナンドが自分を召喚したのはイベリスを守るためだと説明を受けた。しかし、使用人から聞く話は少し違う。犬を飼いたいと言っていたイベリスの願いを叶えるために獣人を選んだと。それも少し不思議だった。溺愛しているならまだしも、ファーディナンドはイベリスを溺愛しているようには見えない。外を自由に歩かせているわけではないのだから護衛なら自国の騎士でも充分役割果たせるはず。あとは犬を飼ってやればいいだけ。
 まだマシロがいない頃に『犬を飼えばいいのでは?』と騎士団長に問うと『ロベリア様は犬があまりお好きではなかった』と返事があった。だが、ロベリアはもういない。現皇妃が犬を飼いたいと言っているのだから飼ってやればいいのにとモヤついていたが、結果的に飼うことになった。
 甘やかすのが遅い。渋々感はあったものの大事にしている様子もある。シャイなのだろうかとも思ったが、色々と引っかかっていることがまだ山のようにある。

〈ウォルフ?〉

 目の前で手を振られて我に返ると不思議そうに顔を覗き込むイベリスと呆れた顔でこちらを見るサーシャがいた。

〈どうしたの?〉

 立てた人差し指を左右に振るイベリスに微笑んでかぶりを振る。

「ベンジャミン王子はイベリス様に惚れたのではないか、と思っていただけです」
〈頬を叩いた女に惚れるわけないじゃない〉
「わかりませんよ? 男はそういう衝撃的な恋に落ちることがありますからね」
〈人妻よ?〉
「恋する相手の立場は関係ないですよ。迫って不倫を促してるわけでもないですしね」
〈変なの〉


 他人事のように笑うイベリスは肖像画の中の人物ではない。それは使用人からも聞いている。何故愛している妻の肖像画ではなくロベリアの肖像画を飾り続けているのか。写真立ての中の人物もそうだ。
 そのわりに今日の怒りは確かなものだった。過去と現在、どちらを大事にしているのかわからないファーディナンドがウォルフは少し気持ち悪かった。
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