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彼の真実4
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「やめてください! お願いします! 返してください! それは大事な──ああッ!」
スキップでもしてしまいそうなほど喜びに浮かれて帰った直後、待ち構えていたように現れたジュベールによって腕の中にあったトロフィーが奪われた。
怒っているのは問うまでもない。ここに来てまだ一年も経ってはいないが、彼らがどういう性格をしているのか身に沁みてわかっている。だからこそ焦った。壊される。それが容易に想像できてしまったから慌てて手を伸ばすも、他の兄達に身体を掴まれているせいで届かなかった。
ガシャンッ
壺やガラスを割ったのとはまた違った破壊音。上から下へ勢いよく叩きつけられたトロフィーは壊れ、無惨にも床に散らばった。
「実力で掴み取った物だとでも思ってんのか?」
「兄さ……」
身動き取れないラビの顔を掴んで問うジュベールの怒気を含んだ声にラビが怯える。
「あの試合はな、八百長なんだよ。ワーナー家の男が勝てるようになってんだ。俺がお前を勝たせてやったから優勝できたってだけの事に大喜びしてんじゃねぇぞ」
勝たせてもらったんじゃない。勝ったんだ。これは僕の実力だ。ラビは心の中だけで反論する。
「新参者が優勝はねぇよな」
「こういうのは長男が勝つって決まってんのになぁ」
「空気読めねぇんだよな、コイツ」
「施設なんかで育った底辺の人間に空気読めってのが無理だろ」
「それもそうか。頭の中に詰まってんのもゴミだもんな」
「そゆこと」
人はどこまで人を馬鹿にできるのか。自分を神様だとでも思っているのか。皇子として生まれただけでそれに相応しい人間性を持っているわけでもないくせにとラビは引き取られてからずっとそう思っている。だが、ここでは反論する事も睨みつける事も許されてはいない。許されているのは服従だけ。だから謝るしかない。
「ご、ごめんなさい」
「悪いと思ってねぇだろ」
「そ、そんなこと──!」
「誰が一番偉いかわかってねぇからそんな態度なんだよな?」
「そ、そんな事ないです! 違います! 僕は──」
「教育してやらねぇと」
ワーナー家は世界的に見ても特殊な家系で、城の中には“処罰室”と呼ばれる部屋があった。そこは使用人だけでなく当主の子供であろうと関係なく入る場所。
部屋はそれほど広くはないが、ベッドもなければロードワーブもない。あるのは壁に取り付けられた手錠と壁にかけられた長鞭と短鞭の二本。それから薬が入っている小さな棚。
三階建ての城の中で処罰室を地下でも一階の端でもなく二階に用意したのは見せしめのため。ドアは閉めるが窓は開ける。この部屋だけは庭側だけでなく廊下側にも窓があり、開けられるようになっている。響き渡る鞭と悲鳴がその威力を知らしめる。これが皆の気を引き締めるのだと考えたのは三代前の当主。それから今に至るまでずっと続いている。
「お願いします! 許してください! ごめんなさい! 謝ります! 何百回でも謝りますから許してください!」
「往生際が悪いぞ、ラビッシュ。これはお前がワーナー家の人間として立派に成長するために必要な事なんだ。甘んじて受けろ」
どこに連れて行かれるかはわかっていた。血の気が引くラビは嫌だと必死に踏ん張って抵抗するが、十歳の子供が兄二人に引っ張られて勝てるはずもなく身体は嫌でも進んでいく。
個人の部屋でさえルームプレートなど存在しないのに、処罰室にだけプレートが存在する。それを見るだけで誰もが顔を強張らせる。笑っているの弟を引きずる次男と三男だけ。
処罰室前の窓を拭いていた使用人が慌ててドアを開ける。四人が入ると使用人が続けて入り、部屋中の窓を開けはじめる。自分達が受けるわけではないのに彼らの顔には緊張が張り付き、心なしか青ざめていた。聞くに耐えない、吐き気さえ込み上げる程の悲鳴が聞こえる日もある。それでも誰も耳を塞ぐ事は許されない。何も起こっていないかのように表情を崩さず、いつもどおりの仕事をしなければならない決まりがある。
「兄さんごめんなさい! もう二度と兄さんに恥をかかせたりしません! 優勝したりしません! 剣術はやめます! だからお願いです! やめてください! 許してください!」
服を剥ぎ取られ、一糸纏わぬ姿で土下座をするも両脇を抱えられ壁に押し付けられる。ラビが何百回謝罪しようがジュベールは許すつもりはなかった。都合よく解釈してくれた者がいようとも恥をかかされたことに変わりはない。あの大喝采を浴びながらトロフィーを受け取るのは自分だった。見る者が見ればわかる。あの時、ジュベールが剣を離したのは弟に花を持たせるためではなく弟に弾かれたからだと。良き兄として振る舞っていた自分を嘲笑っていた剣士がいた。それも一人や二人ではなく、集団で。それが最も屈辱だったジュベールはラビが三日三晩飲まず食わずで一切眠りにつく事なく謝罪を続けようと許すつもりはなかった。
壁に取り付けられた手錠で四肢を固定されるとラビの身体は大袈裟なほど震えはじめる。
「俺は寛大な人間だからな。どっちで叩かれたいか、お前に選ばせてやるよ」
長鞭か短鞭か、壁にかかった二本を見ながらラビは必死に考えていた。どちらのほうが痛くないか。服の上からではなく素肌を直接叩かれる。経験せずともわかるその壮絶な痛み。まだその身で経験してはいないが、身体は既に痛みを想像して冷え切っている。震えが止まらず、汗が滲む。嫌な汗。脂汗か。
震えによってぶつかる歯がガチガチと音を立て、言葉を吐き出そうにも出ていくのは息ばかり。
「選べって言ってんだよ」
「ギャアッ!」
手のひらで叩かれただけでも声を上げてしまう。痛い。嫌だ。助けて。ボロボロと溢れる涙が頬を伝うも誰も止めには入らない。入れないのだ。
絶望的な状況下、ラビは「長鞭」と答えた。咄嗟に答えたのだが、回らない頭で必死に出した答えだ。長鞭は二メートルはあるだろうか。よほどの訓練を受けなければ上手く扱えないだろう。二十年生きていて剣すら上手く扱えない男だ。誰でも扱える短鞭よりは痛みが少ないはずだと。
だが、ラビの想像とは反対に、長鞭を選んだ事でジュベールが口元に笑みを浮かべる。
「ラビッシュ、お前が知ってか知らずかはどうだっていいが、長鞭の痛みは壮絶だぞ。短鞭で人の骨は折れないが、長鞭は折れる。これは鞭もグリップも太くて扱いやすい。拷問向きなんだよ」
「兄さん、それで瓶割るの得意だもんな」
「俺も一回だけ軽く受けた事あるけど痣になったもんな。痛みは二週間ぐらい引かなかったし」
「あれはお前が望んだ事だぞ」
「軽くでアレだぜ。教育的鞭打ちとなったらどれほど痛いんだろうなぁ。想像もつかねぇわ」
もはや電流を浴びせられているのではないかと思うほどラビの身体は大きく震え、壁から床へと液体が流れていた。
「おい、コイツ……失禁してやがる!」
「まだ始まってもねぇのにビビって小便漏らしやがった!」
響き渡る笑い声に使用人達は目を閉じたくなった。これから起こる凄惨な出来事。彼らにとってそれは拷問ではなく遊びにすぎない。悪いのはそれを楽しめる自分達ではなく罰を受ける側だと言う。
「汚ぇだろうが」
「ギャアアッ!」
さっきよりも強めに叩かれた背中への痛みは思ったほどではないが、脳までが緊張している状態のせいで大袈裟な悲鳴が飛び出す。
「この程度で叫んでんじゃねぇぞ」
バチンッ バチンッ
繰り返される平手打ち。響き渡る悲鳴。これはまだ“教育”前の前戯のようなもの。次男と三男は壁にもたれかかって腕組みしながらその光景を見る。
「ラビッシュ、覚悟しろよ。お前ら選んだ鞭だからな」
「ごめんなさい! やめてください! お願いします! 許してください! お願いしま──!!」
懇願とはなんのためにあるのか。なんのためにするのか。ヒュンッと鋭い音の後に聞こえたパンッという破裂音にも似た音。それが与える衝撃は強く、骨が軋む音と想像を絶する痛みにラビの目は限界まで見開かれ、避けるのではないかと思うほど大きく口を開け、耳を劈くような悲鳴を上げた。
謝罪を口にして媚びる事もできない壮絶な痛みは平手打ちとは比べ物にならない。
まだ完全に出来上がっていない柔らかな肉と皮膚は振り下ろされる鞭で簡単に裂け、血を滴らせる。気を失う事さえ許されない痛みに絶え間なく続く悲鳴はもはや絶叫と化し、使用人達の手の動きを鈍らせた。
「あれは痛いぞ」
「何その幼稚な感想。見ればわかるし」
平気なのは鞭を振るう長男とそれを見ている次男三男だけ。クスクス笑いながら見つめる先には背中だけでなく尻や足からも血を流す末っ子の後ろ姿。彼らの中には同情心の欠片さえ存在しなかった。
鞭の音が止んだのは声が枯れ、反応が鈍くなった頃。黄昏が闇夜へと姿を変えた頃だった。
スキップでもしてしまいそうなほど喜びに浮かれて帰った直後、待ち構えていたように現れたジュベールによって腕の中にあったトロフィーが奪われた。
怒っているのは問うまでもない。ここに来てまだ一年も経ってはいないが、彼らがどういう性格をしているのか身に沁みてわかっている。だからこそ焦った。壊される。それが容易に想像できてしまったから慌てて手を伸ばすも、他の兄達に身体を掴まれているせいで届かなかった。
ガシャンッ
壺やガラスを割ったのとはまた違った破壊音。上から下へ勢いよく叩きつけられたトロフィーは壊れ、無惨にも床に散らばった。
「実力で掴み取った物だとでも思ってんのか?」
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「こういうのは長男が勝つって決まってんのになぁ」
「空気読めねぇんだよな、コイツ」
「施設なんかで育った底辺の人間に空気読めってのが無理だろ」
「それもそうか。頭の中に詰まってんのもゴミだもんな」
「そゆこと」
人はどこまで人を馬鹿にできるのか。自分を神様だとでも思っているのか。皇子として生まれただけでそれに相応しい人間性を持っているわけでもないくせにとラビは引き取られてからずっとそう思っている。だが、ここでは反論する事も睨みつける事も許されてはいない。許されているのは服従だけ。だから謝るしかない。
「ご、ごめんなさい」
「悪いと思ってねぇだろ」
「そ、そんなこと──!」
「誰が一番偉いかわかってねぇからそんな態度なんだよな?」
「そ、そんな事ないです! 違います! 僕は──」
「教育してやらねぇと」
ワーナー家は世界的に見ても特殊な家系で、城の中には“処罰室”と呼ばれる部屋があった。そこは使用人だけでなく当主の子供であろうと関係なく入る場所。
部屋はそれほど広くはないが、ベッドもなければロードワーブもない。あるのは壁に取り付けられた手錠と壁にかけられた長鞭と短鞭の二本。それから薬が入っている小さな棚。
三階建ての城の中で処罰室を地下でも一階の端でもなく二階に用意したのは見せしめのため。ドアは閉めるが窓は開ける。この部屋だけは庭側だけでなく廊下側にも窓があり、開けられるようになっている。響き渡る鞭と悲鳴がその威力を知らしめる。これが皆の気を引き締めるのだと考えたのは三代前の当主。それから今に至るまでずっと続いている。
「お願いします! 許してください! ごめんなさい! 謝ります! 何百回でも謝りますから許してください!」
「往生際が悪いぞ、ラビッシュ。これはお前がワーナー家の人間として立派に成長するために必要な事なんだ。甘んじて受けろ」
どこに連れて行かれるかはわかっていた。血の気が引くラビは嫌だと必死に踏ん張って抵抗するが、十歳の子供が兄二人に引っ張られて勝てるはずもなく身体は嫌でも進んでいく。
個人の部屋でさえルームプレートなど存在しないのに、処罰室にだけプレートが存在する。それを見るだけで誰もが顔を強張らせる。笑っているの弟を引きずる次男と三男だけ。
処罰室前の窓を拭いていた使用人が慌ててドアを開ける。四人が入ると使用人が続けて入り、部屋中の窓を開けはじめる。自分達が受けるわけではないのに彼らの顔には緊張が張り付き、心なしか青ざめていた。聞くに耐えない、吐き気さえ込み上げる程の悲鳴が聞こえる日もある。それでも誰も耳を塞ぐ事は許されない。何も起こっていないかのように表情を崩さず、いつもどおりの仕事をしなければならない決まりがある。
「兄さんごめんなさい! もう二度と兄さんに恥をかかせたりしません! 優勝したりしません! 剣術はやめます! だからお願いです! やめてください! 許してください!」
服を剥ぎ取られ、一糸纏わぬ姿で土下座をするも両脇を抱えられ壁に押し付けられる。ラビが何百回謝罪しようがジュベールは許すつもりはなかった。都合よく解釈してくれた者がいようとも恥をかかされたことに変わりはない。あの大喝采を浴びながらトロフィーを受け取るのは自分だった。見る者が見ればわかる。あの時、ジュベールが剣を離したのは弟に花を持たせるためではなく弟に弾かれたからだと。良き兄として振る舞っていた自分を嘲笑っていた剣士がいた。それも一人や二人ではなく、集団で。それが最も屈辱だったジュベールはラビが三日三晩飲まず食わずで一切眠りにつく事なく謝罪を続けようと許すつもりはなかった。
壁に取り付けられた手錠で四肢を固定されるとラビの身体は大袈裟なほど震えはじめる。
「俺は寛大な人間だからな。どっちで叩かれたいか、お前に選ばせてやるよ」
長鞭か短鞭か、壁にかかった二本を見ながらラビは必死に考えていた。どちらのほうが痛くないか。服の上からではなく素肌を直接叩かれる。経験せずともわかるその壮絶な痛み。まだその身で経験してはいないが、身体は既に痛みを想像して冷え切っている。震えが止まらず、汗が滲む。嫌な汗。脂汗か。
震えによってぶつかる歯がガチガチと音を立て、言葉を吐き出そうにも出ていくのは息ばかり。
「選べって言ってんだよ」
「ギャアッ!」
手のひらで叩かれただけでも声を上げてしまう。痛い。嫌だ。助けて。ボロボロと溢れる涙が頬を伝うも誰も止めには入らない。入れないのだ。
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だが、ラビの想像とは反対に、長鞭を選んだ事でジュベールが口元に笑みを浮かべる。
「ラビッシュ、お前が知ってか知らずかはどうだっていいが、長鞭の痛みは壮絶だぞ。短鞭で人の骨は折れないが、長鞭は折れる。これは鞭もグリップも太くて扱いやすい。拷問向きなんだよ」
「兄さん、それで瓶割るの得意だもんな」
「俺も一回だけ軽く受けた事あるけど痣になったもんな。痛みは二週間ぐらい引かなかったし」
「あれはお前が望んだ事だぞ」
「軽くでアレだぜ。教育的鞭打ちとなったらどれほど痛いんだろうなぁ。想像もつかねぇわ」
もはや電流を浴びせられているのではないかと思うほどラビの身体は大きく震え、壁から床へと液体が流れていた。
「おい、コイツ……失禁してやがる!」
「まだ始まってもねぇのにビビって小便漏らしやがった!」
響き渡る笑い声に使用人達は目を閉じたくなった。これから起こる凄惨な出来事。彼らにとってそれは拷問ではなく遊びにすぎない。悪いのはそれを楽しめる自分達ではなく罰を受ける側だと言う。
「汚ぇだろうが」
「ギャアアッ!」
さっきよりも強めに叩かれた背中への痛みは思ったほどではないが、脳までが緊張している状態のせいで大袈裟な悲鳴が飛び出す。
「この程度で叫んでんじゃねぇぞ」
バチンッ バチンッ
繰り返される平手打ち。響き渡る悲鳴。これはまだ“教育”前の前戯のようなもの。次男と三男は壁にもたれかかって腕組みしながらその光景を見る。
「ラビッシュ、覚悟しろよ。お前ら選んだ鞭だからな」
「ごめんなさい! やめてください! お願いします! 許してください! お願いしま──!!」
懇願とはなんのためにあるのか。なんのためにするのか。ヒュンッと鋭い音の後に聞こえたパンッという破裂音にも似た音。それが与える衝撃は強く、骨が軋む音と想像を絶する痛みにラビの目は限界まで見開かれ、避けるのではないかと思うほど大きく口を開け、耳を劈くような悲鳴を上げた。
謝罪を口にして媚びる事もできない壮絶な痛みは平手打ちとは比べ物にならない。
まだ完全に出来上がっていない柔らかな肉と皮膚は振り下ろされる鞭で簡単に裂け、血を滴らせる。気を失う事さえ許されない痛みに絶え間なく続く悲鳴はもはや絶叫と化し、使用人達の手の動きを鈍らせた。
「あれは痛いぞ」
「何その幼稚な感想。見ればわかるし」
平気なのは鞭を振るう長男とそれを見ている次男三男だけ。クスクス笑いながら見つめる先には背中だけでなく尻や足からも血を流す末っ子の後ろ姿。彼らの中には同情心の欠片さえ存在しなかった。
鞭の音が止んだのは声が枯れ、反応が鈍くなった頃。黄昏が闇夜へと姿を変えた頃だった。
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