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冷静さ
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ドアの前に立ったラビが深呼吸をする。緊張している。アーデルを連れてきた事は得策とは言えない。むしろ愚策ですらある。シャンディが彼女を嫌っていると知りながら挑発のように連れて来たのだから。
憔悴しきっていた人間を疑いたくはないが、シャンディは手段を選ばないところがある。それは誰よりも近くにいた自分が一番良く知っている。怖い。怖気付きそうになる自分に喝を入れるように強く息を吐き出してノックした。
「ラビ?」
「僕だよ」
「入って」
ノックは三回ではなく四回。これは幼い頃にシャンディと決めた二人だけの合図。ラビが来たと知らせる回数。
声は少し弱々しく感じるが、ハッキリとしている。複雑な心境の中、ラビがゆっくりとドアを開けた。
「ラビ……来てくれたのね。あなたなら絶対に来てくれるって信じて……」
ラビの顔を見て瞬時に安堵の表情を浮かべるシャンディだが、いるはずのない人間がラビの後を追うように入ってきたのを見て目を見開く。
なぜコイツがここにいるんだ。そう顔に書くシャンディを見ているのはアーデルだけ。ラビは部屋に置いてある椅子を持ってシャンディが横になっているベッドから少し離れた場所に置いた。座るようアーデルに促すとかぶりを振られるもラビもかぶりを振ってもう一度手で促す。眉を下げながら腰掛けたアーデルをシャンディはずっと目で追っている。
「どういうつもり……?」
「お見舞いに来たんだ。君が……その……」
「自殺未遂だったって聞いて?」
「うん……」
途端に弱々しくなってしまうラビの手をアーデルが握る。それを見逃さなかったシャンディの目付きが厳しくなる。
「何それ。見せつけてるつもり?」
「シャンディ、落ち着いて。身体に良くないよ」
「じゃあこの人を帰らせてよ!! この人の顔なんて見たくもない!! どうして連れてきたのよ!!」
「あなたに納得してもらうためです」
「納得……ですって?」
手首に巻かれた包帯からどういう方法を選んだのかは窺い知れる。内臓を傷つけたわけではないため声を張る事に対して違和感はないものの、顔色の良さに少し引っ掛かりを覚えていた。
アーデルの言葉に顔を歪めるシャンディをアーデルが真っ直ぐに見つめる。
「シャンディ、どうか話を聞いてほしい」
「なんの話があるっていうの? 私が自殺未遂を起こした事への抗議?」
「それは……」
どうしてこういう言葉を使うのだろう。あえてであろうと、そうでなかろうと悪意ある言葉選びだ。唯一心を許せていた大切な幼馴染でさえラビをこんな風に扱っていると知ったアーデルは悲しみと怒りが混ざり合う複雑な感情を抑え込むのに必死だった。
いかなる時でも感情を乱してはならない。感情を乱せば隙が生まれる。冷静さこそ勝利を生む──父親の教えだ。
アーデルはずっとそう心がけてきた。だから苦手な場でも極力笑顔でいるようにしていたし、欲をかきすぎないようにしていた。頭であれこれ考えすぎるようになってからは人付き合いが怖くなり孤立するようになった。
ラビが心掛けていた『人を不快にさせるぐらいなら自分が我慢する』という方法をアーデルも実践していた。だからこそ気遣いしてくれる者に対して“幼馴染”を武器になんの気遣いもしないシャンディに腹が立つ。
「どうして優しくできないのですか?」
静かな声での問いかけだが、明らかに嫌悪がこもっていた。驚いたのはシャンディだけでなくラビも同じ。睨みつけるシャンディと驚いたラビからの視線を浴びながらもアーデルはシャンディを見続ける。
「あなたの人生の中でラビ皇子より優しい人に出会った事はありますか?」
「私の父はずっと私の味方だった! どんな時も私の味方で、私のどんな願い事も叶えてくれた!」
「ラビ皇子はあなたの肉親ではないにもかかわらず、ずっとあなたの味方であり、あなたの願いを叶えてきたはずです」
「そうよ。でもラビは変わった! あなたと結婚したせいでね!」
「結婚すれば順位が変わるのは何もおかしな事ではありません」
「変わらないって約束したのよ! ラビはそれを破った! 政略結婚のくせに!」
何度も布団を叩きながら反論する
「政略結婚といえど、結婚するのは心ある人間です。一つ屋根の下で暮らしていくうちに情や愛情が芽生える事もあります」
「それが自分達だって言いたいの?」
「そうです」
間髪入れずに答えたアーデルのその言葉に布団を握りしめたシャンディの手が大きく震える。
「シャンディ!!」
自分が使っていた枕をアーデルに向かって投げつけるのをラビが瞬時に腕を伸ばして手で受け止めた。それがまた気に入らないシャンディは溢れ出す感情のままに怒声を上げる。
「ラビは私のなの! 幼い頃から私の物だって決まってるの!」
「彼は物ではありません」
「あの家族からラビを守ってあげてたのは私! 楽しみを与えてあげてたのは私! 支えになってあげてたのは私! ラビの一番近くにいてあげてたのは私! あなたはラビのために何もしてない! ただ親の命に従って結婚しただけじゃない! そんなあなたが私に何を言えるっていうのよ!」
部屋の外にまで響いているだろう絶叫にラビとアーデルの心臓が速くなる。怒声は苦手。怒っている顔を見るのも苦手。だから結婚相手は穏やかな人間が良いと望んでいた。シャンディにはそれがわからない。幼い頃からずっと一緒にいたのだから自分と結婚するのが筋だろうと思っているのが容易に感じ取れる。
「してあげた、なんですね……全部」
「は?」
胸に手を当てながらラビの所有権を主張するシャンディを見ているとアーデルは腹が立つよりも悲しくなってしまった。
「守ってあげてた。与えてあげてた。支えてあげてた。近くにいてあげた。そう言われる事がどんなに悲しい事か、シャンディさんにはわかりませんか?」
「何言ってるの? 事実そうなんだから仕方ないじゃない」
自慢するように片側の唇を上げて笑うシャンディを見ていたくないと思う気持ちに襲われながらもアーデルは目を一度床へと落とした。少しだけ落ち着いてきた心臓の動きを整えるように深呼吸を一度。完全に整いはしないが、それでももう一度視線をシャンディへと向ける。
「のほほんと暮らしてきた小国の王女様にはラビの苦労はわからないでしょうね。どうせ彼の事情なんて何も知らないんでしょ? 教えてもらってないんでしょ? どうして仮面を着けているのか。どうして皇子でありながらあんな小屋みたいな家で一人暮らしていたのか。どうして結婚式があんなにも惨めな物だったのか。どうして政略結婚にあなたが選ばれたのかすら知らないで表面的な彼を知って、あるはずもない愛を夢の中で語ってるんでしょ? ホント、のんきで羨ましくなっちゃう」
「シャンデ──……」
反論しようとしたラビをアーデルが握っていた手を軽く引いて止める。その様子に上機嫌だったシャンディの顔がまた不愉快そうに歪んだ。
「王女様は室内でも恋人と手を繋いでいるよう教育を受けたのかしら? 随分と高度な教育を受けてきたのね」
「随分と物分かりの悪い方なんですね、シャンディさん」
「……は?」
「ア、アーデル……?」
落ち着いたはずの心臓がまた異常に速くなるのは怒りのせい。そう断言できるほどアーデルの腹の中は怒りの感情で煮えくり返っている。
シャンディ・ウェルザーを可哀想な人間だと同情する自分とあまりの愚かさに腹を立てる自分がいる。言いたい事は山のようにあって、喉元までそれが言葉となって出かかっている状態。何度も何度もそれを飲み込んだ直後、飲み込みきれなかった感情が声色となって飛び出した。
「ラビ・ワーナーは不安症です。怒声や他者の怒りなどに大層ストレスを感じる事はご存知ですか?」
「当然よ。私が知らない事なんてないもの」
「それを知りながらあなたはあえて彼に怒声を浴びせていたという事ですね?」
「……私がどうすれば怒るか知ってるくせにラビが──」
「彼との会話の中で怒らないという選択肢はないわけですか」
「怒らせるほうが悪いんでしょ!」
「怒りは抑える事が出来るという事はご存知ですか?」
「私は素直なの! だから腹が立ったら怒るし、楽しかったら笑う! あなたみたいに地味で暗い人間じゃないの! 感情豊かなのよ!」
笑ってしまいたかった。嘲笑。冷笑。嗤笑。失笑。浮かぶ浮かぶ、相手を馬鹿にする笑いが。それが心の中で爆発する。でもこれは表には出さない。嫌な感情は全て飲み込んで腹の奥底に閉じ込める。怒りもそうだ。本来ならそうしなければならないのだが、怒りだけはどんなに蓋をしても閉じ込めきれないマグマのように外へと流れ出てくる。
「ラビ・ワーナーはとても優しい人間です。だから苦しくても不安でも感情豊かという言葉で幼稚にも相手を傷つけて平気な顔をしている人間の傍にいてあげたんです」
「……なんですって? 傍にいてあげてたのは私よ? ラビは一人になりたくなくて私の傍にいたの。私がいさせてあげてたのよ! 知ったような口利くんじゃないわよ! ただの政略結婚のくせに! 利用されてるだけって気付かずに妻であるのを盾にして偉そうぶってバッカみたい! 私がラビの傍にいたかったんじゃない! ラビが私の傍にいたかったの! 勘違いしてんじゃないわよ! 政略結婚のくせに情や愛情が芽生える? 同情の間違いでしょ! ラビの基準は私なの! あんたみたいな地味な女、王女って冠しか価値がないって気付かないなんて笑える! ルスなんて国、さっさとヒュドールに潰されちゃえばい──」
感情のままに怒声を撒き散らすシャンディの言葉を最後まで聞こうとしたアーデルだが、頭の中でプチッと音が鳴った直後、床に落ちていた枕を両手で掴み、そのままシャンディの顔にフルスイングで叩きつけた。
憔悴しきっていた人間を疑いたくはないが、シャンディは手段を選ばないところがある。それは誰よりも近くにいた自分が一番良く知っている。怖い。怖気付きそうになる自分に喝を入れるように強く息を吐き出してノックした。
「ラビ?」
「僕だよ」
「入って」
ノックは三回ではなく四回。これは幼い頃にシャンディと決めた二人だけの合図。ラビが来たと知らせる回数。
声は少し弱々しく感じるが、ハッキリとしている。複雑な心境の中、ラビがゆっくりとドアを開けた。
「ラビ……来てくれたのね。あなたなら絶対に来てくれるって信じて……」
ラビの顔を見て瞬時に安堵の表情を浮かべるシャンディだが、いるはずのない人間がラビの後を追うように入ってきたのを見て目を見開く。
なぜコイツがここにいるんだ。そう顔に書くシャンディを見ているのはアーデルだけ。ラビは部屋に置いてある椅子を持ってシャンディが横になっているベッドから少し離れた場所に置いた。座るようアーデルに促すとかぶりを振られるもラビもかぶりを振ってもう一度手で促す。眉を下げながら腰掛けたアーデルをシャンディはずっと目で追っている。
「どういうつもり……?」
「お見舞いに来たんだ。君が……その……」
「自殺未遂だったって聞いて?」
「うん……」
途端に弱々しくなってしまうラビの手をアーデルが握る。それを見逃さなかったシャンディの目付きが厳しくなる。
「何それ。見せつけてるつもり?」
「シャンディ、落ち着いて。身体に良くないよ」
「じゃあこの人を帰らせてよ!! この人の顔なんて見たくもない!! どうして連れてきたのよ!!」
「あなたに納得してもらうためです」
「納得……ですって?」
手首に巻かれた包帯からどういう方法を選んだのかは窺い知れる。内臓を傷つけたわけではないため声を張る事に対して違和感はないものの、顔色の良さに少し引っ掛かりを覚えていた。
アーデルの言葉に顔を歪めるシャンディをアーデルが真っ直ぐに見つめる。
「シャンディ、どうか話を聞いてほしい」
「なんの話があるっていうの? 私が自殺未遂を起こした事への抗議?」
「それは……」
どうしてこういう言葉を使うのだろう。あえてであろうと、そうでなかろうと悪意ある言葉選びだ。唯一心を許せていた大切な幼馴染でさえラビをこんな風に扱っていると知ったアーデルは悲しみと怒りが混ざり合う複雑な感情を抑え込むのに必死だった。
いかなる時でも感情を乱してはならない。感情を乱せば隙が生まれる。冷静さこそ勝利を生む──父親の教えだ。
アーデルはずっとそう心がけてきた。だから苦手な場でも極力笑顔でいるようにしていたし、欲をかきすぎないようにしていた。頭であれこれ考えすぎるようになってからは人付き合いが怖くなり孤立するようになった。
ラビが心掛けていた『人を不快にさせるぐらいなら自分が我慢する』という方法をアーデルも実践していた。だからこそ気遣いしてくれる者に対して“幼馴染”を武器になんの気遣いもしないシャンディに腹が立つ。
「どうして優しくできないのですか?」
静かな声での問いかけだが、明らかに嫌悪がこもっていた。驚いたのはシャンディだけでなくラビも同じ。睨みつけるシャンディと驚いたラビからの視線を浴びながらもアーデルはシャンディを見続ける。
「あなたの人生の中でラビ皇子より優しい人に出会った事はありますか?」
「私の父はずっと私の味方だった! どんな時も私の味方で、私のどんな願い事も叶えてくれた!」
「ラビ皇子はあなたの肉親ではないにもかかわらず、ずっとあなたの味方であり、あなたの願いを叶えてきたはずです」
「そうよ。でもラビは変わった! あなたと結婚したせいでね!」
「結婚すれば順位が変わるのは何もおかしな事ではありません」
「変わらないって約束したのよ! ラビはそれを破った! 政略結婚のくせに!」
何度も布団を叩きながら反論する
「政略結婚といえど、結婚するのは心ある人間です。一つ屋根の下で暮らしていくうちに情や愛情が芽生える事もあります」
「それが自分達だって言いたいの?」
「そうです」
間髪入れずに答えたアーデルのその言葉に布団を握りしめたシャンディの手が大きく震える。
「シャンディ!!」
自分が使っていた枕をアーデルに向かって投げつけるのをラビが瞬時に腕を伸ばして手で受け止めた。それがまた気に入らないシャンディは溢れ出す感情のままに怒声を上げる。
「ラビは私のなの! 幼い頃から私の物だって決まってるの!」
「彼は物ではありません」
「あの家族からラビを守ってあげてたのは私! 楽しみを与えてあげてたのは私! 支えになってあげてたのは私! ラビの一番近くにいてあげてたのは私! あなたはラビのために何もしてない! ただ親の命に従って結婚しただけじゃない! そんなあなたが私に何を言えるっていうのよ!」
部屋の外にまで響いているだろう絶叫にラビとアーデルの心臓が速くなる。怒声は苦手。怒っている顔を見るのも苦手。だから結婚相手は穏やかな人間が良いと望んでいた。シャンディにはそれがわからない。幼い頃からずっと一緒にいたのだから自分と結婚するのが筋だろうと思っているのが容易に感じ取れる。
「してあげた、なんですね……全部」
「は?」
胸に手を当てながらラビの所有権を主張するシャンディを見ているとアーデルは腹が立つよりも悲しくなってしまった。
「守ってあげてた。与えてあげてた。支えてあげてた。近くにいてあげた。そう言われる事がどんなに悲しい事か、シャンディさんにはわかりませんか?」
「何言ってるの? 事実そうなんだから仕方ないじゃない」
自慢するように片側の唇を上げて笑うシャンディを見ていたくないと思う気持ちに襲われながらもアーデルは目を一度床へと落とした。少しだけ落ち着いてきた心臓の動きを整えるように深呼吸を一度。完全に整いはしないが、それでももう一度視線をシャンディへと向ける。
「のほほんと暮らしてきた小国の王女様にはラビの苦労はわからないでしょうね。どうせ彼の事情なんて何も知らないんでしょ? 教えてもらってないんでしょ? どうして仮面を着けているのか。どうして皇子でありながらあんな小屋みたいな家で一人暮らしていたのか。どうして結婚式があんなにも惨めな物だったのか。どうして政略結婚にあなたが選ばれたのかすら知らないで表面的な彼を知って、あるはずもない愛を夢の中で語ってるんでしょ? ホント、のんきで羨ましくなっちゃう」
「シャンデ──……」
反論しようとしたラビをアーデルが握っていた手を軽く引いて止める。その様子に上機嫌だったシャンディの顔がまた不愉快そうに歪んだ。
「王女様は室内でも恋人と手を繋いでいるよう教育を受けたのかしら? 随分と高度な教育を受けてきたのね」
「随分と物分かりの悪い方なんですね、シャンディさん」
「……は?」
「ア、アーデル……?」
落ち着いたはずの心臓がまた異常に速くなるのは怒りのせい。そう断言できるほどアーデルの腹の中は怒りの感情で煮えくり返っている。
シャンディ・ウェルザーを可哀想な人間だと同情する自分とあまりの愚かさに腹を立てる自分がいる。言いたい事は山のようにあって、喉元までそれが言葉となって出かかっている状態。何度も何度もそれを飲み込んだ直後、飲み込みきれなかった感情が声色となって飛び出した。
「ラビ・ワーナーは不安症です。怒声や他者の怒りなどに大層ストレスを感じる事はご存知ですか?」
「当然よ。私が知らない事なんてないもの」
「それを知りながらあなたはあえて彼に怒声を浴びせていたという事ですね?」
「……私がどうすれば怒るか知ってるくせにラビが──」
「彼との会話の中で怒らないという選択肢はないわけですか」
「怒らせるほうが悪いんでしょ!」
「怒りは抑える事が出来るという事はご存知ですか?」
「私は素直なの! だから腹が立ったら怒るし、楽しかったら笑う! あなたみたいに地味で暗い人間じゃないの! 感情豊かなのよ!」
笑ってしまいたかった。嘲笑。冷笑。嗤笑。失笑。浮かぶ浮かぶ、相手を馬鹿にする笑いが。それが心の中で爆発する。でもこれは表には出さない。嫌な感情は全て飲み込んで腹の奥底に閉じ込める。怒りもそうだ。本来ならそうしなければならないのだが、怒りだけはどんなに蓋をしても閉じ込めきれないマグマのように外へと流れ出てくる。
「ラビ・ワーナーはとても優しい人間です。だから苦しくても不安でも感情豊かという言葉で幼稚にも相手を傷つけて平気な顔をしている人間の傍にいてあげたんです」
「……なんですって? 傍にいてあげてたのは私よ? ラビは一人になりたくなくて私の傍にいたの。私がいさせてあげてたのよ! 知ったような口利くんじゃないわよ! ただの政略結婚のくせに! 利用されてるだけって気付かずに妻であるのを盾にして偉そうぶってバッカみたい! 私がラビの傍にいたかったんじゃない! ラビが私の傍にいたかったの! 勘違いしてんじゃないわよ! 政略結婚のくせに情や愛情が芽生える? 同情の間違いでしょ! ラビの基準は私なの! あんたみたいな地味な女、王女って冠しか価値がないって気付かないなんて笑える! ルスなんて国、さっさとヒュドールに潰されちゃえばい──」
感情のままに怒声を撒き散らすシャンディの言葉を最後まで聞こうとしたアーデルだが、頭の中でプチッと音が鳴った直後、床に落ちていた枕を両手で掴み、そのままシャンディの顔にフルスイングで叩きつけた。
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