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「ラビ様! 何度も何度も申し訳ございません!」
ラビの馬車が到着すると使用人が慌てて外に飛び出してきた。頼れる相手はラビしかいないと真っ青な顔で深々と頭を下げている。今にも土下座してしまいそうなほど首を垂れる使用人をアーデルは不憫に思った。
悲しみに暮れているのはシャンディだけではないだろう。ハワード・ウェルザーに仕えていた使用人達も同様に悲しんでいるはずだ。それでも唯一の肉親を失った娘であるシャンディよりも悲しみを露わに泣いているわけにはいかない。自分達のこれからがどうなるのかさえ決まっていない不安もあるだろうに、そんな中でシャンディが起こした自殺未遂。心労は相当なものであるはず。
「シャンディお嬢様は今朝先ほど目覚められたばかりです。ラビ様とお会いすればきっとすぐ良くなるはずです。さ、どうぞこちらへ」
「少しだけ待ってください」
「どうかなさい──……ッ!?」
振り返って手を差し出すラビに首を傾げるも馬車の中から見えた人の手。しっかりと握って馬車から降りてきた人物に使用人は驚愕したように大口を開ける。なぜここに。なぜ連れてきた。そう言いたげな使用人にアーデルは会釈する。
「妻がお見舞いをと言うので連れてきました」
「そ、そ……そう、です……か……」
まずい事になった。そう言いたいのだろう。彼の表情から窺えるのはアーデルの存在が厄介であるという事。ラビも気付いてはいるが、もはや自分で解決すると断言できる状況ではなくなってしまったためアーデルを同行させた。
これが最悪の事態に発展する可能性もあるが、それでもと覚悟を決めてきた。
「手紙には意識不明だと書いてあったのですが、目が覚めたのですね」
「え、ええ、そうなんです。使用人一同、安堵に胸を撫で下ろしたほどでございまして、ラビ様にご報告申し上げようと手紙を描こうとしていたところでございます」
「そうですか。よかった。妻も心配していましたから」
「そ、そうでございますか。アーデル王女にまでご心配おかけする事となってしまい、大変申し訳ございません」
「いえ、目が覚められたようでなによりです」
汗ばむ季節ではあるが、滝汗が流れるほど気温は高くない。それなのに使用人は白いハンカチで何度も何度も汗を拭う。あえてか元々か、使用人の歩く速度は幼児並に遅く、アーデルにはこれが時間稼ぎのように思えた。背が低いのであれば、足に問題があるのであればまだわかるのだが、ラビが怪訝な顔をしている事から、この使用人はいつもはこんな速度で歩いたりはしない事が伺える。
違和感を覚えざるを得ない雰囲気が屋敷に漂っている。主に使用人達の顔のせいだ。アーデルを見ては顔が引き攣る者ばかり。居心地はハウザー家のパーティーよりも最悪。
それでもアーデルは苦笑も浮かべず、ラビの腕に手を添えながら前を見て歩き続ける。
角を曲がれば十歩先にシャンディの部屋がある。その角を曲がろうとした使用人が急に足を止めた。前に倒れそうになったアーデルの前にラビが腕を出して受け止める。
「どうかしましたか?」
ラビの問いかけに勢いよく振り向いた使用人が相変わらず真っ青な顔でアーデルを見て勢いよく土下座をする。
アーデルは自分の人生に土下座というものが存在するとは思っていなかった。使用人が失敗しても父親はけして土下座をさせようとはしなかった。むしろ土下座をすれば怒ったぐらいだ。頭を床につけて詫びなければならないほどの失敗ではないだろうと。
ラビもすぐに土下座をしようとするし、今でも土下座をする癖は完璧には直っていない。だからよく見慣れた光景だが、アーデルは彼の土下座がとても不愉快だった。この家では使用人に土下座を許していると感じたから。
額を絨毯の上に接着させながらお願いする。
「このようなお願いを口にできる立場でない事は重々承知しております。その上で、お願いしたい事があります」
「私はここで待機し、夫一人でシャンディさんに会いに行ってほしい……という事でしょうか?」
「ッ!? あ、あの……」
角を曲がる前に立ち止まって言う事などそれぐらいしかない。部屋の前ではシャンディに聞こえてしまう。あれだけ噛みついてきたシャンディが家で文句を言っていないはずがないのだから使用人達はシャンディがどれだけアーデルを嫌っているのか知っている。これはシャンディが癇癪を起こさないための処置だろう。
的確な読みをするアーデルに戸惑う使用人にアーデルはキッパリと告げた。
「お断りします」
「そ、そんな……! お、お嬢様がどうなってもよいとおっしゃるのですか!?」
慌てて顔を上げた使用人の必死さにラビが苦笑する。
「その事について話をしに来たんです」
「ラ、ラビ様……」
「あなた達もわかっているでしょう。もう僕だけではシャンディに対応できないんです。何を言っても聞いてはくれないし、僕も逃げ出すように離れるしかできなかった。でも、彼女は大切な幼馴染だから……ちゃんと説得したいんです」
妻同行という情けない形ではあるが、ラビはシャンディと決着をつけたかった。今回の事を許してしまえばきっとこれからもっと大きな事を許さなければならなくなるし、これを脅しに使い続けるだろうから。
使用人達の気持ちはわかる。だが、誰のための人生かと自分に問いかけた時、ラビはこれは自分の人生だからと言える事に気付いた。だから何が起ころうと全て背負うと決めたのだ。
「……シャンディお嬢様はとても弱っておられます。お父上を亡くされ、深い悲しみの中で毎日泣き続けております。その悲しみを癒せる唯一の方が、あなた様なのです。今や、あなた様の存在だけがシャンディお嬢様の心の支え。それなのにあなた様が……アーデル王女を連れて現れては……シャンディお嬢様の心は耐えられないかもしれません」
自分の主人の娘を心配する使用人に理解は示しながらもラビはかぶりを振る。
「僕は、強い人間とは言えません。弱い人間だからと言い訳して強くなろうともせず、恥も知らずに幼い頃からシャンディの後ろに隠れ続けていました。二十歳を過ぎてもずっと。それなのに結婚したら切り捨てるのかと言われたら返す言葉もないのですが、結婚は一つの節目だとシャンディにわかってもらいたいんです」
「……本当に、できるとお思いなのですか?」
「それは……」
初老の使用人。きっとシャンディが生まれる前からウェルザー家に仕えているはず。それでもシャンディに手を焼いている。いや、シャンディを自由にさせてきたハワード公爵に頭を悩ませてきた者かもしれない。だからこそ突然亡くなった後の始末に追われている立場のような気がした。
彼はラビよりもシャンディをよく知っている。ラビの言葉が甘い考えに聞こえるほどに。
嘲笑とまではいかないが、ラビの考えがシャンディに通用するはずがないと言いたげにすら聞こえる諦めにも似た笑み。もしかするとラビが結婚してから何度か説得を試みようとしたのかもしれない。だが、全て失敗に終わった。
今まで共依存の関係を良しとしておきながら結婚したら変わって当然だと言うラビに怒っているようにすら見える。
「私が部屋に入れば火に油を注ぐだけなのでしょうね」
「……失礼ながら申し上げます。そのとおりでございます」
自分は同行すべきではない事ぐらいアーデルもわかっている。だが、これを逃せばラビはもう二度と彼女から離れられないような気がするから火に油を注ぎに行くと決めた。ボヤで済むか、それとも大火災となるかはわからないが、懇願するように再び頭を下げる使用人をジッと見つめた。
「では、シャンディさんが立ち直るまで夫を彼女に貸し出せと言うのですね?」
なんて言い方だと訴えるような視線にもアーデルは目を逸らしはしない。
「愛する人を失った悲しみは五年経とうと十年経とうと消える事はありません。立ち直ったかどうかは周りが判断する事ではなく本人が告げる事。愛する人を失ったのだからそれぐらいいいだろうとお思いかもしれませんが、支えるべきは彼ではなく彼女を理解し、仕えてきたあなた方なのではないでしょうか?」
「で、ですが、シャンディお嬢様はラビ様でなければダメなのです」
「私もです」
即答するアーデルに使用人は開きかけた口を閉じて唇を噛み締める。ラビがいなければ自分達に手間が回ってくる。当たらなければいいが、そう思っているように感じる。
「あなたは後入りではございませんか……」
絞り出すように言葉にした使用人に驚いたアーデルがラビを見るとかぶりを振った。
「あなたの口からそんな言葉を聞く事になるなんて、とても残念です」
「ラ、ラビ様、私は批判しようとしていたわけではなく理解を示していただきたくて申し上げ──」
「僕は誰から何を言われようと耐えられます。でも、妻を侮辱される事だけは耐えられません。許せない」
「申し訳ございません! お許しください! ラビ様を怒らせるつもりはございませんでした! アーデル王女、大変申し訳ございません! 生い先短い老いぼれの戯言としてお許しいただけませんでしょうか!?」
「アーデル、行こう」
彼の言葉で腹の底からラビの覚悟が決まった。自分がここで区切りをつけなければシャンディは使用人によって甘やかされて生きる事になる。わがままを言えば通る。幼馴染は結婚したが、自分が少し怒れば言うことを聞く。使用人も同じ。父親が死んでも生活は変わらない。それこそシャンディの思うがままだ。
「シャンディお嬢様は……」
立ち上がった使用人が何か言おうとしたが、すぐに口を閉ざした。ラビは一度は振り返ったもののすぐに前を向いた。
何を言おうとしたのかはわからないが、わざわざ聞き出す必要はない。すぐそこにいるのだからとアーデルの手を引いて部屋に向かった。
ラビの馬車が到着すると使用人が慌てて外に飛び出してきた。頼れる相手はラビしかいないと真っ青な顔で深々と頭を下げている。今にも土下座してしまいそうなほど首を垂れる使用人をアーデルは不憫に思った。
悲しみに暮れているのはシャンディだけではないだろう。ハワード・ウェルザーに仕えていた使用人達も同様に悲しんでいるはずだ。それでも唯一の肉親を失った娘であるシャンディよりも悲しみを露わに泣いているわけにはいかない。自分達のこれからがどうなるのかさえ決まっていない不安もあるだろうに、そんな中でシャンディが起こした自殺未遂。心労は相当なものであるはず。
「シャンディお嬢様は今朝先ほど目覚められたばかりです。ラビ様とお会いすればきっとすぐ良くなるはずです。さ、どうぞこちらへ」
「少しだけ待ってください」
「どうかなさい──……ッ!?」
振り返って手を差し出すラビに首を傾げるも馬車の中から見えた人の手。しっかりと握って馬車から降りてきた人物に使用人は驚愕したように大口を開ける。なぜここに。なぜ連れてきた。そう言いたげな使用人にアーデルは会釈する。
「妻がお見舞いをと言うので連れてきました」
「そ、そ……そう、です……か……」
まずい事になった。そう言いたいのだろう。彼の表情から窺えるのはアーデルの存在が厄介であるという事。ラビも気付いてはいるが、もはや自分で解決すると断言できる状況ではなくなってしまったためアーデルを同行させた。
これが最悪の事態に発展する可能性もあるが、それでもと覚悟を決めてきた。
「手紙には意識不明だと書いてあったのですが、目が覚めたのですね」
「え、ええ、そうなんです。使用人一同、安堵に胸を撫で下ろしたほどでございまして、ラビ様にご報告申し上げようと手紙を描こうとしていたところでございます」
「そうですか。よかった。妻も心配していましたから」
「そ、そうでございますか。アーデル王女にまでご心配おかけする事となってしまい、大変申し訳ございません」
「いえ、目が覚められたようでなによりです」
汗ばむ季節ではあるが、滝汗が流れるほど気温は高くない。それなのに使用人は白いハンカチで何度も何度も汗を拭う。あえてか元々か、使用人の歩く速度は幼児並に遅く、アーデルにはこれが時間稼ぎのように思えた。背が低いのであれば、足に問題があるのであればまだわかるのだが、ラビが怪訝な顔をしている事から、この使用人はいつもはこんな速度で歩いたりはしない事が伺える。
違和感を覚えざるを得ない雰囲気が屋敷に漂っている。主に使用人達の顔のせいだ。アーデルを見ては顔が引き攣る者ばかり。居心地はハウザー家のパーティーよりも最悪。
それでもアーデルは苦笑も浮かべず、ラビの腕に手を添えながら前を見て歩き続ける。
角を曲がれば十歩先にシャンディの部屋がある。その角を曲がろうとした使用人が急に足を止めた。前に倒れそうになったアーデルの前にラビが腕を出して受け止める。
「どうかしましたか?」
ラビの問いかけに勢いよく振り向いた使用人が相変わらず真っ青な顔でアーデルを見て勢いよく土下座をする。
アーデルは自分の人生に土下座というものが存在するとは思っていなかった。使用人が失敗しても父親はけして土下座をさせようとはしなかった。むしろ土下座をすれば怒ったぐらいだ。頭を床につけて詫びなければならないほどの失敗ではないだろうと。
ラビもすぐに土下座をしようとするし、今でも土下座をする癖は完璧には直っていない。だからよく見慣れた光景だが、アーデルは彼の土下座がとても不愉快だった。この家では使用人に土下座を許していると感じたから。
額を絨毯の上に接着させながらお願いする。
「このようなお願いを口にできる立場でない事は重々承知しております。その上で、お願いしたい事があります」
「私はここで待機し、夫一人でシャンディさんに会いに行ってほしい……という事でしょうか?」
「ッ!? あ、あの……」
角を曲がる前に立ち止まって言う事などそれぐらいしかない。部屋の前ではシャンディに聞こえてしまう。あれだけ噛みついてきたシャンディが家で文句を言っていないはずがないのだから使用人達はシャンディがどれだけアーデルを嫌っているのか知っている。これはシャンディが癇癪を起こさないための処置だろう。
的確な読みをするアーデルに戸惑う使用人にアーデルはキッパリと告げた。
「お断りします」
「そ、そんな……! お、お嬢様がどうなってもよいとおっしゃるのですか!?」
慌てて顔を上げた使用人の必死さにラビが苦笑する。
「その事について話をしに来たんです」
「ラ、ラビ様……」
「あなた達もわかっているでしょう。もう僕だけではシャンディに対応できないんです。何を言っても聞いてはくれないし、僕も逃げ出すように離れるしかできなかった。でも、彼女は大切な幼馴染だから……ちゃんと説得したいんです」
妻同行という情けない形ではあるが、ラビはシャンディと決着をつけたかった。今回の事を許してしまえばきっとこれからもっと大きな事を許さなければならなくなるし、これを脅しに使い続けるだろうから。
使用人達の気持ちはわかる。だが、誰のための人生かと自分に問いかけた時、ラビはこれは自分の人生だからと言える事に気付いた。だから何が起ころうと全て背負うと決めたのだ。
「……シャンディお嬢様はとても弱っておられます。お父上を亡くされ、深い悲しみの中で毎日泣き続けております。その悲しみを癒せる唯一の方が、あなた様なのです。今や、あなた様の存在だけがシャンディお嬢様の心の支え。それなのにあなた様が……アーデル王女を連れて現れては……シャンディお嬢様の心は耐えられないかもしれません」
自分の主人の娘を心配する使用人に理解は示しながらもラビはかぶりを振る。
「僕は、強い人間とは言えません。弱い人間だからと言い訳して強くなろうともせず、恥も知らずに幼い頃からシャンディの後ろに隠れ続けていました。二十歳を過ぎてもずっと。それなのに結婚したら切り捨てるのかと言われたら返す言葉もないのですが、結婚は一つの節目だとシャンディにわかってもらいたいんです」
「……本当に、できるとお思いなのですか?」
「それは……」
初老の使用人。きっとシャンディが生まれる前からウェルザー家に仕えているはず。それでもシャンディに手を焼いている。いや、シャンディを自由にさせてきたハワード公爵に頭を悩ませてきた者かもしれない。だからこそ突然亡くなった後の始末に追われている立場のような気がした。
彼はラビよりもシャンディをよく知っている。ラビの言葉が甘い考えに聞こえるほどに。
嘲笑とまではいかないが、ラビの考えがシャンディに通用するはずがないと言いたげにすら聞こえる諦めにも似た笑み。もしかするとラビが結婚してから何度か説得を試みようとしたのかもしれない。だが、全て失敗に終わった。
今まで共依存の関係を良しとしておきながら結婚したら変わって当然だと言うラビに怒っているようにすら見える。
「私が部屋に入れば火に油を注ぐだけなのでしょうね」
「……失礼ながら申し上げます。そのとおりでございます」
自分は同行すべきではない事ぐらいアーデルもわかっている。だが、これを逃せばラビはもう二度と彼女から離れられないような気がするから火に油を注ぎに行くと決めた。ボヤで済むか、それとも大火災となるかはわからないが、懇願するように再び頭を下げる使用人をジッと見つめた。
「では、シャンディさんが立ち直るまで夫を彼女に貸し出せと言うのですね?」
なんて言い方だと訴えるような視線にもアーデルは目を逸らしはしない。
「愛する人を失った悲しみは五年経とうと十年経とうと消える事はありません。立ち直ったかどうかは周りが判断する事ではなく本人が告げる事。愛する人を失ったのだからそれぐらいいいだろうとお思いかもしれませんが、支えるべきは彼ではなく彼女を理解し、仕えてきたあなた方なのではないでしょうか?」
「で、ですが、シャンディお嬢様はラビ様でなければダメなのです」
「私もです」
即答するアーデルに使用人は開きかけた口を閉じて唇を噛み締める。ラビがいなければ自分達に手間が回ってくる。当たらなければいいが、そう思っているように感じる。
「あなたは後入りではございませんか……」
絞り出すように言葉にした使用人に驚いたアーデルがラビを見るとかぶりを振った。
「あなたの口からそんな言葉を聞く事になるなんて、とても残念です」
「ラ、ラビ様、私は批判しようとしていたわけではなく理解を示していただきたくて申し上げ──」
「僕は誰から何を言われようと耐えられます。でも、妻を侮辱される事だけは耐えられません。許せない」
「申し訳ございません! お許しください! ラビ様を怒らせるつもりはございませんでした! アーデル王女、大変申し訳ございません! 生い先短い老いぼれの戯言としてお許しいただけませんでしょうか!?」
「アーデル、行こう」
彼の言葉で腹の底からラビの覚悟が決まった。自分がここで区切りをつけなければシャンディは使用人によって甘やかされて生きる事になる。わがままを言えば通る。幼馴染は結婚したが、自分が少し怒れば言うことを聞く。使用人も同じ。父親が死んでも生活は変わらない。それこそシャンディの思うがままだ。
「シャンディお嬢様は……」
立ち上がった使用人が何か言おうとしたが、すぐに口を閉ざした。ラビは一度は振り返ったもののすぐに前を向いた。
何を言おうとしたのかはわからないが、わざわざ聞き出す必要はない。すぐそこにいるのだからとアーデルの手を引いて部屋に向かった。
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