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それぞれの手紙2
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「シャンディさんにお返事ですか?」
「そうです。帰りがいつになるかわからないので今のうちにそう書いておかないと家に来てしまう可能性があるので」
ビバリーまでは馬車で数日かかる長い旅。
二人は話題に花を咲かせ続ける自信がないため互いに本をたくさん持ってきた。その本を下敷きに便箋にペンを走らせるラビは難しい顔をしている。
「どうかしましたか?」
「あ、いえ…その……」
言いにくいと言わんばかりに表情に苦笑を滲ませるラビにアーデルが首を傾げる。
「シャンディもビバリーに行きたがっていたので、行ったと言うと怒るかなって……」
行きたがっていたのを知っていたなら誘えばよかったのにと思う気持ちと、これは新婚旅行だから仕方ないと思う気持ちが交差して複雑な気持ちになる。シャンディが同行すれば必然的に自分は部外者のようになってしまう。ココと自分が一緒の時にラビが上手く入れないように、自分もシャンディとラビの間に入っていくのは不可能だとさえ思っている。
ペンが止まっているラビの便箋に視線を落としながらどう返事をすべきか考えていた。
「で、でもこれは新婚旅行なので誘うつもりはなかったですし、シャンディが怒ろうと同行させるつもりもありませんでしたからありのままを書こうと思います」
「怒られるのは苦手ですよね?」
「怒られてもシャンディが相手なら言い返せますから大丈夫です。それに、新婚旅行で行ったのを怒られる義理もありませんから」
正論ではあるものの、シャンディは難癖をつけるのではないだろうかと付き合いもないのに容易に想像がついてしまう現実にアーデルもつられたように苦笑する。
シャンディは妹のフォスによく似ているのだ。
「わざわざビバリーに行く必要なかったのに。他の場所に行けばよかったじゃない、って言われそうじゃないですか?」
驚いた顔を見せるラビにやっぱりと苦笑を濃くする。
「す、すごい。どうしてわかるんですか?」
「妹がそういうタイプなんです」
「あー……」
ファスがラビを見て嫌悪したように、ラビもフォスを良く思わなかっただろう。良くも悪くも素直な人間。自分が悪いことも棚に上げてしまい、気の弱い相手を謝らせるタチの悪い性格をしている。ラビもアーデルもその被害者の一人だった。
「別の行き先を書いてはいかがですか?」
「う、嘘を書くのですか?」
「私は時々そうします」
「ご家族に?」
「はい」
「バ、バレないのですか?」
「バレます」
なんで言ったんだと不思議そうな表情の頬にデカデカと書くラビに顔を逸らしてアーデルが笑う。ラビもアーデルも嘘が苦手。咄嗟につく嘘ならまだしも、熟考してついた嘘はすぐにバレてしまう。表情に出やすいのだ。視線を逸らして声が上擦る。普段とは全く違う様子に深掘りせずとも嘘だと見抜く家族にもう嘘はつかないと決めた六年前。だが、結婚してから何度か嘘をついた。でもバレてはいない。手紙の中の嘘は事実をその目で見なければ確認しようがない。多忙な父親が簡単に国を抜け出すはずもなく、結婚してから一度も会いに来てはいない。
『彼の家はとても素敵で、暖炉の前に二人で座って食事をしたり話をしたり、並んで本を読むことも多い』
そう書いた。あの家はとても素敵だし、書いたことに間違いはない。だが、家の広さのことは一切書かなかった。それはいつだったか、父親が言った言葉がずっと引っかかっていたから。
『どうしてこの家はこんなに大きいの?』
歩くのが面倒だと感じた幼少期、ふと父親にそう問いかけた。すると父親は辺りを見回して笑顔をでこう言った。
『これがお父さんの愛だからだよ。広い家は確かに部屋や玄関まで遠くて嫌になることもあるかもしれない。だけどね、狭くて不便よりずっといいと思うんだ。広ければ置ける物がたくさんある。でも狭いと置きたい物も置けない。欲しいと思った一個を我慢しなければならないかもしれない。狭くて置けないという理由でね。狭いから悪いというわけではなく、本当に欲しいと思った物が家の狭さを理由に諦めなければならない瞬間があるというのが嫌だったんだ』
『でも広すぎる』
『はっはっはっはっ! そうだね。それは認めよう。でも広いから鬼ごっこができるんだぞ? かくれんぼもな』
あの家に住んでまだ日が浅いアーデルにはその経験がない。観葉植物をもう少し置きたいとは思うが、外を見れば自然の植物がたくさんある。わざわざ家の中に置く必要はないと考え方を変えた。
アーデルはフォスと違ってそれほど物欲がないだけに置きたい物や買いたい物がない。本と画集ぐらいだ。それでも父親に言えばきっと「これからのことはわからない」と言うだろうし、この家の他に新居を構えようとしないラビに不信感を抱くだろう。
だから家が狭いことは言っていない。いつかはバレるだろうが、それでも今は訪問予定がないため、フォスの結婚式までには言い訳を考えておこうと思っている。
「シャンディは僕の嘘をすぐに見抜いてしまうのできっとバレてしまいます」
「会える距離にいますしね」
「そうなんです。嘘を書いたことがバレたら何を言われるか……」
今までもそうしたことが何度か、何度もかあったのだろう。容易に想像がつく二人の関係は幼馴染というよりは主従関係に近いように思えた。皇族はラビではなくシャンディであるかのように。
「じゃあ素直に書いてしまいましょう。ごめんなさいって一度謝って終わりです」
「一度じゃ済まなくて」
何度も謝罪を要求する人間が世の中にいることは知っているが、アーデルはそれを良しとしない。アーデルも一般的に見ると謝罪率は高めだが、それでも不必要に何度も何度も謝ったりはしない。
「謝罪は一度で充分です」
「シャンディは──」
「一緒にビバリーに行くと約束していたのですか?」
「約束はしていません。シャンディが行きたいと言っていただけです」
「それなら約束を破ったわけではありませんし、謝罪は一度でいいです。アーデルが行きたがったからごめんね、でいいです」
「ぼ、僕が誘ったのですからあなたを言い訳にはしません!!」
こういう真面目なところが彼の良いところだとアーデルは思う。こちらが提案したのだから書けば合わせるのにと思いはするが、それをラビが良しとしないのであれば強制はできない。
「シャンディさんへの対応はお任せします」
自分はきっと会うことはないだろうから。お土産を持ってラビがシャンディを訪ねる。そこでの対応を妻だからと押し付けることはしたくないし、してはいけない。
唯一まともに話せる相手と言っていたからどんな対応でも苦ではないのかもしれない。ましてやシャンディのことだ。それを理由に色々甘えることも想像できる。叶えてやりたければそうすればいいし、断りたければ断ればいい。全て彼に任せると決めた。
「正直に書こうと思います」
「はい」
それ以外に彼ができることはなかっただろう。ようやくペンを再開させたラビが文字を書いていく。少しの間ジッと見つめていたが、やはり見られていると気になるのかチラチラとラビの視線が向いてはペンの動きが遅くなる。それに気付いて配慮が足りなかったことを謝ると読みかけだった本を持ち上げて視線を落とした。
ラビはとても静かな男。馬車の中には馬の蹄の音、車輪が地面を走る音、ラビのペンの音、アーデルの本が捲れる音だけが聞こえている。二枚目を書こうか迷ってやめたラビは便箋を封筒にしまったら「書けた」とも言わずに鞄の中へと入れた。一度アーデルを見るも本に集中しているのを見て、開きかけた口を閉じ、下敷きにしていた本を持ち上げて物語を再開させる。
二人はビバリーまで静かで穏やかな旅を始めた。
「そうです。帰りがいつになるかわからないので今のうちにそう書いておかないと家に来てしまう可能性があるので」
ビバリーまでは馬車で数日かかる長い旅。
二人は話題に花を咲かせ続ける自信がないため互いに本をたくさん持ってきた。その本を下敷きに便箋にペンを走らせるラビは難しい顔をしている。
「どうかしましたか?」
「あ、いえ…その……」
言いにくいと言わんばかりに表情に苦笑を滲ませるラビにアーデルが首を傾げる。
「シャンディもビバリーに行きたがっていたので、行ったと言うと怒るかなって……」
行きたがっていたのを知っていたなら誘えばよかったのにと思う気持ちと、これは新婚旅行だから仕方ないと思う気持ちが交差して複雑な気持ちになる。シャンディが同行すれば必然的に自分は部外者のようになってしまう。ココと自分が一緒の時にラビが上手く入れないように、自分もシャンディとラビの間に入っていくのは不可能だとさえ思っている。
ペンが止まっているラビの便箋に視線を落としながらどう返事をすべきか考えていた。
「で、でもこれは新婚旅行なので誘うつもりはなかったですし、シャンディが怒ろうと同行させるつもりもありませんでしたからありのままを書こうと思います」
「怒られるのは苦手ですよね?」
「怒られてもシャンディが相手なら言い返せますから大丈夫です。それに、新婚旅行で行ったのを怒られる義理もありませんから」
正論ではあるものの、シャンディは難癖をつけるのではないだろうかと付き合いもないのに容易に想像がついてしまう現実にアーデルもつられたように苦笑する。
シャンディは妹のフォスによく似ているのだ。
「わざわざビバリーに行く必要なかったのに。他の場所に行けばよかったじゃない、って言われそうじゃないですか?」
驚いた顔を見せるラビにやっぱりと苦笑を濃くする。
「す、すごい。どうしてわかるんですか?」
「妹がそういうタイプなんです」
「あー……」
ファスがラビを見て嫌悪したように、ラビもフォスを良く思わなかっただろう。良くも悪くも素直な人間。自分が悪いことも棚に上げてしまい、気の弱い相手を謝らせるタチの悪い性格をしている。ラビもアーデルもその被害者の一人だった。
「別の行き先を書いてはいかがですか?」
「う、嘘を書くのですか?」
「私は時々そうします」
「ご家族に?」
「はい」
「バ、バレないのですか?」
「バレます」
なんで言ったんだと不思議そうな表情の頬にデカデカと書くラビに顔を逸らしてアーデルが笑う。ラビもアーデルも嘘が苦手。咄嗟につく嘘ならまだしも、熟考してついた嘘はすぐにバレてしまう。表情に出やすいのだ。視線を逸らして声が上擦る。普段とは全く違う様子に深掘りせずとも嘘だと見抜く家族にもう嘘はつかないと決めた六年前。だが、結婚してから何度か嘘をついた。でもバレてはいない。手紙の中の嘘は事実をその目で見なければ確認しようがない。多忙な父親が簡単に国を抜け出すはずもなく、結婚してから一度も会いに来てはいない。
『彼の家はとても素敵で、暖炉の前に二人で座って食事をしたり話をしたり、並んで本を読むことも多い』
そう書いた。あの家はとても素敵だし、書いたことに間違いはない。だが、家の広さのことは一切書かなかった。それはいつだったか、父親が言った言葉がずっと引っかかっていたから。
『どうしてこの家はこんなに大きいの?』
歩くのが面倒だと感じた幼少期、ふと父親にそう問いかけた。すると父親は辺りを見回して笑顔をでこう言った。
『これがお父さんの愛だからだよ。広い家は確かに部屋や玄関まで遠くて嫌になることもあるかもしれない。だけどね、狭くて不便よりずっといいと思うんだ。広ければ置ける物がたくさんある。でも狭いと置きたい物も置けない。欲しいと思った一個を我慢しなければならないかもしれない。狭くて置けないという理由でね。狭いから悪いというわけではなく、本当に欲しいと思った物が家の狭さを理由に諦めなければならない瞬間があるというのが嫌だったんだ』
『でも広すぎる』
『はっはっはっはっ! そうだね。それは認めよう。でも広いから鬼ごっこができるんだぞ? かくれんぼもな』
あの家に住んでまだ日が浅いアーデルにはその経験がない。観葉植物をもう少し置きたいとは思うが、外を見れば自然の植物がたくさんある。わざわざ家の中に置く必要はないと考え方を変えた。
アーデルはフォスと違ってそれほど物欲がないだけに置きたい物や買いたい物がない。本と画集ぐらいだ。それでも父親に言えばきっと「これからのことはわからない」と言うだろうし、この家の他に新居を構えようとしないラビに不信感を抱くだろう。
だから家が狭いことは言っていない。いつかはバレるだろうが、それでも今は訪問予定がないため、フォスの結婚式までには言い訳を考えておこうと思っている。
「シャンディは僕の嘘をすぐに見抜いてしまうのできっとバレてしまいます」
「会える距離にいますしね」
「そうなんです。嘘を書いたことがバレたら何を言われるか……」
今までもそうしたことが何度か、何度もかあったのだろう。容易に想像がつく二人の関係は幼馴染というよりは主従関係に近いように思えた。皇族はラビではなくシャンディであるかのように。
「じゃあ素直に書いてしまいましょう。ごめんなさいって一度謝って終わりです」
「一度じゃ済まなくて」
何度も謝罪を要求する人間が世の中にいることは知っているが、アーデルはそれを良しとしない。アーデルも一般的に見ると謝罪率は高めだが、それでも不必要に何度も何度も謝ったりはしない。
「謝罪は一度で充分です」
「シャンディは──」
「一緒にビバリーに行くと約束していたのですか?」
「約束はしていません。シャンディが行きたいと言っていただけです」
「それなら約束を破ったわけではありませんし、謝罪は一度でいいです。アーデルが行きたがったからごめんね、でいいです」
「ぼ、僕が誘ったのですからあなたを言い訳にはしません!!」
こういう真面目なところが彼の良いところだとアーデルは思う。こちらが提案したのだから書けば合わせるのにと思いはするが、それをラビが良しとしないのであれば強制はできない。
「シャンディさんへの対応はお任せします」
自分はきっと会うことはないだろうから。お土産を持ってラビがシャンディを訪ねる。そこでの対応を妻だからと押し付けることはしたくないし、してはいけない。
唯一まともに話せる相手と言っていたからどんな対応でも苦ではないのかもしれない。ましてやシャンディのことだ。それを理由に色々甘えることも想像できる。叶えてやりたければそうすればいいし、断りたければ断ればいい。全て彼に任せると決めた。
「正直に書こうと思います」
「はい」
それ以外に彼ができることはなかっただろう。ようやくペンを再開させたラビが文字を書いていく。少しの間ジッと見つめていたが、やはり見られていると気になるのかチラチラとラビの視線が向いてはペンの動きが遅くなる。それに気付いて配慮が足りなかったことを謝ると読みかけだった本を持ち上げて視線を落とした。
ラビはとても静かな男。馬車の中には馬の蹄の音、車輪が地面を走る音、ラビのペンの音、アーデルの本が捲れる音だけが聞こえている。二枚目を書こうか迷ってやめたラビは便箋を封筒にしまったら「書けた」とも言わずに鞄の中へと入れた。一度アーデルを見るも本に集中しているのを見て、開きかけた口を閉じ、下敷きにしていた本を持ち上げて物語を再開させる。
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