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貴族として
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「おかえりなさいませ、旦那様。セレナお嬢様」
半年に一度訪れる領邸。管理人夫妻、執事、使用人たち総出で出迎えを受ける。
「お世話になります」
これから荷物を部屋に運んで、ベッドに横になって大きく伸びをして夜まで眠る。起きたら食事をして、入浴して、本を読んでダラダラしながら寝落ちする──理想的で非現実的な妄想を掻き消す父親の「こっちだ」の声。荷物を使用人に渡し、父親と共に管理人室へと向かう。一息つく暇もない。
管理人室には大きな窓が一つ。壁は余すことなく本棚が並び、隙間なくびっしりと本とファイルで埋め尽くされている。
「お戻りになったお二方をこうしてお迎えできて光栄です」
管理人のカイリーが二人の前に立ち、軽く一礼をする。彼女の後ろには夫のアルフレッドが静かに腰を折り、控えめに立っていた。
オスカーは軽くうなずき、セレナも静かに一礼する。
「さっそくだが、上半期の報告を頼む」
カイリーが頷き、隣のアルフレッドが用意していたファイルを手に取った。書類を二枚、テーブルの上に置き、二人はそれに目を通す。その間にカイリーが紅茶の用意をする。
「では、まずは領地全体の状態からご報告させていただきます」
アルフレッドの声が落ち着いて響く。
「農作物の状況ですが、今年の春は温暖な気候が続き、ほとんどの作物は順調に育っています。特に小麦と大麦は昨年よりも収穫量が増える予定でございます」
「良い知らせだな」
オスカーが満足げに言う。
「しかし、少々問題もございます」
どこが問題か、アルフレッドの顔を見ずとも書かれている収支報告書を見ればわかるため顔は上げない。
「昨年は一年を通して非常に雨が多く、あまり良くなかった土地の一部、特に西側の畑に害虫が発生しております。今年はさほど雨は多くないのですが、その兆しが見えましたので、すぐに農場の人間に指示を出して防除を始めています。影響が少しでも広がる前に抑えきれるといいのですが」
「どれくらいの規模で広がっている?」
「今のところは畑の端の一部だけです。早めに手を打ったので、大きな被害は避けられるはずです」
自分の対処に自信があるのだろう。アルフレッドは焦ることもせず、冷静だった。
「それなら安心だ」
だからこそオスカーはアルフレッドを管理人として置いている。彼はここの管理人になってもう長い。ここの庭師だった彼を管理人に指名したのはオスカーだ。物怖じせず、的確な言葉と観察眼を気に入って管理人にした。
アルフレッドは一度も期待を裏切ったことはなく、今日も父親が何か指摘することはない。
「次に、市場での商取引についてですが、今年の羊毛とワインが特に人気で、他領からも買い手が増えております。しかし、隣接領地の競合が激しく、一部品目の価格が下落傾向にあります」
セレナは少し前のめりになって聞いた。
「価格下落の対策は輸出先の拡大がいいかもしれませんね」
「はい、お嬢様。商人からも提案の声が上がっており、輸出先を拡大するための支援として、より効率的な運送手段の整備を求める声がございます。これにつきましては、提案書と要望書を添付しておりますので検討をお願いしたく存じます」
オスカーは書類を確認したあと、「運送路の補修はすぐに計画に取り入れるべきだな。進めろ」と指示を出した。
「村の建設と修繕についてですが、今年は新しい教会が完成し、村民たちの士気が高まっております。一方で、村外れの風車の修繕が遅れがちでして、加工作業に支障が出ているとの声がいくつか寄せられております。こちらも早急な対応が求められております」
雨が多いせいで修繕作業が予定どおり上手くいかなかった。風車に頼っている村にとっては大問題。かといって天候は操れないためどうしようもないが、領民にも生活がある。我慢しろと吐き捨てることはできない。
「風車は穀物加工に必要不可欠だ。修繕班を増員して作業を進めるように手配せよ」
アルフレッドはオスカーの言葉をすぐに書類に書き込んでいく。
「次に、領民の動向ですが……」
領民の問題についてはオスカーが特に気にしているところで、念入りに、とアルフレッドに伝えている部分。書類を捲って一文字も漏らさず目を通すオスカーの前にコーヒー、セレナの前に紅茶が置かれた。言葉なく会釈をするセレナにカイリーが笑顔を見せる。
「少し気になる点がございます」
アルフレッドが少し声を落とす。
「領地内の一部の農家から税金に関する不満が上がっています。昨年の冬の寒さと雪の影響で、一部の農家が予想以上に収入が減少しており、税負担が重いと訴える声が上がっているようです」
「規模は?」
「一部の村で十数件の訴えがありますが、まだ大きな動きにはなっていません。早期に対応すれば問題は広がらずに解決できる範囲だと思います」
オスカーはしばらく黙ったあと、セレナを見た。
「お前が領主ならどうする?」
書類を見つめていたセレナが少し黙ったあと、ゆっくりと口を開く。
「農業だけに依存しない長期的な対策も取るべきだとは思いますが、彼らが問題視しているのは将来ではなく今この瞬間のことです。ですから、まずは現実的な手段として、税負担の減免をすぐに行うべきだと考えます。特に去年は天災が多く、収穫が不十分であることから、まずはその分の税額を減らし、支払い期限を延ばす措置を取れば、農民たちも今抱えている困難に少し救いが見えるのではないでしょうか?」
「それで?」
「今、を解決する策としてはそれで間に合うでしょうが、今後も天災に悩まされる年度は必ず訪れると思います。ですので、農業以外の収入源を増やすための準備しなければならないと思います。たとえば、領地内の未開拓地を開発して、新たな産業の可能性を広げることや、独自の交易路を開設して経済の流れを活性化させること。長期的な面でも考えていく必要だと考えます」
淡々と語るセレナが書類を置いたことでオスカーも同じように書類を置いた。淹れてくれたコーヒーが冷めてしまう前にと飲むのを見てセレナも紅茶に口をつける。ゆっくりソーサーにカップを置いたあと、オスカーはセレナを見て頷いた。
「正解だ。今は何よりも、領民たちが抱える苦しみに即効性のある解決策が必要だ。税の減免、滞っている税の支払い期限の延期で彼らの生活を支える。その上で、長期的な視点で収入源を増やしていく」
「近いうちに農家と商人を集めて手立てを考えましょう」
「かしこまりました」
アルフレッドが忘れずに書き込む。
「風車の問題で春先に少し、全体的に収入が減った村がありましたが、こちらは周囲が助け合っており、支援要請は出ていません。皆、良い関係を築けているようで、領地内の村も町も平和で安定しています」
「素晴らしい」
オスカーがようやく満足げに頷いた。
「では、邸内の状況についても聞こうか?」
「はい、邸内は問題なく整っています」
今度はカイリーが口を開いた。
「セレナ嬢の部屋も前回お話しされたとおり、いくつかの小さな修繕も終わりました」
「ありがとう、カイリー」
「それから、今年も庭園はとても素晴らしい状態が保てています。バラの品種も新しく何種類か加えましたので、来月には見頃を迎えるでしょう」
ここに二ヶ月滞在するセレナにとってバラが咲いていく過程は息抜きになる。観察して、楽しみにして、咲き誇る姿を楽しむ。そこでお茶をするのは格別で、長期休暇中の唯一の楽しみとなっていた。カイリーはそれを理解してあえて来月咲くようにしてくれた。よく気が利くカイリーにセレナは何度も感謝している。
「他に問題はないか?」
「ございません」
「分かった。ご苦労だった、二人とも」
オスカーの言葉に二人揃って頭を下げる。立ち上がったオスカーからの「これからも頼りにしている」という言葉に二人は顔を見合わせて嬉しそうに笑った。
「お二人とも、お疲れ様でした」
セレナの言葉にカイリーとアルフレッドは再び一礼し、部屋から出ていく二人を見送った。
半年に一度訪れる領邸。管理人夫妻、執事、使用人たち総出で出迎えを受ける。
「お世話になります」
これから荷物を部屋に運んで、ベッドに横になって大きく伸びをして夜まで眠る。起きたら食事をして、入浴して、本を読んでダラダラしながら寝落ちする──理想的で非現実的な妄想を掻き消す父親の「こっちだ」の声。荷物を使用人に渡し、父親と共に管理人室へと向かう。一息つく暇もない。
管理人室には大きな窓が一つ。壁は余すことなく本棚が並び、隙間なくびっしりと本とファイルで埋め尽くされている。
「お戻りになったお二方をこうしてお迎えできて光栄です」
管理人のカイリーが二人の前に立ち、軽く一礼をする。彼女の後ろには夫のアルフレッドが静かに腰を折り、控えめに立っていた。
オスカーは軽くうなずき、セレナも静かに一礼する。
「さっそくだが、上半期の報告を頼む」
カイリーが頷き、隣のアルフレッドが用意していたファイルを手に取った。書類を二枚、テーブルの上に置き、二人はそれに目を通す。その間にカイリーが紅茶の用意をする。
「では、まずは領地全体の状態からご報告させていただきます」
アルフレッドの声が落ち着いて響く。
「農作物の状況ですが、今年の春は温暖な気候が続き、ほとんどの作物は順調に育っています。特に小麦と大麦は昨年よりも収穫量が増える予定でございます」
「良い知らせだな」
オスカーが満足げに言う。
「しかし、少々問題もございます」
どこが問題か、アルフレッドの顔を見ずとも書かれている収支報告書を見ればわかるため顔は上げない。
「昨年は一年を通して非常に雨が多く、あまり良くなかった土地の一部、特に西側の畑に害虫が発生しております。今年はさほど雨は多くないのですが、その兆しが見えましたので、すぐに農場の人間に指示を出して防除を始めています。影響が少しでも広がる前に抑えきれるといいのですが」
「どれくらいの規模で広がっている?」
「今のところは畑の端の一部だけです。早めに手を打ったので、大きな被害は避けられるはずです」
自分の対処に自信があるのだろう。アルフレッドは焦ることもせず、冷静だった。
「それなら安心だ」
だからこそオスカーはアルフレッドを管理人として置いている。彼はここの管理人になってもう長い。ここの庭師だった彼を管理人に指名したのはオスカーだ。物怖じせず、的確な言葉と観察眼を気に入って管理人にした。
アルフレッドは一度も期待を裏切ったことはなく、今日も父親が何か指摘することはない。
「次に、市場での商取引についてですが、今年の羊毛とワインが特に人気で、他領からも買い手が増えております。しかし、隣接領地の競合が激しく、一部品目の価格が下落傾向にあります」
セレナは少し前のめりになって聞いた。
「価格下落の対策は輸出先の拡大がいいかもしれませんね」
「はい、お嬢様。商人からも提案の声が上がっており、輸出先を拡大するための支援として、より効率的な運送手段の整備を求める声がございます。これにつきましては、提案書と要望書を添付しておりますので検討をお願いしたく存じます」
オスカーは書類を確認したあと、「運送路の補修はすぐに計画に取り入れるべきだな。進めろ」と指示を出した。
「村の建設と修繕についてですが、今年は新しい教会が完成し、村民たちの士気が高まっております。一方で、村外れの風車の修繕が遅れがちでして、加工作業に支障が出ているとの声がいくつか寄せられております。こちらも早急な対応が求められております」
雨が多いせいで修繕作業が予定どおり上手くいかなかった。風車に頼っている村にとっては大問題。かといって天候は操れないためどうしようもないが、領民にも生活がある。我慢しろと吐き捨てることはできない。
「風車は穀物加工に必要不可欠だ。修繕班を増員して作業を進めるように手配せよ」
アルフレッドはオスカーの言葉をすぐに書類に書き込んでいく。
「次に、領民の動向ですが……」
領民の問題についてはオスカーが特に気にしているところで、念入りに、とアルフレッドに伝えている部分。書類を捲って一文字も漏らさず目を通すオスカーの前にコーヒー、セレナの前に紅茶が置かれた。言葉なく会釈をするセレナにカイリーが笑顔を見せる。
「少し気になる点がございます」
アルフレッドが少し声を落とす。
「領地内の一部の農家から税金に関する不満が上がっています。昨年の冬の寒さと雪の影響で、一部の農家が予想以上に収入が減少しており、税負担が重いと訴える声が上がっているようです」
「規模は?」
「一部の村で十数件の訴えがありますが、まだ大きな動きにはなっていません。早期に対応すれば問題は広がらずに解決できる範囲だと思います」
オスカーはしばらく黙ったあと、セレナを見た。
「お前が領主ならどうする?」
書類を見つめていたセレナが少し黙ったあと、ゆっくりと口を開く。
「農業だけに依存しない長期的な対策も取るべきだとは思いますが、彼らが問題視しているのは将来ではなく今この瞬間のことです。ですから、まずは現実的な手段として、税負担の減免をすぐに行うべきだと考えます。特に去年は天災が多く、収穫が不十分であることから、まずはその分の税額を減らし、支払い期限を延ばす措置を取れば、農民たちも今抱えている困難に少し救いが見えるのではないでしょうか?」
「それで?」
「今、を解決する策としてはそれで間に合うでしょうが、今後も天災に悩まされる年度は必ず訪れると思います。ですので、農業以外の収入源を増やすための準備しなければならないと思います。たとえば、領地内の未開拓地を開発して、新たな産業の可能性を広げることや、独自の交易路を開設して経済の流れを活性化させること。長期的な面でも考えていく必要だと考えます」
淡々と語るセレナが書類を置いたことでオスカーも同じように書類を置いた。淹れてくれたコーヒーが冷めてしまう前にと飲むのを見てセレナも紅茶に口をつける。ゆっくりソーサーにカップを置いたあと、オスカーはセレナを見て頷いた。
「正解だ。今は何よりも、領民たちが抱える苦しみに即効性のある解決策が必要だ。税の減免、滞っている税の支払い期限の延期で彼らの生活を支える。その上で、長期的な視点で収入源を増やしていく」
「近いうちに農家と商人を集めて手立てを考えましょう」
「かしこまりました」
アルフレッドが忘れずに書き込む。
「風車の問題で春先に少し、全体的に収入が減った村がありましたが、こちらは周囲が助け合っており、支援要請は出ていません。皆、良い関係を築けているようで、領地内の村も町も平和で安定しています」
「素晴らしい」
オスカーがようやく満足げに頷いた。
「では、邸内の状況についても聞こうか?」
「はい、邸内は問題なく整っています」
今度はカイリーが口を開いた。
「セレナ嬢の部屋も前回お話しされたとおり、いくつかの小さな修繕も終わりました」
「ありがとう、カイリー」
「それから、今年も庭園はとても素晴らしい状態が保てています。バラの品種も新しく何種類か加えましたので、来月には見頃を迎えるでしょう」
ここに二ヶ月滞在するセレナにとってバラが咲いていく過程は息抜きになる。観察して、楽しみにして、咲き誇る姿を楽しむ。そこでお茶をするのは格別で、長期休暇中の唯一の楽しみとなっていた。カイリーはそれを理解してあえて来月咲くようにしてくれた。よく気が利くカイリーにセレナは何度も感謝している。
「他に問題はないか?」
「ございません」
「分かった。ご苦労だった、二人とも」
オスカーの言葉に二人揃って頭を下げる。立ち上がったオスカーからの「これからも頼りにしている」という言葉に二人は顔を見合わせて嬉しそうに笑った。
「お二人とも、お疲れ様でした」
セレナの言葉にカイリーとアルフレッドは再び一礼し、部屋から出ていく二人を見送った。
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