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完璧な男
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目を覚ましてすぐ目に入ったのは真っ白な天井。真っ白なカーテン。その奥に広大に広がる真っ青な空。
ベッドの中で伸びをして、大きく息を吐き出してからベッドから抜ける。窓を開けて空気の入れ替えをするこの瞬間がエドモンドはたまらなく好きだった。入り込んでくる爽やかな風を一身に浴びながらそれを胸いっぱいに吸い込む。庭に広がる美しい花壇から流れてくる花の香りがエドモンドの気分を上げてくれる。
「一日のはじまりが完璧な朝なんて、僕はツイてるな」
寝癖を撫でつけながら部屋の奥にある洗面所へと向かい、朝早くに使用人が用意してくれた風呂に浸かる。お気に入りのハーブエッセンスの香りに浸って目を閉じながら外の空気と同じように胸いっぱいに吸い込む。汗をかいたわけではないが、エドモンドは毎日風呂に入って清潔さを保つことにしていた。湯船から上がったら柔らかくなった肌にクリームを塗り込む。これも日課だ。男だからケアしなくてもいいなどというのは間違いだと思っているエドモンドにとって朝の時間はいくらあっても足りない。
鏡の前に立ち、濡れた紺色の髪からポタポタと雫が垂れるその奥で金色の瞳が自分の美しさを讃えるかのように輝いているのを見て笑顔を浮かべる。
「僕は今日も完璧で美しい」
濡れた前髪を掻き上げて棚に置いてあるタオルを手に取り、顔を拭いてから全身の水滴を吸い取らせるようにポンポンと叩くように拭く。彼は香水ではなく、香りがついたボディクリームを使用する。お気に入りのサンダルウッドの香り。
塗り終わったあとの手を鼻に寄せてゆっくりと深呼吸したら制服に着替える。
幼い頃から家族と食事を共にすることはなく、部屋に運ばれてくる物を一人で食べる。食べたら歯を磨いて、学校指定の鞄を持って馬車に向かう。
「おはよう、エドモンド。まだ五分前だぞ」
馬車の前に立っている同じ白いブレザーの制服を着ている男が片手を上げて馬車のドアを開ける。
「おはよう、ヴィーオ」
毎日送迎してくれる幼馴染の親友だ。
「僕の到着を首を長くして待ってくれている友人を待たせるわけにはいかないだろう」
「五分あれば出来ることはたくさんあるぞ」
「新聞を読むとか? そんな時間は僕には必要ない」
「そうだな」
互いに口元に笑みを浮かべながら馬車に乗り込み、学校到着までの時間を雑談に使う。
「エドモンド王子、おはようございます!」
「おはよう。今日から一週間、テスト漬けだが、準備は万全か?」
「もちろんです!」
「そうか。頑張ってくれ」
門の前で停まった馬車から降り、【シルバークレストカレッジ】の公明標を見て背筋を伸ばす。
頬を染める女子生徒や同じく背筋を伸ばす男子生徒たちによって門から玄関口まで作られる花道を歩きながら会話する。いつもどおりの光景だ。
笑顔で手を振りながら生徒会長専用の玄関口から中に入った瞬間、女子生徒の口から「あー……」と声が漏れた。
「今日もエドモンド王子に会えたなんてラッキーね」
「プレゼント禁止じゃなかったら毎日渡すのにぃ」
「あんなにキラキラした王子様、見たことない」
「素敵よねぇ」
片頬に手を添えながら少し染まった頬のまま感嘆の息を漏らす。
自他ともに認めるほど整った容姿のエドモンドのファンは多い。生徒会長には専用の個室が与えられているため、エドモンドはいつもそこで過ごしている。教師よりも忙しいと言われるシルバークレストカレッジの生徒会長を二年連続で務めることになったエドモンドに会える時間は少ない。日中、校内で見かけたらラッキーであり、確実に会えるのは決まった時間の投稿時のみ。
容姿端麗、成績優秀、誰にでもフレンドリーなエドモンドに憧れているのは女子生徒だけでなく男子生徒も同じ。花道を作ることに参加する男子生徒も多く、声をかけるのは男子生徒のほうが多い。左右で男女に分かれて作られた道を歩くとき、エドモンドはいつも左右交互に顔を向けて話をしてくれる。そこに憧れていた。
「今回も張り切ってる者が多そうだな」
生徒会長専用の個室のドア横の壁には【生徒会長 エドモンド・ハートフォード】の名前を見てヴィーオが目を細める。ドアの鍵を開けて中に入ると一番に窓を開けて換気する。吹き抜ける柔らかな風にエドモンドが目を細めながら机に鞄を置いた。
「そりゃそうだろ。生徒会開催の特別パーティーにご招待。生徒会に憧れる生徒はその招待状欲しさに家庭教師を増やして猛勉強。それを褒美にしてからシルバークレストの偏差値上昇に拍車がかかってるって学園長が喜んでたぞ」
「先日、お礼と褒め言葉をいただいた。大喜びだったな」
「ま、学園長は利益追求型の狸だからな」
「そう言うな。彼は立派だぞ。百五十年の歴史を汚すことなく、六千人の生徒が不満なく過ごせる美しい校舎を保ち、保護者からのクレームなき経営ができているのは彼の手腕だ」
「あの人のスキルは寄付集めだろうな」
高く結った真紅の髪を揺らしながら口元に笑みを浮かべて嫌味を口にするヴィーオの言葉にエドモンドもつられて笑ってしまう。吹き出しては失礼だと口を手で覆いながらも隠せないほどの笑いに肩を揺らす。
間違っていない。シルバークレストの学園長はとにかく口が上手い。嘘はつかず、真実を少しだけオーバーに言う。叶えられないわけではない、変えられないわけではないような物言いに何度感心したかわからない。
「僕も王子として見習うべきか?」
「やめとけやめとけ。爽やかイケメン王子が古狸みたいにぽんぽこし始めたら生徒会長に憧れてる生徒たちが泣くぞ」
「そうか。それは残念だ」
思ってもいないくせにと笑みを浮かべたまま肩を竦めるヴィーオが部屋の中の書類を片付け始める。今日から一週間はテスト期間。あちこちに置いてある書類は全て片付けなければならない。生徒会活動もテスト期間中は禁止。この一週間だけはエドモンドも他の生徒と同じ生活を送ることとなる。
「ヴィーオ、交流祭の準備は進んでいるか?」
テストが終わると夏季の長期休暇を挟んだあと、姉妹校であるローズソーンアカデミーとの交流祭の準備がある。企画は全てシルバークレストの生徒会が行うため、この時期は色々と大忙し。生徒会長として次の行事である交流祭を気にするのは当然だが、ヴィーオはエドモンドが気にする理由がそれ以外にもあることを知っているためニヤつきながら机に手をついた。
「完璧に決まってるだろ。セレナ・ヴァレンタイン公爵令嬢を完璧におもてなしする準備を俺が怠るとでも?」
「招くのはセレナだけじゃない。ロースソーンアカデミーのご令嬢たち全員だ」
「そうだな。あのお嬢様方を完璧なおもてなしで迎えないとだもんな」
「交流祭はシルバークレストが主催だからな」
平然な顔をしているが、内心ウキウキしているのが手に取るようにわかる。
年に一度の交流祭はこの一年で最も盛り上がる行事でもある。弟と妹がいて楽しませることが好きなエドモンドにとって交流祭は悪くないが、それよりも大きな理由がセレナ・ヴァレンタインの存在。
「公表すれば楽だろうに」
「話し合って決めたことだ」
「令嬢に婚約者がいるのはおかしな話じゃない。むしろ十八歳なら婚約者がいるなんて当たり前だろ」
「それによって弊害も出るからだ」
わからないでもない。ローズソーンアカデミーは数ある女子校の中でもトップクラスに規律が厳しく、校則が多いと言われている。
名家の令嬢だけが通える古き伝統を守らせる厳格な学校に通う婚約者に苦労を増やしたくないと聞いたとき、ヴィーオはエドモンドらしいと思ったが、不納得でもあった。自分が納得する必要はなく、二人で話し合って決めた二人の人生なのだから構わないのだが、やはり見ている側としてはその選択は正しくなかったように思えて仕方ない。
「セレナ・ヴァレンタインも楽な人生は歩んでないからな」
「そうだな」
苦笑をこぼすエドモンドにつられてヴィーオも苦笑をこぼす。
「試食会のメニューについてだが──」
ノックの音に口を閉じ「どうぞ」と返事をするとヴィーオが開けたそこから二人の教師が入ってきた。
「用意はできているかね?」
「もちろんです」
「今回は少し難易度を上げてある」
「以前のテスト終了後に先生がそうおっしゃったので全生徒に通達済みです。もちろん僕も同様に勉強していますので問題ありません」
「では、五分後に開始だ」
時計で時間を確認し、ヴィーオが端に用意された簡易の席に移動したあと、上着を脱いで鞄と一緒に棚へと置く。それから席に座ると教師に両手を向ける。シルバークレストではカンニング行為を悪とし、見つかれば問答無用で停学処分をとっている。これは王子だろうと王子の側近であろうと平等。
確認した女教師が確認を終えたことを頷きで合図を送ると席に座って紙とペンを持ち、立っている男の教師も黒板を前にチョークと紙を持った。
ゴーンと重たい鐘の音を合図に一斉にテストが始まった。
ベッドの中で伸びをして、大きく息を吐き出してからベッドから抜ける。窓を開けて空気の入れ替えをするこの瞬間がエドモンドはたまらなく好きだった。入り込んでくる爽やかな風を一身に浴びながらそれを胸いっぱいに吸い込む。庭に広がる美しい花壇から流れてくる花の香りがエドモンドの気分を上げてくれる。
「一日のはじまりが完璧な朝なんて、僕はツイてるな」
寝癖を撫でつけながら部屋の奥にある洗面所へと向かい、朝早くに使用人が用意してくれた風呂に浸かる。お気に入りのハーブエッセンスの香りに浸って目を閉じながら外の空気と同じように胸いっぱいに吸い込む。汗をかいたわけではないが、エドモンドは毎日風呂に入って清潔さを保つことにしていた。湯船から上がったら柔らかくなった肌にクリームを塗り込む。これも日課だ。男だからケアしなくてもいいなどというのは間違いだと思っているエドモンドにとって朝の時間はいくらあっても足りない。
鏡の前に立ち、濡れた紺色の髪からポタポタと雫が垂れるその奥で金色の瞳が自分の美しさを讃えるかのように輝いているのを見て笑顔を浮かべる。
「僕は今日も完璧で美しい」
濡れた前髪を掻き上げて棚に置いてあるタオルを手に取り、顔を拭いてから全身の水滴を吸い取らせるようにポンポンと叩くように拭く。彼は香水ではなく、香りがついたボディクリームを使用する。お気に入りのサンダルウッドの香り。
塗り終わったあとの手を鼻に寄せてゆっくりと深呼吸したら制服に着替える。
幼い頃から家族と食事を共にすることはなく、部屋に運ばれてくる物を一人で食べる。食べたら歯を磨いて、学校指定の鞄を持って馬車に向かう。
「おはよう、エドモンド。まだ五分前だぞ」
馬車の前に立っている同じ白いブレザーの制服を着ている男が片手を上げて馬車のドアを開ける。
「おはよう、ヴィーオ」
毎日送迎してくれる幼馴染の親友だ。
「僕の到着を首を長くして待ってくれている友人を待たせるわけにはいかないだろう」
「五分あれば出来ることはたくさんあるぞ」
「新聞を読むとか? そんな時間は僕には必要ない」
「そうだな」
互いに口元に笑みを浮かべながら馬車に乗り込み、学校到着までの時間を雑談に使う。
「エドモンド王子、おはようございます!」
「おはよう。今日から一週間、テスト漬けだが、準備は万全か?」
「もちろんです!」
「そうか。頑張ってくれ」
門の前で停まった馬車から降り、【シルバークレストカレッジ】の公明標を見て背筋を伸ばす。
頬を染める女子生徒や同じく背筋を伸ばす男子生徒たちによって門から玄関口まで作られる花道を歩きながら会話する。いつもどおりの光景だ。
笑顔で手を振りながら生徒会長専用の玄関口から中に入った瞬間、女子生徒の口から「あー……」と声が漏れた。
「今日もエドモンド王子に会えたなんてラッキーね」
「プレゼント禁止じゃなかったら毎日渡すのにぃ」
「あんなにキラキラした王子様、見たことない」
「素敵よねぇ」
片頬に手を添えながら少し染まった頬のまま感嘆の息を漏らす。
自他ともに認めるほど整った容姿のエドモンドのファンは多い。生徒会長には専用の個室が与えられているため、エドモンドはいつもそこで過ごしている。教師よりも忙しいと言われるシルバークレストカレッジの生徒会長を二年連続で務めることになったエドモンドに会える時間は少ない。日中、校内で見かけたらラッキーであり、確実に会えるのは決まった時間の投稿時のみ。
容姿端麗、成績優秀、誰にでもフレンドリーなエドモンドに憧れているのは女子生徒だけでなく男子生徒も同じ。花道を作ることに参加する男子生徒も多く、声をかけるのは男子生徒のほうが多い。左右で男女に分かれて作られた道を歩くとき、エドモンドはいつも左右交互に顔を向けて話をしてくれる。そこに憧れていた。
「今回も張り切ってる者が多そうだな」
生徒会長専用の個室のドア横の壁には【生徒会長 エドモンド・ハートフォード】の名前を見てヴィーオが目を細める。ドアの鍵を開けて中に入ると一番に窓を開けて換気する。吹き抜ける柔らかな風にエドモンドが目を細めながら机に鞄を置いた。
「そりゃそうだろ。生徒会開催の特別パーティーにご招待。生徒会に憧れる生徒はその招待状欲しさに家庭教師を増やして猛勉強。それを褒美にしてからシルバークレストの偏差値上昇に拍車がかかってるって学園長が喜んでたぞ」
「先日、お礼と褒め言葉をいただいた。大喜びだったな」
「ま、学園長は利益追求型の狸だからな」
「そう言うな。彼は立派だぞ。百五十年の歴史を汚すことなく、六千人の生徒が不満なく過ごせる美しい校舎を保ち、保護者からのクレームなき経営ができているのは彼の手腕だ」
「あの人のスキルは寄付集めだろうな」
高く結った真紅の髪を揺らしながら口元に笑みを浮かべて嫌味を口にするヴィーオの言葉にエドモンドもつられて笑ってしまう。吹き出しては失礼だと口を手で覆いながらも隠せないほどの笑いに肩を揺らす。
間違っていない。シルバークレストの学園長はとにかく口が上手い。嘘はつかず、真実を少しだけオーバーに言う。叶えられないわけではない、変えられないわけではないような物言いに何度感心したかわからない。
「僕も王子として見習うべきか?」
「やめとけやめとけ。爽やかイケメン王子が古狸みたいにぽんぽこし始めたら生徒会長に憧れてる生徒たちが泣くぞ」
「そうか。それは残念だ」
思ってもいないくせにと笑みを浮かべたまま肩を竦めるヴィーオが部屋の中の書類を片付け始める。今日から一週間はテスト期間。あちこちに置いてある書類は全て片付けなければならない。生徒会活動もテスト期間中は禁止。この一週間だけはエドモンドも他の生徒と同じ生活を送ることとなる。
「ヴィーオ、交流祭の準備は進んでいるか?」
テストが終わると夏季の長期休暇を挟んだあと、姉妹校であるローズソーンアカデミーとの交流祭の準備がある。企画は全てシルバークレストの生徒会が行うため、この時期は色々と大忙し。生徒会長として次の行事である交流祭を気にするのは当然だが、ヴィーオはエドモンドが気にする理由がそれ以外にもあることを知っているためニヤつきながら机に手をついた。
「完璧に決まってるだろ。セレナ・ヴァレンタイン公爵令嬢を完璧におもてなしする準備を俺が怠るとでも?」
「招くのはセレナだけじゃない。ロースソーンアカデミーのご令嬢たち全員だ」
「そうだな。あのお嬢様方を完璧なおもてなしで迎えないとだもんな」
「交流祭はシルバークレストが主催だからな」
平然な顔をしているが、内心ウキウキしているのが手に取るようにわかる。
年に一度の交流祭はこの一年で最も盛り上がる行事でもある。弟と妹がいて楽しませることが好きなエドモンドにとって交流祭は悪くないが、それよりも大きな理由がセレナ・ヴァレンタインの存在。
「公表すれば楽だろうに」
「話し合って決めたことだ」
「令嬢に婚約者がいるのはおかしな話じゃない。むしろ十八歳なら婚約者がいるなんて当たり前だろ」
「それによって弊害も出るからだ」
わからないでもない。ローズソーンアカデミーは数ある女子校の中でもトップクラスに規律が厳しく、校則が多いと言われている。
名家の令嬢だけが通える古き伝統を守らせる厳格な学校に通う婚約者に苦労を増やしたくないと聞いたとき、ヴィーオはエドモンドらしいと思ったが、不納得でもあった。自分が納得する必要はなく、二人で話し合って決めた二人の人生なのだから構わないのだが、やはり見ている側としてはその選択は正しくなかったように思えて仕方ない。
「セレナ・ヴァレンタインも楽な人生は歩んでないからな」
「そうだな」
苦笑をこぼすエドモンドにつられてヴィーオも苦笑をこぼす。
「試食会のメニューについてだが──」
ノックの音に口を閉じ「どうぞ」と返事をするとヴィーオが開けたそこから二人の教師が入ってきた。
「用意はできているかね?」
「もちろんです」
「今回は少し難易度を上げてある」
「以前のテスト終了後に先生がそうおっしゃったので全生徒に通達済みです。もちろん僕も同様に勉強していますので問題ありません」
「では、五分後に開始だ」
時計で時間を確認し、ヴィーオが端に用意された簡易の席に移動したあと、上着を脱いで鞄と一緒に棚へと置く。それから席に座ると教師に両手を向ける。シルバークレストではカンニング行為を悪とし、見つかれば問答無用で停学処分をとっている。これは王子だろうと王子の側近であろうと平等。
確認した女教師が確認を終えたことを頷きで合図を送ると席に座って紙とペンを持ち、立っている男の教師も黒板を前にチョークと紙を持った。
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