ペット?いりません。ウチ、ヒーローいるんで。

ねおきてる

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後半戦‼︎嘘も方便、あれはターザン

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えーっと、どこまで喋ったっけ。


あ、そうそう。
私倒れたんだ。


黒服と矢採くん、ケツ顎が倒れた私をぐるり囲んで覗き込んでる。


「どうしましょうか、この人。」


顎が喋った。


「まあ、いい。疲れがたまっていたんだろう。寝かせとけ。」


案外普通なアドバイスをして矢採くんは玉座に座り直した。


「それに、彼女の悩みはもう、解決はしてるんだ。」


目を覚ますタイミングが分からないまま、ほう?と私は耳を澄ました。


「そのこころは…?」


正樹君が息を潜め、恐る恐る矢採君に聞く。


私も狸寝入りのまま、耳だけダンボで聞いていた。


「占ったところ、もう結果は出てるんだ。」


バサリ、矢採くんが髪をかきあげた。
甘い妖美な香りが鼻腔をくすぐる。

「お告げはこうだ。」


私は誰にも気づかれないよう、ごくりと生唾を飲んだ。


「どんな時だって
 手を繋ぎ
にこやかにしていれば
いつも
るんるん。」

お告げを受けて、正樹くんは一度仰け反った。


はたからみてもわかるほど、不安げな表情だった。


矢採くんのことならわかる彼でも分からないことがあるのだろう。


何度か軽くぎこちなく頷き絞り出すような声で言った。


「な、なるほど~」 


「どこがだ!!」


狸寝入りも何のその。
ガバッと起き上がり私は叫んだ。


「何だ、起きてたのか。」


「何がるんるんよ!父親いなくなってるんですよ!」


「え?父親?」


ヤバい、と咄嗟に咳き込んだ。

嫌だ、あんなのが父親だなんて。


「ち、違う、そのあの…。」


絶対違わない声で私は正樹くんにそう返した。


「だから、あるじゃん、あの、それで…。」


何があるんだろう。


自分すら意味不明なうわごとを一人繰り返し、必死にちょうどいい嘘を探す。


そんな時に矢採くんが、さらっと何かを取り出した。


「モンタージュも書いといた。」


(ノー‼︎‼︎‼︎‼︎)


上手い。

異常に上手い。


目元のシワの感じだったり、
厚すぎず薄すぎない唇、
高い鼻。


それを絶妙に正確にちゃんと描いている。


てゆーか、すごいな矢採くん。

ほんとにその技術お金になるぞ。

まあ、そんなのは置いといて。


私は一円にもならない恥をいかに回避するか考えた。


ここで恥をかいたなら、同情くらいしてくれるかも。


いや、そんなのはどうでもいい、同情するなら金をくれ。


「ちー…ち、違くて、それは…」


ずっとうわごとのように私はひたすら繰り返す。


「ちーっ、ちっちっち…」


何かの鳥のように一人さえずり、言い訳を探す。

「ち、ち、家の近くの人です…。」


20点の嘘をついた。


この流れで私は前回の冒頭に放り込まれれわけである。


あれ、前編、後編に分ける必要なかった?


以上!



 








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