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0.僕という存在
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僕はゲームをする時、主人公が他にいるものを選ぶ。
例えば、TRPG(タクティクス・RPG)などでは自分の名前を主人公の方に入れずにあとで雇えるキャラ、メイキングキャラに自分の名前を入力してまるで主人公の仲間の一人のように物語を楽しむ。
そう、僕は主人公になりたいわけじゃない。主人公をどんな時でも最後に支える、メインキャラでも敵役でもないその他大勢になりたかった。僕はそんなスタンスで現実もやってきた。現実では兄が主人公だった。そして、僕はその後をついていく。継承者になりたいわけではない。僕は兄のように勉強が出来るわけでもない。妹のようにこれといった特技もない。なので、僕はそこで思い知らされるのだ。「ああ・・・。やっぱり僕は脇役なんだ・・・。」と。
「人は人生という名の舞台では等しく主人公だ。」と嘯く奴がいる。まあ、正解だろう。ある面においては・・・。
例えば、俳優や女優、社長などといった人はそう言う風に考えるだろう。ああいう職業は少なからず自分が特別だと思わないとまず目指さないものだ。それが例え、卵や一生芽吹かない種だとしても・・・。そういう人たちは自分を主人公だと思っている。だから頑張れる。自分のために自分を支える周りのために・・・。
では、僕はどうか?僕は人生という舞台にはやはり役がきまっていると思っている。そして、僕の役は脇役だと意識している。主人公の兄の弟。主人公の妹の兄。そして、その両方を引き立てるだけの存在自分。
一時、考えたこともあった「自分は脇役じゃない。主人公になるんだ!」・・・と。
そのために兄が持っていない資格を取った。兄が途中でやめたものを続けた。兄とは違う選択肢を選んだ。
でも、結局は何もかも無駄だと悟った。主人公だと思っていた兄も妹も世間的に見れば脇役だったのだ。じゃあ、その脇役である脇役の自分は?その時、思い知らされたのだ。「人は人生という名の舞台では等しく主人公だ。」しかし、他の誰かの人生では脇役なんだ。しかし、それを跳ね除けるほどの魅力がない限りそれには気が付かない。そして、世間という名の舞台では配役はきまっている。その中で「私は主人公だ!」と言える人はどれほどいるのだろうか?
きっと一握りの人間だ。だから、人は代替案を考える。「人生という名の舞台の主人公になれないなら物語の中、ゲームの中でだけでも主人公の気分を味わおう」と・・・。
それは、人それぞれだろう。ドラマのヒーロー、ヒロインに自分を投影させる者。物語の主人公を自分に置き換える者。僕が最も手っ取り早く考えるのはゲームの主人公の名前を自分の名前にすることだ。
そうして、自分を守る人もいる。そして、「世間」という舞台では脇役だが「空想」の世界では皆、主人公になれる。これを考えた人はきっと僕と同じような考えを持っていると思う。そして、満たされる人も大勢いるだろう。でも、中には満たされない人もいる。僕のように・・・。僕はその空想の中でも主人公の名前を変えない。主人公が決まっていなければ空想の主人公を作って自分は脇役になる。それも出来なければ、自分とは違う名前で参加する。そうして、自分というものは必ず、脇役と位置付けてきた。それでよいと思っていた。今でも思っている。そうやって死んでいくのだと確信した。
そして、僕は今日この日、この世界を去った・・・。享年25歳。事故死だった・・・。
「目が覚めたか?」
僕が目を開けるとそこには少女がいた。髪は銀髪のロングヘア。整った顔立ちをしている。
「貴様は覚えておるのか?貴様の最後を?」
僕は少し思い出す。あれは原付に乗っていた時のことだ、信号無視をしたトラックに衝突して、僕は痛みを抱えながら死んで行った・・・。
「理解できたようだな。喜べ、貴様は最後の最後で悲劇の主人公になったぞ。ほれ?」
そう尊大な言葉遣いをする少女は新聞を渡す。その日の一面ではなく小さい欄に僕の名前と事故があったことが記されていた。僕は笑ってしまった。最後の最後まで、「世間」では僕は脇役のようだ。
「そう悲観するでない。お前はお前という「コミュニティ」の中では悲劇の主人公として今葬式を行われておるぞ。ほれ。」
そう言って少女は何もない空間から映像を見せる。そこには僕の葬式の様子が映し出されている。親、兄妹、従兄妹、祖母、叔母、職場の上司や同僚、幼稚園からの幼馴染(男)。こうしてみると、僕は意外と人脈があったんだな・・・。
「ほれ、お前は最後の最後で主役になった。よかったな。自分では諦めていた主役というものに最後には成れたのだから。」
それが、自分の死というのは笑える。悲劇の主人公?本当に笑える。僕はこんなものになりたかったわけではない。こんな最後になるくらいなら主人公になんかならなければ良かった!!
「ふむ・・・。不満か?しかし、お主はまだ幸せな方じゃぞ?中には最後まで脇役として最後を終える者もいる。中には舞台に上がる前に退場させられるものが居るのだぞ?」
それがどうした!僕はこんな、最後を望んでいたのではない!!脇役でもよかった!細々と少しの幸せと少しのお金があればよかった。別に長生きをしたかったわけじゃない。ただ天命があるのならそれに従って死にたかった!!こんな幕引きはあんまりだ!!!
「ふむ・・・。お主も存外我侭じゃのう・・・。あい、分かった。なら、お主にチャンスをやろう。この世界にはお主を戻すことは残念ながら出来ぬ。「真理」たる我は何事にも平等でなくてはの。」
「真理」?この子は何を言っているんだ?それよりチャンスとは何だ?
「喜べ、人間。お前には選択肢を与えよう。3つの選択肢じゃ。一つは王道に生きる主人公。一つは覇道に生きる覇王。そして最後に平凡だがとある事情で大きな騒乱に巻き込まれる一般庶民。さあ、選ぶがいい。」
そう言って少女は僕に選択肢を突きつけた。王道の主人公?覇道に生きる覇王?平凡だがとある事情で騒乱に巻き込まれる一般庶民?どう違うんだ?どれも等しく面倒くさそうなものばかりではないか?
「ふむ・・・。不満か?しかし、我はこれでも寛大なのだよ。本来なら、選択肢の有無を与えずにその「人生」に放り込むところを、選ばせてやっとるんだ。ほれ、さっさと選ばぬか?」
そうは言っても内容がわからないんじゃ・・・。概要くらい教えてくれないか?
「仕方ないの・・・。じゃあ、一回だけ大まかに説明してやる。その耳をかっぽじってよく聞くがよい!」
そう言って少女は説明を始める。
「まずは、王道に生きる主人公。この「人生」ではとある農村で強大な魔力を宿した英雄が誕生する。そして、将来は覇王と世界を掛けて戦う。といったところかの?勝敗は言わぬぞ。そんなことしたら面白くないからの。」
少女の説明は続く。
「次に、覇道に生きる覇王。この「人生」はある王族に生まれた王女だ。その王女は武芸に秀でて強力なカリスマを持っている。そして将来は王道に生きる主人公と戦うことになる。」
つまりは、同じ世界。同じ世界軸に存在する者ということか?
「ほう。それくらい理解できる頭があるのか?」
ほっとけ!
「最後に、平凡だがとある事情で大きな騒乱に巻き込まれる一般庶民。ふむ、字数的には他の二つよりも多いの?」
そんなことはいいから説明をしてくれ!
「わかった、わかった。この「人生」ではとある農村で生まれたごく平凡なごく普通の農民じゃ。だが、あらゆるトラブルに巻き込まれる。しかし、この人生では前世の記憶が引き継がれる。そうじゃのう・・・。名前やお前が経験した物事については持ち越し不可だが経験は知識となってお主に引き継がれる。まあ、それがこの「人生」でトラブルに巻き込まれる種なのじゃがな。」
そう言って少女が笑い出す。・・・。どれも、面倒くさい人生じゃないか!!なんなんだよこのラインナップは!!
「お主は自分の最後に不満があるのじゃろ?我がわざわざ忙しい時間を割いて考えてやった「人生」なのじゃ。少しは我を楽しませてもらわないと面白くない。」
ふざけるな!僕はお前を楽しませるための道具じゃない!!
「はあ・・・。本当に我侭な人間じゃのう・・・。しかし、「真理」である我が下した結果じゃ。甘んじて受けるがよい。」
変更は無理なのか?
「無理じゃ。ほれ、さっさと選べ。後が閊えておる。我は忙しいのじゃ。」
僕はため息を吐く。どの人生を選んでも面倒くさそうだ。しかも、その内の二択はとても「脇役人生」を生きてきた僕には荷が重そうだ。なあ、3番目の選択肢を選ぶとどれだけの人を助けられるんだ?
「それは、お主次第じゃな。1番と2番はどちらも多くの人間を生かす。同時に多くのものを殺すであろう。しかし、3番目は選択によっては1番と2番が救えなかった命を救うことが出来るやもしれぬ。」
・・・わかった。僕は3番目の選択肢を選ぶよ。
「ほう、理由を聞かせてみよ?」
理由は2つ。僕には1番も2番も荷が重すぎる。「脇役人生」を生きてきたからな。それが一つ。もう一つは1番と2番では多くの犠牲者が出るといったな?
「そうじゃ。」
なら、僕がそれを変えて見せる。どんなトラブルか知らないが救える命があるのなら僕はそれに掛けたい。
「何故じゃ?お主は面倒くさいことは嫌いなのだろ?」
ああ。でも、僕は「脇役人生」にはふさわしくない夢を抱いていたんだよ。
「ほう?どんなものか教えてみよ。」
僕は世界の困っている人を助けたい。そんな夢を中学の時に持っていた。あの頃は兄や可能性のある妹に焦っていたんだろうな。でも、この夢だけは色あせることなく僕の心に残っていた。だから、僕は1番と2番が出来なかったことをして見せる。それぐらいの野心は持ってもいいだろう?
「ふむ。面白い!なら、やって見せよ!「脇役人生」でどれほどのものを助けられるか。」
ああ。じゃあ、手続きを頼む。
「うむ。心得た。では、その門をくぐるがいい。」
そう言って少女は一番右端の扉を指さす。僕はそこに向かって歩き出した。そして、門が開き僕は進む。新たな「人生」を・・・・。
例えば、TRPG(タクティクス・RPG)などでは自分の名前を主人公の方に入れずにあとで雇えるキャラ、メイキングキャラに自分の名前を入力してまるで主人公の仲間の一人のように物語を楽しむ。
そう、僕は主人公になりたいわけじゃない。主人公をどんな時でも最後に支える、メインキャラでも敵役でもないその他大勢になりたかった。僕はそんなスタンスで現実もやってきた。現実では兄が主人公だった。そして、僕はその後をついていく。継承者になりたいわけではない。僕は兄のように勉強が出来るわけでもない。妹のようにこれといった特技もない。なので、僕はそこで思い知らされるのだ。「ああ・・・。やっぱり僕は脇役なんだ・・・。」と。
「人は人生という名の舞台では等しく主人公だ。」と嘯く奴がいる。まあ、正解だろう。ある面においては・・・。
例えば、俳優や女優、社長などといった人はそう言う風に考えるだろう。ああいう職業は少なからず自分が特別だと思わないとまず目指さないものだ。それが例え、卵や一生芽吹かない種だとしても・・・。そういう人たちは自分を主人公だと思っている。だから頑張れる。自分のために自分を支える周りのために・・・。
では、僕はどうか?僕は人生という舞台にはやはり役がきまっていると思っている。そして、僕の役は脇役だと意識している。主人公の兄の弟。主人公の妹の兄。そして、その両方を引き立てるだけの存在自分。
一時、考えたこともあった「自分は脇役じゃない。主人公になるんだ!」・・・と。
そのために兄が持っていない資格を取った。兄が途中でやめたものを続けた。兄とは違う選択肢を選んだ。
でも、結局は何もかも無駄だと悟った。主人公だと思っていた兄も妹も世間的に見れば脇役だったのだ。じゃあ、その脇役である脇役の自分は?その時、思い知らされたのだ。「人は人生という名の舞台では等しく主人公だ。」しかし、他の誰かの人生では脇役なんだ。しかし、それを跳ね除けるほどの魅力がない限りそれには気が付かない。そして、世間という名の舞台では配役はきまっている。その中で「私は主人公だ!」と言える人はどれほどいるのだろうか?
きっと一握りの人間だ。だから、人は代替案を考える。「人生という名の舞台の主人公になれないなら物語の中、ゲームの中でだけでも主人公の気分を味わおう」と・・・。
それは、人それぞれだろう。ドラマのヒーロー、ヒロインに自分を投影させる者。物語の主人公を自分に置き換える者。僕が最も手っ取り早く考えるのはゲームの主人公の名前を自分の名前にすることだ。
そうして、自分を守る人もいる。そして、「世間」という舞台では脇役だが「空想」の世界では皆、主人公になれる。これを考えた人はきっと僕と同じような考えを持っていると思う。そして、満たされる人も大勢いるだろう。でも、中には満たされない人もいる。僕のように・・・。僕はその空想の中でも主人公の名前を変えない。主人公が決まっていなければ空想の主人公を作って自分は脇役になる。それも出来なければ、自分とは違う名前で参加する。そうして、自分というものは必ず、脇役と位置付けてきた。それでよいと思っていた。今でも思っている。そうやって死んでいくのだと確信した。
そして、僕は今日この日、この世界を去った・・・。享年25歳。事故死だった・・・。
「目が覚めたか?」
僕が目を開けるとそこには少女がいた。髪は銀髪のロングヘア。整った顔立ちをしている。
「貴様は覚えておるのか?貴様の最後を?」
僕は少し思い出す。あれは原付に乗っていた時のことだ、信号無視をしたトラックに衝突して、僕は痛みを抱えながら死んで行った・・・。
「理解できたようだな。喜べ、貴様は最後の最後で悲劇の主人公になったぞ。ほれ?」
そう尊大な言葉遣いをする少女は新聞を渡す。その日の一面ではなく小さい欄に僕の名前と事故があったことが記されていた。僕は笑ってしまった。最後の最後まで、「世間」では僕は脇役のようだ。
「そう悲観するでない。お前はお前という「コミュニティ」の中では悲劇の主人公として今葬式を行われておるぞ。ほれ。」
そう言って少女は何もない空間から映像を見せる。そこには僕の葬式の様子が映し出されている。親、兄妹、従兄妹、祖母、叔母、職場の上司や同僚、幼稚園からの幼馴染(男)。こうしてみると、僕は意外と人脈があったんだな・・・。
「ほれ、お前は最後の最後で主役になった。よかったな。自分では諦めていた主役というものに最後には成れたのだから。」
それが、自分の死というのは笑える。悲劇の主人公?本当に笑える。僕はこんなものになりたかったわけではない。こんな最後になるくらいなら主人公になんかならなければ良かった!!
「ふむ・・・。不満か?しかし、お主はまだ幸せな方じゃぞ?中には最後まで脇役として最後を終える者もいる。中には舞台に上がる前に退場させられるものが居るのだぞ?」
それがどうした!僕はこんな、最後を望んでいたのではない!!脇役でもよかった!細々と少しの幸せと少しのお金があればよかった。別に長生きをしたかったわけじゃない。ただ天命があるのならそれに従って死にたかった!!こんな幕引きはあんまりだ!!!
「ふむ・・・。お主も存外我侭じゃのう・・・。あい、分かった。なら、お主にチャンスをやろう。この世界にはお主を戻すことは残念ながら出来ぬ。「真理」たる我は何事にも平等でなくてはの。」
「真理」?この子は何を言っているんだ?それよりチャンスとは何だ?
「喜べ、人間。お前には選択肢を与えよう。3つの選択肢じゃ。一つは王道に生きる主人公。一つは覇道に生きる覇王。そして最後に平凡だがとある事情で大きな騒乱に巻き込まれる一般庶民。さあ、選ぶがいい。」
そう言って少女は僕に選択肢を突きつけた。王道の主人公?覇道に生きる覇王?平凡だがとある事情で騒乱に巻き込まれる一般庶民?どう違うんだ?どれも等しく面倒くさそうなものばかりではないか?
「ふむ・・・。不満か?しかし、我はこれでも寛大なのだよ。本来なら、選択肢の有無を与えずにその「人生」に放り込むところを、選ばせてやっとるんだ。ほれ、さっさと選ばぬか?」
そうは言っても内容がわからないんじゃ・・・。概要くらい教えてくれないか?
「仕方ないの・・・。じゃあ、一回だけ大まかに説明してやる。その耳をかっぽじってよく聞くがよい!」
そう言って少女は説明を始める。
「まずは、王道に生きる主人公。この「人生」ではとある農村で強大な魔力を宿した英雄が誕生する。そして、将来は覇王と世界を掛けて戦う。といったところかの?勝敗は言わぬぞ。そんなことしたら面白くないからの。」
少女の説明は続く。
「次に、覇道に生きる覇王。この「人生」はある王族に生まれた王女だ。その王女は武芸に秀でて強力なカリスマを持っている。そして将来は王道に生きる主人公と戦うことになる。」
つまりは、同じ世界。同じ世界軸に存在する者ということか?
「ほう。それくらい理解できる頭があるのか?」
ほっとけ!
「最後に、平凡だがとある事情で大きな騒乱に巻き込まれる一般庶民。ふむ、字数的には他の二つよりも多いの?」
そんなことはいいから説明をしてくれ!
「わかった、わかった。この「人生」ではとある農村で生まれたごく平凡なごく普通の農民じゃ。だが、あらゆるトラブルに巻き込まれる。しかし、この人生では前世の記憶が引き継がれる。そうじゃのう・・・。名前やお前が経験した物事については持ち越し不可だが経験は知識となってお主に引き継がれる。まあ、それがこの「人生」でトラブルに巻き込まれる種なのじゃがな。」
そう言って少女が笑い出す。・・・。どれも、面倒くさい人生じゃないか!!なんなんだよこのラインナップは!!
「お主は自分の最後に不満があるのじゃろ?我がわざわざ忙しい時間を割いて考えてやった「人生」なのじゃ。少しは我を楽しませてもらわないと面白くない。」
ふざけるな!僕はお前を楽しませるための道具じゃない!!
「はあ・・・。本当に我侭な人間じゃのう・・・。しかし、「真理」である我が下した結果じゃ。甘んじて受けるがよい。」
変更は無理なのか?
「無理じゃ。ほれ、さっさと選べ。後が閊えておる。我は忙しいのじゃ。」
僕はため息を吐く。どの人生を選んでも面倒くさそうだ。しかも、その内の二択はとても「脇役人生」を生きてきた僕には荷が重そうだ。なあ、3番目の選択肢を選ぶとどれだけの人を助けられるんだ?
「それは、お主次第じゃな。1番と2番はどちらも多くの人間を生かす。同時に多くのものを殺すであろう。しかし、3番目は選択によっては1番と2番が救えなかった命を救うことが出来るやもしれぬ。」
・・・わかった。僕は3番目の選択肢を選ぶよ。
「ほう、理由を聞かせてみよ?」
理由は2つ。僕には1番も2番も荷が重すぎる。「脇役人生」を生きてきたからな。それが一つ。もう一つは1番と2番では多くの犠牲者が出るといったな?
「そうじゃ。」
なら、僕がそれを変えて見せる。どんなトラブルか知らないが救える命があるのなら僕はそれに掛けたい。
「何故じゃ?お主は面倒くさいことは嫌いなのだろ?」
ああ。でも、僕は「脇役人生」にはふさわしくない夢を抱いていたんだよ。
「ほう?どんなものか教えてみよ。」
僕は世界の困っている人を助けたい。そんな夢を中学の時に持っていた。あの頃は兄や可能性のある妹に焦っていたんだろうな。でも、この夢だけは色あせることなく僕の心に残っていた。だから、僕は1番と2番が出来なかったことをして見せる。それぐらいの野心は持ってもいいだろう?
「ふむ。面白い!なら、やって見せよ!「脇役人生」でどれほどのものを助けられるか。」
ああ。じゃあ、手続きを頼む。
「うむ。心得た。では、その門をくぐるがいい。」
そう言って少女は一番右端の扉を指さす。僕はそこに向かって歩き出した。そして、門が開き僕は進む。新たな「人生」を・・・・。
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