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第三章
50話
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「アルス!」
僕は先行したアルスに呼びかける。
「ショウマ。コイツは厄介な奴が紛れ込んだみたいだぞ?」
「・・・ゴブリンキング。」
僕の目の前にいたのはゴブリンキングとゴブリン数匹だった。
「ショウマさん。」
走り寄ってきたのは先に彼らの援護に向かっていたソーニャだった。
「状況は?」
「雑魚のゴブリンは受験者の冒険者と共に大方倒すことが出来ました。あとは、ゴブリンキングと数匹のゴブリンのみです。」
そう言う彼女の衣服にはゴブリンたちの血によって赤く汚れていた。
「わかった。ソーニャはまだ戦えるかい?」
「大丈夫です。」
ソーニャは力強く頷く。
「君達はどうかな?」
「・・・俺達も行けます。」
そう言って剣士の青年は起き上がる。
そんな青年に僧侶の少女が慌てたように声をかける。
「ちょっと、マーク!?まだ起き上がっちゃ・・・!」
「もう痛みはない。俺は戦える。」
「でも・・・。」
「マーク・・・ここは、シニナの言うことを聞いて。」
「ミサラ?」
「私たちが出来ることはないと思う。ここは、先輩たちに任せるべき・・・。」
「でも・・・!」
「僕もそうした方がいいと思う。」
「サマラまで・・・。」
魔法使いの少年が大柄な青年を背負いながら言う。
「本調子じゃない僕達じゃ先輩たちの邪魔になるだけだ・・・。今はシニナの治療を受けないと・・・。」
そう言って少年は大柄な青年を横たえる。
「マーク、悔しいだろうけど・・・。」
「・・・わかったよ。」
そう言って青年はその場に腰を下ろす。
その様子に僕は安堵してアルスとソーニャに向き合う。
「行くぞ!」
僕達はゴブリンキングに向かっていった。
「おら!」
アルスは炎を纏わせた大剣をゴブリンキングに振り下ろす。
ゴブリンキングはその剣を自身の剣で受け止める。
「食らいやがれ!」
次の瞬間、アルスの剣に纏わりついていた炎がゴブリンキングに燃えうつる。
しかし・・・。
「アルス!離れろ!」
僕は異変に気が付いてアルスに呼びかける。
その瞬間炎を纏わせながらゴブリンキングがアルスに掴み掛かるため手を伸ばしてくる。
「うお!?」
寸前でアルスはゴブリンキングの腕を避ける。
「なんだ、コイツ!?炎が効かないのか!?」
「・・・みたいだね。」
ゴブリンキングに纏わりついていた炎は徐々に勢いを失い消えて行く。
「・・・ゴブリンキングが火に強いって話は聞いたことないんだが?」
「奇遇だね・・・僕もだよ。」
魔物は魔法に弱い。
理由として、魔物は魔力を持たない。
そのため魔力による被膜が形成されず魔法の攻撃もろに受けてしまうのだ。
「もしかして、このゴブリンは魔力を保有しているのかも?」
僕はアルスに自分の考えを述べる。
「そんなことがあるのか?」
「でも、実際にコイツはアルスの魔法を受けても平気な顔をしている。」
「・・・それならお前の出番だな、ショウマ。」
「ああ・・・。」
僕は頷く。
そして、魔力を高める。
「アルス、ソーニャ!少しの間でいい!ゴブリンキングの動きを止めてくれ!」
「わかった!」
そう言ってアルスは走り出し、ソーニャは魔法の延唱を始める。
「おら!」
アルスはゴブリンキングに大剣を振るう。
その剣をゴブリンキングは受け止める。
「ギギ!!」
その時、残っていたゴブリンたちが動きの止まったアルスに飛びかかって来る。
「させない!「シールド」!」
「ギヒィ!?」
アルスに飛びかかろうとしたゴブリンは光の壁に阻まれる。
「おりゃ!!」
アルスはゴブリンキングの剣を弾く。
ゴブリンキングは体勢を崩す。
「今だ!」
「はあ!」
僕はナイフを投擲する。
ナイフはゴブリンキングの胴に刺さった。
すると、ナイフが刺さった個所から銀の魔力が流れ込む。
「アルス!」
「ああ!」
アルスから大量の魔力が噴出する。
その魔力はアルスの剣に集まり業火となる。
「食らいやがれ!「業炎斬」!」
業火を纏った剣がゴブリンキングを包み込む。
「ぐがぁ!!!!!」
ゴブリンキングの身体は業火に焼かれ絶叫が木霊する。
その声も燃え盛る炎に飲み込まれるのだった。
僕は先行したアルスに呼びかける。
「ショウマ。コイツは厄介な奴が紛れ込んだみたいだぞ?」
「・・・ゴブリンキング。」
僕の目の前にいたのはゴブリンキングとゴブリン数匹だった。
「ショウマさん。」
走り寄ってきたのは先に彼らの援護に向かっていたソーニャだった。
「状況は?」
「雑魚のゴブリンは受験者の冒険者と共に大方倒すことが出来ました。あとは、ゴブリンキングと数匹のゴブリンのみです。」
そう言う彼女の衣服にはゴブリンたちの血によって赤く汚れていた。
「わかった。ソーニャはまだ戦えるかい?」
「大丈夫です。」
ソーニャは力強く頷く。
「君達はどうかな?」
「・・・俺達も行けます。」
そう言って剣士の青年は起き上がる。
そんな青年に僧侶の少女が慌てたように声をかける。
「ちょっと、マーク!?まだ起き上がっちゃ・・・!」
「もう痛みはない。俺は戦える。」
「でも・・・。」
「マーク・・・ここは、シニナの言うことを聞いて。」
「ミサラ?」
「私たちが出来ることはないと思う。ここは、先輩たちに任せるべき・・・。」
「でも・・・!」
「僕もそうした方がいいと思う。」
「サマラまで・・・。」
魔法使いの少年が大柄な青年を背負いながら言う。
「本調子じゃない僕達じゃ先輩たちの邪魔になるだけだ・・・。今はシニナの治療を受けないと・・・。」
そう言って少年は大柄な青年を横たえる。
「マーク、悔しいだろうけど・・・。」
「・・・わかったよ。」
そう言って青年はその場に腰を下ろす。
その様子に僕は安堵してアルスとソーニャに向き合う。
「行くぞ!」
僕達はゴブリンキングに向かっていった。
「おら!」
アルスは炎を纏わせた大剣をゴブリンキングに振り下ろす。
ゴブリンキングはその剣を自身の剣で受け止める。
「食らいやがれ!」
次の瞬間、アルスの剣に纏わりついていた炎がゴブリンキングに燃えうつる。
しかし・・・。
「アルス!離れろ!」
僕は異変に気が付いてアルスに呼びかける。
その瞬間炎を纏わせながらゴブリンキングがアルスに掴み掛かるため手を伸ばしてくる。
「うお!?」
寸前でアルスはゴブリンキングの腕を避ける。
「なんだ、コイツ!?炎が効かないのか!?」
「・・・みたいだね。」
ゴブリンキングに纏わりついていた炎は徐々に勢いを失い消えて行く。
「・・・ゴブリンキングが火に強いって話は聞いたことないんだが?」
「奇遇だね・・・僕もだよ。」
魔物は魔法に弱い。
理由として、魔物は魔力を持たない。
そのため魔力による被膜が形成されず魔法の攻撃もろに受けてしまうのだ。
「もしかして、このゴブリンは魔力を保有しているのかも?」
僕はアルスに自分の考えを述べる。
「そんなことがあるのか?」
「でも、実際にコイツはアルスの魔法を受けても平気な顔をしている。」
「・・・それならお前の出番だな、ショウマ。」
「ああ・・・。」
僕は頷く。
そして、魔力を高める。
「アルス、ソーニャ!少しの間でいい!ゴブリンキングの動きを止めてくれ!」
「わかった!」
そう言ってアルスは走り出し、ソーニャは魔法の延唱を始める。
「おら!」
アルスはゴブリンキングに大剣を振るう。
その剣をゴブリンキングは受け止める。
「ギギ!!」
その時、残っていたゴブリンたちが動きの止まったアルスに飛びかかって来る。
「させない!「シールド」!」
「ギヒィ!?」
アルスに飛びかかろうとしたゴブリンは光の壁に阻まれる。
「おりゃ!!」
アルスはゴブリンキングの剣を弾く。
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「今だ!」
「はあ!」
僕はナイフを投擲する。
ナイフはゴブリンキングの胴に刺さった。
すると、ナイフが刺さった個所から銀の魔力が流れ込む。
「アルス!」
「ああ!」
アルスから大量の魔力が噴出する。
その魔力はアルスの剣に集まり業火となる。
「食らいやがれ!「業炎斬」!」
業火を纏った剣がゴブリンキングを包み込む。
「ぐがぁ!!!!!」
ゴブリンキングの身体は業火に焼かれ絶叫が木霊する。
その声も燃え盛る炎に飲み込まれるのだった。
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