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第三章
47話
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第一試験通過者は1050人中525人。
その内、250人は冒険者候補生だ。
彼らを前に僕は第二試験の内容を伝達する。
「皆さん、トーナメントお疲れ様でした。さて、次の試験ですが、五人一組によるチーム戦とさせていただきます。」
そう言うと僕の前に箱が用意される。
「チームはくじにより決定します。そして、各チームにはゴブリンの討伐数を競ってもらいます。」
現在、シニネン王国ではゴブリン討伐を大々的に行っている。
しかし、まだまだゴブリンたちは多く分布しているのが現状だ。
もちろん、王国軍、冒険者共に総力戦で行っているのだが人員は足りないのだ。
そこで、訓練生候補生たちの試験に託けてゴブリンの討伐を行ってもらうことにしたのだった。
「期限は翌日の朝。ゴブリンを討伐した証として舌を切り取ってきてください。また、討伐エリアには先輩冒険者が監督として待機しているので不正をしない様に。」
これはゴブリン退治に限らず行われることだ。
討伐の証として魔物の身体の一部を採取してギルドに提出することで追加報酬を受け取ることが出来るのだ。
ちなみにゴブリン一匹当たりの報酬は前に比べると上がっている。
あと、冒険者を配置した理由としてゴブリンとの戦闘で死者を出さないためでもある。
「では、くじを一人ずつ引いてください。」
そう言うと候補者たちはくじを引いていく。
しばらくして、チームは50組に出来上がる。
「では、皆さん。頑張って下さい。」
そして、試験は始まるのだった。
俺の名前はマーク。
シニネン王国の片田舎に住んでいるのだが訓練校が出来るとのことで試験を受けに来た。
一次試験のトーナメントでは何とか勝つことが出来て、二次試験を受けることになった。
「・・・9番か。」
俺はくじに書いてある番号を確認する。
「へぇ・・・。貴方の番号は9番なんだね?」
「うお!?」
いきなり声を掛けられて変な声が出てしまう。
声を掛けてきたのは俺と同じくらいの年齢の少女だった。
「なんだよ、お前!?」
「ゴメンゴメン。私、シニナ。回復魔法が得意なの。」
そう言ってシニナは自己紹介をする。
「・・・俺はマーク。剣が得意だ。」
「そっか!頼りになりそうだね。」
そう言ってシニナは紙を見せる。
「私もあなたと同じ番号なんだ!よろしくね!」
「・・・ああ。」
なんというかコイツは妙に人との距離感が近い。
「さて!他の人も探そう!」
そう言ってシニナは俺の手を取る。
「ちょっ!?引っ張るな!」
そんな俺の言葉を無視してシニナは他の受験者に声を掛ける。
「・・・あっ。私も9番です・・・。」
そういうのは物静かな少女だった。
「やった!これで二人目だね!?貴方、名前は!?」
「えっと・・・あの・・・。」
シニナに詰め寄られて少女は困惑していた。
「おい、少し落ち着け。」
俺はシニナの頭をはたく。
「あたっ!?」
シニナは頭を抱えて俺を睨んだ。
「何するのよ!」
「そんなにぐいぐい行くな。彼女、困ってるだろ?」
「いえ・・・あの・・・。」
「すまん。コイツは人との距離感を掴むのが苦手みたいだ。」
「何よ!マークのくせに!」
「お前なぁ・・・。」
俺は呆れる。
というか、コイツとはさっき会ったばかりなのだが・・・。
「私・・・。ミセラと言います。よろしくお願いします。」
そう言ってミセラは丁寧にお辞儀をする。
「こちらこそよろしくな、ミセラ。」
そんな風に話していると・・・。
「おっ!お前達も9番なのか?」
そう声を掛けてきたのは筋肉質の青年だった。
その横には小さな少年もいる。
「アンタたちは?」
「俺の名前はジルド!こっちはサマラだ!」
「さ・・・サマラといいます。」
これが俺達の出会いだった。
その内、250人は冒険者候補生だ。
彼らを前に僕は第二試験の内容を伝達する。
「皆さん、トーナメントお疲れ様でした。さて、次の試験ですが、五人一組によるチーム戦とさせていただきます。」
そう言うと僕の前に箱が用意される。
「チームはくじにより決定します。そして、各チームにはゴブリンの討伐数を競ってもらいます。」
現在、シニネン王国ではゴブリン討伐を大々的に行っている。
しかし、まだまだゴブリンたちは多く分布しているのが現状だ。
もちろん、王国軍、冒険者共に総力戦で行っているのだが人員は足りないのだ。
そこで、訓練生候補生たちの試験に託けてゴブリンの討伐を行ってもらうことにしたのだった。
「期限は翌日の朝。ゴブリンを討伐した証として舌を切り取ってきてください。また、討伐エリアには先輩冒険者が監督として待機しているので不正をしない様に。」
これはゴブリン退治に限らず行われることだ。
討伐の証として魔物の身体の一部を採取してギルドに提出することで追加報酬を受け取ることが出来るのだ。
ちなみにゴブリン一匹当たりの報酬は前に比べると上がっている。
あと、冒険者を配置した理由としてゴブリンとの戦闘で死者を出さないためでもある。
「では、くじを一人ずつ引いてください。」
そう言うと候補者たちはくじを引いていく。
しばらくして、チームは50組に出来上がる。
「では、皆さん。頑張って下さい。」
そして、試験は始まるのだった。
俺の名前はマーク。
シニネン王国の片田舎に住んでいるのだが訓練校が出来るとのことで試験を受けに来た。
一次試験のトーナメントでは何とか勝つことが出来て、二次試験を受けることになった。
「・・・9番か。」
俺はくじに書いてある番号を確認する。
「へぇ・・・。貴方の番号は9番なんだね?」
「うお!?」
いきなり声を掛けられて変な声が出てしまう。
声を掛けてきたのは俺と同じくらいの年齢の少女だった。
「なんだよ、お前!?」
「ゴメンゴメン。私、シニナ。回復魔法が得意なの。」
そう言ってシニナは自己紹介をする。
「・・・俺はマーク。剣が得意だ。」
「そっか!頼りになりそうだね。」
そう言ってシニナは紙を見せる。
「私もあなたと同じ番号なんだ!よろしくね!」
「・・・ああ。」
なんというかコイツは妙に人との距離感が近い。
「さて!他の人も探そう!」
そう言ってシニナは俺の手を取る。
「ちょっ!?引っ張るな!」
そんな俺の言葉を無視してシニナは他の受験者に声を掛ける。
「・・・あっ。私も9番です・・・。」
そういうのは物静かな少女だった。
「やった!これで二人目だね!?貴方、名前は!?」
「えっと・・・あの・・・。」
シニナに詰め寄られて少女は困惑していた。
「おい、少し落ち着け。」
俺はシニナの頭をはたく。
「あたっ!?」
シニナは頭を抱えて俺を睨んだ。
「何するのよ!」
「そんなにぐいぐい行くな。彼女、困ってるだろ?」
「いえ・・・あの・・・。」
「すまん。コイツは人との距離感を掴むのが苦手みたいだ。」
「何よ!マークのくせに!」
「お前なぁ・・・。」
俺は呆れる。
というか、コイツとはさっき会ったばかりなのだが・・・。
「私・・・。ミセラと言います。よろしくお願いします。」
そう言ってミセラは丁寧にお辞儀をする。
「こちらこそよろしくな、ミセラ。」
そんな風に話していると・・・。
「おっ!お前達も9番なのか?」
そう声を掛けてきたのは筋肉質の青年だった。
その横には小さな少年もいる。
「アンタたちは?」
「俺の名前はジルド!こっちはサマラだ!」
「さ・・・サマラといいます。」
これが俺達の出会いだった。
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